大阪府の施設における国旗の掲揚及び教職員による国歌の斉唱に関する条例
大阪府の施設における国旗の掲揚及び教職員による国歌の斉唱に関する条例(おおさかふのしせつにおけるこっきのけいようおよびきょうしょくいんによるこっかのせいしょうにかんするじょうれい)とは大阪府の条例。
概要
大阪府の施設における国旗の掲揚と教職員による国歌の斉唱について規定している。
国旗国歌法や学習指導要領や教育基本法の趣旨を踏まえ、「学校行事で行う国歌斉唱は起立により斉唱する」と規定。
条例の目的は以下の通り。
- 府民、とりわけ次代を担う子どもに対し、以下のことを教えること
- 伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛する意識の高揚に資すること
- 他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと
- 府立学校及び府内の市町村立学校における服務規律の厳格化を図ること
条例に罰則規定はなく、本条例の条項は「市町村教育委員会の服務の監督権限を侵すものではない」と規定されている。
2011年4月の大阪府議会選挙で議会過半数を獲得した大阪維新の会の主導によって提出され、6月3日に条例が可決成立した。
君が代斉唱時に職員の起立斉唱を義務付けた全国初の条例。毎日新聞は社説「条例までは不必要だ」で、「思想・良心にかかわる問題をはらむ以上、行政処分の域を踏み越えて、あえて条例を定めて抑え込むのは行き過ぎ」とした。産経新聞は主張「教委も毅然たる指導せよ」で、「国旗、国歌の大切さを教える限られた機会に教師が背を向けるようでは、国旗、国歌を自然に尊重する態度をはぐくむことはできまい」と述べた。
なお、自民党が大阪府の施設で国旗を掲揚することを規定した「大阪府の施設における国旗の掲揚に関する条例」(大阪府国旗条例)を提出したが、否決され廃案となった。
君が代起立斉唱の職務命令に3回違反したら分限免職
教育基本条例案の修正案を巡って2012年2月8日開かれた大阪府と大阪市の統合本部会議で、処分の規定が決まった。卒業式シーズンは間近。がぜん現実味を帯びてきた「免職」に現場では波紋が広がっており、自らの思想信条を守るため「卒業式には出られない」と思い詰める教員もいる。
府教委は先月、君が代の起立斉唱を求める職務命令を初めて出した。すると、ある府立高校では今月に入って「前もって不起立を宣言したら、卒業式で座席を指定されるらしい」とささやかれるようになった。 校長が職務命令違反の教職員を確認するためだという。
30年以上起立斉唱に反対し、不起立を繰り返してきたある府立高の男性教諭は「露骨な思想弾圧。日の丸・君が代反対よりも、強制によって排外主義が助長されることの方が問題だ」と憤る。
卒業式で「何で立たへんの?」と生徒に問われるたび、歴史的な経緯や自分の思いを語ってきた。指紋押なつを拒否する外国籍の生徒の苦しみに触れた経験もある。若い教師が無意識に起立斉唱を受け入れることに怖さも感じる。
「クビになってもいいという同僚もいる。でも、自分を貫けば家族にも迷惑をかける。面倒なことに巻き込まれて消耗するのも嫌だ」。だから、今年は卒業式の会場に入らないつもりだ。
「公務員だからといって、生き方まで否定していいのか。生徒に多様性を教えている教員が画一的に支配されようとしている」。 (毎日新聞)