ヴォルケンリッター
ヴォルケンリッターは、テレビアニメ作品『魔法少女リリカルなのは』シリーズに登場する守護騎士の総称である。この項目では闇の書の守護プログラムのシステム及びメンバーであるシグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラといった人物について記述する。
目次
概要
A's時
ヴォルケンリッターは、魔道書「闇の書」(正式名称「夜天の書」)の主を守る守護プログラムの総称である。剣の騎士・シグナム、鉄槌の騎士・ヴィータ、湖の騎士・シャマル、盾の守護獣・ザフィーラの4名で構成されている。
元々の任務は闇の書の全666ページを、魔導師の「リンカーコア」と魔力資質で埋め、闇の書を完成させる事だった。
だが現在の所有者である八神はやてが望んだのは、闇の書の完成ではなく、騎士達に「家族」として平凡ながら仲良く暮らす事だった。当初は守護騎士達も、闇の書の長い歴史の中でも異端であるはやてに戸惑っていたが、次第に彼女に対して愛情を抱くようになっていく。またリーダーのシグナムは、闇の書の完成を望まないはやてに「闇の書の頁収集は行わない」と誓う。
しかし闇の書は、はやての命を蝕んでおり、彼女を助けたいと願った守護騎士達は、以後、はやてとの誓いを破って「闇の書の頁蒐集(魔導師襲撃事件)」を起こしていく。
その過程で強大な潜在魔力を持つ高町なのはを発見し、ヴィータがなのはを襲撃した所でA'sの物語は幕を開ける。その後、フェイト・テスタロッサら時空管理局の面々も交えて幾度となく衝突する。
後半、はやての親友である月村すずかが、なのはやフェイトの親友でもある事が発覚。入院したはやてのお見舞いに来る彼女達と時間帯が被らないように配慮していたが、クリスマスイブの日、はやての病室にお見舞いに来ていたシグナム、ヴィータ、シャマルらが、なのは、フェイト達と遭遇してしまい、彼女らに闇の書の主がはやてである事を察しられてしまう。
互いに譲れない想いを抱き、なのは、フェイトと最後の死闘を繰り広げる守護騎士達だったが、闇の書を所有者のはやてごと完全凍結させようと目論む時空管理局顧問官ギル・グレアムの使い魔、リーゼアリア&リーゼロッテの乱入によってヴォルケンリッターは全滅させられてしまう。そして、彼女達が守護騎士達を消滅させる事で、はやての絶望を招き、闇の書を完成させてしまう。
その後、はやては闇の書の意思を説得し、彼女に「リインフォース」の名前を授ける事で、真の主として覚醒。なのはの渾身の一撃もあって、闇の書の防衛プログラム(闇の書の闇)とリインフォースを分離。そしてはやての魔力によって守護騎士達は復活。魔道騎士として覚醒した主はやてや、かつて敵対していたなのは達と共に闇の書の闇との最終決戦に望む。
防御プログラムと共に守護騎士プログラムは闇の書本体から開放されているため、消滅を免れている。事件解決後は、長い間共に過してきたリインフォースとの悲しい別れを経た後、はやてと共に管理局での保護観察が決定。贖罪を兼ねて管理局での仕事に従事するようになる。
闇の書事件から2年後、はやてが11歳の時に、はやては自らのリンカーコアをコピーして、独立行動、単独魔法使用が可能なユニゾンデバイス「リインフォースII」を生み出す。彼女は八神家の末っ子として、守護騎士達とも非常に仲が良い。
StrikerS時
はやてが設立し、彼女が率いる「機動六課」に配属。4人ともはやて、なのは、フェイトらのサポートに加え、まだ未熟な新人達のフォローに回る事が多い。
なお4人とも夜天の書が生み出した魔法プログラムである事から外見や容姿は変化していない。
守護騎士達
シグナム
- 「ヴォルケンリッター」の将。「剣の騎士シグナム」。四人のリーダー格で、実際に「リーダー」と呼ばれている場面もある。担当声優は清水香里。
- 生真面目で実直、騎士道精神を持つ武人。家族として接するはやてに対しても常に敬語を崩さないが、はやての優しさに安らぎを得ているのは他の騎士と同様。凛々しい風貌の、外見年齢19歳前後の美女。和食、入浴が好き。
- 戦闘面では接近戦のスペシャリストとして非常に高い戦闘能力を持っており、フェイトとの初戦では彼女に圧勝。彼女がデバイスの強化を果たしてなお「クロスレンジでもミドルレンジでも圧倒されっぱなし」と言わしめていた(同時にシグナムもフェイトのスピードを賞賛していた)。また、シグナムの魔法は炎を使うものが多い。
- 使用デバイスは剣型のアームドデバイス、炎の魔剣「レヴァンティン」。幾多の戦いを主と共に潜り抜けた、シグナムの騎士としての誇りの象徴的存在。
A'sにおけるシグナム
- 守護騎士達の纏め役としてはやての信頼も厚く、守護騎士を代表して「闇の書の蒐集を行わない」との約束をはやてと交わした。しかし主が命の危機に瀕していることを知り、自身の誇りを捨ててでもはやてを救うことを誓い、はやてとの約束を破って魔導師の魔力の元・リンカーコアの蒐集を始めた。普段は近所の剣道場で非常勤講師をしていたらしく、蒐集時の(はやてに対する)隠れ蓑にしていた。
- 本編ではヴィータの救援として、同じくなのはの救援に駆けつけたフェイトと刃を交え、以降数度に渡り衝突する。互いの実力と誇り高さを認めてライバルと見なしていたが、結局本編中に決着が着くことはなかった。
終盤、「闇の書」の完全封印を狙うグレアムの策略で一度は他の騎士共々消滅してしまうが、「闇の書の真の主」となったはやての手で復活。最終決戦ではなのは達と共に攻撃の一翼を担った。事件解決後、管理局での保護観察が決定した際、フェイトとはいずれ決着をつける約束を交わし、後に何度か模擬戦をしている。また模擬集団戦の際、なのはが訓練でも実戦さながらの気迫で挑むシグナムを苦手にしていると漏らしていた。
StrikerSにおけるシグナム
- 漫画版時点ではミッドの地上部隊に所属。指揮官適性を認められて航空隊の前線指揮官を務めていた。その際アルト、ヴァイスらと知り合っている。
- 本編では主であるはやてが設立し、率いる「機動六課」で「ライトニング分隊」副隊長を務める。階級は二等空尉。新人の訓練に参加しないのは要約すると「人に物を教える柄ではない」[1]
- 機動六課の隊長・副隊長クラスは全員「能力限定」の魔力リミッターがかかっており、彼女とヴィータも魔力ランクが抑えられている。それを解除出来るのは部隊長のはやてのみだが、滅多な事では解除を承認出来ない。しかし魔力リミッターがかかっている状態でも、かなりの戦闘力を誇る。魔法術式・古代ベルカ式/魔導師ランク・空戦S-。
ヴィータ
- 「鉄槌の騎士ヴィータ」。担当声優は真田アサミ。
- 騎士たちの中では外見、精神ともに最も幼く(外見は小学1年生程度)常に勝気で自由奔放に振舞うが根は優しい少女。外見年齢が近いこともあってか、はやては実の妹のように可愛がっており、彼女もまた「優しいはやて」を強く慕っている。変身後の帽子にははやてに買ってもらった「のろいうさぎ」がデザインされており(守護騎士の騎士服は主であるはやてが形作っている)、なのはとの戦いで帽子が撃ち飛ばされた際に激怒した。
- 戦闘スタイルは遠近両用に防御をも兼ね備えたオールラウンダーで、シグナム同様に非常に高い戦闘能力を持っている。特に防御は、完全に徹すればシグナムを上回る。しかし本人は射撃戦よりも近接戦を好む傾向があり、中距離から飛び込んで一撃の破壊力で勝負するタイプ。
- 『A’s』時は金属の実体弾を射出していたが、『StrikerS』時には魔力弾を生成し、射出する事が出来るようになった。
- 使用デバイスはハンマー型のアームドデバイス、鉄(くろがね)の伯爵「グラーフアイゼン」。
A'sにおけるヴィータ
- 他の騎士たちと同様、はやてを救うために魔導師達を襲撃し、リンカーコアを強奪していく。近所の老人会のゲートボールチームと交流があり、老人達のアイドル。蒐集に出る際はそれを隠れ蓑にもしていた。収集の途中、高町なのはをターゲットとして定めたことで、A'sの本編は幕をあける。初戦で彼女を圧倒して以降、なのはとは数度に渡って戦う。その中で「なのは」の名を上手く発音できずに逆切れするなどの幼い一面も見せ、他にも小噺のオチを諺と勘違いしていたり、なのはに「高町なんとかっ」と呼びかけたり、無茶苦茶な敬語を使ったりと、何かと憎めない人物。
- 天邪鬼で負けず嫌いだが決して好戦的な訳ではなく、不必要な戦いは可能な限り避けており、模擬戦時にノリノリなシグナムとフェイトを「バトルマニア」呼ばわりしていた。また「闇の書の完成によるはやての治療」に関して、騎士たちの中で唯一疑問を感じていた。
他の騎士同様グレアムの策略によって捕らえられ、闇の書暴走の最後の引き金としてはやての目の前で消滅させられた。後、はやてによって復活し、なのは達と共に攻撃の一翼を担う。なお、この際「高町なのは」の名を初めて正確に呼んだ。事件解決後は他の騎士と同様、はやてに従って贖罪を兼ねた管理局任務に従事することに。
- 闇の書事件において、なのはとの最終決戦時には、はやてとの幸せな暮らしを守る為に戦う自分達に対して、強固な意志を持って立ち塞がるなのはの事を「悪魔」と呼んだ。このシーンはファンの間でも印象が強い。尚、闇の書事件が終わった後は、なのはに懐くようになり、彼女と仲良くなっている。
StrikerSにおけるヴィータ
- 魔法術式・古代ベルカ式/魔導師ランク・空戦AAA+
- 漫画版時点では、管理局本局付きとなり、航空隊の前線トップとして活躍していた。
- 本編でははやてが設立し、率いる「機動六課」で「スターズ分隊」副隊長を務める。階級は三等空尉。また戦闘教官資格を取得しており、なのはと共に新人の教育も担当する。新人達に対してはミスを犯した場合などは厳しくあたるが、基本は面倒見が良い。また「八神家の末っ子」リインフォースIIとは非常に仲の良い姉妹のような関係。
- なのは、フェイト、シグナムと同じく「能力限定」の魔力リミッターがかかっている、それにも関わらず戦闘力は衰えていない。
- なのはが11歳の時に大怪我をした事件ではその場に居合わせ、8年経ったStrikerS本編でも引きずっている。未熟な新人フォワード達に代わって、自分がなのはを空で守ると誓っている。
アグスタホテルのオークション護衛任務中のティアナのミスを叱責する態度はいつになく過剰で、ルーテシアにクアットロが語らせた「また守れないかもしれない」に激しく動揺するなどそのときの自責の念はトラウマに近いものとなっている。
シャマル
- 参謀格。「湖の騎士シャマル」。担当声優は柚木涼香。
- 外見年齢は騎士たちの中でもっとも年長で22歳相当。金髪のおっとりした優しげな美人だが、守護騎士の中では少々頼りない面が目立つ。参謀格と言う割には計略を働かせるような場面は無く、どちらかというと各種補助とバックアップで他の騎士達や機動六課隊員の戦いを支えていた。ちなみに料理は下手。
- 直接的な戦闘能力を持たない分各種サポートに非常に秀でており、魔導師の探索や結界形成、騎士たちのダメージの回復など縁の下の力持ちとしてなくてはならない存在。いざという時の控えとしてたびたび仲間の窮地を救う場面があった。
- 使用デバイスは補助機能に特化したペンデュラム(振り子)型のアームドデバイス、風のリング「クラールヴィント」。
A'sにおけるシャマル
- はやての家事手伝い(当初、料理は仲間達に不評だった)や日常での警護の大部分は彼女の担当となっている。召喚されてからの日常に最も早く馴染んだのも彼女で、買い物はもちろん近所付き合いなどもこなすようになり、はやての主治医である石田女史に対応しているのも主に彼女だった。また、年齢設定の近いシグナムとは二人で相談する場面も多かった(ヴィータは大抵はやてにくっついている)。本編序盤で不意をついてなのはのリンカーコアを奪う。
終盤では他の騎士たち同様、為す術なく消滅させられる。はやての手で復活した後は、それまでの戦闘で傷ついたなのは・フェイトのダメージを完全に回復し、賞賛されていた。その後の最終決戦では全体のタイミングを計り、「闇の書の闇」の本体コアを軌道上に転送するという重要な役割を果たす。事件終了後は仲間たちと共に管理局に。
StrikerSにおけるシャマル
- 漫画版時点では管理局本局付きとなり、仲間たちの補佐を勤めると共に、八神家がミッドチルダに引っ越す際はその準備を一任されるなど、「八神家」を日常面から支えていた。魔法術式・古代ベルカ式/魔導師ランク・総合AA+。
- 本編でははやてが設立し、率いる「機動六課」で部隊付医務官を務める。時として前線で広域探査を伴う指揮管理活動に入る場合もある。今でも料理の腕前はあまり良くないらしい。六課隊員からは「シャマル先生」という愛称で呼ばれている。
ザフィーラ
- 「盾の守護獣ザフィーラ」。担当声優は一条和矢。
- アルフと同タイプの獣人の男性で、人間時は外見年齢20代半ばの筋骨隆々とした青年の容貌、獣時は青い毛皮の大柄な狼の姿。召喚後は八神家唯一の男性であることへの配慮と、はやてが犬を飼いたがっていたという理由から、日常では基本的に獣の姿をとっている。
- 寡黙な性格で、常に仲間たちから一歩引いた冷静な目線で全体を把握している。そのため、フェイトとの初戦でシグナムが手傷を負っていることを一人見抜いていた。一方で「守護獣」である事に高いプライドを持ち、アルフとの戦いの中で自分は使い魔ではなく守護獣だと強く宣言していた(直後に「似たようなもの」と反論される)。
- 戦闘での役割やスタイルもやはりアルフと酷似したものだが、彼はより防御面に特化しており、クロノの襲撃を受けた際はヴィータの盾となり、その奇襲をほとんど完全に防いだ。また状況を見極める力が高く、戦局不利と見て後方に控えるシャマルに指示を飛ばす場面もあった。アルフ同様にデバイスは使用していない。
A'sにおけるザフィーラ
- そのポジション故か戦闘ではアルフと衝突する。互いに「主に仕え守る獣」として通じるものがありながらも、互いの信念を激しくぶつけ合った。
終盤では、唯一仲間たちと離れていたためバインド魔法による捕縛を免れ、消滅した仲間達の仇に一矢報いる形で一撃を加えるものの、力及ばず仲間の後を追うことに。後に仲間たちと共に復活し、最終決戦ではアルフ、ユーノと共に「闇の書の闇」の反撃をほぼ完全に抑えきった。事件終了後はやはり仲間達と共に管理局へ。アルフとは親しい友人となり、変身魔法(こいぬフォーム)を教わったりしていた。
StrikerSにおけるザフィーラ
- 「闇の書事件」終結後は他の仲間たちとは異なり、管理局での役職や階級などを持たず「はやての守護獣」として護衛や各種任務に臨んだ。戦闘時は獣の姿で戦う事が多い。魔法術式・古代ベルカ式/魔導師ランク・非所有(AA相当)。
- 漫画版時点では、主にはやてかシャマルのボディーガードに付いていた。
- 本編でも特定の役職を持たず六課部隊員を影から守る役目を負い、主力出動後の留守役や隊員の守護を請け負う。戦闘力はエース級[2]。
- 階級が無い事から、ヴォルケンリッターの中で彼のみ機動六課の新人達からも呼び捨てで呼ばれている。ちなみに当初、寡黙な性格が災いしたのか、エリオとキャロは彼が喋れる事を知らなかった。スバルに頭をなでられたりするあたり、新人達は本気で犬だと思っていた可能性もある。
- ヴィヴィオがなのはとフェイトの二人に引き取られてからは、彼女達の勤務中、ヴィヴィオの傍にいて、私生活面での彼女のボディガードを担当しているようだ。
脚注
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