からくりサーカスの登場人物
からくりサーカスの登場人物は、藤田和日郎の漫画「からくりサーカス」に登場する人物の一覧である。
目次
主人公
- 才賀勝(さいが まさる)
- サーカス編・からくりサーカス編の主人公。
- 突如、数奇な運命に巻き込まれることになる少年。背丈は小学6年生(物語開始時は5年生)にしては小柄である。父親の死により、莫大な遺産を相続し、そのことから腹違いの兄弟から遺産目当てに命を狙われる羽目になり、祖父(才賀正二)に言われたとおり「あるるかん」とそのトランクを持って逃げていた時に「加藤鳴海」「しろがね」と出会う。作品開始当初は気弱で「弱虫少年」そのものだったが、鳴海やしろがねに守られるうちに覚悟を決め、逃げてばかりの自分と決別し、運命と戦う選択をする。
- 実は、彼自身はフェイスレス(才賀貞義)によって作られた「器」であり、本来の計画では肉体年齢が衰えるフェイスレスに肉体を提供するのみの存在として選出された少年であった。ギィと出会い、自身の出生の意義と秘密、そしてしろがねとフェイスレスを中心とした全ての真実を知る事となる。彼の記憶を転送(ダウンロード)されかけた事により、その技術をある程度自らのスキルとして引き継いでいる。また、サーカス編中盤で祖父である才賀正二の記憶と経験を生命の水によって受け継いでおり、正二が得意とした剣術を得手としたほか、貞義が残した人形三体を操り、真夜中のサーカスの幹部勢にすら引けを取らない強さを発揮し始めた。全ての因縁と宿命を知った彼は正二の記憶、そして「しろがね(=エレオノール)を護る」という想いを受け継ぎ、自らの意志で戦う決意をする。闘いの過程で再度フェイスレスに記憶や人格をダウンロードされるが、自らの意思と体内に残ったエレオノールの血液によって体内のフェイスレスの人格を消滅させた。
- 彼自身の資質として、目にした動作を完璧に真似る事が出来るという特技を持ち、才能ある者が10年近い英才教育を受けた上で初めて可能となる(しろがねすら例外ではない)人形操りを、見ただけで忠実に再現できる。主に使っているのはジャック・オー・ランターン。
- 数々の戦いを経て、スペースシャトルの防衛戦では、鳴海に背中を預けさせる程にまで成長し、出会った頃の鳴海自身が言ったように彼を超える男へと成長した彼は最後の戦いに望む。鳴海にしろがね(エレオノール)を託し、自身はアポリオンの止め方をフェイスレスから聞き出すべく、グリュポンらと宇宙へ飛び立つ。
- 物語の完結後はかつての鳴海と同じ様に、世界を渡り歩いている姿が描かれている。数々の激闘で付いた身体中の傷跡は、無くなったかのように癒えた模様。ちなみに、相続した莫大な遺産はすべて寄付したとのこと。武道を体得したらしい描写も見せており、用心棒4人を一撃でKOするほど腕っ節も強くなっていた。
- 加藤鳴海(かとう なるみ)
- からくり編主人公。
- 中国武術(形意拳)の使い手。直情的な熱血漢。人を笑わせないと生きていけない「ゾナハ病」に罹っていた。ちなみに、彼の祖父は人を笑わせるのが上手かったらしいが、鳴海自身は全くもって人を笑わせる事に向いていない。その為、作品連載当初は無理に人を笑わせようとして空回りする姿が度々滑稽に描かれた。
- 才賀善治に誘拐された勝をエレオノールと共に助け、左腕を遺して行方不明となる。その際、記憶喪失に罹る。その後、「しろがね」のギイに命を救われ、不死の霊薬を飲み「しろがね」になる。左腕の義手として「あるるかん」の腕を付け、ゾナハ病をばら撒き人々を苦しめる自動人形と壮絶な戦いを繰り広げる。
- 「しろがね」となった後も、爆発的な感情を持ち合わせた性格は変わらず、ルシールに「しろがねらしくない」と評される。はじめてレイ疫病研究所に訪れた際に、ゾナハ病に苦しむ子供たちを目にし、自動人形に対する憎悪が頂点に達する。怒りから来る圧倒的な強さで、しろがねでも本来動けなくなるはずの多大な負傷をおわされながらも全くひるむことなくパウルマン一味を破り、自動人形にとっての「悪魔」と表現される。
- 「しろがね」と自動人形の最終決戦では、他の「しろがね」達の仲間に対する冷酷さや非情さに惑わされながらも自分の生き方を貫く。その行動と言葉には「最古のしろがね」であるルシールを初め、ロッケンフィールド、ダール、ティンババティ、トーア、リィナら「しろがね」達の考え方や生き方に大きな影響を与える。最終決戦において重傷を負い、先に失った左腕に加えて、両足と右腕を失うという事態に陥るが、トーアとロッケンフィールドの治療によって一命をとりとめた。
- 激しい怒りを感じると、常識が通用しない圧倒的な強さを発揮する。パウルマンなどとの戦いでは致命傷としか思えない深手と多大な流血にもひるまずに戦い続け、サハラ最後のアルレッキーノとの戦いでは、炎を全身に浴びせられたにもかかわらず何故か全く傷つく様子が無かった。
- その後、エレオノールをフランシーヌ人形の生まれ変わりと思い込み、憎むようになる。そのため、エレオノールと再会した時からずっと冷たい態度をとっていたが、勝の啖呵により、自分の中のエレオノールへの恋心に気付き、彼女と和解、告白した。
- 物語の完結後はエレオノールと共に二人だけのサーカスとして世界を回っている姿が描かれている。四肢の内左腕だけは、かつて勝が英良に依頼して冷凍保存されていた為、生身に戻る事ができた。
- 才賀エレオノール/才賀 しろがね(さいが しろがね):高等学校編入時
- 本作のヒロイン。
- マリオネット「あるるかん」を操り勝を守る美女。通称しろがね。長い間サーカスで暮らしてきた。才賀正二と才賀アンジェリーナの一人娘であるが、実の両親の存在を知らないまま、幼少時からルシール・ベルヌイユらに人形繰りを教えられ、ギイ・クリストフ・レッシュに伴われ「自動人形」との戦いに明け暮れた。ただ芸をする人形のように生きてきており、心から笑ったことは無い。しかし鳴海との出会いにより人間的な感情を表して行く。
- 体内に「柔らかい石」を宿すが、結果的には心臓と一体化していて取り出せない状態である。フランシーヌ人形とフランシーヌ(オリジナル)の髪が溶けた命の水(アクア・ウイタエ)を飲んだ事によって、フランシーヌ人形とフランシーヌ(オリジナル)の記憶の一部を持っている。しかしその事によって、再会した鳴海からはフランシーヌ人形の生まれ変わりだと思われた。それによってローレンシュタイン公国にいる生き残りの人々等も誤解し、冷遇されるが、怪我人の手当てをしたり、浄水施設の水に自分の生命の水(アクア・ウイタエ)入りの血を毎晩大量に入れたりと、献身的に行動していた。ハーレクインとの戦いの後、鳴海に告白され、その時初めて心から笑う事が出来た。
- 物語の完結後は加藤鳴海と共に二人だけのサーカスとして世界を回っている姿が描かれている。
しろがね
「柔らかい石」から造りだされた「生命の水」(アクア・ウイタエ)を飲み不死の体となった人々。5年に1歳しか年を取らず、自分の生に満足するか、体内の「生命の水」が溶けた血を大量に失うことでしか死なない。その他、作中ではバラバラに切り刻まれたり、頭部、腹部を一撃で砕かれる等以外では死亡していない。
- ギイ・クリストフ・レッシュ
- 本作中屈指のトリックスター。才賀正二と彼の二人は唯一、「フランシーヌ人形」とそれに連なる謎の全てを知る。「からくり編」と「サーカス編」との合流以前に、両編を行き来しているのは彼だけである。
- 自称病弱にして優雅、飄々として捕らえようのない性格と、鋭い刃物の様なキレを見せる人物。エレオノールを育てた「しろがね」であり、通称「オリンピアの恋人」。ただし過去のトラウマにより、極度のマザコン。母親の写真が入ったペンダント(内部が二重になっており、実母とアンジェリーナの両方が入っている)が宝物で、それを奪われると幼児退行する。
- 左腕を失い死にかけた鳴海の命を救う。マリオネット「オリンピア」を操り、1度の戦いで200体の自動人形を破壊したため「200体破壊者」「伝説のしろがね」の異名をとる。彼にとって母の存在は何よりも重い。「聖母の抱擁」、「破壊輪舞曲」、「戦いのアート」などの技を駆使する。
- 鳴海の事を「クサレチョンマゲ」や「チョンマゲイノシシ」等と呼びからかうが、全編を通して精神的には鳴海の良き相棒であった。正二とは付き合いも古く、信頼関係にある。しかしサーカス編に合流後は、勝が既にダウンロードによって「貞義」になっていると思い、彼を襲うこともあった。
- 黒賀村での襲撃で多量の血液を失い、その頃には生命の水による治癒効果が薄れ、末端の石化が始まっている。その状態でフウが誤った推測からくる憎しみを鳴海に与えてしまった事を聞き、「アンジェリーナの代わり」として見守り続けてきたエレオノールの幸せの為に、最期に鳴海を説得する為に命を捨てる覚悟をする。しかし、鳴海との闘いは身体の石化に気付かれた事で、鳴海が拳を下ろす形で終わった。
- 最期はフウが立案したスペースシャトルの輸送車両から目を逸らす陽動の意味も含め、カピタン・グラツィアーノ率いる三千体の自動人形(オートマータ)に単身で挑む。その最中、駆けつけた勝に最期の別れを告げ、残りの自動人形を道連れに自爆し、壮絶な闘いの人生に終わりを告げた。自動人形に倒される事無く、「母」(恐らくアンジェリーナ)のデスマスクを使ったオリンピアに抱き締められる様にして、眠るように息をひきとった。
- 才賀アンジェリーナ(さいが アンジェリーナ)
- ルシールの娘。作中ではギイ、正二と共にからくりサーカスの大きな謎にまつわる重要な役割を果たしている。
- クローグ村の惨劇で「しろがね」となり、その体は「柔らかい石」を保存する為の器にされた。自動人形をおびき寄せるエサとして数々の戦闘を潜り抜けてきたが、娘を想うルシールによって突き放され、戦場を離れ日本へ流れ着き、愛する人(正二)との間に娘、エレオノールを産む。
- 「しろがね」達が追い続ける自動人形のリーダー、フランシーヌ人形とそっくりの容貌をしている為に、「しろがね」の間でも疑惑の目で見られていた。このことに関し、「それは人間のフランシーヌと血縁関係にあった為」「隔世遺伝でフランシーヌと瓜二つの容姿になったのではないか」と後のアルメンドラ(イヴォンヌ)が語っている。
- フランシーヌ人形と瓜二つの容貌であったこと、柔らかい石の器にされながらも行方をくらましたこと、そして「しろがね」でありながら結婚していたことから、彼女を知らない「しろがね」達(特に女性の「しろがね」)の間では伝説の存在となっていた。体内の「柔らかい石」は、妊娠の際、エレオノールの体内へと受け継がれた。
- 「母親」としての強さを象徴するかの様な女性であり、胎内に宿った子を守る為に、強引に子供を連れ去ろうとするギイとさえも戦う。そのギイですらも自らの「子供」として受け入れてしまう程の母性を持ち、ささくれ立った少年時代のギイの心を癒す。
- ディーン(フェイスレス)が放った200体の人形からエレオノールを守る為に立ち向かい、その戦いの最中に正二とギイを庇った結果、大量の血液を失う。最期まで「母親」であり、半ば石化しながらもギイを庇って戦った。
- ファティマ
- サハラを中心に活動している女性の「しろがね」。最終決戦では特別参謀を務める。「しろがね」でありながら結婚したアンジェリーナに憧れ、その相手に鳴海をと想っていたが、最終決戦で鳴海の手術の時間を稼ぐために単身でフランシーヌ人形、パンタローネ、アルレッキーノに突撃。愛する人を護って最期をとげる。
- オラーツィオとの戦いでは女性である事を逆手に取る等、なかなか強かな女性であった。
- エドワルド・ダール
- ノルウェーを中心に活動する「しろがね」。スカンディナビアのヴァイキングの末裔で「しろがね」としては異例に感情を現す。「しろがね」の中でも別格のパワーを持ち、懸糸傀儡「スレイプニイル」を操り戦うが、自らも素手でオートマータを殴るなどかなりパワフルな戦いをする。最期は「自分そっくりで気に食わねぇ野郎」と鳴海を評しながら、彼を守る為に人形十数体を道連れに自爆、散っていった。
- ティンババティ
- アフリカ、ケニアを中心に活動する「しろがね」。紳士的だがダールに匹敵する腕力を持つ。初めは鳴海と気が合わなかったが「強い者が正しい」という信念の基、鳴海と腕相撲をし、負けたため鳴海と和解する。鳴海は勝負の後で「わざと力を抜いただろう?」と言っている。ティンババティは否定しているが、わざと負けたと思われる。鳴海の手術を守るためコロンビーヌと戦い相討ちとなる。最期に「マンバはナルミにやってくれ」と言い遺す。
- スティーブ・ロッケンフィールド
- 「しろがね」であるが家庭を持ち、イギリスのオックスフォード大学で医学の教鞭をとっている。
- 妻と妻の連れ子の「アル」「リッチー」を守るために最終決戦に参加する。あと一息と言う所で敗れそうになったティンババティに手を貸し、その最期を看取った。
- 鳴海に影響を受けた「しろがね」らしく、「自分の事は放って置いて鳴海を救え」と叫ぶティンババティに対し、
- 「これはその鳴海君から教わったのだがね…人間はイヤな時にワケは(言う)必要無いらしいよ」と鳴海の言葉を持って彼を諭す。
- 医師として、友人としてシュヴァルツェス・トーアと親交があり、瀕死に陥った加藤鳴海を救う為に、トーアと共に鳴海の治療を行った。
- 最終決戦の後リッチーの学芸会を見る約束をしていたが、脱出カプセルの最後の1席を半ば強引に鳴海に譲り、自らの命と引き換えに鳴海、ミンシアの命を救う。
- 最後に鳴海を諭した言葉もやはり、「嫌な時に理由なんて要らないんだろう?」だった。ギィと面識がある。
- シュヴァルツェス・トーア
- ドイツで病院を営んでいる「しろがね」。ロッケンフィールドとは70年来の友人。住んでいた村が自動人形によってゾナハ病に汚染された時に、皆が苦しむ中を歩くフランシーヌ人形を「美しい」と思ってしまった自分を消すためにオートマータと戦ってきた。「しろがね」としては比較的感情豊かであり、他の「しろがね」達が重傷を負った鳴海を「役立たず」と評した事(実際は重傷を負った鳴海を休ませる為、わざと気勢を削ぐような事を言った)に動揺する等、人間らしい面を多く見せる。最期は鳴海の縫合手術をやり遂げ、残りの接続手術を友人であるロッケンフィールドに託し、自分の生に満足して死んでいった。
- ドミートリィ・イワノフ
- ロシアを中心に活動する「しろがね」。人間時代はロマノフ王朝の貴族を護衛する青年将校だったが、一番肝心な革命の時に間に合わず、護るべき人たちを護れなかった。そのことを後悔し、自分の死に場所を求めて戦っていたが、鳴海の「護るべき人を護れなくても、戦い続けていればいつか本当に護りたい人を護れる」という考えに打たれ、最期は鳴海を護って死んだ。「しろがね」になった後、未熟児で死にかけていた赤ん坊に血液を分け与えて救った事がある(ルシールやジョージのセリフから、しろがねとして厳重に禁止されている行為)。
- しろがね犬
- 白金が「生命の水」を使った自己の複製を思いついた結果、その被献体にされた犬。作中唯一の人以外の「しろがね」。白金の髪を溶かした生命の水を飲む事で「しろがね」となり、白金の記憶と意思を持つと思われる。その後はルシール、鳴海らと出会うまで白金の作った「生命の水」の湧水を護り続けていた。元来嗅覚の発達した犬が「しろがね」となった事で、チャイナ・ホーとパンタローネの匂いを辿り、真夜中のサーカスのテントの位置を特定する。しろがねVS自動人形の最終戦の選抜の際、ルシールのスカートに噛み付くという手段で意思を伝達し、「あんた躾がなってないね」と呆れられながらもメンバーに加わる。フェイスレスの合流後は常にその傍におり、ルシールはそれを疑惑に思っていたようだ。最終戦後は暫く姿が見えなかったが、フェイスレスが黒幕と明かされた際に姿を見せ、後には共に宇宙ステーションへ上がっている。勝とフェイスレスの戦いの中、「自分自身」になにを感じたのか、フェイスレスの攻撃から勝をかばって死んだ。
最古のしろがね達
- 物語の中核でもあり、オートマータが生み出された原因の地でもあるクローグ村で生命の水を飲んだ生き残りを指す。この世で最初のしろがね達であり、全員が200年以上を生きている。「しろがね」という組織の中核をなし、集団戦闘では隊長として各々が部隊を率いている。「しろがね全ての先生」とも呼ばれる大幹部。作中の時点で生き残っていたのは、ルシール、マリー、タニア、ミッシェル、イヴォンヌ(アルメンドラ)、フウ、モンフォーコン、カストルら8人。しろがねと自動人形との最終決戦までに、フウとイヴォンヌを除く全員が死亡した。二人に付いてはそれぞれの項目を参照。特に記述の無いモンフォーコンとカストルはしろがねVS自動人形最終戦前の会話と、回想などで確認できただけで、特に物語自体には関わっていない。
- ルシール・ベルヌイユ
- 「最古のしろがね」として、多くの戦いを生き抜いてきた女性。マリオネット「ムジンニィ」を操るが「しろがね」としても高齢であり、極度に集中力を要する人形を使っての長時間の戦闘は出来ない。その為か、ムジンニィを失って以降は新しい人形は使わず、大口径のSAWや仕込み刀、サーベル、ドリル等を振り回して戦っていた。
- 目的のためなら人間的な感情を捨て去り非情に徹する。永い時を生きてきた為もあり、感情の起伏に欠ける。しかし、その根本は母性としての優しさに溢れた女性であり、かつては自分の娘であるアンジェリーナに幸せになってほしいと、あえて冷たく突き放し、「しろがね」の前線から外した。実は血縁上フランシーヌの姪にあたるが、本人はアルメンドラ(イヴォンヌ)に知らされるまでは知らなかった模様。接触していたにもかかわらず、エレオノール(しろがね)が自分の孫だとは最後まで知らなかった。
- フラーヴィオにさらわれたタニアを助ける為に後を追い、タニアが作り出した隙を見て襲撃するが、逆に追い詰められ、鳴海の援護によって助かる。その後はギイ、鳴海と共に世界を巡る旅に加わることになる。
- 鳴海らと共に旅をするようになってからは、何処か鳴海とミンシアを我が子の様に思っていた節があり、「しろがね」と自動人形との最終決戦に置いて、ミンシアがゾナハ病に罹らぬよう、強引に自分の血を飲ませる等、不器用ながらも彼らを心配する行動が見られる。最終決戦にて、自らの永きに渡る戦いに終止符を打つ。息子を殺したドットーレとの因縁は作中屈指の見所。
- なお、フェイスレスに関してはそのやり方自体を嫌っており、彼の素性を疑っていた様だが、裏の顔までは見抜けなかった。
- ミッシェル
- 長きに渡り議長を務めてきた。サハラの決戦ではテントに入る権利をミンシアに譲り、自分は外で戦い重傷を負った。ほぼ全ての「しろがね」が倒された事に絶望しかけていたが、ジョージ・ラローシュがルシールの「人形」を持ってきた事に希望を見出す。最期は阿紫花を庇い自動人形に殺害される。
- イヴォンヌ/アルメンドラ
- 「最古のしろがね」の一人だが、作中登場時は既に「しろがね」である事をやめ、「アルメンドラ」という名を名乗って真夜中のサーカスにて占い師をやっている。心まで支配する生命の水の呪縛からある意味逃れた事を、本人は「私の飲んだ分だけ成分が薄かったのかね」と自嘲していた。真夜中のサーカスが崩壊した後も、引き続き新・真夜中のサーカスに残り、フェイスレスの繰り広げる惨劇の「観客」という傍観者として生きるつもりであったが、宇宙での最終決戦においてフェイスレスと勝の闘いを前に傍観者である事をやめ、ディアマンティーナの爆弾から勝を庇って最期を遂げた。勝に助けた理由を問われ、「サーカスのショウに…興奮したバカなお客が……フィナーレ直前に…自分も芸人のつもりで…舞台に…飛びだしちまったのさ」と微笑んでいた。
- マリー
- ルシール、タニアとは人間であった頃からの親しい友人。しろがねとしてはギイに「生きて復讐するか、苦しみながら死ぬか」の審問を与える役や、エレオノールの教育シーン等で登場した。フラーヴィオの襲撃を受けた際、ルシール、タニアと共にマリオネットで迎撃するが破れる。最期の時にギイと鳴海が駆けつけ、ギイに「あの時生命の水など飲まねばよかったとずっと後悔していた」と告悔した後、鳴海に「後はギイに教わりなさい」と言い遺す。
- タニア
- 元クローグ村の女性教師。フラーヴィオの襲撃の際、ルシールらと共に迎え撃つが及ばず、ルシールをおびき寄せる餌として拉致される。フラーヴィオの肩に串刺しにされたまま耐えていたが、一緒に囚われていた子供達とその教師を救う為に隙を作る為、自分を犠牲にした。人間だった頃は彼女自身が村の子供達の先生代わりであった為、恐怖に身が竦んで動けなくなっている教師を叱咤激励し、最期に微笑む。ルシールに「面白い男だね」と鳴海の事を告げた後、生を終える。
しろがね-O
- ジョージ・ラローシュ
- アメリカ・イリノイ州にあるレイ疫病研究所で「真夜中のサーカス」と接触があった子どもから情報を聞き出すために派遣されていた「しろがね-O」。球のなかに入り、中から球を自在に操る強化モリブデン鋼製「神秘の球」(ボラ・ミステリオサ)で戦う。
- フェイスレスのために感情を排し、情報を聞き出すために子ども達に尋問まがいのことをしたため鳴海の怒りを買う。後にパウルマンとの戦いに敗れ、サハラの最終決戦前にフェイスレスに戦力外扱いされ、黒賀村に人形を取りに行くよう指示された為、最終決戦に参加することなく生き延びる。
- 黒賀村を訪れる際、コンダクターとして英良に接触し、「アシハナ、キミ、タイクツナノダロウ?」の一言から彼を「しろがね」と自動人形の戦いに巻き込んだ。その後、イリノイにて子供達の護衛についているうちに心に変化が生まれ、かつて自分が酷い事をしてしまった子供達にピアノを弾いてやり、法安と共に楽しませた。カール・シュナージーとの戦いの前、子供達に「またピアノを弾いてね」と言われ、必ず戻ると約束して戦いに赴き、死闘の末シュナージーを倒すも願い叶わず死亡した。
- 作中では明確に書かれていないが、英良とはある種対極の関係にありながら、良く似た二人として描かれている。「退屈なのだろう?」はジョージが英良を説得するのに度々登場する。
- 馬麗娜(マァリイナ)
- 両腕と両足にドリルを内蔵したしろがね-O。しろがねVS自動人形の最終戦で、選抜の「しろがね-O」としては唯一、フランシーヌ人形の間まで辿り着いた。Oらしく、他人に対する感情に欠け、鳴海の行為を自己満足とあざ笑うが、融通が利かないわけではなく、目的の為には鳴海と共闘する等の場面も見られる。鳴海を倒そうと走るアルレッキーノの行動を阻む為に挑み、死亡する。フランシーヌ人形の間では、鳴海に「あんたがフランシーヌ人形をぶっ壊すところ、見たくなっちゃった」と言って役を譲ったり、『 しろがね-O 』ではなく、自分の本当の名前を鳴海に呼ばせたり、短い間に鳴海に相当の影響を受けた。
- アラン
- 自称「最速のしろがね-O」。外見・言動ともしろがね-Oの中では幼さが目立つ。自動人形との最終決戦でフェイスレスに選抜チームに選ばれる。最終戦における「ゲーム」の第二幕で、トーア、ドミートリィと組んで進むが、自動人形の決めた「ルール」を破って先に進もうとした事でナイト・ミシェールに頭を串刺しにされて死亡。
- コーフ
- フェイスレスによって選ばれた選抜チームの一人。休憩時間には酒を飲んでいた。フェイスレス、しろがね犬と共に「ゲーム」の二幕へ進むが、鳴海が辿りついた時には既に死亡していた。
- ゼド・ゲイン
- しろがねVS自動人形最終戦第一試合で登場した。雑魚四体を軽く片付けるもメリーゴーランド・オルセンによって首をはねられ死亡した。
- その他のしろがね-O
- ナイア・スティール(しろがね-O時代)およびその副官二人、しろがねVS自動人形最終戦第一試合で登場したジーナ・フォーブス、ハルディ・カウフマン、ボブ・ジュイーメイカー、メリッサ・アンダーソンら。後の四人はメリーゴーランド・オルセンに「よわい」と言われマザーグースを歌いながら蹴散らされる。しろがね-O選抜チームにはほかにサプライズ・ピーシュターに倒された名前が不明の者が確認される。このほか二人のしろがね-Oが選抜チームとして選ばれている。
仲町サーカス
かつては日本を代表するサーカスだったが、団長の傷害事件により解散に追い込まれる。しかし、しろがねやリーゼたちの加入により小さいながらも復活。旅芸人として活動を続ける。
- 仲町信夫(なかまち しのぶ)
- サーカス編の主要な登場人物で、仲町サーカス団長。日本初の「石食い」芸人。「石食い」以外にもアコーディオン演奏など多くの芸をもつ。
- 興行中にバスの事故に巻き込まれ、一人生き残る。その際に「死人を食べて生き延びた」という無実のスキャンダルの追及に耐え切れず傷害事件を起こしてしまい、仲町サーカスを解散においやってしまうが、勝としろがねに出会いサーカスを再興する。
- 「怒鳴りん爺」には及ばないが、やはり相応に歳を取っている事もあり、作中ではノリやヒロ、ナオタらの暴走を食い止める役に回ることが多い。しかし作品登場時は食い詰めた挙句、泥棒家業に落ちぶれるかどうかという所まで落ちている。
- アポリオンの活性化に伴い、壊滅状態に陥った世界を救うためにフウが立案した作戦に、フウの依頼もあって参加する事になる。輸送の途中で追撃してきたレディ・スパイダーに対抗し、ノリ・ヒロの兄弟と共に「芸を見せる事」でその足を止め、体を張ってこれを打ち破る。結果として相応の重傷を負ったが、列車の護衛という目的は果たし、運良く生き延びた。
- 物語の完結後はサーカスを引退しているが、打ち込む(サーカス開始)前のノリやヒロにはっぱをかけるなどまだまだ意気軒昂である。
- 仲町紀之(なかまち のりゆき)
- 通称ノリ。得意な芸は七丁椅子。
- 公園に捨てられていたところをフサエに拾われ、仲町の養子になる。仲町家の養子になった経緯から、「母親」という存在に対して強い敬愛の念を持つ。
- 仲町サーカスが没落してからは、他のサーカス団へ出向団員という形で度々出稼ぎに行っていたが、出先でも「落ちぶれサーカスの芸人」と蔑まれ、かなり苦労していたらしい。物語に登場した時は養父の信夫と一緒に泥棒寸前にまで身を窶していた。
- 鳴海とは当初嫌悪し激しく敵対していたが、鳴海が感情を取り戻すにつれ、徐々に和解していった。その際、しろがね(エレオノール)の記憶を映像として見た事から、鳴海の為にしろがねから身を引く。
- アポリオンの活性化から世界を揺るがす事件に関わってからは、フウによる「サーカス団員を護衛としてスペースシャトルを輸送」という作戦に参加する。レディ・スパイダーに追撃された際、信夫、ヒロと共にこれを迎え撃ち、これを打ち破る。その際爆発に巻き込まれて怪我を負うも奇跡的に生き延びる。
- 戦いの場面で吹き飛ぶ客車の窓をはしご芸の要領で駆け上がるシーンは秀逸。作中ではヒロと共に勝の兄の様な存在として描かれている。
- 物語の完結後は仲町信夫の跡を継ぎ、仲町サーカスの団長となった。
- 仲町浩男(なかまち ひろお)
- 通称ヒロ。得意な芸はトランポリンと一本綱。展望台に捨てられていたところをフサエにひろわれて育てられ、その後仲町の養子になる。
- ノリと同じく、仲町家の養子になった経緯から、「母親」という存在に対して強い敬愛の念を持つ。他サーカス団への出向や、スペースシャトルの護衛作戦等についても同様。
- レディ・スパイダーとの戦いでは、車両を切り離した後、爆弾を爆発させ線路に大穴をあけ、列車を立ててレディ・スパイダーを落とし、ナイフで刺す。という作戦を立案し、アクロバットの芸で時間を稼ぐ。信夫、ノリと協力してレディ・スパイダーを打ち破った。
- 仲町フサエ(なかまち フサエ)
- 仲町信夫の妻。実の母親に捨てられていたヒロとノリをひきとって育てた。「高綱のフサエ姐」といわれるほど凄腕の芸人だったが、体調不良をおして出場した公演で高綱から落下し帰らぬ人となる。
- タランダ・リーゼロッテ・橘(タランダ・リーゼロッテ・たちばな)
- 仲町サーカスの猛獣使い。ドイツ人と日本人のハーフ。通称リーゼ。元はアメリカの「グレートロングサーカス」の団員で、双子の姉と共に「シスター・リーゼロッテ」として猛獣使いをしていた。姉を殺した「ビースト」という虎を倒すために、ライオンの「ドラム」と共に来日した。冷酷で自分を見下していた姉への恨みにとりつかれていたが、勝に解放してもらい、それがもとで仲町サーカスに入団する。実は猛獣と眼を合わせただけで服従させるという驚異の「魔眼」を持つ。
- アポリオンの活性化・黒賀村の襲撃の際には、自動人形の猛獣使いであるドクトル・ラーオに狙われるが、彼の操る幻獣達の頭脳部分には本物の動物の脳が使われていた為、逆にその魔眼をもって幻獣を従わせた。勝を助ける為に、飛行可能な幻獣グリフォンで涼子と平馬を連れてフランスへ渡る。フェイスレスのアジトでは再びドクトル・ラーオに襲われ、死を覚悟する所まで追い詰められたが、最後には「猛獣使い」としての誇りを思い出し、ラーオ自身が「失敗作」として幽閉していた幻獣をも操り、これを打ち破る。
- 物語の完結後は仲町サーカスにてドラム二世と共に活躍している姿が描かれていた。世界を旅する勝を健気に待ち続けているらしい。
- ヴィルマ・ソーン
- 仲町サーカスのナイフ投げ。レズビアン。実は殺し屋で勝の命を狙っていたが、紆余曲折を経て改心し、勝達と同行する。最愛の弟がいたが、ゾナハ病に冒され帰らぬ人となる。そのためゾナハ病を蔓延させた自動人形に強い憎しみを抱く。宇宙ステーションへ向かう途中、アメリカにゾナハ病をばらまいた張本人であるワイルド・ウェスト・ジェーンを道連れに散った。
- 生方法安(うぶかた ほうあん)
- 元々仲町サーカスの道具方だった。サーカスの解散後仲町とは犬猿の仲となっていたが、再興したサーカスの人々に説得され、再びサーカスの道具方となった。「どなりんジジイ」の愛称で呼ばれ、よく、皆の纏め役として描かれる。
- アポリオンの活性化事件に関わってアメリカに渡って以降、非力な老人でありながら端々で年の功とも言える発言でミンシアやジョージらを導く(英語は達者である)。その彼の言葉は“最古の四人”のパンタローネとアルレッキーノにも影響を与える。列車での“最期の”やり取りは必見。また、カール・シュナージーとの戦いで力尽きたジョージの最期を看取った。
- 物語完結後には、「畳の上で大往生した」と仲町紀之と仲町浩男との話で判明した。
- 生方涼子(うぶかた りょうこ)
- 生方法安の孫。法安が仲町サーカスに復帰した際、一緒について回る。ヴィルマに渡されたエレオノールを刺したことがあるナイフをブリゲッラに掠らせ、一時的に機能が停止したことで、エレオノールの血が自動人形を停止させるに効果的なことを発見した。
- 物語の完結後は仲町サーカスに加わり、カンスーを得手としているらしい。相方は平馬の様だが、恋人なのかどうかは今のところ謎。命を救ってくれたアルレッキーノにもらった木彫りの鳥を完結後も肌身離さず大切にしている。
- 三牛諸美(みつうし もろみ)
- 仲町信夫の同期で元ストローサーカス団長。女との交際で団の金に手をつけてしまい、ストローサーカスをつぶしてしまう。その後仲町サーカスに居候する。フラッシュ・ジミーに襲われた際、命惜しさに人間側を裏切り、密かに重要情報を自動人形に漏らしていたがしろがねの健気さにうたれ、しろがねの血のついたナイフでジミーを刺した。
- なお、特に芸をするシーンは描かれないが、マイクパフォーマンスが得意ではないかと思われる。
- 三牛直太(みつうし なおた)
- 諸美の息子。得意な芸はアクロバット。父と同じく、ギャンブルで団の金に手をつけてしまい、ストローサーカスを倒産させる。その後、父と共に仲町サーカスに入る。しろがねがストローサーカスに来たときに一目惚れし、猛アプローチするが全く相手にされていない(コンビを組んでいたが)。父と共に人間を裏切るが、しろがねの言葉で良心に目覚め、しろがねにあるるかんが入ったスーツケースを投げた。
中国
- 梁 剣峰(リャン チャンフォン)
- ミンシアの父で鳴海の形意拳の師匠。幼いころに養子に出され元の名は「白 剣峰(バイ チャンフォン)」といった。血縁上は白兄弟と繋がりがある。
- 「最古の四人」のパンタローネを投げ飛ばし、「アクア・ウイタエ」を飲んで自動人形の「黄金律」を克服したチャイナ・ホーを一方的に打ち破るほどの圧倒的な強さを持ち、ルシールもその技術に敬意を表して膝をついたほどである。
- ゾナハ病を患うも「アクア・ウイタエ」を飲むことを拒否し、先祖から伝わる「アクア・ウイタエ」の泉を守って人間として死んだ。
- 梁 明霞(リャン ミンシア)
- 鳴海の姐弟子。父が、ゾナハ病を鳴海からうつされたと思い込み鳴海を恨んでいたが、父が先にゾナハ病を患っていたことを知り誤解を解く。父をパンタローネに殺されたため(実際にはパンタローネを巻き込んでの自爆)、敵を討つために鳴海たちに同行する。当初は鳴海に対して弟のような感情しか抱いていなかったが、次第に男として惹かれていく。サハラでの決戦ではミッシェル議長を説き伏せ、しろがねの選抜チームに加わる。
- 自動人形との戦いではファティマとペアを組み、ペドロリーノとオラーツィオのアクロバットコンビと対戦し、苦戦するもののこれを打ち破る。単独行動を取るルシールを探す際、ルシールを思わず激昂させ、アルメンドラ(イヴォンヌ)が笑う等、ルシールやアルメンドラを「人間」に引き戻すかのようなシーンが見られた。
- ロッケンフィールドに救われ、しろがねと自動人形の最終決戦を生き延びた後、鳴海と共にフウ・クロード・ボワローの元へ呼び出され、未だ「自動人形」が消滅しておらず事件が解決していない事を知るが、女優として生きる道を選ぶ。
- しかし、フェイスレスがアポリオンを活性化させたことにより否応無く再び戦いに巻き込まれる。レイ研究所内での戦いでブロム・ブロム・ローに敗れて重傷を負い、更にエレオノールを全ての元凶と憎むようになり、一時は見る影も無くやつれ果てた姿を見せるが、エリ公女に真実を見せられて再起する。
- 物語の完結後はエリとも親しい友人になったらしく、恋人談義に花を咲かせていた。最終幕でルシールを「もう一人の母」と呼んだ。
レイ疫病研究所
アメリカ・イリノイ州にあるゾナハ病にかかった子ども達を収容している施設。ゾナハ病の特効薬の開発も行っている。
- レイフ・バンハート
- ゾナハ病研究の第一任者。「しろがね」に対して良い感情をもっていなかったが、子ども達のために本気で怒った鳴海を見て「しろがね」に対する感情を改め、自分の使命に気付く。後に、ゾナハ病の病原体「アポリオン」を無効化させる「ワルトハイム電磁波」を発見し、それを使って病原体を体内から追い出す装置「ハリー」を完成させる。
- トム
- ゾナハ病棟に収容されていた男の子。グリーンランド郊外で真夜中のサーカスのテントが立つ場面を目撃し、ゾナハ病に感染してしまう。その時、自分の苦しむ姿をフラッシュ・ジミーに写真に撮られ、そのときの恐怖から心を閉ざし、何も話せなくなった。
- しかし、ゾナハ病棟で子ども達のために本気で怒る鳴海を見て心を開き、フラッシュ・ジミーに告げられた真夜中のサーカスの行き先を鳴海に話す。
- ベス
- ゾナハ病棟に収容されていた女の子。いつもクマのぬいぐるみである「ハリー」と一緒にいる。
- ゾナハ病棟にパウルマン達が侵攻してきたときの緊張と恐怖により病状が悪化してしまい、第三段階になる直前に鳴海にハリーを渡す。
サイガグループ
時計、家電、コンピュータ、ゲームの日本有数の大企業。才賀正二、才賀貞義が設立した才賀機巧社を起源とする。詳細は用語解説を参照されたい。
- 才賀正二(さいが しょうじ)/成瀬正二郎(なるせ しょうじろう)
- 勝の養祖父となった「しろがね」。長崎生まれ。才賀貞義、才賀善治の養父。旧名を「成瀬正二郎」といい、幼い頃に白銀の教えを受ける。卓越した剣の腕と機械技術を持つ。
- 三十路半ばの頃に遊女屋でアンジェリーナと出会うが、最初は「作り物の様な笑顔で気に食わない」とお互いの印象は宜しくなかったようだ。遊女屋の火事に巻き込まれた際に、アンジェリーナの素顔を見て一目惚れしたとの事。
- 外国人であると露見した事から逃げ出したアンジェリーナを迎えに行き、その過去を知った上で無言で生命の水を飲み、アンジェリーナと連れ添う為に「しろがね」となった。起業し大成した後、「しろがね」達の操るマリオネットの作成に携わるようになる。
- 妻となったアンジェリーナとの間に一子をもうけ、幸せに暮らしていたが、フランシーヌ人形と出会った事から事態が急変する。自らの破壊を望むフランシーヌ人形を弱体化させ、その破壊を「しろがね」に託すべくか迷うが、妻の出産やギイの来訪と言った変事の内にうやむやとなり、不可思議ながらもギイ、フランシーヌ人形と妻、娘との共同生活を送ることになった。しかしその後、ディーン・メーストルが放った自動人形から妻と娘を守る為に戦うが力及ばず妻を失い、更に娘を図らずも「しろがね」としてしまう。その結果、アンジェリーナを慕ったギイ・クリストフ・レッシュと共に一計を案じ、エレオノールが成長するまでは他人を装い、“妻は行方不明”、“娘は死亡した”、“エレオノールはギイが見つけた「しろがね」”という筋書きを演じる事になる。
- 幼少期のエレオノールをギイへと預けるが、その後キュベロンで再会した彼女の変わり様に驚愕し、背後の存在を感じ取る。その事からギイと共に黒賀村での襲撃の謎を追い、才賀貞義(ディーン・メーストル、或いはフェイスレス)が黒幕である事を突き止めるが、一歩先んじた才賀貞義によって黒賀村をゾナハ病で汚染され、村の住人を救う為に一度は貞義に背を向ける。
- 後に高速道路上で再び貞義と死闘を演じ、自らと共に貞義を硫酸プールへと投じ重傷を負うが、正二を慕う黒賀村の住人によって助けられ、体の大半を失いながらも辛うじて生を留める。勝がダウンロードによって「貞義」となっていると思い込み、「貞義」へ全ての事実を知らしめた上で殺そうと、自らの血液から血液成分を抜き出す事によって精製した「生命の水」を勝に飲ませる(この事によって勝は剣の技術を経験として得た)。直後、本物の「貞義」であるフェイスレスにより三度黒賀村が襲撃され、勝が未だ勝である事を知る。生命を繋ぎ止める為の水槽をフェイスレスに破壊され、勝に事後を託して逝った。最期の幻想で、アンジェリーナと再会でき、共に涅槃へと向かったシーンがある。
- 才賀善治(さいが ぜんじ)
- 勝の命を狙う異母兄弟達の一人。勝の叔父であり、戸籍上は貞義の弟だが、実際は貞義の長生きのカモフラージュの一環で引き取られた孤児である。サイガ電器社長兼サイガ玩具社長。勝を実質的に養子にして遺産を我が物にしようとするが、勝の抵抗によって失敗し、勝恐怖症になる(失敗した時に死にそうな目に遭っており、そのことが原因かと思われる)。イチゴゼリー(一口サイズで小さくコロコロしたもの)が好物。
フウ・インダストリー
重工業、石油、不動産、レジャー、コンピュータなどの各分野に進出する国際的大企業。
- フウ・クロード・ボワロー
- フウ・インダストリー総裁でクローグ村出身の「しろがね」。世界の財貨の約30%を手中に収め、アメリカの政財界、欧州各国の財閥、中東の石油産出国、希少金属輸出国を支配する。自動人形との戦列から離れ、錬金術や科学の研究に没頭し、蒸気機関車、電信、無線、電球の発明に貢献する。手にした資産を活用して「しろがね」の活動に援助を続け、「しろがね」の体験を「蟲目(アイセクト)」で見聞きしている。
- フェイスレスの考えにある意味共感して、また自らの補佐のためにメイドタイプの自動人形を作っている。メイド人形の疑似体液は、フェイスレスの自動人形と異なり、人間の血と変わらない赤色である。「しろがね」をドロップアウトして、しろがねと自動人形の戦いを見守る「観客」を称しているが、人間が滅亡するのは観客としておもしろくないらしく、アメリカで開発されたゾナハ病治療マシンを鳴海たちに奪回させた上で、ローエンシュタイン公女のエリを味方にし、彼女の屋敷に人類の生き残りを集め、鳴海をフェイスレスのいる宇宙ステーションに送るという最後の作戦を立案した。
- 実は、勝や鳴海ら本作品の主人公達と出会うのはストーリー終盤である。しかし、連載開始当初からピエロに扮し、本作品の狂言回しとして登場していたことが、サハラ決戦後に読者へ明かされる。
黒賀村
古来より人形繰りが盛んな地域。明治以降は、才賀正二、才賀貞義の依頼により、サイガが製作した人形の調整に協力していた。才賀正二により村の危難を幾度か救ってもらったことから、村長以下、村民の才賀家に対する敬愛の念は強い。また、才賀貞義(フェイスレス)に対しては嫌悪の念が強い。近年では人形繰りの技術を生かした殺し屋も輩出している。官公庁としては、和歌山県警察、もしくは奈良県警察の駐在所がある。また、「和歌山県黒賀郷黒賀村」の住所表記で郵政省が郵便物を配達する。(和歌山県と奈良県の複雑な県境の合間にある古い集落なのかもしれない。)「ナラ県クロガ村」を中心とする地点に「アルファー」の落下が予測されていたが、フェイスレスと才賀勝により回避された。
- 阿紫花英良(あしはな えいりょう)
- 阿紫花家の養子であり、長男。養父は身寄りのない子供を多く引き取る人だったため、兄弟姉妹全員とも血はつながっていない。
- プルチネルラを操る殺し屋。しかし、物語の初期にエレオノールとの戦いで全壊した事から、それ以降、グリモルティなど他の懸糸傀儡を使う事が多い。人形繰りの腕前は卓越したものがあり、パンタローネとの再戦時には「まるで人形が踊っているかのようだ」と言わしめたほど。口癖は「……で、お代はいかほどいただけるんで?」。
- 勝を殺すために雇われ、当初はエレオノールや鳴海と対決するが、善治のもとを逃げ出した勝から遺産を巡っての争いの背後にある貞義の意図(人形使いの同士討ち)を知らされ、より多額の契約金(10億円)を提示されたことで勝に寝返る。
- 勝の誘拐劇の解決後は、人生に退屈し、わざと自分から危険を求める様な行動と、勝から得た金で怠惰な生活を送っていたが、懸糸傀儡を求める為に協力を求めてきたジョージ・ラローシュと共にサハラ砂漠へ向かう事になる。本人は戦うつもりはなかった様だが、ミッシェル議長に救われた借りを返すために一時的にジョージらの手助けをした。
- サハラ砂漠の決戦でパンタローネの迫力に押されて退いたことがトラウマになり、それを振り払うために自動人形と戦うこともあった。後にイリノイのレイ研究所においてパンタローネと再戦し、重傷を負うもこれを打ち破る。
- しろがね-Oのジョージ・ラローシュと共に描かれることが多く、またお互いに生きる世界は違うものの、一種のシンパシーを感じていたように思われる。「退屈」から関わってしまった激戦を潜り抜けた後、かつての敵だった鳴海に10円で「勝を助けてくれ」と雇われた契約を守るために、勝の乗るスペースシャトルを狙う自動人形(ピンボール-「K」)と死闘を演じ、倒れた。
- 阿紫花平馬(あしはな へいま)
- 英良の義弟。勝の同級生。兄としての英良に憧れを抱く。日頃から身に着けているサイズの合わないコートは、英良から気まぐれに贈られた物。石頭では勝と良い勝負。黒賀村に勝が来た当初は文字通り犬猿の仲であったが、村のイベントである人形相撲を通して次第に勝と打ち解けあうようになる。
- アポリオンの活性化時にゾナハ病に罹り倒れるが、しろがねの血によって癒される。一人戦いに赴く勝を援護するために、黒賀村からリーゼロッテ・涼子と共にフランスへと飛んだ。勝が置いていったゴイエレメスとキャプテン・ネモを操り、しろがね-Oらと戦いを演じる。
- 黒賀村の夏祭りの頃からリーゼロッテに好意を寄せていたが、勝が月へ決戦に向かう直前、リーゼロッテを思いやって二人きりにさせ、平馬は勝に顔すら見せなかった。
- 物語の完結後、芸人として仲町サーカスに参加している姿が描かれていた。生方涼子とコンビを組んでいるようだが、恋人関係かどうかは不明。
- 阿紫花菊(あしはな きく)
- 英良の義妹。長女、中学三年生。良く言えば理知的、悪く言えば理尽くめでしか物事を考えない女性であり、勝が仲間や友人との一見「無駄」な行動をすることに全く理解を示さなかった。しかし、とある事件がきっかけで、彼女も人間的に成長することになる。
- 阿紫花れんげ(あしはな れんげ)
- 英良の義妹。次女、中学二年生。生来マイペースな人間であり、家族であるはずの義父母や兄弟にも頑なに心を開こうとしていなかったが、勝との出会いにより、人間的に成長する。勝に惹かれている様子。
- 阿紫花百合(あしはな ゆり)
- 英良の義妹。末娘、中学一年生。姉2人に勝の世話を押しつけられ、勝と多く接することになる。黒賀村の伝統や田舎での生活に愛着を持っており、当初は勝を「大切な伝統芸能である人形舞いを、金持ちの子供の道楽なんかに使われたくない」と嫌う。しかし、勝と触れあっていく中で、自身の気持ちを押し殺す事をやめ、人間的に成長する。
- 勝の村での滞在中、姉弟の平馬たちや勝のことをよく気にかけていた。
物語の始まり
- 白 銀(バイ イン)/ジャコブ・イン
- 万能の霊薬となる「柔らかい石」を生み出した中国出身の錬金術師兄弟の兄。弟・金とともに砂漠を越えてプラハに渡り、人形に命を吹き込むため錬金術を学んでいたが、フランシーヌの過去を知って彼女を思い慕うようになる。その後金に先んじてフランシーヌにプロポーズし結婚することになったが、フランシーヌは金に攫われ行方不明に。9年にも及ぶ必死の捜索の末にクローグ村で金とフランシーヌを発見するが、フランシーヌは病に侵されていた。彼女を救うため必死に研究を行った結果、柔らかい石の精製を成し遂げるも、フランシーヌはその直後に自害してしまう。その後フランシーヌを失った落胆から世界中を彷徨い、「ジャコブ・イン」という偽名で入り込んだ日本にて正二郎と出会い再起する。正二郎と二人であるるかんを作り、白銀の日本語読み「しろがね」の名を正二郎からもらい日本を発った。
- 日本を発った後、かつてフランシーヌが死んだクローグ村に行き着くが、村は壊滅し、生き残った村人もゾナハ病で苦しめられていた。ルシールを介抱し、「黒衣の男(白金)」の所業だと言うことを聞かされる。己の過去の過ちが間接的に村を滅ぼしてしまった罪を償う為、ルシールにあるるかんを渡し井戸に溶けた生命の水に自ら入り死亡、自動人形を破壊する強い想いと記憶を生命の水に保存した。死後、彼が遺した生命の水は「しろがね」を多く生み出した。
- 白 金(バイ ジン)
- 白銀の弟。フランシーヌと出会う前までは温厚で明るい性格をした青年だった。兄と同じ道を歩んでいたが、自分の恋心を知りながらフランシーヌを妻に娶った兄への嫉妬に狂い、フランシーヌの愛を我が物にしようとする。白銀同様柔らかい石を作ったが、結局彼女を救うことはできなかった。幽閉した村人達が彼女を死に追いやったと誤解し、復讐を誓う。生命の水を使い、唯一の生きた人形であるフランシーヌ人形を造り出す。しかしフランシーヌ人形は笑うことができず、彼女を笑わせるために自動人形を生み出し、クローグ村への復讐と惨劇を兼ねてゾナハ病を撒き散らし滅ぼすが、何をやっても決して笑うことはなかったため、フランシーヌ人形を捨て、絶望して一人去っていく。そして一人寂しく死んだかのように思われたが……。
- その後の経緯については才賀貞義(ディーン・メーストル)を参照の事。なお、弟の名前が金(現代の一般論では銀より上の物質)なのは、彼らの生まれた当時の中国で、その生成方法や貨幣など一般使用の面などにおき金より銀の方が価値が高かった為である。
- フランシーヌ
- 白兄弟が愛した女性。ルシールの伯母(母親の姉)にあたる人物で、幼い頃に身売りに出されていた。万人に愛情を持って接する聖女のような娘で、屈託の無い笑顔をふりまく。同じ裏町に住む孤児や貧しい人々の支えであった。白銀の愛を受け入れ結婚するも、白金に無理矢理連れ去られ、彼とともに各地を放浪。最後は故郷・クローグ村で不治の病を患い隔離され、幽閉されていた牢に火を放ち、白銀に辛い思いをさせてしまった事にずっと罪の意識を抱いていた為その事を詫びた後、精一杯の感謝と共に白銀の見ている前で焼死した。彼女の存在と「死」が物語の始まりである。
真夜中のサーカス
フランシーヌ人形を笑わせるために作られた自動人形達のサーカス。行く先々でゾナハ病の病原体である「銀の煙」を撒き散らしながら世界中を旅している。
- フランシーヌ人形
- 白金が作り上げた、生命の水(アクア・ウイタエ)によって作られた唯一の人形。ゾナハ蟲(アポリオン)を止める方法を知る唯一の人形でもある。
- 笑うための方法を探して自動人形達「真夜中のサーカス」を率い世界中を巡るが、笑う方法はなかなか見つからず「疲れて」しまった。真夜中のサーカスを偽フランシーヌ人形に託し、正二とアンジェリーナの元に行き、一緒に生活する。アンジェリーナがエレオノールを出産する時も立会う。エレオノールが生まれた後も彼女の子育てを手伝いながら生活し、いつしか子供を産みたいと思うようになる。
- しかし、突如自分の言う事を聞かない自動人形達に襲われ、エレオノールを護りながら逃げるが、力尽き井戸に落ちる。その時エレオノールの心臓についた「柔らかい石」が井戸の水を「生命の水」に変えてしまい、エレオノールを庇いながらそれに溶けて「死んだ」。死ぬ寸前までエレオノールをあやし、その際ついに笑うことが出来た。その時、既に“心”が芽生えており、それによって彼女の記憶は一部だけエレオノールに受け継がれた。
- 偽フランシーヌ人形
- フランシーヌ人形が自らの代わりに真夜中のサーカスを指揮させるために作り上げた自動人形で、フランシーヌ人形が去って100年もの長きに渡ってサーカスのトップに君臨し続けてきた。本物とそっくりだが、あまり機能は良くない。自らにたどり着いた鳴海にのみ正体を明かし、破壊された。
- フラーヴィオ
- 「最古のしろがね」であるマリーを殺害し、タニアを人質にしてルシールをおびき寄せようとしたオートマータ。
- レ・キャトル・ピオネールにして、「フラーヴィオは馬鹿だから仕方ない」と評されたくらい、馬鹿らしい。作中でもルシールにも散々馬鹿扱いされていたが、実力はそれなりにあるらしく、老いたルシールを追い詰める。しかしルシールに止めをさす前に、援護に来た鳴海によって破壊される。
- 銃人形(ヒュジプーペ)
- 体内に多数の銃器が組み込まれているオートマータの総称。作中では何度も登場している。
- 様々なデザインがあり性能にも幅はあるようだが、総じて比較的低級な部類のオートマータであるようだ。
- 自爆人形(デュストリュクシオン)
- 体内に爆弾を内包した、特攻型の人形。中国へ向かう飛行機内でルシール、鳴海、ギィらを襲った。
- 通常は衝撃や斬撃に反応して爆発するらしいが、飛行機内で一行を襲った人形は衝撃では爆発しない様に改造されていたらしい。斬撃による切断から爆発までは数瞬のタイムラグがあり、ルシールら古参の「しろがね」にとっては、その数瞬で「爆発を防ぐ方法等指先が覚えている」との事。
- アプ・チャー
- 「笑い方」を研究する為に人間の中に潜り込むタイプのオートマータ。フランシーヌ人形によって作られた。左手に伸縮自在の大鋏、右手に火炎放射装置を持つ。ローエンシュタイン大公国の侯爵家にメイドとして潜伏していた。
- 登場時は全身を包帯で覆った異様な姿だったが、作中でエリ公女と入れ替わりを画策し、公女そっくりの姿になる。最期は人らしき「感情」を得た様にも思われるが、炎の中へと消えた。
- パウルマン
- アメリカ・イリノイ州にあるレイ疫病研究所を襲撃した人形達のリーダー。部下達からは「パウルマン先生」と呼ばれている。資料、年表などでも「パウルマン先生」と表記される例が多い。
- 鴉型オートマータとの会話中には最古の四人であるパンタローネを敬称なしで呼び捨てにしており(チャイナ・ホーなど、大抵のオートマータは最古の四人には敬称を使っている)、そこから見てもかなり格の高い人形なのだと思われる。しかしフェイスレスには「パウルマンごとき」とも言われており、最古の四人など最高級のオートマータには及ばないことも見て取れる。
- アンゼルムスとコンビを組んで戦い、連携攻撃やあざとい戦術で鳴海に深手を負わせしろがね-Oのジョージを一蹴した実力者。頭は取り外し可能で、そこからアンゼルムスの歯と同じ硬さのブレードが出る。これは、強化モリブデン鋼でできた「神秘の球」を容易く破壊した。また、胴体にも武器が仕込まれている。だが、最後は鳴海に倒される。その際、はじめて恐怖の感情を覚え、鳴海の姿に悪魔を見た。
- 生徒たちが破壊された際には笑っているだけだったが、鳴海にアンゼルムスを倒された時には激しい怒りの表情をあらわにしており、アンゼルムスに対してはオートマータには珍しく強い仲間意識を持っていたことが伺える。
- アンゼルムス
- パウルマンが手に持っている、腹話術の人形のような姿をしたオートマータ。歯はダイヤモンドと同じ硬さを持ち、強力な武器となる。これで「セント・ジョージの剣」を噛み砕いた。また、胴体にも武器が仕込まれている。
- パウルマンの生徒たちからは「アンゼルムスさん」と呼ばれている。また、パウルマンとは基本的にタメ口で会話しており、ほぼ対等な立場であるらしい。
- パウルマンとともに鳴海に倒されるが、その際己のことを「へたくそな道化」と自嘲し、鳴海も同じだと指摘して彼の心にダメージを与えて死んでいった。
- パウルマンの生徒
- パウルマンの部下たち。皆パウルマンのことを「先生」と呼んでおり、本物の教師と生徒のような関係にあるらしい。
- パウルマンに率いられてレイ疫病研究所を襲撃し、そこを守る軍の部隊を壊滅させた。それ以前にはアメリカでギャングの真似事をやっていたらしく、それらしい装いをしている。上級生と下級生がおり、下級生たちはジョージ・ラローシュが「神秘の球」で破壊した。上級生たちには通用しなかったが、最終的に鳴海に全て破壊された。
- それなりに高級な自動人形であるらしく、銃弾は勿論ヘリから発射される小型ミサイル程度の兵器では全くダメージを受けない。また、体内には多数の武器に加えて飛行可能なロケットエンジンまで組み込まれており、ヘリの高度まで飛んで手榴弾で撃墜するといった芸当も見せている。
- スパッツア
- 虫型オートマータの親玉的存在。鳴海、ルシール、ギイの乗った飛行機を墜落させるために虫型オートマータに飛行機を攻撃させる。しかし、ギイに騙され、油断して近づいたところにバルカン砲の射撃を浴びる。最後は飛行機を道連れに自爆しようとするが、ギイに阻まれる。
- チャイナ・ホー
- 名前通り中国人の容姿の人形。高い戦闘能力を誇るがルシール曰く「敵も味方もお構いなしに破壊するクレイジーなやつ」であり、それゆえか初登場時には鎖に縛られていた。ただ「最古の四人」特にパンタローネの命令には忠実。生命の水(アクア・ウイタエ)を飲み、自動人形(オートマータ)の黄金律(ゴールデン・ルール)から解放される。ルシール、ミンシア、王、白銀の記憶に支配された状態の鳴海を退けるが、梁師父には手も足も出ず、最後は己を取り戻した鳴海に破壊されてしまった。
- 長足クラウン号
- ピエロの顔を持つ汽車の形をした自動人形。サハラで人形たちの脱出手段として登場する。後にフウによって改造され、鳴海たちの移動手段に用いられた。先端にドリルを搭載しており、地中も進める。
- ディアボロ・ウイリー
- しろがねVS自動人形最終戦第一試合でゼドと対戦した人形。鋭い刃の付いたコマを操る。
- フラフープ・ワイズ
- しろがねVS自動人形最終戦第一試合でゼドと対戦した人形。高電流フラフープを操る。
- スネーク・チャーマー
- しろがねVS自動人形最終戦第一試合でゼドと対戦した人形。鼻が角笛のような形状をしている。一コマで敗北。
- ビューグル・ハーレー
- しろがねVS自動人形最終戦第一試合でゼドと対戦した人形。軍服を着て、手に金管楽器を持っている。一コマで敗北。
- メリーゴーラウンド・オルセン
- 頭部が各所に凶器を仕込んだメリーゴーラウンドの人形。5人のしろがね-Oを一瞬で倒した。性格は茫洋としているが、実力は超強力。ドットーレをして「我等のヒーロー」と紹介させており、その直前にはドットーレに煽られた人形たちから熱烈なコールを受けていたこと、ドットーレを前にしてもマイペースさが崩れなかったことから、格の高い人形であることが見て取れる。とはいえ、怒った鳴海にはまるで歯が立たず、彼によって破壊された。単行本では巻末特集で「メリーゴーラウンド・オルセンの熊との遭遇」「メリーゴーラウンド・オルセンの留守録失敗」など2ページにわたってミニコミックでギャグにされている。
- 余談だが、「メリーゴーランド・オルセン」と発音間違いされている。
- アクロバット・ブラザーズ
- しろがねVS自動人形最終戦第二試合でファティマ&ミンシアと対戦した人形。小柄な兄オラーツィオと、大柄な弟ペドロリーノのコンビ。
- ナイト・ミシェール
- ドミートリィ・トーア・アランの三人が選んだ部屋を守護していた選抜の自動人形。
- 騎士の甲冑を象った女性型の自動人形で、槍を主武器にする他、体の各部からくさび状のスパイクを打ち出す。しろがね-Oのアランをスピーディ・フランクと共に一蹴し、ドミートリィとトーアを壁に張り付けにした所で隣の部屋から乗り込んできた鳴海と交戦、既に負傷していた彼を瀕死の状態にまで追い込む。止めを刺そうとした所にドミートリィの決死の援護が入り、「単眼の牢」で相打ちの形で破壊された。
- スピーディ・フランク
- ドミートリィ・トーア・アランの三人が選んだ部屋を守護していた選抜の自動人形。
- 一輪車に乗った(というより、足がペダルと一体化した)道化人形。しろがね-Oのアランを上回るスピードを誇る。ナイト・ミシェールを背に乗せた状態で動くことも可能。隣の部屋から乱入してきた鳴海に一瞬で破壊される。
- ハイコード・ルディ
- ドミートリィ・トーア・アランの三人が選んだ部屋を守護していた選抜の自動人形。作中では登場した時点で先述の三人に破壊されていた。
- サプライズ・ピーシューター
- ダール・ティンババティ・しろがね-O(名前は不明)の三人が選んだ部屋を守護していた選抜の自動人形。おもちゃのコルク銃を模した自動人形で、衝撃力20tと自称する破壊力の弾を打ち出す。これで、上記の名称不明のしろがね-Oを叩き潰して殺害した。
- ヘア・ツイスターと協力して鳴海に一撃を叩き込み油断した所で、鳴海の機転によってツイスターを破壊される。文字通り目前まで迫ったローリング・スラッシャーを前に脱出は不可能と判断し、「先に死ね!」と叫びながら鳴海をスラッシャーへ放り投げるが、フェイスレスによって一瞬前にスラッシャーが停止。その事に驚愕した一瞬をついて鳴海に拳を打ち込まれ破壊された。
- ヘア・ツイスター
- ダール・ティンババティ・しろがね-O(名前は不明)の三人が選んだ部屋を守護していた選抜の自動人形。女性型の自動人形で、髪の毛で相手を捕まえて投げ飛ばす。また、足がドリル状の武器になる。
- 鳴海に髪を巻きつけて動きを封じ、ピーシューターの攻撃を命中させて油断した所を鳴海の機転でローリングスラッシャーへ放り投げられて破壊される。
- スティルツ・ハーヴェイ
- ダール・ティンババティ・しろがね-O(名前は不明)の三人が選んだ部屋を守護していた選抜の自動人形。サーカス芸の「高足」を模した四本足の人形で、足はそれぞれが刃になっており、鳴海でさえ手間取る程の素早さで動く。
- 鳴海の機転でピーシューターの弾丸によって破壊された。
- 鴉型オートマータ
- 正式名称は不明。体の中にカメラのようなものが仕込まれており、情報を集めたり伝言を伝えたりする役目をもつオートマータと思われる。一体だけなのか複数体いるのか不明だが、おそらく後者であろう。
- アルメンドラ
- 「真夜中のサーカス」にいる占い師。サーカスが次に進む方向を占いによって決めているのだが、彼女は人形ではなく「しろがね」。昔はオートマータを相手に戦っていた。本名はイヴォンヌ。いつか「人間のサーカス」が「人形のサーカス」に災いをもたらすだろうと予言し、「最古の四人」に警告を発する。後にフェイスレスと共に宇宙に行き、傍観者として生きるつもりだったが、勝を守り死亡する。
最古の四人(レ・キャトル・ピオネール)
- 白金によって、フランシーヌ人形を笑わせるために作られた4体の自動人形。白金が去った後、フランシーヌ人形が作った擬似体液を与えられて自らの意思を持つ事が出来るようになった。「真夜中のサーカス」の主、フランシーヌ人形が自主的に発言しない為、最も古くから仕える彼等が実質的に自動人形に指示を与えている。それぞれが「○○の手」という技を繰り出せる仕掛けの手を持っている。
- しろがね達との最終決戦においてフランシーヌ人形と彼等は破壊された。からくりサーカス編で造物主である白金の傘下として再び復活を遂げるが、配下の自動人形達には新型ボディーが与えられる中、彼等だけは従来未満の性能のボディー(例えばコロンビーヌに与えられたボディには風を感じられるような高度な感覚機能はなく、目を触られても痛みなども感じない)が与えられて「旧型」と侮られ冷遇される事となる(しかし、それでも依然として殆どの自動人形やOなどよりも強力なようであり、コロンビーヌなどは最後の四人の1人であるディアマンティーナを追い詰めさえしている)。白金によると「とうの昔にフランシーヌ人形が失われた事も知らずに忠誠を誓い続ける姿が滑稽だったから」との事で、自分達が仕えていたフランシーヌ人形が途中から影武者に摩り替わっていた事を告げられ驚愕する。
- 白金の下で冷遇され、主と影武者が摩り替わっていた事に鬱々として心楽しまぬ日々を送っていた彼等に転機が訪れた。白金の命で挨拶に向かった囚われのエレオノールが、かつての主であるフランシーヌ人形に瓜二つだったからだ。彼女に出会って以降は、白金を造物主と仰ぎながらもエレオノールにフランシーヌ人形への忠誠の代償行為とも思える忠誠心を向け、「フランシーヌ様」と甲斐甲斐しく身辺の世話を始める。法安とその孫の涼子、そして勝との交流によって、本当の意味で“人間らしい感情”を得る事が出来、そしてそれぞれが数百年間得られなかった本当の生を実感するようになる。
なお、最古の四人の名は、イタリアの即興演劇の一形態、コメディア・デラルテのストック・キャラクターの名からきていると思われる。
- パンタローネ
- 「最古の四人」の一人。フランシーヌ人形によって意志を与えられ、笑い方を探すフランシーヌ人形に付き従う。掌で空気を大量に吸い込み、圧縮して打ち出したり、地面を削り取って玉にしたりする「深緑の手」(レ・マン・ヴェール・フォンセ)を使う。
- 己の身体から衣服まで全てフランシーヌから賜ったものとして貴び、これを傷付けること、馬鹿にされることを許さない。長きに渡り最強を誇ってきたがサハラで鳴海に破れる。その後フェイスレスによって自動人形達が新型ボディーを与えられる中、「最古の四人」だけは新型ボディーは与えられず、下位の存在に落とされて「最後の四人」と今まで配下だった自動人形達から「旧式」と侮蔑の対象となる。後にアメリカで阿紫花や法安との語らいを経て、生き方を改める。
- スペースシャトルを守るために阿紫花との戦いの破損も直らぬままの状態でアルレッキーノと共に「最後の四人」の迎撃に出陣。出陣前にエレオノールから命を受けた事に歓喜し、法安に仲町サーカスに誘われパントマイムを演じる約束をして迎撃の為に下車。ハーレクインと交戦するが、彼から「恋心を抱いていたフランシーヌ人形が失われたのでエレオノールと誰もいない世界で永遠に喜劇を演じる」と夢を語られたのに対して、エレオノールの所有者は鳴海だと断じ、「人形が恋?恋だと?」とその滑稽さに人生で初めて大笑いした事で「フランシーヌ様が一度も笑われなかったのは、自分が(心から)本当に笑った事がなかったからだ」と悟る。自分の恋心を笑われ、エレオノールの心が他の男にむいていた事に逆上したハーレクインの猛攻の前に敗れ去る。敗れる間際までエレオノールの幸せを信じながら執拗にハーレクインの気象操作装置の内蔵された角を攻撃し続け、それが後にハーレクインが鳴海に敗れ去る遠因となった。意思があったかは定かでは無いが、アルレッキーノに頭部を回収され、エレオノールが笑っている事を告げられた時、残骸と化したかれの表情は満足そうな笑みだった(笑っている事を告げられていたコマではしかめ面をしていたので、多少の意識は残っていた物と推測される)。
- ちなみに、漫画家久米田康治お気に入りの登場人物でもあり、『かってに改蔵』にもたびたびその姿を見せている。
- アルレッキーノ
- 「最古の四人」の一人。フランシーヌ人形によって意志を与えられ、自分の体を改造し続けている。指先や掌から火炎を発射する「緋色の手」(レ・マン・スカラティーヌ)を使う。
- 滅ぶことのないしろがねを醜いと考えていた。サハラで鳴海との一騎打ちに敗れる。その後フェイスレスによってパンタローネ同様に旧型のボディーで修復され、「最後の四人」らと新型ボディーを与えられたかつての配下の自動人形達の侮蔑の対象となるが、フランシーヌ人形にそっくりな顔を持つエレオノールと出会い、彼女に忠誠を誓うようになる。その後、モン・サン・ミッシェルにおいてエレオノールの「人を傷つけるな」との願いに「造物主様の命には逆らえませんが」と前置きしながらも、それを忠実に護るため、Oに襲われる生方涼子を助け、エレオノール奪回に現れた勝達と共闘し、その後は人間と行動を共にするようになる。この時、助けた涼子から笑いかけられた事で彼の中の何かが変わった。しろがねの傍に護衛の様に常に付き従い、彼女の為に自分の知りうる鳴海の話を語ってきかせていた。
- スペースシャトルを打上基地へと輸送する途、迫り来た「最後の四人」迎撃の為に出陣。出陣前にエレオノールから「勝って必ず戻ってきなさい」と初めて命を受けた事にパンタローネと共に歓喜し、法安に「また笑いかけてもらえるかな」と涼子へのプレゼントの木彫りの小鳥を託し、「最後の四人」を迎え撃つ為に下車した。ブリゲッラとの戦闘では接近戦に固執するブリゲッラに対してリュートを使った音波攻撃で距離をおいて戦い、有利に戦闘を進めていたが、思うように戦えず業を煮やしたブリゲッラが自ら嫌って封印していたはずのミサイル攻撃を使用した為に敗れた。その後、半壊状態ながらもパンタローネの頭部を回収し、スペースシャトル打上基地近くの教会へ辿り着いた所で、エレオノール(彼らにとっては本物のフランシーヌ人形)の満面の笑顔を目にし、「もし神というものがいるのなら、我等にも神がおわすらしい。機械仕掛けの神が」と呟き、自分の使命を果たした事に満足してパンタローネと共に機能停止した。
- コロンビーヌ
- 「最古の四人」の一人で、紅一点。フランシーヌ人形によって意志を与えられ、人間の恋愛に興味をもつ。掌を白熱化させ、鋼鉄すらも容易に溶かす「純白の手」(レ・マン・ブランシュ・ジマキュレ)を使う。また、空気中に漂う「ゾナハ病」を引き起こす原因である「アポリオン」と呼ばれるミクロ単位の虫型自動人形を操る「蟲使い」の能力を持ち、アポリオンを固めて武器や盾にする事も出来る。
- ある日襲撃した図書館で手に取った恋愛小説を読んでからは人間の恋愛感情に興味を持ち、「人間の男の人に抱きしめてもらう」という願いを抱く。サハラでティンババティに破れた後、フェイスレスによって他の二人同様に修復されるが、本来は大人の女性の姿であった彼女は何故かゴスロリファッションの少女の姿の体に改造された。「最後の四人」とかつての配下の自動人形達の侮蔑の対象となるが、フランシーヌ人形にそっくりな顔を持つエレオノールと出会い、彼女に忠誠を誓うようになる。容姿に引きずられたのか言動にも多少の幼児化が見られる。
- フェイスレスの伝令役として働いていたが、モン・サン・ミッシェルで勝が抱きしめるという望みを叶えたことで、勝の味方につき彼とともにO部隊を壊滅させる。そしてディアマンティーナと交戦し、打つ手がなくなる所まで追い詰めたものの、勝とエレオノールの窮地を助けるため、そちらに能力をつぎ込み、敗北。最後には勝とエレオノールの愛を信じ、再び勝の腕の中に抱きしめられ喜びながら停止していった。
- ドットーレ
- 「最古の四人」の一人。200年前のクローグ村の惨劇では幼かったルシールの息子を殺した。フランシーヌ人形によって意志を与えられ、人間の味覚に興味をもつ。
- その鋭い舌鋒は冷静な「しろがね」の心でさえも簡単に乱す。アンジェリーナ人形の一言により他の「最古の四人」が動けない中、ドットーレだけはその屈辱に耐え切れず、更にはルシールの挑発によって激発してしまい、己の存在理由(フランシーヌ人形を笑わせる)を否定した為、ルシールに致命傷を与えるも、自らも自滅した。その時にパンタローネ曰く「ルシールから絶望という人間の感情をもらった」という。
- 最古の四人の他の3体は真夜中のサーカス崩壊時にフラッシュ・ジミーが頭部を抱えて脱出したおかげでフェイスレスにより修理されたが、ドットーレの頭部は修理不可とみなされたのか持ち出していなかった。
- なお、必殺技として「紺碧の手」があるが、話中では1度も使われていない。
新・真夜中のサーカス
- しろがね-Oの中でもフェイスレスの真意を知り、忠誠を誓う事でOとなった者達とフェイスレスが造物主である白金である事を知り、彼の傘下に収まり新型ボディーを与えられた自動人形によって構成されている。Oの代表者はナイア・スティール。自動人形の代表者はフラッシュ・ジミー。その他に白金の側近として「最後の4人」と呼ばれる自動人形がいるが、O側は特に敬意を払ってはいない
- 白金/ディーン・メーストル/才賀貞義(さいが さだよし)/フェイスレス
- 白金が生家・白家からさらった子供に自らを溶かした「生命の水」を飲ませた結果誕生した、金の記憶と意思を受け継ぐ者であり、この物語の真の黒幕。「しろがね」の「オルガン部隊」のリーダーで、その後、改造人間「しろがね-O」のリーダーとなった男。才賀正二とともに明治以来サイガを率いてきた。才賀正二の養子であり、才賀勝の養父(実際は実父にあたる)。対自動人形との集団戦では「しろがね」に指示を与え、「司令」と呼ばれていた。「現代の錬金術=科学の練達者」、「三解のフェイスレス」の異名を持ち、自動人形を一瞬で分解する「分解」、自動人形を一瞬で溶かす「溶解」といった技を使い、さらに自動人形を一言で完全に沈黙させ、自動人形達を自分が自動人形達の造物主と「理解」させる言葉を知っている。口調と態度はとにかくふざけているが、それは表面上だけであり、自分の思い通りにならなければ世界がどうなっても良いという子どもじみた思考を持ち、自分の考えは正しいと信じて疑わない(その様を勝に「どす黒く燃える太陽」と評された)。フランシーヌとよく似たエレオノールを我が物にするために、勝と自分が入れ替わろうと企てる。
- 初めアンジェリーナを手に入れようとし、同世代の「しろがね」として優しく頼りになるパートナーを演じる事に成功するが、彼女が日本に潜伏している間に正二という伴侶を得た事で失敗。次にエレオノールに目をつけ、勝と彼女を得るため正二と陰で戦いを繰り広げる。サハラの決戦にはフェイスレスとして「しろがね-O」を率いて参加する。「しろがね」になったいきさつについて、鳴海に「恋人を自動人形に奪われたから」と説明した。鳴海の危機を救うために死亡した(雑誌掲載時には「この男の血も、熱かった…」と書かれ死亡扱いであった)と思われたが、決戦後自動人形とOの一団「新・真夜中のサーカス」を結成する。勝への自分の記憶の転送(ダウンロード)を賭けた「ゲーム」を行った末失敗に終わり、エレオノールの愛も得られなかった。宇宙ステーションへと飛立つ際に体を損傷したため、以前の体を捨て自身のクローン(生命の水を飲んでいない普通の人間の体で、生前の白金の姿)に移った。興味のなくなった世界を完全に滅ぼす為、ゾナハ病蟲(アポリオン)の動きを活性化させる。
- その後宇宙ステーションで勝と対峙。乱入したディアマンティーナの相手のことを考えずに自分へ愛を強要する姿勢に自身の愛が如何に醜いものであるかを自覚する。そして、勝の言動に触れるうちに「白金」であった頃の自分を取り戻し、勝を自らの弟であるように感じてしまう。最期は勝にゾナハ病の治し方と地球へ帰還する方法を教えて脱出させる。最後の最後に兄に謝罪の言葉を口にし、一度は用済みと捨てたグリポンに寄り添われて地球に落ち行く宇宙ステーションと運命を共にした。
- からくりサーカスの主題に人形や道化のモチーフがあるが、彼(白金)が振り回され続けた人生と、後天的に精神をダウンロードして「白金」になりかわった後継者たちを見ても、彼自身が道化であり、あやつり人形の象徴であったようだ。
最後の四人(レ・デルニエ・キャトル)
- 白金が作り上げた最新鋭の四体の人形。局所気象コントロール装置を持つハーレクイン。高速振動を起こし切れ味を増す剣を使うカピタン・グラツィアーノ。多数のミサイルを搭載し、優れた体術をつかうブリゲッラ。自爆機能を備え自動戦闘機能を有するクマのヌイグルミを多数従えるディアマンティーナ。全員白金の側近のような立場にいる。
- ハーレクイン
- 「最後の四人」の一人。角に局所気象コントロール装置を搭載しており、それにより稲妻・風・雨・霧の各気象をコントロールする能力を持つ。自らは稲妻を攻撃に使い、他の三つの気象能力は、その他の三体の人形が使えるかのように演出している。勝を撃ち落としたり、ブリゲッラの打撃攻撃を簡単によけるなど、「最後の四人」の中でも群を抜く実力を持つと思われるが、自らのことを「道化」と呼び、なかなか素性を表さない食わせ物。「○○の○○にかけて(○○内には適当な単語が入る)」と意味不明な誓言を述べ立てる癖がある。容姿は全身タイツに角がついた物を着用し、小さなシルクハットと物理法則を無視して色々な物がはいっているカバンを肩にかけている。最古の人形を見下しており、「パンさん」「アルさん」などと馬鹿にした感じで呼ぶなど侮蔑している。「自分はフェイスレス様からお呼びがかかるまで動く事はない」とエレオノールに語っているように、普段は与えられた部屋でじっとしている。しかし、フェイスレスが宇宙に飛び立った後は自由時間と称し人間討伐に向かう。
- 旧・真夜中のサーカスの内部を散策している時に彼らがフランシーヌ人形をモーチーフに作った絵画や彫刻(『晩餐』のキリストやヴィーナス像をフランシーヌに置き換えて模倣したもの)を見ているうちに彼女に対し恋心を抱くが、本人はとうの昔に消えてしまったので代わりにその生まれ変わりである(と思い込んでいる)エレオノールに同様の感情を抱くようになる。しかしパンタローネから自分の思い描いたエレオノ-ルとの理想の生活を盛大に笑われ、恋が叶わぬ事実を告げられると初めて怒りの感情を見せ、彼を圧倒的な実力差で破壊する。その後力ずくでエレオノールを手に入れようとして追い詰めるが鳴海に阻まれ、前の戦闘でパンタローネから受けた攻撃が元で気象コントロール装置が故障、それにより生じたわずかな隙を突かれ、鳴海の攻撃が回避不能を悟ると苦笑しつつ頭部を切断されて最期を遂げた。因みに彼が本性を現したのはこの二回と「最古の4人」がエレオノールの元に通いつめているのを知った時のみで「自分で学習してデータを書き換える機能がねーんだな」と呆れながら頭をかいていた。
- カピタン・グラツィアーノ
- 「最後の四人」の一人。ハーレクインの気象コントロール能力の一つ、風を操る能力の操作演出をされている。破壊の剣『スペッツァ・フェッロ』を持ち(それが黒賀村で勝に折られた後は、正義の剣『スパヴェンタ』を使用。性能は『スペッツァ・フェッロ』と同等と思われる)、相手に突き刺した剣に電流を流す「血と雷」(サングレ・イ・フェーゴ)と、剣を持つ左腕を高速で動かす乱れ突き「撃破」(フラカッソ)いう技を使う。足の裏からジェット噴射のようなものを出して空を飛ぶことも出来る。名誉欲、或いは中世騎士のロマンチズムに憧れているのか(最近造られたにも関らず)、「由緒正しき軍人の家系で名のある貴族は全て友人」などと言うホラの自慢話を他人に聞かせるのが趣味で、パンタローネがアメリカへの増援に選ばれた際も「婦人の願いを胸に」とキザなコメントをし、ハーレクインとディアマンティーナにからかわれた。最古の人形を侮蔑している。容姿は中世の軍人を意識した衣装を好み、与えられた部屋には幾つもの剣や絵画が掲げられている。
- 人間討伐に3,000体の人形を引き連れていくが、ギイの捨て身の戦闘を前にほとんどを全滅させてしまった。その後勝と戦い、死を覚悟させるほどまで追い詰めたが、真っ二つに斬られて敗れ去る。
- 名前の「カピタン」はスペイン語で隊長の意であり(英語のキャプテン)、中世の軍隊の部隊長職。転じて現在の各国陸軍では「大尉」の階級。
- ブリゲッラ/ブリゲッラ・カヴィッキオ・ダ・ヴァル・ブレンバーナ
- 「最後の四人」の一人。ハーレクインの気象コントロール能力の一つ雨を操る能力の操作演出をされている。格闘に興味があり、人間が創った格闘技で戦う。生身の人間からアフリカ象まで実験台に使って、鳴海をも上回る武術の知識を得ている。多くの自動人形を破壊してきた鳴海の機械の腕の打撃を「気がこもっておらず威力が無い」と評したことや、Oを焼き尽くしたアルレッキーノの炎を至近から浴びても全く傷ついた様子がないことなどからみて、かなり防御面にも優れているようだ。容姿は全身を包むコートと目深に被った帽子。
- 実は強力なミサイルを体中に搭載されているが、本人はこの圧倒的な破壊力で一撃で相手を仕留める機能に対しては戦闘をしている実感が無く味気ないと忌み嫌っており、コンプレックスさえ感じていた。これが四肢のみで戦う格闘技への興味を持つきっかけとなった。アルレッキーノとの戦いでは近距離での物理攻撃が出来ず、追い詰められて已む無くミサイル攻撃を使用して一発でアルレッキーノを半壊に追み、ミサイル攻撃を使わざるをえない状況に追い込んだアルレッキーノに激しい怒りの感情を露にした。が、その時に忌み嫌っていたはずの一発で敵を消し飛ばす事への快感に目覚めてしまう。
- その後、機械の腕になり気のこもった打撃を放てなくなった鳴海を圧倒したが、楽しみにしていた鳴海との戦いが一方的に自分が有利なままに終わる事に腹を立て、「武闘家にとっての屈辱的な死を与える」と称してミサイルで鳴海を殺そうとした結果、ミサイルを見た鳴海は忘れていた機械の手足でも気を込めて攻撃出来る動きを思い出させてしまい、形勢逆転を許してしまう。ブリゲッラはアルレッキーノとの戦いで目覚めたミサイル攻撃の快感に流された事を悔やむが時すでに遅く、足を踏み外し列車の車両の合間に落ち、そのまま汽車に轢かれてしまう。
- ディアマンティーナ
- 「最後の四人」の一人。ハーレクインの気象コントロール能力の一つ霧を操る能力の操作演出をされている。種類を持つクマの人形「クマちゃん」で攻撃し、小鳥の人形「小鳥さん」で防御する。
- フェイスレスの恋人を自称し、好きなものは綺麗なものと可愛いもの、そして人間の血の風呂で磨き上げた自分自身。縦ロールの髪に大きなリボンを結わえ、黒いワンピース型のゴスロリ衣装。
- コロンビーヌとの戦いでは旧式と侮っていた彼女に最後の手段を用いるところまで追い込まれ、それすらかわされそうになるがコロンビーヌが戦闘より勝とエレオノールの救出を優先したため辛くも勝利する。戦闘後にコロンビーヌからフェイスレスの自分への愛は「人間が便利な道具を愛するのと同じ」愛であり、人間同士の愛情とは違うと否定され、逆上してコロンビーヌを破壊する。その後フェイスレスへの愛に疑問を抱き消息不明だったが、大量の自動人形部隊を引きつれボードヌイ射場に姿を現し、メイド型人形に扮して勝に同行し宇宙ステーションへとたどり着く、ステーションのあちこちに爆弾クマをしかけてフェイスレスへの愛をアピールするも、一方的に愛情表現を押し付けた事によりフェイスレスによって分解され、最後の悪あがきに白金を刺しステーション各所に仕掛けた爆弾クマを爆破させ心中を図った。これが皮肉にも、「自分が好きなんだから相手も自分が好きなはず」という厚かましい姿は、白金に数百年かけて気づかなかった自分自身のフランシーヌ・アンジェリーナ・エレオノールへの歪んだ愛を自覚させた。
オートマータ
- 「しろがね」との最終決戦を生き残り、白金に新型ボディーに換装された者や新たに作られた自動人形で構成される。
- フラッシュ・ジミー
- 「新・真夜中のサーカス」団長。元は低級な人形だったことを気にしている。様々な風景やゾナハ病に苦しむ人々の写真をとるのが趣味。三牛親子を脅し、人間側のスパイ行為をさせる。ギイに脅迫されてダブルスパイとなり最終的に人間側に付いた三牛親子を殺そうとするが、諸美にエレオノ―ルの血付きナイフを刺され、三牛親子と共に列車から落ちた。最終巻では機能停止して横たわる姿が描かれている。
- シルベストリ
- 「新・真夜中のサーカス」に所属する自動人形。居合を得意とし、自動人形の中では伝説となる程の剣の使い手。左手に剣を内蔵し、体内にも数本の剣を内蔵している。「真夜中のサーカス」時代はパリに潜伏し、アプ・チャー同様、人間社会の中で「笑い」を研究していた。毎年5月の祭りで行われるすずらん売りの少女に出会ってから、「人間はなぜ群れるのか」という疑問を常に抱いていたため、他の自動人形から「哲学者」と評される。勝への刺客選抜は自動人形とOの代表者が戦い、勝ち残った者が選ばれるという形式が採用されているが彼も複数のOを退けて挑戦権を獲得した。直後に「最古の四人」パンタローネ、アルレッキーノの両名が挑戦権を賭けて彼に挑むが、彼の剣術の前に敗れ去る。黒賀村にて才賀勝と交戦、正二から譲り受けた剣術と片手で人形を操るなど勝の才能に次第に圧倒され、ついに敗れる。永年抱いていた疑問への答えを最期に悟り、「私も人間達の輪の中に入りたかったのだな」と人間的感情を手にした。
- 上記の鈴蘭売りの少女とは、彼女から金を巻き上げた不良から金銭を取り戻す事で彼女が一方的に話しかけ、シルベストリが話を黙って聞くという形で交流があり、彼女が成長していく様子を思い出す描写がある。シルベストリが敗れた頃、娘を紹介しようとシルベストリがいつも座っていた席カフェテラスに現れた彼女はシルベストリの姿が無いのを残念がっていた。彼女のシルベストリへの評は「気難しくて、どこか寂しそうで、大好きだった」
- シルベストリはパリから直接フェイスレスに召集されたため、新型のボディに改造されているのかは不明。パンタローネ・アルレッキーノとの戦いの際には、「最古の四人に私が勝てるとは思いませんが、造物主のご命令ならばお相手します」と述べる(実際には、旧型の体に変えられた両者はシルベストリに容易く破られたが)など、他の自動人形のように最古の四人を侮蔑してはいないようである。
- ブロム・ブロム・ロー
- 「新・真夜中のサーカス」に所属する自動人形。「ハリー」争奪部隊隊長。体が数珠繋ぎのようになっており、鳴海達が得意とした拳法による打撃の衝撃が分散されて効かなかった。しかしミンシアを瀕死の重傷に追い込んだ事で怒りにかられた鳴海に破れた。ちなみにこのキャラクターは、週刊サンデー本誌で募集した「自家製からくり大賞」で自動人形賞一位をとった読者の作品である。この読者は最終43巻巻末に『機械仕掛けの神オートマータ「ブロム・ブロム・ロー」デザイン』として名前がクレジットされている。
- ドクトル・ラーオ
- 「新・真夜中のサーカス」に所属する自動人形。機械の身体に野生の動物脳を組み込んだ「幻獣」をあやつる。また、実験で『ビースト』の脳をいじっていた。
- 自分よりも猛獣の扱いが上手いリーゼに劣等感を持っていた。最後は彼が手なずけられなかった為「失敗作」の烙印を押して放置していた幻獣達を率いたリーゼに追い詰められ、その失敗作の幻獣達に破壊された。
- ワイルド・ウエスト・ジェーン
- 「新・真夜中のサーカス」に所属する自動人形。四本の腕にカウガールの衣服を纏い、背にライフルを背負っている。額には林檎の模様が描きこまれていた。アメリカに大量のゾナハ病をばら撒いた。特技はライフルとナイフ投げ。最後はヴィルマによってエレオノールの血付きのナイフを額に刺され、破壊された。
- レディ・スパイダー
- 「新・真夜中のサーカス」に所属する自動人形。仲町の妻フサエに顔が似ている。列車で仲町親子と交戦し、彼等のサーカス芸を駆使した戦法に敗北。
- ケニスとアノス
- かつてアルレッキーノに仕えていた飛行可能な自動人形。「新・真夜中のサーカス」ではアルレッキーノを侮蔑している。両名とも勝に破壊される。シルベストリなどの他の自動人形を輸送する描写が見られる
- ピンボール-「K」
- 背中に大砲を背負った自動人形。勝の乗ったロケットを撃ち落とそうとするが、阿紫花英良に阻まれ破壊される。
- アルファー
- フェイスレスがエレオノールと生涯を過ごそうとした宇宙ステーション。自らの意志を持つ自動人形である。
- グリポン/グリュポン
- フェイスレス(貞義)が、ダウンロードした後の自分が何らかの理由で完全に覚醒しなかった場合に備えて、三体の懸糸傀儡と共に残した小型の自動人形。架空の幻獣「グリフォン」をモデルとしており、空を飛ぶことができる。悪口を言うのが下手なのか、それともギイが言うようにどこか頭脳部分が壊れていたのか、ギイに悪態をつこうとすると「このクソイケメン野郎め」などと何故か微妙に褒め言葉になってしまう癖を持つ。ちなみに名前は「グリュポン」が正しいが、勝がうまく発音できず「グリポン」と呼ぶようになったのが定着してしまった。
- 不完全なダウンロードにより、「貞義」として覚醒しない勝に付きまとうが、結局勝は「貞義」としては覚醒しなかった。その後、自動人形が黒賀村を襲撃してきた際に、フェイスレスに見捨てられて分解されるが、勝によって修復され、以降勝を「マスター」とする。中盤以降のマスコットキャラクター的な存在であり、常に勝と共に行動していたが、勝に頼まれてしろがねを単身救出に向かったりと、単なるマスコットとしてではなく、一役者として描かれている。
- 物語の終盤、落下する宇宙ステーションから脱出する際に、宇宙ステーションに残る創造主である白金を置いて行くことが出来ず、彼一人では寂しいだろうと勝だけを脱出させ、白金と共に消滅した。
O(オー)
- しろがね-Oの中で白金に忠誠を近い。新・真夜中のサーカスに合流した者達。従来のOが体の一部を機械化させているのに対し、彼らは肉体を保存し、自身にそっくりな機械の体に意識をダウンロードしている。しろがねでも老齢な者達で、中には保存カプセルから出た途端に石化する程老い衰えた者もいる。
- ナイア・スティール
- 「新・真夜中のサーカス」O部隊隊長。「しろがね-O」時代はフェイスレスの片腕として「真夜中のサーカス」との最終決戦で最初にテントに入り、サーカスの自動人形によって一度殺された(後の展開を考えると、フェイスレス同様「演出」していたと思われる)。2度目の登場後は勝の敵となったがコロンビーヌを味方につけた勝によって、モン・サン・ミッシェルに保管されていた老いた本体を発見され、開放された。実はクローグ村の生き残りの一人で、クローグ村の惨劇で家族を失った過去を持つ。自身が本当は既に年老いた老婆である事を勝に知られ半狂乱となり、フェイスレスに執着されている勝を殺そうとするが、勝が操った「あるるかん」によって倒された。
- カール・シュナージー
- 「ハリー」争奪部隊の「O」代表。球の中に入り、中から球を自在に操るクロスカーボン製「脅威の球」(ヴンダー・クーゲル)を使う。素材の強度、球の基本回転速度はジョージのボラ・ミステリオサを上回ると自慢している(ジョージの毎分300回転に対し、毎分1000回転)。また、自由時間では地球を汚染した人間を滅ぼし、地球を浄化する事を夢みていた。移動中の船内で同船に搭乗していた自動人形相手に蛮勇を振い誇っていたが、侮辱していたパンタローネの「深緑の手」の一撃で「脅威の球」の形成に使う自慢のクロスカーボン製の刃に穴を空けられるが本人はその穴が侮っていたパンタローネに眼前で指先一つで穴を空けられた事に気づけず、穏やかにあしらわれてしまうという道化を演じた。自身が道化を演じた事に気づけなかった事そのものが道化といえたのかもしれない。ジョージ・ラローシュとの戦いでも彼と「神秘の球」の性能を旧型と嘲笑い、彼を苦しめるが、精神力で限界を超えたジョージの攻撃に敗れる。
本作に登場した動物
- ビースト
- これまでに何人もの動物調教師を再起不能にした伝説を持つトラで、リーゼの双子の姉を殺した張本人。サーカス団を経て日本で来ていたが、檻をぶち破り逃走する。非常に頭が良く狡猾で、多少の銃弾や麻酔弾、毒薬など全く意に介さない生命力を持ち、エレオノールの人形繰りでは追いつけないほどの速さで動く。トラックを運転したりもしていた。ガス爆発の中でも生きながらえるなどタフさを見せたが、最後はリーゼの魔眼に屈し、ドラムの尻尾の棘を額に穿たれ絶命した。
- ドラム
- ビースト退治の為にリーゼと共にやってきたライオン。額にある長いキズは、過去にビーストによってつけられたもの。尻尾の房毛の中に一本の猛毒の棘を持っており、象を殺せる毒薬を大量に撃たれても死ななかったビーストを一撃で仕留めた。
登場人物たちの関係
以上、10年にわたって語られた物語における登場人物たちはその大半が、①『フランシーヌの血縁』と②『白銀・白金兄弟の遺伝』の2系統によって大まかな組み分けを行う事が可能である。
フランシーヌの血族
人間フランシーヌを中心に表記する為、姓については一部省略。
フランシーヌの母 ━┳━ 夫
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ルシールの母 ━┳━ 夫 フランシーヌ(姉)
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ルシール ━┳━ 夫
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アンジェリーナ ━━┳━━ 成瀬正二郎(才賀正二) 息子(兄・弟かは不明)
┃ ┃(養子縁組)
エレノール(しろがね) ┃
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才賀貞義(ディーン・メーストル) 才賀善治
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その他(孤児) 才賀勝(実子・血縁有)
白兄弟の遺伝
基本は血縁ではなく生命の水(アクア・ウイタエ)や自動人形(オートマータ)等の技術的な流れで表記。 『』は人間、【】は自動人形(オートマータ)の登場人物。どちらも登場人物が多いため、可能な限り団体表記。
白銀 白金
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『最古のしろがね』 【フランシーヌ人形】
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『しろがね』 ┃ 【真夜中のサーカスのオートマータ】【偽フランシーヌ人形】
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『加藤鳴海』 【最古の四人(レ・キャトル・ピオネール)】
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『しろがね犬』
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『白家の子供(フェイスレス)』
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『しろがね-O』『O(オー)』(元はしろがね)
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【最後の四人(レ・デルニエ・キャトル)】【新・真夜中のサーカスのオートマータ】
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『白金』
白家(白兄弟の生家)
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『梁 剣峰』
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『梁 明霞』
以上で作品の核心的な内容についての記述は終わりです。