特定非営利活動法人

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特定非営利活動法人(とくていひえいりかつどうほうじん)とは、特定非営利活動促進法に基づいて特定非営利活動を行うことを主たる目的とし、同法の定めるところにより設立された法人である。「NPO法人」とも呼ばれる(「NPO」とは、「Nonprofit Organization」あるいは「Not-for profit Organization」の略である。「NPO」も参照のこと)。

金融機関関係のカナ表記略号は、「トクヒ」。

概要

特定の公益的・非営利活動を行うこと(内容は特定非営利活動促進法#法における定義を参照)を目的とする法人である。「非営利」とは、団体の構成員に収益を分配せず、主たる事業活動に充てることを意味し、収益を上げることを制限するものではない。従来、日本の非営利法人制度は民法34条に規定された公益法人(社団法人財団法人)を中心としたもので、非営利かつ公益的な活動をする団体が法人格を取得する際に行政機関許可が必要であった。しかも、その後も主務官庁による指導を受けることがあるなど活動に制限が多く、市民による自由で自発的な活動に適した法人格が求められていた。

特定非営利活動促進法は、主務官庁の許可主義ではなく、所轄庁による認証という形態をとり、主務官庁の指導による団体統治の代わりに、市民への情報公開による団体統治を志向している。これにより非営利で公益的な活動をする団体が、従来よりも簡便に、自由に法人格を取得できることを目指している。

特定非営利活動とは、一般に不特定かつ多数の者の利益(=公益)の増進に資する法人として公益法人民法で既に定義されていることから、特定非営利活動促進法は法別表に掲げる一定の分野(=特定非営利活動)に限定列挙されたものをいう。

特定非営利活動法人は、宗教的・政治的活動を主たる目的として行うことはできない。また、選挙活動を目的とした活動は行うことができない。但し、これは、政治、宗教関係者がNPOに関わることを排除するものではない。

従来の公益法人b:民法第34条法人等)に比べ、設立手続きが容易であるため、法施行直後から、法人格を取得する団体が急増し、2008年10月末現在3万5千を超える団体が認証されている。特に、従前は任意団体として活動していた団体が法人格を取得するケースが目立つ(任意団体では銀行口座の開設や事務所の賃借などといった、各種取引契約などの主体になれないケースがあるが、NPO法人であれば法人名で契約が可能である)。

知的障害の児童にわいせつ、NPO職員逮捕(2014年1月)

横浜市にある学童保育を行うNPO法人の職員が、送迎中の車内で知的障害のある女子児童の下半身を触ったとして逮捕された。

強制わいせつで逮捕されたのは、学童保育を行うNPO法人の職員・阿部公一(41)。

阿部は21日午後、児童4人を学童保育から自宅に送り届ける車内で知的障害のある小学5年の女子児童の下半身を触ったり、下着の中に携帯電話を入れて撮影したりした。警察の調べに対し、阿部は「小さい女の子が好きだった」と容疑を認めている。

阿部の携帯電話には複数の児童のわいせつな写真が保存されていたということで、警察は余罪についても調べる方針。

設立

法人の設立は、その所轄庁である都道府県知事(事務所が単一都道府県内のみの場合)もしくは内閣総理大臣(複数都道府県に事務所を設置する場合)の認証を得たうえで、設立登記を経てなされる(法第9条、第10条)。

認証事務は、法及び内閣府もしくは各都道府県の示す「NPO法の運用指針」等に基づき行われる。設立申請者は、認証基準に合致していることを積極的に疎明する必要がある。都道府県知事もしくは内閣総理大臣は、申請者の提出した書類の内容が認証基準に合致しているときは、認証をしなければならない。

認定特定非営利活動法人制度

この制度は、特定非営利活動法人の中で、組織運営及び事業活動が適正であること等の一定の要件を満たすものに対して、個人や法人から受ける寄附金について課税上有利になる等の恩典が受けられる団体として、国税庁長官が認定するものである。これは、財政基盤の脆弱な特定非営利活動法人に対し、寄付が集まりやすいようにという配慮がなされたものである。

しかし、認定を受けるための条件(パブリックサポートテスト)が厳しく、2008年8月20日現在では3万4千を超えるNPO法人全体のうち、わずか93団体が認定を受けているにすぎない。

課題

隠れ蓑としての特定非営利活動法人

非営利性のもつ好感の得やすさを隠れ蓑に、事実上営利目的であったり非公益的活動を行ったりする例も増加した。とくに、企業業界団体の広報宣伝活動の隠れ蓑にしたり、犯罪に関与したり、実態は右翼団体であるケース等、悪徳商法が目立つようになり、全般について見直しが進行中である。

内閣府は、市民による監視の一環として、活動が懸念される法人に対し「市民への説明要請」を実施することとした。この説明要請の内容、及び要請への回答については、すべて内閣府ホームページ上で閲覧できるという行政措置をした。この点についても法制化に向けて着手している。

資金難

欧米では数万人、数十万人単位の会員の支援や、多額の寄付金を受けて活動している団体が少なくない。しかし、日本ではまだNPO活動に対する国民の理解が低く、活動会員(団体の活動者として登録、会員名簿に記載されるメンバー)の支援(会費、役員の負担)だけで活動ができている団体は極めて少ない。また、寄付免税など税制優遇措置の適用が制限されている、また金融機関からの融資が得にくいことから、多くの団体は財政面で苦心している。

下請け化

日本のNPO法人は資金源が少なく、活発な活動を行っている法人の多くは行政からの事業委託に依存している。その結果、行政の下請け化が進み、自発性や自立性というNPO法人本来の特徴が失われてしまっているとの指摘がある。

設立条件

法律により法人格を取得することが可能な団体は、「特定非営利活動」を行うことを主な目的とし、次の要件を満たす団体である。

  • 営利を目的としないこと。
  • 社員(正会員など総会で議決権を有する者)の資格について、不当な条件をつけないこと。
  • 報酬を受ける役員数が、役員総数の1/3以下であること。
  • 宗教活動や政治活動を主目的としないこと。
  • 特定の候補者、政党を推薦、支持、反対することを目的としないこと。
  • 暴力団、暴力団又は暴力団の構成員、若しくは暴力団の構成員でなくなった日から、5年を経過しない者の統制下にある団体でないこと。
  • 10人以上の社員がいること。

関連項目

外部リンク