ヌード写真
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ヌード写真(- しゃしん)とは、老若男女を問わず、人間の裸体(の一部)を撮った写真作品。全裸でない場合には、セミヌードと呼ばれる事もある。芸術志向で撮られたものから、もっぱら性的な興味・目的で撮られた実用志向のものまで様々なタイプがある。
歴史
ヌード写真の歴史はほぼ写真術の歴史と同時に始まった。写真の発明からおおむね第2次世界大戦頃までに撮影されたモノクロのヌード写真をヴィンテージ・ヌード(vintage nude)と呼び、好事家に珍重されるほか歴史的資料としても価値があるものとされる。例えば、第二次世界大戦前から戦中にかけてのドイツでは、アーリア民族はそれだけで美しく、アーリア人女性そのものが芸術であるとのプロパガンダから、ドイツ女性の裸体絵やヌード写真の撮影・出版が盛んに行われた。その一部の記録は現在でも残っている。
被写体は、伝統的に女性が大半を占める。初期には、女性の裸体がタブー視されていたと言う時代背景から、娼婦や撮影者とごく近しい人物がニンフなどの扮装をして絵画のワンシーンのようなポーズをとった形でモデルをつとめ、撮影された写真は文学的・芸術的観点を重視して評価された。(妖精や魔女は人間ではないので、衣服を着ていなくてもかまわないとされたため、裸体画やヌード写真の題材として利用された。)やがて性風俗の一環として定着し、娼婦・風俗嬢が被写体の主流となった。始めのうちは写真自体が普及しておらず、又、倫理感の強い社会では人前でヌードが公開される事も少なかったが、第2次世界大戦後の米国の雑誌『PLAYBOY』はプレイメイトの写真を多く掲載し、人気を博した。日本では終戦後のカストリ雑誌にヌード写真が掲載される事があり、次第に青年向け雑誌などのグラビアページを飾るようになった。時には芸能界で人気のある女性がヌードになり、社会に衝撃を与える事もあった。現在では女性(時には男性も)がセクシュアルな身体的魅力を表現する手段として用いられる事があり、被写体もアイドル・俳優から一般の人まで、様々である。
作品の傾向
作品の傾向としては、いくつかに分類される。
- 芸術的なもの、彫刻のように美しく撮影したり、肉体をオブジェのように表現したもの
- 若い女性の美しい肉体を愛でるもの
- 主に風俗的な興味で撮影されたもの
- 生活臭の強い作品、または薄汚い作品や一般に不快感を催すようなもの
- 荒木経惟のヌード写真は従来の写真表現でタブーとされていた生活感をあらわに示している
以上のようにヌード写真には様々のものがあるが、「このような作品が最も価値がある」とは、一概には言えないようである。
また、撮影される目的を見てみると、芸術的鑑賞のための作品がある一方で、性的な興奮を起こさせる事が目的の作品もある。なお、撮影者の意図と鑑賞者の考えが一致しない場合もある。
一部のヌード写真については、誰が撮影したのかがほとんど問題にされない作品、又は誰が撮影したのか明示されていない作品もある。
プライベート・ヌード
若い頃の自分の姿を写真に残しておこうという意図で撮影されるヌード写真であり、公衆への頒布や展示を目的としていないものがほとんどである。
被写体の多くは若い女性あるいは男女カップルで、撮影はプロの写真家に依頼するものから(中にはスタイリストやメークも付き写真集を仕上げる本格的な撮影もある)、友人や恋人に撮影してもらうものや、タイマーあるいはリモコンを使って自分で撮影するものまで、様々である。デジタルカメラの普及により、誰でも簡単にヌード写真が撮れるようになったため、密かに広まっているものと思われる。
なお、恋人が撮影する場合、二人の関係が破局すると恋人が怒りに任せてヌード写真を頒布流出させる事例もあり、被写体のプライバシーが侵害される事件も起こっているので、作品の取り扱いには特に注意が必要である。
著名なヌード写真家
- 野島康三
- 沢渡朔
- デイヴィッド・ハミルトン
- 荒木経惟
- 篠山紀信
- ロバート・メイプルソープ(ロバート・メープルソープ、Robert Mapplethorpe; 1946-1989)
- 木津智史
- 高橋生建
ヌード写真の例
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