近鉄1600系電車

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近鉄1600系電車(きんてつ1600けいでんしゃ)は、かつて近鉄名古屋線に投入された近畿日本鉄道の通勤車の1形式。後に近鉄京都線にも展開されたが、2022年現在は養老鉄道に一部の改造車が残るのみである。

概要

以前から改軌計画を立てられていた名古屋線では1959年の伊勢湾台風で改軌予定を1ヶ月半ほど前倒しし、同年12月に1435mmに改軌されたが、その際に一部小型車の淘汰を図るために同線通勤車初のWN車として登場したのが本系列である。

1600系自体は2連15本および増結用Mc車9両、そして増結用Tc車2両の合計41両が製造され、その後の増備は1800系1810系に移行している。後に1480系からも3両編入されているがこれについても触れる。

構造

6800系2次車で実績のある21m級の4ドア車体を名古屋線で初めて採用し、名古屋ラビットという愛称がついた。塗装はセンロク塗装と言われる、ベージュに青帯を配したものとされた。標識灯に関しては初期車・中期車が尾灯一体型1灯式、後期車は1480系と同じ、尾灯独立型の角型2灯式とされた。

主電動機は大阪線で実績のあるMB-3020系だが、名古屋線では1M1Tで事足りるため4個永久直列とされ、バーニア制御器が搭載された。ブレーキ方式は電磁直通ブレーキだが、抑速ブレーキはオミットされている。

台車は10100系の台車交換で発生したKD-30系や新造品のKD-51系など多種多様だが、いずれも円筒案内式金属バネ台車に統一されている。

空調装置は初期車がファンデリアと扇風機の併用だったが、中後期車は扇風機のみとされている。

改造

ク1580の一部編入と運転台撤去

1480系のク1580形1581 - 83はトイレを設置して本系列ク1780形1781 - 83に編入されてモ1655 - 57と編成を組んだ。その後運転台を撤去されてサ1780形となり同様に運転台撤去を行った1601 - 03Fと編成を組み急行用とされた。

京都線の増結対応化と救援車モワ51形

モ1651 - 54は京都線にて1982年から朝ラッシュの5連運用を行う際、簡易運転台設置などを経て京都線に転属した。5連運用廃止時は1651と52はモワ51形に、1653と54は五位堂、高安の入換車に転用された。

冷房化・車体更新

後期車は1982年より冷房装置を搭載されている。同時に車体更新も施工された。また、固定編成化も進められ、モ1656 - 59がそれぞれク1751, 1752, 1951, 1952と編成を組んだ。

養老鉄道への転用

1992年から6421系等の置き換えのために1615, 56, 57F, モ1658, 59の8両が狭軌化改造などを受けて600系に形式変更され養老線に転属している。

運用と廃車

当初から名古屋線系統で幅広い運用に就き、後に大阪線東青山以東にも運用を拡大した。京都線系統においては橿原線、天理線、奈良線大和西大寺以東でも運用された。固定編成化前は2両編成にク1750形を接続した1M2Tという、超がつくほどの限界運用を行ったという噂もある。

廃車は1988年より非冷房車から始まり、名古屋線系統からは1997年に全廃され形式消滅。制御装置はモト94, 96の更新に利用されている。モワ51形についても2000年に廃車となり現存しない。

養老線に転属した車両に関しても2001年に605F(元1615F)が廃車となり、残りも2014年に養老鉄道に譲渡され近鉄からは除籍。2016年にモ603(元モ1658)が廃車され、さらにそれ以外も2018年より養老線管理機構の所有となっている。

今後

2022年現在、養老線の車両代替は一段落しており、今のところ置き換えの噂はないが、代替に適当な中古車が見つかると残る5両も直ちに代替が始まり、1600系を出自とする車両も全滅するものと予想される。

関連項目