鑑真和上坐像
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鑑真和上坐像(がんじんわじょうざぞう)は、日本最古の肖像彫刻の傑作であり、国宝である。
概要
鑑真の弟子の忍基が制作したと伝わる。制作時期は『鑑真過海大師東征伝』により763年(天平宝字7年)とされる[1][2]。
作風
脱活乾漆彩色で、唐招提寺御影堂に安置する。像高は80.1cm。写実的であり、鑑真和上の柔和でありながら、不屈の魂を表現する。頭はやや左に傾け、静かに瞑想する姿は、菩薩の域となった和上の姿を描くことに注力する。鑑真が亡くなる直前、講堂の棟梁が折れる夢をみて、その死の兆しを悟った弟子の忍基が制作を始めたという[3]。 星山晋也は「過海大師東征伝」をもとに、次のように語る。 「ある夜、弟子の忍基は唐招提寺の講堂の棟梁が摧け折れる夢をみた。仏殿や法堂の棟や梁が折れる夢は、中国では昔から高僧の遷化の前触れといわれていた。夢から覚めると忍基は大和上の遷化が近いと思い、多くの弟子をかり出し鑑真の肖像を造った」[4]これによれば、生前から像を作り始めたことになるが、逝去までには完成しなかったと推測される。
背景事情
当時の日本には経典はあっても、戒律を正しく伝えられる僧はいなかったために鑑真和上が唐から招請された。
特別出展
京都国立博物館(京都市)特別展「鑑真和上と戒律のあゆみ」(日本経済新聞社ほか主催)で2021年3月27日(土)~ 5月16日(日)に鑑真和上坐像は特別出展した。
文化遺産
注
- ↑ 真人元開(淡海三船)「過海大師東征伝」
- ↑ 淡海元開撰(1898)『鑑真過海大師東征伝』唐招提寺
- ↑ 西山明彦(2010)『唐招提寺』淡交社
- ↑ 星山晋也(1987)『日本の古美術⑧ 唐招提寺』保育社