学問
学問(がくもん)とは、文化の1つで、系統的・体系的知見の総体である。学門の専門家を一般に「学者」と呼ぶ。
目次
概要[編集]
学問については体系化された知識を指すことが多い。ただし、学問を知識のことだとするのは、あくまで一例であり具体的な意味や目的による定義は多数存在する。また主観的にも意味合いが違ってくる(一般的な共通認識としては、漠然ではあるが、学問は行政、大学もしくは学会により主導されるものと広く考えられている)。 学問の追究によって得られた知識などは学会、学術雑誌などでの査読・発表を経過し認められた後に世の中に知られる
基本的に学問の名前は、接尾語である「学」を付けて言い表すが、「学」が付いていないもの(省略されているもの)も多数有る。
学問の分類[編集]
学問の分類は人によって異なる。大まかには、日常会話や文献検索時の共通キーワードとして、時と場合により下記の分類のいずれかとすることが多い(これ以外の分類も多数存在するが、一般的で無い)。なお、科学、技術、工学などの言葉は、定義が無数にあり、統一的な定義は存在しないため、科学と技術をベースとした学問の分類とその範囲を厳密に決めることは困難である。
- 文系、理系の大雑把な分類
- 学会による分類
- 図書による分類(日本十進分類法など)
- 公務員試験、企業の就職試験、資格試験に見られる区分け
- 1991年以前の半数以上の大学に共通して見られる組織による分類(工学、理学、農学、医学、薬学、文学、経済学、法学など。これは、大学設置基準などの改正で、大学における学問の基本分類が撤廃されたためである。)
- 学位の分類((5)とほぼリンクしている)
- 科学技術行政の統計を作成する場合の分類(例えばユネスコ勧告 [[1]])
- 一般的または慣例的に使用される、人文・社会・自然科学による分類および、基礎と応用の区分けなどによる分類(下記に、この分類の一例を示す。この例以外の、分類解釈も存在する。)
人文科学・社会科学・自然科学の区分け[編集]
人文科学[編集]
- 哲学
- 倫理学
- 宗教学
- 言語学
- 文学
- 美学
- 芸術学
- 歴史学
- 考古学
- 地理学(自然地理は自然科学に分類される)
- 人類学(自然人類学は自然科学に分類される)
- 民俗学
- 心理学(心理生理学は自然科学に分類される)
この分類以外に、大学の文学部で行っている学問を指す解釈も有る。
社会科学[編集]
下記の小分類の幾つかは、人文科学に含める場合も有る。最も大まかな分類では、社会科学全体が人文科学に含まれる。
- 統治系
- 法学
- 政治学
- 政策学(オペレーションズリサーチという側面が有る場合には応用科学に分類)
- 行政学
- 経済系
- 一般系
この分類以外に、大学の法学部、経済学部、教育学部などで行っている学問を指す解釈も有る。
自然科学[編集]
基本的には、大学の理学部で行っている学問を指す。
基礎科学と応用科学の区分け[編集]
基礎科学(虚学、英:science、希:σχιζειν)とは、基礎的な面から見た分類。通常は、社会・人文・自然科学の総称として用いることが多い。オックスフォード英語辞典の「science」の項には、「直接何かの役には立たない学問。世界の根源を探求する学問」とある。
応用科学(実学、英:art、希:τεχνη)とは、応用という側面から見た分類。応用科学は、広義に自然科学に含める場合が多い。基本的に、医学部、薬学部、歯学部、獣医学部、工学部、農学部で行っている学問を指すことが多いが、人文科学や社会科学の応用分野についても応用科学とされることもある。実学は直接的に文明や人間活動の役に立つが、時代や人類の範疇を超えた普遍性という点では虚学に劣る。
応用科学の例[編集]
- 医学 - 伝統医学 - 中医学
- 解剖学
- 生理学
- 獣医学
- 栄養学
- 看護学
- 工学 - 機械工学、経営工学、原子力工学、材料工学、情報工学、化学工学、生物工学、電気工学、電子工学、土木工学、建築学、他
- 歯科学
- 農学 - 林学 - 水産学
- 薬学
- 軍事学 - 軍学
- 教育学(教育科学)
総合科学・学際分野[編集]
学際分野とは、複数の小分類の学問を組み合わせたり、目的別によるテーマ(例えば環境問題)ごとに複数分野の学問の観点からアプローチする新分野の学問のことである。また、このような学際分野が体系性を持った科学であることを強調するときに、「総合科学」の語が用いられることもある。
各大学では学際分野の学問を指向することもあり、総合科学のほかにも総合人間学などの多様な呼称があり、独自の名称で呼ばれていることもあり、世間への認知は広がりつつある段階である。また、学際的な大学の新組織も、各々の教員は、小分類の学会などでも活動を行っており、新学問を指向した教育研究組織のほとんどは、各教員が有する学位の専攻分野などは異なっている。
なお、国際連合教育科学文化機関 (UNESCO) の勧告による科学技術統計を作成する際の分類では、学際分野自体での分類はなされておらず、テーマにより「人文社会科学」「工学と技術」のいずれかに含めるとされている。また、国際連合教育科学文化機関の勧告では、「総合科学」といった名称は使用されておらず、「学際」という名称になっている。 さらには、新学際分野の学会は整備途上であることを考えると、現在のところは図書等の検索時キーワードとしては「学際分野」の語の方を用いた方が効率的であるといわれている。