ガンダム・センチネル
ガンダム・センチネル | |
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ジャンル | |
小説: | |
著者 | 高橋昌也 |
イラスト | |
出版社 | 大日本絵画 |
掲載誌 | モデルグラフィックス |
レーベル | |
発売日 | |
発表期間 | 1987年 - 1990年 |
巻数 | |
話数 | |
その他 | メカニックデザイン、 キャラクターデザイン:カトキハジメ |
■テンプレート使用方法 ■ノート |
『ガンダム・センチネル』(GUNDAM SENTINEL)は、ガンダムの模型(ガンプラ、プラモデル、ジオラマ)に関連した、雑誌の連載企画、小説、フォトストーリー。
ガンダムシリーズの作品の一つで、大日本絵画発行の月刊模型雑誌『モデルグラフィックス』誌上1987年9月号から1990年7月号まで連載が行なわれ、1989年に別冊ムックが発売、1990年には元ストリームベースの高橋昌也を著者とする小説『ALICEの懺悔』が発売された。
目次
概要
スクラッチビルドされた数々の模型の画像に特殊効果を加えて作られたフォト作品群と、ノベル・ストーリーを軸に、一側面としてプラモデル商品化を目指して展開された。
模型先行であることを生かし、「立体物、あるいはメカ、空間兵器としての、現実性やグラフィックを追求する」といったことが当時の作家陣によって度々謳われている。一方でカトキハジメらによる設定製作は、模型作品をフィードバックしながら進められたため幾度も改稿されている。また、機体ごとの最初の模型作例ができるまでは公式設定は存在しない、とも言われた。
特に、そのフォト作品は、コンピューターによる画像処理やCGが一般的ではなかった当時としては大変に斬新なものだった。「画像をどのようにして作り上げているのか」については連載当時は「同業種に安易に模倣されるのを避けたい」という理由で公開されず、正に「これまで誰も見たことがないし真似もできない」ものとして企画内容共々「ガンダムセンチネル」という“存在”の名を高めることに貢献している。また、SF考証にも力が入れられ、モビルスーツの動力や兵装の仕様について「ガンダムセンチュリー」で提示された各種設定をベースに当時としては最大限踏みこんだ解説がなされ、スペースコロニーなど現実世界に存在する概念については、現実の科学情報を織り交ぜて説明している。
アニメ作品が主体の「ガンダム」シリーズにおいて、模型主導のメディア展開を行ったという点ではいわゆるガンプラブームの中心となったMSVに近い企画と言える。モデラーを中心に根強いファンを生み出すと同時に、この企画終了以降の模型誌の作例を含め、ガンプラの作例などに多大な影響を与えており、企画が開始して2007年で21年が経過しているにも関わらず、今でもこの作品は『トラウマ』というモデラーが数多くいる程である。特にカトキハジメのデザインしたメカは高い人気を誇り、その幾つかはバンダイからプラモデルとして発売されている。
プラモデルの販売促進を目的にしたプロモーションビデオとして、アニメ化する企画も存在した。MSとストーリーを15分程度で紹介するもので、全国の玩具店や模型店に配布される予定だった。しかし、これは諸事情からか実現していない。『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』とは共通する要素が多く、前記のアニメ化企画を元にして製作されたと噂されるほどである。
なお、この作品は『機動戦士Ζガンダム』のTVシリーズの世界観の延長にある物語である。後年製作されTVシリーズとは異なる結末となった劇場版『Ζガンダム』とは繋がらない部分がある。
小説パートを担当した高橋は、別冊のインタビューにおいて「富野監督はZで幕末をモデルにして幕末の話をしようと見えたから、センチネルは露骨に幕末の話にした」と語っている。ニューディサイズの組織名は新撰組の意訳で、ニューディサイズの主要人物の名前は、新撰組をはじめとする徳川幕府の関係者から、α任務部隊側では坂本龍馬などの維新志士たちを元にしている。さらにはエアーズ市は会津藩を、ペンタは五稜郭をモデルにするなどしている。
企画の進展
元々の企画はバンダイから『モデルグラフィックス』(以下MG誌)編集部へ発注されたものだった。『機動戦士ガンダムΖΖ』終了から『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の公開までプラモデルのラインナップに空白が発生してしまうため、かつてのMSVシリーズに準じた形の、いわば「つなぎ」の企画としてスタートした。MG誌編集部は『機動戦士ガンダムΖΖ』でデザインワークに参加しており、その縁からの依頼だったと推測される。企画は『ガンダム・センチネル』と名付けられ、あくまで模型誌との連動を行い、数点のキットを販売するというものだった。
まず、連載に先行して1987年7月にフルアーマーΖΖガンダムが発売された。フルアーマーΖΖガンダム自体は『機動戦士ガンダムΖΖ』の46話に登場した機体だが、キットはこの番組登場時のものではなく、MG誌に掲載された牛久保孝一による作例に準じたもので、テレビ未登場の大型ビームランチャーを装備したホワイト一色のカラーリングのものとなった。なお、キット化第二弾はクィン・マンサ、第三弾がSガンダムとなる予定だった。
しかし、『逆襲のシャア』関連商品の製品化が当初の予定よりも前倒しになったため、「『ガンダム』を冠する2種類の新シリーズ商品が市場に並んでユーザーが混乱する事を避ける」という理由から、センチネルの商品化は一時凍結となった。
この事態に、MG誌編集部側のスタッフだったあさのまさひこは、企画をMG誌編集部に引き揚げ、模型誌の連載としてセンチネルを再始動させる。純粋な模型誌の読み物として再構成し、それに平行して『月刊ニュータイプ』の協力を得て、同誌上のガンダム特集で自らセンチネルのプロパガンダを行った。記事中には庵野秀明原画のゼク・アイン/ネロ(準備稿)やカトキハジメによるSガンダムの概念図等が掲載された。
そして1987年9月号より、連載が開始される。高橋昌也によるノベライズ、カトキハジメによるマニアのツボをついた精緻なデザイン、レベルの高い作例を軸に、ガンダム世界の「リアル」をとことん突き詰めたセンチネルは高い人気を得て、長期連載となった。また、模型業界の事情や、モデラーやユーザーの意識を問う記事、模型雑誌としては異様とも言える様々なコラム、カトキハジメによる実際の航空宇宙技術開発の解説を踏まえたMSのメカニズム解説、最初は冗談企画だったという、明貴美加による「モビルスーツ少女」など、多様な記事が掲載された。また、読者と企画側の間で熱い意見が交わされた読者投稿コーナーの常連からは後に、何人もの模型ライターが誕生しているなど、模型業界を始めに多方面に大きな影響を与えた。
人気の高まりを受けて『逆襲のシャア』シリーズ終了後にキット化が再開。Sガンダムとそのバリエーション2種、Ζプラスの計4種がキット化された。キット発売以降は当時のキットが未消化だった部分のフォローを中心とした展開が行われ、それに併せて商品化未定のMSやパーツ等をMG.O.C.K.(Model Graphix Original Cast Kitの略称)ブランドからガレージキットとして販売した。雑誌作例として製作された高度な立体物をそのまま、あるいは更なる改修を施した形でユーザーが手に出来るキットとして、大変好評を得た。
1989年には、これまでの集大成として別冊(ただしそのボリュームから雑誌コードは無く書籍扱い)『GUNDAM SENTINEL〜THE BATTLE OF "REAL GUNDAM"〜』が刊行された。新最終MAゾディ・アックの登場など誌上連載のフォトストーリーは大幅に加筆・修正され、最新版の設定資料、リファインEx-Sなど新作を含むワークス体制による模型作例、スタッフのインタビュー記事が盛り込まれた「模型雑誌の別冊相当の書籍」としてはこれまで類を見ない程の情報量を持つまさに「情熱」の集大成でもあった。小説パートはレイアウトの都合上文字が小さく読みにくいものとなってしまったこともあり、後にムックではカットした部分を加え『ガンダム・センチネル ALICEの懺悔』の題名で書籍として刊行されている。
現在でこそSDガンダムシリーズに登場するなどほぼ公式作品として扱われているが、連載当時はMG誌創刊時のゴタゴタの遺恨やあさの達スタッフの挑戦的な制作姿勢もあって業界内でも否定的風潮が強く、競合模型誌はもちろん他メディアでも前述のニュータイプ誌など一部を除いてほとんど採り上げられなかった。企画当事者の一人でもあったはずのバンダイが発行していた模型誌『B-CLUB』でも、当時連載していたガンダム漫画『Gの伝説』でEx-SガンダムやΖプラスを登場させた小林誠が単行本にて「編集者に『Sガンダムは描かないでくれ』と言われたが、無視して1ファンとして描き続けた」と記している。
センチネルその後
連載当時のMG誌上では、「合体・変形可能なSガンダム及びEx-Sガンダムも差換え変形でなら技術的には可能だが、1/100スケールで5000円くらいになるだろう。1/144 Sガンダムが1000円という価格を考えると現実的ではない」と予想され、ユーザの間では実現が困難と言われていた。しかし、2001年にはバンダイからHGUCでSガンダムとゼク・アインが発売され、MGではΖ-plus、FAZZと続き、合体・変形可能なSガンダム及びEx-Sガンダムが発売されるまでに至った。 また、「デザイナーズ~」のシリーズでの販売ではあるものの、「センチネル0079」が初出であるRX-78Ver. Kaもキットとして立体化されている。
その後、雑誌の作例では明らかに「君にもできるキット攻略シリーズ」を下敷きにしたものが増えた。また、『電撃ホビーマガジン』誌上で連載された『ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに』は雑誌企画物としての『センチネル』の影響を色濃く受けている。
他のガンダムシリーズの作品にもセンチネルの影響は見られ、特に「公式設定を離れリアリティ重視」といった作例では、センチネルで示されたロービジ・ピクセルパターン迷彩・「スプリッター」迷彩[1]及び独特のレタリングなどの配色が好まれることが多く、いまだに新鮮さを失っていないようである。
また、カトキハジメのデザインはその後も高い人気を博した。カトキのリファインしたモビルスーツを完成品として提供する『GUNDAM FIX FIGURATION』(ガンダム・フィックス・フィギュレーション)シリーズが立ち上げられ、ディープストライカー、リファイン版バーザム、Ζ-plus強化型ハミングバード等、メーカーによる商品化は困難と考えられていたアイテムが多数発売されている。
フォトストーリーに登場したSガンダムをフルスクラッチで製作した螺子頭ボンドこと尾崎弘一は後にセガに入社し、電脳戦機バーチャロンの製作スタッフとなる。そして尾崎の紹介によってカトキがバーチャロンのメカニックデザイナーに起用された。
版権に関して
企画の発端はバンダイからだったが、内実は実質MG誌のスタッフの手によるものだったため、センチネルの版権は一部を除いてあさの、高橋などのMG誌側に与えられることとなった。しかし、その後ワンダーフェスティバルなどで立体化するディーラーが現れた際に、MG誌側の許可を得ずにSガンダムの版権を許諾するという事態が起こった。版権の許諾を実際に行ったのはバンダイではなく、ガンダムシリーズの版権を管理している創通だが、その創通と密接な関係のあるバンダイの不手際も大きい。元々、版権の線引きが口約束のみで文書化されておらず曖昧だったことと、これに関与したバンダイ側の当事者が異動により不在となったことから発生した「事件」だった。これ自体は、誌面でのやりとりを経てその後和解している。
ただし現在も、ガンダム関連の当日版権が唯一許諾されるキャラホビにおいては、センチネル関係の版権は許諾されていない。ガレージキットに関しては前途の一件の影響がいまだ尾を引いていると推測される。また、2005年のキャラホビ2005において、『SDガンダム』として版権申請するというある意味で裏技を用いて発売されたという出来事[2]もあり、今後センチネル関係の版権はキャラホビでは永遠に許諾されないのではないかと懸念しているガレージキット関係者は少なくない。
その翌年の2006年のキャラホビのために、人気ガレージキットディーラーであるStudioRECKLESSがセンチネル関係のMSの版権申請を行っているようである。機体名こそ明らかにはされていないが、公式サイトにて上記の前年の例から「あの作品」と強調しつつ、灰色の可変MSというコメントがされたことから、間違いなくZプラスであるとされる。しかし、やはり許諾されておらず、前記の懸念は未だ払拭されていない。
また、この事件と平行してバンダイのカードゲーム『ガンダムWAR』の第3弾にて、Sガンダム・ΖプラスA型(アムロ・レイ専用機)・小惑星ペズン等のセンチネルを基にしたカードが登場するが、2007年8月発売の19弾より復活するまで再登場の機会に恵まれなかった。
なお、バンダイの子会社であるバンプレストより1995年に発売されたゲーム『第4次スーパーロボット大戦』に於いて、隠しユニットとして本作からSガンダムとEx-Sガンダム、強化パーツとしてALICEが登場しているが、版権許諾を受けずに参戦されたものであった。このため、後に発売されたシリーズのデータベースソフトである『全スーパーロボット大戦 電視大百科』では関連情報が一切記述されていない。また、その後のスーパーロボット大戦シリーズでの参戦も果たされていない。
物語
本作の舞台は『機動戦士Ζガンダム』の終盤、グリプス戦役末期の宇宙世紀0088年1月25日から同年4月5日。
小惑星基地ペズンに駐留する地球連邦軍教導団の中で、ティターンズ寄りの地球至上主義の思想を持つ青年将校たちがニューディサイズを標榜して武装決起し、シャア・アズナブルによるダカール宣言以後エゥーゴ寄りの姿勢となった地球連邦政府に反旗を翻した。
対する地球連邦政府は、グリプス戦役終結時に大多数の戦力を温存していたネオ・ジオンとの衝突を前に早急に連邦軍内部の意思統一を図る必要があり、ニューディサイズはそのための最大の障害であると判断して討伐隊を派遣することを決定する。しかしネオ・ジオンとの戦いを前に大兵力を投入する訳にはいかず、アーガマ級新造巡洋艦ペガサスIIIとSガンダム・FAZZ・ΖプラスのガンダムタイプMSを中心とする少数精鋭(実体はニューディサイズの戦意喪失を期待した張子の虎)のα任務部隊が宇宙に送り込まれた。
小説版のキャラクター紹介に「本作の主人公」と書かれているように建前としてはガンダム・パイロットのリョウ・ルーツが主役であるが、SガンダムのAIであるALICEとニューディサイズのパイロットであるジョッシュ・オフショーに多くのページが割かれていて、実質的にはこの二人も主人公だといえる。
主要登場人物
この節を書こうとした人は途中で寝てしまいました。後は適当に頑張って下さい。 |
声優は『SDガンダム GGENERATION 』シリーズなどによる。
名前について
センチネルは幕末をモデルとした部分があり、登場人物も幕末の人物の名前をアレンジしている。以下のような法則がある。
- 和名を英訳
- 名前から一部を抜き出してアレンジ
例えば、トッシュ・クレイは「トッシュ」というのが土方歳三の「歳」のアレンジであり、クレイは日本語で土を意味することからモデルを推察することができる。
α任務部隊
- リョウ・ルーツ
- Sガンダムの専属パイロット。Sガンダムに搭載された戦闘AI「ALICE」の開発者を母に持つ。父は1年戦争で戦死、母は「ALICE」開発に全てを捧げる余り謀殺された(「ALICE」を狙ったとされる爆発事故から「ALICE」を守る為に死亡)経緯から、組織の枠組みを嫌うとことん反抗的な性格。その「ALICE」に感情を学習させるためのサンプル(コードネームはチェシャ猫)として、「常識では計れない不条理な男」であることを理由にSガンダムの専属パイロットに選ばれた。入隊した当初は軍を都合の良い「職業訓練校」としか見ておらず、戦争をヒーローごっこと同列に扱う幼稚な面があったものの、死の恐怖やマニングスの死を経験し少しづつ成長する。
- 初陣では失禁し、月面でのガンダムMk-Vとの白兵戦では涙と鼻水を垂れ流しながら、「死にたくねえよ」と絶叫するなど、およそガンダムタイプ主役機のパイロットとは思えない生々しい扱いをされている。名前の元ネタは坂本龍馬。
- シン・クリプト
- 声優:塩屋翼
- 年齢:22歳
- 年齢:中尉(野戦任官)
- FAZZ部隊隊長。元はSガンダムパイロット候補の一人であり、リョウとはその時からの悪友。ガンダムMk-Vとの戦闘により機体と2人の部下を失い、対ゾディ・アック戦ではGアタッカーのパイロット(Sガンダム射撃手)を担当。最初の頃は戦果が上げられないことを悔しがっており、戦闘狂だと周りのパイロット達とトラブルになっていたが、戦いによって成長していったようである。元ネタは高杉晋作。
- テックス・ウェスト
- 声優:川津泰彦
- 年齢:25歳
- 階級:少尉
- Ζプラスのパイロット。カラバ出身ゆえに最初の頃はバカにされていた。対ゾディ・アック戦ではGボマーのパイロット(Sガンダム索敵手)を担当。穏やかで、ともすれば臆病ととられがちな性格だが、決して怒らないないわけではなくリョウの無神経な発言に反応したり、投降したエイノーの余りにも身勝手な言い分に激怒、鉄拳制裁をするという気性の激しい一面を持つ。観察力にも長けている。元ネタは西郷隆盛。
- シグマン・シェイド
- 年齢:21歳
- 階級:少尉
- Ζプラスのパイロット。寡黙な努力家で、月面で被弾した後は何時間もシミュレーターに篭っていた。テックスとコンビを組む。
- ジョン・グリソム
- ロバート・オルドリン
- 共にシンの部下としてFAZZのパイロットを務める。イーグル・フォール作戦において、ブレイブ・コッド駆るガンダムMk-Vに撃墜され戦死。宇宙飛行士にガス・グリソムとエドウィン・オルドリンがいるが、元ネタになっているのかどうかは不明。
- チュン・ユン
- 年齢:30歳
- 階級:中尉
- ペガサスⅢのネロ部隊隊長。経験も技量もない新人パイロット達、特にリョウとは事ある毎に反目し合うが、そのリョウ達にエアーズ市降下作戦の際、絶体絶命の窮地を救われた事で和解。対ゾディ・アック戦ではテックスに代わりZプラスに搭乗、ゾディ・アックのメガカノンから合体するSガンダムの盾となり散る。
- 声優:大塚明夫
- 年齢:36歳
- 階級:大尉
- α任務部隊のMS部隊の指揮官。叩き上げの鬼教官としてリョウ達を鍛える。トッシュ・クレイとは親友であり、一年戦争では彼を救ったために片脚を無くしている。
- イートン・F・ヒースロウ
- 声優:戸谷公次
- 年齢:34歳
- 階級:少佐
- ペガサスIII艦長でα任務部隊の指揮官。高等士官学校[4]を首席卒業した秀才だが、実戦経験は皆無。初陣ではベテラン揃いのニューディサイズに手痛い洗礼を浴び、更に、月面でのエアーズ市降下作戦では士官学校時代の教官でもある百戦錬磨のエイノーに殲滅寸前まで追い詰められるが、それが指揮官として、艦長としての成長を促した[5]。対ゾディ・アック戦ではそのエイノーから「本物の指揮官」になりつつあるとまで言われる程にまでになる。元ネタは伊藤博文。
- ALICE
- 声優:朴璐美
- SガンダムのAI。Sガンダムの機体そのものの性能については、当該項目を参照のこと。
- Sガンダムは元々このAIで運用する事を前提として作られており、無人兵器として、人間の代わりに戦闘に出ることによってありとあらゆる面での効率化を図ろうとしていた。しかし、人間とは違って機械では政治的影響力を及ぼせないことから、ミズ・ルーツ殺害事件などの軍や政府上層部の意向による数々の妨害工作を受けた結果、開発中止になる。ND討伐作戦において、余剰機材の有効活用という意味合いから実戦に供されることになるが、その際AIの意思は凍結されていなかった。
- 人間のわがままを受け入れた上で自律的に行動する、という矛盾する事を要求されたために、“彼女”を育てるパートナーには理不尽な要素を持つ男が必要となり、その相手としてリョウが選ばれる。常軌を逸したリョウの意識に困惑し、ガンダムMk-Vとの戦いに直面しながら彼女は成長し、人を超えていく。
- ガンダム作品としては奇異なほど、人間の女性キャラがほとんど登場しないガンダム・センチネルにおいてはヒロイン的な存在であり、可愛く成長していったともいえる。しかし、結局のところは「オカマ」であると小説パート著者である高橋昌也は述べており、最後では「彼女は菩薩になった」という表現でぼかされている[6]。
ニューディサイズ(ND)
- 声優:玄田哲章
- 年齢:39歳
- 階級:大尉
- 声優:堀内賢雄
- 年齢:35歳
- 階級:大尉
- コッド、マニングスの旧友。実質的なニューディサイズ指導者であり、コッド戦死後にND新首領となる。元ネタは先述の通り土方歳三。
- ジョッシュ・オフショー
- 声優:山寺宏一
- 年齢:22歳
- 階級:少尉
- 名家オフショー家の出身で、軍に入隊のも政界入りへの手段に過ぎなかったが、教導団に配属を志願した事が運命を狂わせてしまう。ニューディサイズ決起後、ベテラン揃いの同僚達の中から実戦経験がほとんどないにも関わらずMS小隊の隊長に抜擢されている事から見ても、ニュータイプではないが、訓練と自身の才能もあってか、一流といっても差し支えない実力を持っている。幼い頃からの家の教えの影響で、他人に面と向かって逆らわず、流されるように生きてきた。(本人もその事を無意識で自覚していたのか、教導団への志願の動機を「心境の変化が在るのかもしれない。」と発言している)。
- 自分よりも遥かに格下のパイロットが操縦しているにも関わらず、機体性能の差からSガンダムに苦渋をなめさせられ続けることにプライドを傷つけられ、更に首領であるブレイブ・コッドの死や自分が思い描いていた「戦争」と幼年学校の少年兵までもが駆出される現実の「戦争」とのギャップの経験により、次第に不安定な精神状態に陥っていく。月面都市エアーズ陥落後、ネオ・ジオンの援護射撃で辛くも月からの脱出に成功するものの、その援護射撃のため視神経が麻痺する負傷を追う。
- 元々はコッドやクレイが憎悪する階層の出身であり、教導団に志願しなければNDに参加することもなく順調に出世を重ねていった筈である。成り行きや上司の影響によって戦っているだけであって上司達のように連邦やスペースノイドへの憎しみを抱いていたわけではない。この事が最後のクレイのセリフへとつながっていく。元ネタは沖田総司。
- ファスト・サイド
- 声優:関智一
- 年齢:28歳
- 階級:中尉
- ニューディサイズ隊員。第4突撃隊隊長を勤める有能なパイロット。最終決戦時にはクレイと共にゾディ・アック(ゾアン2)に搭乗する。元ネタは斉藤一。
- ブライアン・エイノー
- 声優:大林隆介
- 年齢:66歳
- 階級:准将以上
- 連邦軍宇宙艦隊提督。対ジオン強硬派であったため一年戦争後は高等士官学校の校長という閑職に回されていた。この時の学生にヒースロウがおり、彼を子供のように思っていた。ND反乱の際、兵士達に厚い人望がある事から本星艦隊の指揮を任せられるが、腐敗している連邦軍上層部に反感を抱いていたため、工作員サオトメの説得を受けて艦隊ごとNDに寝返ってしまう。元ネタは榎本武揚。
- ドレイク・パーシュレイ
- 年齢:恐らくクレイと同世代
- 階級:恐らくは大尉クラス
- ND立ち上げに加わった首脳幹部の一人。だが、事が大きくなるのに怖気づき、クレイ達を裏切って投降しようとするが、意図を見抜かれていたため結局は謀殺される。元ネタは芹沢鴨。
- マイク・サオトメ
- 年齢:32歳
- ND所属の情報士官で工作活動を担当する。実は元ジオンの人間で個人情報は闇で買ったものであり本名は不明。エイノーを抱き込んで艦隊ごと造反させたり、月攻略の最後の局面では密かにネオジオンと連絡をとり、援護砲撃をさせて脱出を成功させるなど中々の活躍ぶりを見せる。モデルグラフィックス連載版には登場しない。MG版では彼に相当するキャラクターとしてサトウという人物(『機動戦士ガンダムΖΖ』に登場するシュツルム・ディアス隊の隊長と同名)が登場する。
エアーズ市
- カイザー・パインフィールド
- 月面都市エアーズ市長。エアーズ市は観測基地の隊員を祖としている事と、月の裏側にあって地球を見ることができない立地条件から地球を崇拝していた。その事から反スペースノイド的であり、Zのコロニーレーザー戦では市長自ら先頭に立ってティターンズに参加していたが身を案じた部下たちによって結果的には敵前逃亡という形になってしまう。以上の経緯からニューディサイズに共感し、市の総力をもってNDに協力する。元ネタは松平容保。
メカデザイン
メカニックデザインを、当時の最新作である『機動戦士ガンダムΖΖ』のゲストメカデザインを行なったカトキハジメと明貴美加が担当している。また、いくつかの設定画はディレクターであるあさのまさひこ自らが起こしている。連載開始前のSガンダムの設定画は、Ζガンダムのメインデザイナーである藤田一己がクリンナップしたもので、後にカトキハジメが新たに設定画を起こしている。
Sガンダムの名称
主役メカSガンダムの呼称は、本作の企画と時を同じくして製作が進行していた映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の主役メカの仮称がHi-S(ハイエス)ガンダムだった事に由来する。これは映画原作小説のタイトル「ハイ・ストリーマー」から。また、富野由悠季監督がシャアの英語表記をSharと勘違いしたまま「シャアを超える」という意味で名付けたためという説もある。
このHi-Sガンダムの前に存在する(=市場でユーザーに認知される)ガンダムなので、Hiを取って「Sガンダム」と命名され、そこから逆説的にスペリオルガンダムという名称が生まれている。なお模型化の際には、登録商標の関係により「スペリオルガンダム」が使用できなかったため、省略形の「Sガンダム」が商品名となっている。
センチネル0079
連載のオーラス企画として「センチネル0079」という短編が2回にわたって掲載された。これはセンチネルの手法で一年戦争のソロモン攻略戦を再現するというものだった。一部のデザインワークは、後の『機動戦士ガンダム0083』に登場するジム改・ザクF2型・ボール改や、『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』に登場する先行量産型ボールに一部修正を加えて転用されている。後編に僅か1カットしか登場しない「RX-78-2ガンダム」の作例とデザインはモデラーに多大な影響を与え、後年「RX-78のリファイン版」の1つの形としてアマチュア・メーカーを問わず幾度も立体化され続けてきた。後に「RX-78-2ガンダムVer.Ka」の名称で商品化されバンダイからプラモデルと完成品が発売された。
又、この企画で発表されたリファインデザイン対象として、ビグザム、ガトル、パブリクがあり、特にガトル宇宙戦闘機は他メディアでは未発表であるものの、『0083』に登場したドラッツェに流用されたとされるガトルのエンジンの供給元でもあり、そのデザインには注意が必要である。
なお、このシリーズからのMG.O.C.K.ブランドによるキット化は行われていないが、本編掲載時に製作された1/144ジムの模型を改修したものが後に『0083』のジム改のキットとしてB-clubブランドから発売され、また同じジムをベースとしたRX-78-2ガンダム、そしてザクIIの作例をガレージキット化したものがモデラー達のアマチュアブランド『GxG』よりイベント限定商品として少数販売されている。
注釈
- ↑ なお、センチネル関連で「スプリッター迷彩」と呼ばれている配色だが、元はアメリカのイラストレーター「キース・フェリス」風の“分割”迷彩のことを指していて連載当時はその名を冠して呼ばれていた。現在ではスプリッターという呼び名のほうが流通しており、実際キースフェリスパターンではなくなっている。一部で、「スプリンター(迷彩)」の呼び方の方が正しいのではないか、という意見が増加しているが、ワイバーンやリファイン版Ex Sガンダムのカラーリングはキースフェリスパターンがモチーフとなっていて、これはいわゆるsplinterには含まれない。一方「スプリッター」というのも和製英語的で、ネイティブにはむしろsplit schemeなどといった方が通じる可能性がある。 最近の作例はプロアマ問わず、キースフェリスパターンとは異なる単なる折線迷彩が殆どで、これは、英語圏で一般にsplinterに含まれるようだが、そのルーツにドイツの「splitter」迷彩があるため特に軍事関係者の内には半ば外来語的にsplitterと呼ぶ人もいるようである。
- ↑ WAVEが販売した1/144ガンダムMk-Vの事である。ゲームソフト『SDガンダム GGENERATION』にはセンチネルのキャラクターやMSが多数登場する。「ガンダムセンチネルに登場のガンダムMk-V」としての申請ではなく、このゲームに登場するキャラクターのリアルタイプバージョンとして申請したものであるといわれている。
- ↑ 正確には少尉扱いの曹長で、MSパイロットに抜擢されるにあたって搭乗資格を得るために一時的に尉官の階級を得た。同じ実験隊出身のクリプトやオルドリンなども同様の待遇と思われるが、明記されてはいない。
- ↑ 通常の士官学校とは異なり、幹部将校を育成するための教育機関で、入校者には士官として三年以上の軍務経験がなければならない。ちなみにヒースロウが新米少尉として最初に赴任したのは戦艦ブル・ランで、この時の艦長がエイノーであった。
- ↑ ただし、終始不運に見舞われていたものか、その後も敵の繰り出す罠には最後まで引っ掛かってしまっていた。
- ↑ 小説『ガンダム・センチネル ALICEの懺悔』巻末対談より。
関連項目