堀越学園(群馬)
学校法人 堀越学園(がっこうほうじんほりこしがくえん)は、日本の学校法人である。現在の理事長は、大島孝夫。群馬県を拠点に、創造学園大学などの諸学校を運営している。
堀越高等学校などを擁する東京都の同名の学校法人とは無関係。本項の堀越学園の関係者を名乗る人物が、東京都の堀越高校が系列校であると偽って学校債の勧誘を行っていた。
様々な不祥事が発覚し、補助金交付の取消、入学者数激減により資金難に陥り、職員給与遅配、公共料金滞納、税金延滞が発生。もはや継続困難な学校である。
目次
沿革
- 1966年 - 群馬県高崎市に学校法人堀越学園設立。
- 1968年 - 高崎保育専門学校設立。
- 1980年 - 子供の国幼稚園設立。
- 1981年 - 高崎短期大学音楽科設立。
- 1983年 - 同専攻科(音楽)開設。
- 1985年 - 群馬県川場村にセミナーハウス武尊温泉「萱の家」完成。
- 1988年 - 高崎短期大学美術科設立、高崎芸術短期大学と改称。
- 1990年 - 同専攻科(美術)開設。
- 1992年 - 高崎福祉専門学校設立。
- 1995年 - 宮城県に堀越学園合宿施設七ヶ宿キャンパス「水と緑の共和国」完成。
- 1997年 - 群馬県高崎市の高崎福祉専門学校・高崎保育専門学校のある八千代キャンパスに一般入浴施設兼介護実習施設「三福温泉」TESLA(テスラ)館完成。
- 2004年 - 群馬県に創造学園大学 創造芸術学部とソーシャルワーク学部設置。
- 2005年 - 長野県に創造学園大学附属高等学校設立(学校法人創造学園)。
- 2006年 - 高崎医療技術福祉専門学校設立。FCホリコシをアルテ高崎と改称。
不祥事の概要
詳しくは創造学園大学のページも参照。
- 設立時書類に虚偽記載
- 創造学園大学を同法人が設立時に文部科学省へ提出した書類に、負債額を実際より少なく記載する虚偽記載や、監査法人の判子の偽造を認め、今後5年間新しい学部、学科の新設を認めないペナルティを与えられる(2010年10月28日日本テレビ)。
- 財務書類の不備
- 文部科学省や群馬県に提出していた2002年から2004年までの決算書に虚偽があったとして日本私立学校振興・共済事業団から創造学園大学への2008年度の補助金の交付を取り消された。
- 大学キャンパスの仮差し押さえ
- 創造学園大学の各キャンパスが仮差し押えになっていることが明らかになっている。
- 給与の遅配
- 教職員への給料遅配で労働基準監督署から、労働基準法違反で是正勧告を受けていたことが明らかとなった。
以上の相次ぐ不祥事により、2011年、堀越哲二理事長は引責辞任した。
トラブル詳細
バス、給食一部休業。パート9人集団欠勤。堀越学園の2幼稚園(2012年6月)
学校法人・堀越学園(高崎市)の経営悪化問題で、法人の運営する堀越、子供の国両幼稚園(同)で送迎バスと給食を担当するパート9人が26日、月給の不払いが原因とみられる集団欠勤をした。この結果、堀越幼稚園の送迎バス5台が運行できず、園児約100人に影響。給食は同園の園児約140人が急きょ、弁当を持参した。
同園によると、バスを利用する園児は保護者が車などで送迎。給食は通常、2園分を同園で調理しているため、子供の国幼稚園では、職員が園児53人分の食事を購入するなどして用意した。
経営悪化問題では、法人は正規の職員に約1年間、給料の遅配を続けているが、職員の大半は園児らのために働き続けている。法人は雇用形態が不安定なパートについては、遅配すると退職される恐れがあるとみて、先月まで優先して月給を支給。しかし今月25日の支給日は遅配し、初めての集団欠勤につながった。
堀越幼稚園に園児をバスで通わせる母親(37)は「仕事をしているので、送迎に約30分時間がかかって迷惑だった。法人は経営をしっかりしてほしい」と顔を曇らせた。
両園を兼務する小山富也園長は「給食は27日から正常にできそうだが、バスは運行に数日かかりそうだ」と困惑していた。
堀越学園:構内道路、地主が通行止めに「地代払われず」(2012年7月)
学校法人堀越学園(高崎市、大島孝夫理事長)の中山キャンパス(同市吉井町岩崎)で、借地上の構内道路に土地所有者がロープを張り、通行止めにしたことが1日、わかった。県道との交差点には信号機があり主に車の出入りに使われており、学生送迎用の大型バスが構内に入れなくなった。
土地所有者によると、この土地は駐車場などとともに賃貸借契約が結ばれていたが、3年ほど前から地代支払いが滞り、契約を解除して2011年12月末に「通行禁止」の看板を立てた。その後、滞納地代を分割払いすることで合意したが、2回支払われただけだった。督促に対し、学園側から何の連絡もないため、6月30日に通行止めにしたという。土地所有者は「学生には迷惑がかからないよう配慮してきたが、約束が守られないので、やむを得ない」と話した。
同キャンパスには、創造学園大創造芸術学部と高崎保育専門学校、財務部門の事務所がある。
大半は元本9割戻らず、刑事告訴も…堀越学園債(2012年7月)
群馬県高崎市の創造学園大などを運営する学校法人「堀越学園」(大島孝夫理事長)が2010~2011年に発行した学校債が満期後も当初の条件通りに償還されない問題で、学園が不定期に続けてきた購入者への少額の返金が5月以降、ストップしていることが20日、わかった。学園の資金難が深刻化していることの表れと見られ、一部の購入者は詐欺容疑などでの刑事告訴も検討している。
募集要項によると、学校債は一口50万円で、年率5.5%(固定金利)。募集期間は2010年6月1日~2011年5月31日だった。
しかし、学園は資金繰りの悪化を理由に1年後の満期を迎えても購入者に償還せず、「元本の一部」として毎回1万~2万円を今年4月頃まで不定期に支払ってきたが、その後、支払いは途絶えているという。
学園が確認している名簿によると、購入者は東北から九州まで約60人おり、総額は1億5050万円に上るという。ただ、大島理事長が今月7日付で購入者に送った手紙では、総額を約2億5000万円程度と見込んでいる。これについて大島理事長は「(募集は自分の理事長就任前で)幾ら集金したのか全く分からない。名簿にも記載されていない方もいる」と説明。学園として発行規模すら確定できていないのが実態だ。
購入者のうち、返金率は最高でも3割で、大半が1割を切っている。
関西地方の60歳代男性は500万円分を購入。金利は「特別に上乗せする」として8.4%になった。昨年10月に満期を迎えたが、4月を最後に返金が途絶えた。返金されたのは計10万円、返金率はわずか2%だ。男性は「これでは完全な詐欺だ。どうせ戻ってこないなら、警察への告訴を検討する」と話す。
関東地方の60歳代女性は200万円分購入したが、昨年8月の満期後の返金は計17万円で、今年5月以降は止まっている。女性は「脳の血流が良くない。手術費用にあてたいのに」と嘆く。
450万円分を購入した関東地方の70歳代男性は昨年9月と11月、いち早く裁判に持ち込み、全額支払いで和解したため約140万円を取り戻したが、今年3月以降の分割払いは果たされていない。関東地方の60歳代男性は100万円分を購入したが、昨年9月満期後の返金は7万円のみ。今年1月の1万円の振り込みが最後で、今年2月に提訴し勝訴したが、全く支払いはないという。
文部科学省は「一刻も早く返金するように指導し続けているが報告がまだない」としている。
堀越学園再建見えず、迷走続き授業に支障(2012年7月)
経営悪化が表面化している高崎市の学校法人「堀越学園」(大島孝夫理事長)が、再建に向けた青写真を描けずにいる。度重なる不祥事の結果、国や県の補助金が打ち切られたうえ、運営する創造学園大の本校では今年4月の入学者がゼロになるなど、収入の柱を喪失。さらに、新旧経営陣の対立で、民事再生法の申請など再スタートに必要な措置を取ることができずに状況は一層悪化、学生や園児の授業にも支障を来し始めている。
創造学園大中山キャンパスに5月21日、10人以上の警察官が緊急出動した。
元理事長の堀越哲二氏らの地位保全の仮処分が認められたことを受けて、旧経営陣側の理事らが学長室にいた井上晴彦学長に理事長印を渡すよう迫り、身の危険を感じた井上学長が事務局を通じて110番。井上学長ら理事会は、「学生の安全を優先するため」と、翌日から同キャンパスを7~10日間休校にした。
学生が授業を受ける機会が脅かされたのはこれだけではない。
「7月10日までに滞納金を支払えなければ11日以後に送電を停止する」。今月、東京電力からの通告に理事は凍り付いた。
学園は、電気や電話、水道などの公共料金を数か月間滞納。同10日、手元の資金をかき集め理事らは東電へ。百数十万にも及ぶ滞納金の一部を支払い、かろうじて期限は延期された。
最大で10か月にも及ぶ給与の不払いに、職員の堪忍袋の緒が切れたのが6月下旬。給料日の同25日に給与が支払われなかったために翌日、運営する2幼稚園で、一部の職員が出勤を拒否し、給食や送迎バスの運行が出来なくなった。学園側の説得で、給食のストップは1日にとどまったが、送迎バスの職員は同29日に実際に給与が払われるまでハンドルを握らなかった。
また、学園の借金の共同担保となっていた堀越氏名義の自宅を含む土地建物などについて、6月6日付で競売の開始が決まった。債権者の整理回収機構(RCC)が教育施設と直接関係のない部分の処分に踏み切ったと見られる。
学園では、中山キャンパスの一部の土地の地代も滞納。土地所有者が3か月以内の明け渡しを求め、一部構内道路を通行止めにしている。5%以上の高い利息で全国から募集したのにもかかわらず、満期を迎えても約束通りに償還できずにトラブルとなっている学校債の返金も5月以降、ストップし、購入者の怒りは頂点に達している。
学園関係者は「資金が底をついている」と嘆く。
堀越学園の迷走には、様々な不祥事を原因とする信用失墜に加え、経営陣の対立が大きな影を落としている。
元理事長の堀越哲二氏が今年1月、これまでの経営責任を問われて学長など一切の役職を解任された。その後、大島孝夫氏が理事長に就任。米キリスト教団体の資金援助による学園再建方針を表明した。しかし、大島理事長らによると、マスコミの取材で学園の実情を知った教団が支援を見合わせ、現在まで資金援助は実行されていない。
一方、解任された堀越氏と理事3人が地位保全を求めて仮処分を申請。5月に4人の仮処分が認められると、大島派と堀越派の新旧経営陣が互いに正当性を主張するようになった。このため民事再生法適用を申請し、債務を圧縮後に、外的資金を導入して再建するというシナリオは宙に浮いた。
今月11日に仮処分の一部が変更され、堀越派の理事1人の地位保全が却下されたが、本裁判も19日に始まり、依然不透明感はぬぐえない。再建の遅れから雪だるま式に膨らんだ負債は総額55億円とも言われ、使途不明金や学校債の実態解明は進んでいない。
文部科学省は「地位保全うんぬんより、公共料金や給与の支払いなど目の前の問題を解決して、最低限の教育環境を確保してほしい」と話している。
設置学校
- 高崎保育専門学校
- 高崎芸術短期大学(廃校)
- 高崎福祉専門学校(廃校)
- 堀越幼稚園
- 子供の国幼稚園
- 創造学園大学
- 高崎医療技術福祉専門学校
関連法人・関連学校
- 創造学園大学附属高等学校(学校法人創造学園)