ハーバード大学

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ハーバード大学は、アイビー・リーグの一校。米国で最も古い高等教育機関であり、世界を幅広い分野でリードする。現在に至るまでオバマ大統領を含め8人のアメリカ合衆国大統領や、75人のノーベル賞受賞者(うち卒業生が55人で、卒業生のノーベル賞受賞者数としては全米1位)を輩出している。アメリカの学部課程ランキングで1位にランク付けされ、The Times Higher Education Supplement上海交通大学などによる世界大学ランキングでは、ほぼ1位を独占している。

沿革

ハーバード大学はアメリカ最古の高等教育機関であるが、大学がいつの時点で発足したのかは、明確に特定の日付では定められていない。

1636年9月8日グレゴリオ暦では9月18日)に招集され10月28日(グレゴリオ暦では11月7日)に散会したマサチューセッツ湾植民地の総大会議は、「学校ないしカレッジ(a School or College)」の新設のために資金を支出することを議決した。翌1637年9月7日の植民地総大会議では、「The College」を当時の Newe Towne (Newtowne) に開設することが議決されている。

1639年から用いられるようになった「ハーバードカレッジ (Harvard College)」という名称は、1638年に死去した際に、遺言で蔵書と所有不動産の半分をカレッジに遺贈した、最初の寄付者で清教徒派の牧師ジョン・ハーバードに由来する。

1638年には、Newe Towne (Newtowne) が Cambridge と改称されたが、これは大学の初代学長(President)ヘンリー・ダンスター(在任;1640-1654)、最初の寄付者ジョン・ハーバード、初代校長(Schoolmaster)ナサニエル・イートン、さらに、当時の(初代の)マサチューセッツ湾植民地総督ジョン・ウィンソープが、いずれもケンブリッジ大学出身であったことに由来している。Collegeでなく、Universityとして言及した最初の例は、1780年のマサチューセッツ州憲法。ただし、「Harvard University」という連語としてではなく「The University」としての言及である。

キャンパス

ハーバードヤード
ジョン・ハーバードの座像
メモリアルホール

大学の中核はボストン近郊、ケンブリッジのハーバードヤード(Harvard Yard)を中心とするケンブリッジキャンパスであり、マサチューセッツ工科大学のキャンパスからは3kmほどの距離にある。

キャンパスは、ボストン市内のオールストン(Allston、ビジネススクール)やロングウッド(Longwood、メディカルスクール)にもある。付近には60を超える大学があり、ハーバード大とマサチューセッツ工科大にゆかり(卒業生または教員)のあるノーベル賞受賞者を合わせると累計150人(ハーバード74人、マサチューセッツ工科大学79人)を超えるなど、世界有数の学園都市を形成している。

ケンブリッジキャンパスの最寄りの地下鉄(Tと呼ばれる)駅は、「Harvard」。ハーバードスクエアに面し、ハーバードヤードに入る玄関の正門はジョンストンゲート。その正面のユニバーシティーホールの前にはジョン・ハーバードの像がある。ハーバードヤードには、大学事務や1年次の学生が住む寮がある他、第一次世界大戦の学生戦死者を祈念して作られたメモリアル教会タイタニック号沈没で息子を失ったワイドナー夫妻によって設立されたワイドナー記念図書館、ロマネスク様式建築のセバーホールなどの建築物がある。ヤード周辺には、南北戦争の戦死者を祈念して作られたメモリアルホール、科学教育施設であるサイエンスセンター、デザイン学関係のガントセンターなどがある。また、西洋美術のフォッグ美術館、東洋美術のサックラー美術館、ガラス製植物標本で有名な自然史博物館など、常設公開施設もあり、多くの観光者が訪れる場所となっている。以下は、ケンブリッジキャンパスの代表的な見所である。

  • ハーバードヤード:ハーバードホール(1766年)、マサチューセッツホール(1720年)、ホールデンチャペルのある付近がハーバード大学の一番古い部分であり、オールドヤードと呼ばれる。ユニバーシティーホール(1815年、ワシントンDCアメリカ合衆国連邦議会議事堂と同じブルフィンチ設計)の裏側のメモリアル教会、ワイドナー図書館がある部分は、6月に卒業式が行われる広場でターセンテナリー劇場という。ここには、ボストンのトリニティー教会設計のリチャードソンがデザインしたロマネスク様式建築セバーホール、イタリアルネサンス様式のボイルストンホールなどがある。ハーバード大学の建物のほとんどすべてに固有名詞が入っており、同じケンブリッジにあるマサチューセッツ工科大学が、建物を番号で呼んでいるのとは対照的である。
  • ジョン・ハーバード像:ユニバシティーホールの前にあり、「3つの嘘の像」と呼ばれる。銘版には、「John Harvard Founder 1638」と書かれているが、ジョン・ハーバードは、ハーバード大学創設者ではなく、寄贈者である。ハーバードカレッジの創設は、1638年ではなく1636年。モデルが、1884年作製当時の学生。像の脚先に触れると幸運が訪れるという。ダニエル・チェスター・フレンチ(1850-1931)作。
  • ワッズワースハウス(Wadsworth house):1726年建築。19世紀半ばまで、学長の住居だった。独立戦争時にジョージ・ワシントンが司令部を置いたことで知られる。
  • メモリアルホール:南北戦争の戦死者を祈念して作られたゴシック風建築。内部は、サンダース劇場と呼ばれるコンサートホールになっている。毎年9月末恒例のイグノーベル賞(ノーベル賞のパロディー賞)の授賞式はここで行われる。下部は、ロッカーコモンズと言われ、学生食堂、溜まり場になっている。
  • フォッグ美術館:ハーバード大学最古の美術館。西洋美術、印象派やピカソの作品が有名。連結したブッシュ・ライジンガー美術館は、北欧美術。
  • アーサー・M・サックラー美術館:東洋美術、イスラム美術など非西洋美術が中心。
  • 自然史博物館:ハーバード大学の教授であった博物学者ルイ・アガシーの理想であるStudy Nature, not booksを実現した博物館。岩石、動物標本のほか、ガラス製植物標本が特に有名。考古学、民族学の博物館であるピーボディー博物館と連結している。ルイ・アガシーは、大森貝塚を発見したエドワード・S・モースと師弟関係にある。
  • The Coop:The Coopは、ハーバード大学生協であるが、マサチューセッツ工科大学にもある。ハーバードスクエアには、書籍を扱う店とハーバードグッズを扱う店(Palmer & Brattle St)の2店がある。
  • ホリオキセンター(Holyoke center):ハーバード大学の運営事務所。一階には、ハーバード大学の案内所などがある。学生によるハーバード大学ツアーの開始点。
  • ハーバードスクエアからチャールズ川側に行くと、ハウス(下記参照)やフランドル風の建物であるランプーン(Lampoon)などの建物がある。ハーバードビジネススクールのキャンパスをつなぐウィークス橋付近は、ハウスの建物を望み、ハーバード大学学生のくつろぎの場となっている。

大学

ハーバード・カレッジ(Harvard College)。Faculty of Arts and Sciencesというリベラルアーツ学部によって運営されている。ハーバード大学に入学した学生は、1年次をハーバードヤードとその周辺にある寮で過ごすが、2年次から4年次卒業までは、「ハウス House」と呼ばれるシステムに属し、大部分の学生がハウスに寄宿する全寮制となっている。ハーバード大学のハウスは、ハーバードヤードからチャールズ川の間を中心に12個ある。それぞれのハウスには、専攻、学年、人種の違う学生が400人ほど集まり、専任の教員がいて指導が行われ、同窓会組織も強い。日本皇太子徳仁親王妃雅子がハーバード在学中に寄宿したローウェルハウスなど、外観が優美な建築物も多い。ハーバード大学の学生の専攻は、他の大学とは異なりmajorとは呼ばず、concentrationと呼ばれる。その他、他の大学とは学期試験(2セメスター制)の時期が異なるなど、ハーバード大学独自の方式や伝統が見られる。同じケンブリッジにあるマサチューセッツ工科大学MITとは、単位交換などができる姉妹校として基本的に協同的な運営が行われている。近年、MITとハーバード大学の共同事業としてブロード研究所が設立されるなど関係が深まる一方、工学系が弱かったハーバード大学でも工学系学科の充実が行われつつある。

専攻(concentration): 41専攻(アフリカ・アフリカンアメリカン研究、人類学、応用数学、生化学、生物学、化学、化学物理、古典、コンピューター科学、地球惑星科学、東アジア研究、経済学、工学、英米文学と言語、環境科学と公共政策、伝承と神話学、政治学、歴史学、文学史、科学史、芸術史、言語学、文学、数学、音楽学、中東言語文化、哲学、物理学、心理学、宗教比較、ロマンス語と文学、サンスクリット・インド研究、スラブ語と文学、社会科学、社会学、特別専攻、統計学、視覚環境学、女性・性に関する研究)。

The Game: 毎秋恒例のイェール大学とのフットボール交流戦。ハーバード大学で行われる場合は、オールストン(ボストン)側にあるスタジアムが会場。その他、約40個のスポーツチームがある。

WHRB: 学生により運営されているFM局(95.3MHz)

ローブ(Loeb)ドラマセンター:現代劇上演劇場。

Hasty Pudding Theatricals:Man of the YearとWoman of the Yearという男優、女優を選定する。

M2: ハーバード大学ケンブリッジキャンパス、マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学メディカルキャンパス(ロングウッド地区)の3キャンパスを結ぶシャトルバス。ハーバード大学の学生は無料で利用できる。

Harvard Crimson: ハーバード大学日刊の学生新聞。

Harvard Gazette: ハーバード大学の広報新聞。

Harvard Lampoon (en): 全米最古の風刺雑誌。 12のハウス:

  • リバーハウス(ハーバードヤードとチャールズ川の間にあるハウス): Adams, Dunster, Eliot, Kirkland, Leverett, Lowell, Mather, Quincy, Winthrop
    Quadrangle ("Radcliffe Quadrangle")にあるハウス: Cabot, Currier, Pforzheimer
  • Dudley House:ハーバード13番目のハウスとして、大学院生を組織化している。ハーバード大学が、不動産部門、アパートを持っており、大学院生のための住居を斡旋している。コナントホールなどの大学院生専用居住施設もある。

ハーバード大学1年生廣津留すみれさん「大分の公立高校で過ごし、高1まで海外に出たことがありませんでした!」

ハーバード大学生・廣津留 すみれさん

ご経歴を教えてください

大分県大分市の生まれで、小学校から高校まで全て公立の学校に通っていました。よく驚かれるのですが、高校1年生まで海外に行ったこともありません。また18年間、普通の塾にも海外大学受験塾にも一度も通わないまま、ハーバード大学と慶應大学に合格しました。

帰国子女でもなく、海外にも出たことがなくても、ハーバード大学に合格できるのですか?

はい。私がハーバード大学を目指したのは、高2の春にアメリカを訪れ、そこでボストンのハーバード大学を見学し、 「行きたい!」と感じたのが始まりです。高2の冬に受験を決意し、その時点から11ヶ月間、目標を定め独学で努力しました。

ハーバード大学に合格するのに高い英語力が必要ですが、どのように英語力をつけられたのですか?

母が英語を教えていた関係で、子供の時から英語に親しんでいました。4歳の時に当時の最年少記録で英検3級に合格しました。その後、高校生になり英検1級を取得しました。海外の大学に行くための英語に関しては、高2の冬からTOEFL iBTとSATの勉強を同時に始めました。化学や数学などは日本の高校で習っていることをすべて英語で覚え直して勉強しました。単語を記憶することに注力し、15,000語レベルまでとにかく覚えました。

ハーバード大学入学のためには何をしないといけないのですか?

ハーバード大学生・廣津留 すみれさん

学校の成績、課外活動、エッセイが重要視されます。私は、大分県立大分上野丘高校の東大クラスで日本の大学受験対策の勉強をこなしながら、課外活動として、3歳から続けているバイオリンで高1の時に国際コンクールに出場して優勝し、高2の春にはカーネギーホールで演奏しました。エッセイは、私にしかかけないことを書こう、と長い時間をかけ一人で書き終えました。英語は、先ほど申し上げた通り、TOEFL iBTとSATを高2の冬から始め1年かからず合格する点数に達することができました。また親と学校に何度も出向いて出願書類の書き方、方法を説明しました。学校の協力なしでは出願できないと感じました。

高校卒業後夏休みまで慶應大学で学んでいたと聞いているのですが事情を教えていただけますか?

はい。実は、高校時代海外の大学を目指していることを周りの友人には内緒にしていました。ギリギリまで国内センター試験と東大2次試験対策、SAT, TOEFL iBT、エッセイなどの勉強を同時にしていたのです。おまけに高3の5月には音楽祭に出演し、7月までヴァイオリンレッスンにも通い続けました。同級生が毎日頑張っていたことがモチベーションとなってここまでやれたのだと感じます。結果として、ハーバード大学に加え、慶應大学SFCに合格しました。東大の2次試験前にハーバード大学合格が分かったので、東大は受験しませんでした。1学期だけ通った慶応大学でも素晴らしい先生、友人に恵まれました。

日本の大学とアメリカの大学を比較すると何が違いますか?

もちろん1番の違いは勉強量です。またアメリカの学生は自己表現が得意で、自分の考えをプレゼンする力が格段に上です。授業でも自分の意見を主張しないと気が済まない。高校までの教育の違いを感じます。

ハーバード大学の生活はいかがですか?

現在、2人の学生とハーバード大学寮の部屋をシェアしています。明日(2012年11月17日)は、イエール大学とのアメリカンフットボールの定期戦なので、盛り上がっています。また、音楽も続け、勉強に偏ることなく、文化、遊び全て真剣に頑張っています。一方で、必要な勉強量と読書量は厳しく大変ですが、実りも大きいです。課外活動もあるので、現在眠れるのは朝3時から4時です。図書館は24時間空いているので、学ぶ環境は非常に充実しています。

大学院

大学院は、学術系大学院のGSASなどのほか、ビジネス・スクール(HBS、経営学大学院)、ロー・スクール(HLS、法科大学院)、ケネディスクール(HKS、行政・政治学大学院)、メディカル・スクール(医学)などの専門職大学院がある。ロースクールはハーバードヤード北側、ケネディスクールはヤードから少し離れた場所にある。ビジネススクールはチャールズ川をはさんだオールストン(ボストン)キャンパスに、メディカルスクールは距離的に離れたロングウッド(ボストン)キャンパスにある。これらの大学院は全米で常にトップクラスにランキングされている。

ハーバード・メディカル・スクール

ハーバード・GSAS (Graduate School of Arts and Sciences)

GSASは、Faculty of Arts and Sciencesの大学院で、大学院生数は最多。人文科学・社会科学・自然科学・工学・生命科学を含む学術大学院。主にPhDの学位を出すが、少数ながらAM(Master of Arts),SM(Master of Science), ME(Master of Engineering), MFS(Master of Forest Science)を出すプログラムも存在する。現在GSASで提供されている学位プログラムの一覧[1]
数学、物理学、天文学、化学物理学、化学と化学生物学、化学生物学、応用数学、応用物理学、コンピュータ科学、工学/応用科学、建築/ランドスケープ/都市計画、生物医学、免疫学、分子細胞生物学、神経科学、生物進化学、ウイルス学、生物物理学、生物統計学、システム生物学、人間進化生物学、歯科医学における生物科学、公衆衛生における生物科学、統合生命科学、地球/惑星科学、経済学、ビジネス経済学、人類学、森林学、心理学、アフリカ・アフリカンアメリカン研究、ケルト語/ケルト文学、古典、比較文学、東アジア学、英語、映画/視覚学、ドイツ語/ドイツ文学、行政学、健康政策、歴史学、アメリカ文明化の歴史、芸術と建築の歴史、科学史、内陸アジア/アルタイ研究、言語学、医療科学、中東研究、音楽、近中東言語と文明化、組織行動、哲学、政治経済と行政、公共政策、地域研究(ロシア/東ヨーロッパ/中央アジア)、宗教、ローマ語/ローマ文学、サンスクリット/インド/チベット/ヒマラヤ研究、科学/技術/経営、スラブ語/スラブ文学、社会政策、社会学、南アジア研究、ビザンチン/中世研究、統計学

図書館

ワイドナー記念図書館

図書館システムは1530万冊の蔵書を持ち、大学図書館として世界最大級の規模を誇る。この規模は、米国議会図書館に次いで全米2位の蔵書数であり、世界では米国議会図書館、大英図書館フランスビブリオテーク・ナショナルに次いで4位となっている。図書館システムの中心にあるのは、ワイドナー記念図書館であり、その他、90個あまりの図書館を有する。例えば、多数の日本語書籍を所蔵するイェンチン図書館やカウントウェイ医学図書館などがある。

大学運営と資金力

ハーバード大学の巨大なシステムを支えているのは、寄付金などを蓄積してきた349億ドル(2007年度・約4兆円)という米国内はもとより、全世界でも飛び抜けて巨大な大学基金とその運用であり、全米2位イェール大学の2倍近くある。年間の寄付金(エンダウメント)は、約800億円。(参考までに、世界的な研究教育拠点の形成と銘打つ日本の21世紀COEプログラムは年間全予算が約370億円である。)

  • 学長:現在の学長であるドリュー・ギルピン・ファウストはハーバード大学史上初の女性学長にして、史上初の非ハーバード出身の学長である。歴史学者であり、就任前は大学附属のラドクリフ研究所長であった。
  • プロボスト:スティーブ・ハイマン(医学関係者)
  • 教員数:2,300(うち終身雇用権テニュアを持つもの:870;テニュアを持つ教員数が少ないのが、他の大学と比べた場合の特徴となっている。他大学ではAssociate Professorになるとテニュアを持つ場合が多いが、ハーバード大学は異なる。これは、ハーバード大学にある研究所内のFull Professor以外の教員の多くが非テニュアとして雇われているからである。)
  • 学部生:6,650(男性3,400 女性 3,200)(白人48%、アジア系17%、アフリカ系8%、ヒスパニック8%など)
  • 大学院生:13,000

(GSAS:3,600、ビジネススクール:1,800、ロースクール:1,900、教育学:1,100、メディカル:800など)

  • 大学学費:$34,998(約400万円)(2008年度)(注:2学期分、約8か月分の学費。夏学期を受講すればさらに上乗せされる。なお返済不要の財政援助も充実しており、2006年度より世帯年収6万ドル以下の学部生は授業料を全額免除され、世帯年収6万ドル~8万ドルの学部生も大幅に授業料が減額、さらに$8万ドル~$18万ドルの世帯年収の学生には年収の10%ほどの授業料のみしか要求されない。また、PhD課程で学ぶ学生には年収に関係なく、授業料全額免除+年間約3万ドル(専攻により額は異なる)の生活費が給付されている。これらの財政援助は留学生に対しても適用される。)
  • 必要経費:$2,000(約23万円)および寄宿費$9,260(約100万円)(食事込み)
  • 政府研究費(2004年度):FAS(直接経費$80,204,000、間接経費$32,660,000、合計$112,864,000)、メディカルスクール(直接経費$141,587,000、間接経費$60,062,000、合計$201,649,000)

特徴

歴史的には清教徒会衆派が指導者を育成するために設立したので、現在でも神学校(ディビニティースクール)があり、卒業式にはプロテスタント関係者が参加するなどの関係がある。またキャンパス内にあるメモリアル教会でも宗教関連の行事が開かれる。なお設立当初の目的は「社会と教会の指導者を育成する」となっており、教育モットーは「神とその子キリストを知る」というヨハネの福音書17章3節「その永遠のいのちとは、彼らが唯一のまことの神であるあなたと、あなたの遣わされたイエス・キリストとを知ることです。」の聖書の言葉からのものであった。

ハーバード大学、イェール大学プリンストン大学の3大学は伝統的にBig Threeまたは各校の頭文字をとってHYPと呼ばれている。ハーバード大学は他に比べ「リベラル」であると言われ、マイノリティーの受け入れにも積極的である。アメリカ合衆国の政権でいえば、前学長がクリントン政権にいたことからわかるように民主党と関わりが深い。ただ、ジョージ・W・ブッシュ元大統領(共和党)がハーバードビジネススクール出身であり、かつてのヘンリー・キッシンジャー氏のように共和党政権の主要人物が教鞭をとっていたことからも単純には議論できない。

  • ハーバード大学の学部教育の問題として、マイノリティへの成績の付け方が他大学に比べ甘いこと、また実際の教育が教授でない教員(フェロー)によって行われている実態があることが指摘されている。これは教授が研究や大学院教育に重点を置いているためであるが、教授が学生の指導を密接に行うリベラルアーツ・カレッジとの違いになっている。マサチューセッツ州のアマースト大学、ペンシルベニア州スワースモア大学(Swarthmore College)といったリベラルアーツ・カレッジを卒業して、ハーバード大学の大学院に入学する学生も多い。大学院の教育は、専門職大学院を始めとして、その質の高さから世界の教育機関の規範となっている。ただ、GSASなど、他の大学に比べて放任教育の傾向があるといわれる。

ハーバードと地理学

アメリカ合衆国最高の教育水準を保つハーバード大学であるが、地理学に関しては1956年以降地理学者がいない状態が続いている。ハーバード大学は、かつて地形輪廻を提唱したウィリアム・モーリス・ディヴィス環境決定論で知られるエルズワース・ハンティントン人文地理現象を自然との関係で捉えようとしたイザイア・ボウマンなどの地理学者を輩出してきたが、1948年2月に財政難を理由に地質・地理学科の地理学部門の閉鎖が決まった。実際には地理学者エドワード・アッカーマン(Edward A. Ackerman)の準教授への昇任をめぐる駆け引きがきっかけとされ、学内からはエドワード・アルマン、学外からはリチャード・ハーツホーンカール・O・サウアーが地理学部門を守るために尽力したが、結局廃止に追い込まれた。

杉浦芳夫は、『二〇世紀の地理学者』の中で卒業生のイザイア・ボウマンが時のハーバード大学総長ジェームス・コナントに存続を働きかけていたら、状況は変わっていたかもしれないと述べている。しかしボウマンは、同じ政治地理学分野で考えの合わなかったダウエント・ホイットルセーがハーバード大学で教鞭を執っていたこともあってか、コナントに働きかけをすることをしなかった。閉鎖にともなってアッカーマンはシカゴ大学へ、アルマンはワシントン大学へ移籍し、最後まで残ったホイットルセーは、1956年に急死し、ハーバード大学の地理学は終焉を迎えた。

主要世界大学ランキング

  • TIMES世界大学ランキング(2011/2012年)

   総合: 第2位
   学問別
    社会科学:第2位, 芸術・人文学:第2位, 生命科学:第1位, 医学・保健:第2位, 自然科学:第6位, 工学:圏外(50位未満)

  • 上海交通大学による世界大学ランキング(2011年)

   総合: 第1位
   分野別
    自然科学・数学:第1位, 生命科学・農学:第1位, 医学・薬学:第1位, 工学・コンピュータ科学:第38位, 社会科学:第1位
   学問別
    数学:第2位, 物理学:第2位, 化学:第1位, コンピュータ科学:第5位, 経済学:第1位

  • QS世界大学ランキング(2011/2012年)

   総合: 第2位
   分野別
    芸術・人文科学:第1位, 社会科学・経営学:第1位, 生命科学・医学:第1位, 自然科学:第2位, 工学・技術:第16位
   学問別
    化学:第1位, 物理/天文学:第2位, 数学:第1位, 金属/材料科学:第4位, 環境科学:第1位, 地球/海洋科学:第1位,
    医学:第1位, 生物科学:第1位, 心理学:第1位, コンピュータ/情報科学:第5位, 電気/電子工学:第6位, 機械/航空/製造:第3位,
    英語:第1位, 現代言語学:第1位, 歴史学:第1位, 哲学:第1位, 地理/地域研究:第3位, 言語学:第3位
    社会学:第1位, 統計学:第2位, 政治/国際学:第1位, 法学:第1位, 経済学:第1位, 会計/金融:第1位,
    土木/構造工学:圏外(200位未満), 化学工学:圏外(200位未満)

不祥事

  • サマーズ発言と不信任決議:2005年1月、サマーズ学長が、「科学や工学の分野で秀でた業績を残した女性が少ないのは、男女間に生まれつきの素質の差があるからだ」という趣旨の発言をし、世界中に配信された。これをきっかけに、ハーバードカレッジの教員会が、サマーズ学長を不信任とする決議を採択している。2006年2月21日、同年6月に学長を辞任することを発表した。

その他

オールストンキャンパス拡張計画:ビジネススクールのあるオールストン地区のキャンパスを拡張するプロジェクトが実施されている。

日本との関係

著名人

ハーバード大学に関係する日本人の一覧を参照。

ハーバード大学関係の日本人会

フィクションなど

文学

劇場映画

テレビドラマ

出典・脚注

参考文献

関連項目

外部リンク