前震

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前震(ぜんしん)とは一連の地震活動において本震の前に起こる地震のことである。ふつう、本震の後に起こる余震よりも規模が小さく数も少ない。しかし、活動の最中に前震か本震かは判断出来るものではなく、後になってから解析され判明する。

比較的小さな地震(前震)が断層の一部を破壊したり断層にかかる応力を変化させ、より大きな規模の地震を引き起こすきっかけとなっているのではないかと考えられている。

前震と地震予知

前震を捉えることによって、規模の大きな本震の予知につながるのではないかという指摘は大正時代からあったが、前震から本震発生の予知に成功した例はない。それは、科学的に前震と判断するためには数日から10日程度の活動を解析する必要があるからで、とある地震活動が本震なのかを判断するためには、余震数の減衰と分布を立体的に捉える必要があり、余震数の減衰については、「改良大森公式」と呼ばれる統計的な時系列モデルが利用される。 また、地震活動の減衰率が非常に低くても、前震ではなく群発地震の可能性もある。現在の科学ではこの群発地震と前震を明確に判断する技術はなく、前震の存在は本震後に判断される。

また前震というのは、あくまで一連の大規模な地震活動のうちの1つである。明確な分類は無いが、前震とは別に大地震の前に起こる地震活動として前駆活動というものがある。スロースリップ前駆微動などがこれにあたる。こちらのほうが本震までのタイムラグが長く、発見も容易だとされている。しかし、スロースリップなどでの地震予知も現在成功例はない。

主な前震のケース

1995年に発生した兵庫県南部地震阪神・淡路大震災)では本震発生の前日に前震が4回観測された。しかしいずれも規模が小さく(最大M3.3)、これは本震発生後に判定されたことである[1][2]

2013年ソロモン諸島沖地震ではM8.0の本震の約二週間前からM6.0以上の地震が7回、M5.0~5.9の地震が16回発生するなど震源周辺で顕著に地震活動が活発化していた。また、この地震活動では本震と同じプレート境界型の地震が活発化していた他、正断層・横ずれ断層の内陸の震源の浅い地震も同時期に活発化していた。

2011年東北地方太平洋沖地震東日本大震災)では発生2日前からM7.3(震度5弱)を皮切りにして地震が多数観測されたが、後にこれらは前震であった可能性があると発表された。Mw9.0の本震が発生するまではM7.3の地震を本震、それ以後の地震は余震と判断されていた。(詳細記事)。

2003年宮城県北部地震では、本震の7時間前に震度6弱の地震が観測されたが、この地震も前震だった。前震がM5を超えた地震はほかに2008年5月8日の茨城県沖地震(M6.4)や2010年3月13日の福島沖地震(M5.5)が挙げられる。

1891年濃尾地震でも、本震の3日前の10月25日に揖斐川下流域でM6.0の地震が観測されたが、この地震も前震であった可能性がある。

脚注

関連項目

外部リンク