民事再生法

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民事再生法(みんじさいせいほう、平成11年法律第225号)は、経済的に窮境にある債務者の事業または経済生活の再生を目的とする日本の法律である。日本における倒産法の一つ。

従来、同じ目的で用いられてきた和議法(大正11年法律第72号。民事再生法の施行に伴い2000年(平成12年)4月1日廃止。)の特徴であった簡素な手続構造を基本的に維持しつつ、再建計画(再生計画)の可決要件を緩和する一方で、その履行確保を強化するなど、使い勝手のよい再建型倒産法制の構築を目指した。

沿革[編集]

  • 2000年 民事再生法の施行
  • 2001年 いわゆる個人再生手続に関する規定の施行
  • 2006年 民事再生法の定着により存在意義が薄れていた会社整理手続が廃止

特徴[編集]

手続を利用できる債務者の範囲については法律上の制限はなく、個人、株式会社その他の法人などが利用できるが、主として中小企業の再生に用いられることを想定している。しかし、上場企業その他の大企業、たとえば、そごう平成電電なども利用している。従来の経営陣が事業の経営権を喪失し、管財人がその経営に当たる会社更生法と違い、経営陣の刷新は、法律上必須ではない。

従来の和議法では、破産原因のあることが手続開始の要件とされていたため、手遅れ感があったが、民事再生法では「破産手続開始の原因の生ずるおそれ」又は「事業の継続に著しい支障を来すことなく債務を弁済できないこと」とされ、より早い時期に手続を開始することができるようになっている。

手続[編集]

同法第2章以下に定めるところにより再生計画(同法154条)を定める手続を、再生手続という(同法2条4号)。実務上は、民事再生手続とも呼ばれる。

申立て
再生手続開始決定は、原則として、再生手続開始の申立があってはじめてなされる(同法21条1項)。
債務者が個人である場合、申立ては、日本国内に営業所、住所、居所又は財産を有する時に限り、法人その他の社団又は財団である場合には日本国内に営業所、事務所又は財産を有する時に限り、することができる(同法4条1項)。
再生事件は、再生債務者が営業者であるときはその主たる営業所の所在地、外国に主たる営業所を有するときは日本における主たる営業所の所在地、営業者でないとき又は営業者であっても営業所を有しないときはその普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する(同法5条1項)。
弁済禁止の保全処分
裁判所は、利害関係人の申立て又は職権で、再生手続開始の決定があるまでの間、再生債務者の業務及び財産に関し、仮差押、仮処分その他の保全処分を命ずることができる(同法30条1項)。
監督命令
裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の申立て又は職権で、監督委員による監督を命ずる処分(監督命令)をすることができる。この場合、一人又は数人の監督委員を選任し、かつ、その同意を得なければ再生債務者がすることができない行為を指定しなければならない。監督委員の同意を要する行為につき、その同意を得ないでした行為は、無効となる。ただし、善意の第三者に対抗することができない(同法54条)。
再生手続の開始
裁判所は、要件を満たす再生手続開始の申立てがあったときは、棄却する場合を除き、再生手続開始の決定をし、決定は、その時から、効力を生じる(法33条)。決定と同時に、再生債権の届出をすべき期間及び再生債権の調査をするための期間を定めなければならない(同法34条)。
開始の要件
  • 破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるとき
  • 事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができないとき(同法21条)
棄却要件
  • 再生手続の費用の予納がないとき
  • 裁判所に破産手続又は特別清算手続が係属し、その手続によることが債権者の一般の利益に適合するとき
  • 再生計画案の作成若しくは可決の見込み又は再生計画の認可の見込みがないことが明らかであるとき
  • 不当な目的で再生手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき(同法25条)

個人の再生手続[編集]

個人のための再生手続の特則として、小規模個人再生、給与所得者等再生の手続が設けられている。
詳細は 個人再生 を参照

外国での倒産処理手続との関係[編集]

詳細は 外国倒産処理手続 を参照

関連項目[編集]

類似立法例[編集]