宇宙世紀

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宇宙世紀(うちゅうせいき、Universal CenturyU.C.)とは、アニメ作品群「ガンダムシリーズ」のうち、『機動戦士ガンダム』およびその派生作品の舞台となった架空の紀年法

スペースコロニーへの移民が開始された年を0001年とする。慣用的に4桁の年号で表記され、例えば宇宙世紀0079年はU.C.0079、宇宙世紀0123年はU.C.0123と表記し、それぞれ「ユニバーサルセンチュリー・ダブルオーセブンティナイン」、「ユニバーサルセンチュリー・オーワントゥエンティスリー」と発音する。日本語の場合も「うちゅうせいきダブルオーセブンティナイン」、「うちゅうせいきオーワントゥエンティスリー」と、年号は英語式に読む。

また、それらの作品の世界観そのものを指して「宇宙世紀」という場合もある。

宇宙世紀の世界観

宇宙世紀世界のうち、アニメ作品で描かれたのは『機動戦士ガンダム』の舞台となった宇宙世紀0079年頃から、『機動戦士Vガンダム』の舞台となった宇宙世紀0153年頃までである。

この時代においては、増えすぎた地球人口による食糧問題や環境破壊などへの対策として、地球圏(地球および月とそのラグランジェ点)に多数のスペースコロニーが建設され、そこに多くの人々が居住している。しかしこれらコロニーの自治権を巡り、地球連邦政府とコロニー住民(スペースノイド)との間で衝突が頻発し、ついには宇宙世紀0079年の一年戦争をはじめとする多数の大規模な戦乱を生じるに至る。そのような状況の中、レーダー無線通信を阻害する「ミノフスキー粒子」の発見・利用によって、特に軍用兵器において劇的な技術革新が起こった。その代表格が人型汎用機動兵器「モビルスーツ」である。

主要交通手段である自動車に関しては、小説版でエレカ(電気自動車)と記述されている。我々の時代ではようやく開発が本格化し始めたところだが、宇宙世紀の地球は我々の時代よりも環境破壊が進んでいることや[1]、スペースコロニーの密閉された空間という事情もあり、必然的に環境対策に取り組んだ結果の電気自動車の普及だと推測される。

月面にも都市が建設されている他、ルナツー、5thルナ、ア・バオア・クーなどの地球軌道上に曳航された小惑星も周回しており、要塞として使用されている。更に、宇宙世紀も1世紀を過ぎた頃には、木星圏においても「国家」と呼び得る程のコロニー群が建設されている。核融合炉のエネルギー源であるヘリウム3の採取を行う惑星間航行船も往来し、人類の最先端とされている。一方、これだけ宇宙開発が進んでいながら、地球からの離脱手段は依然として旧来の化学ロケットが中心であり、軌道エレベータなどの革新的な交通手段は実現されていない。

機動戦士Ζガンダム』においてパプテマス・シロッコが綴った「血の誓約書」、カイ・シデンハヤト・コバヤシに宛てた手紙、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』においてオクトバー・サランがチェーン・アギに宛てた手紙など、作中に登場する文書類の文面は基本的に英語で書かれている。この時代では地球連邦として地球全体が一つの政府により統治されていることもあり、英語が公用語化しているものと推測される[2]。なお、我々の時代である20~21世紀は「中世」に当たるとされ、ギレン・ザビアドルフ・ヒトラーを指して「中世期の人物」と言っている。

宇宙世紀の正史

ガンダムシリーズはアニメ以外にも漫画・小説など多数の派生作品が作られており、それらの間で歴史に食い違いが生じていることがある。アニメ制作元のサンライズでは、「映像化された部分が公式である」という見解を示している。映像作品であってもTV版、劇場版、OVA等を比較すると内容に食い違いが出る箇所があるが、サンライズは「どれも公式」としているため、どれを正しい歴史「正史」とするかはファンの解釈に任されている(逆に言えば、唯一の正史というものは存在しないと考えることもできる)。なお、映像作品であってもスタッフによる「『ガンダム』に関しては劇場版で語られたこと以外は全てグレー(準公式)」という発言もある。

また、派生作品であっても公式に準じるものとして見なす場合もある。例えば、小説で発表された『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』や漫画『機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91』などの作品に関する事件も宇宙世紀公式年表には表記されている。また、『機動戦士クロスボーン・ガンダム』は漫画作品であるが、アニメの原作者および監督を務めた富野由悠季が直接制作に関わっており、『機動戦士ガンダムF91』の後のアニメ化されていない時代(宇宙世紀0133年~0136年)を描いていること、またコンピュータゲーム等において他の作品と同格に扱われていることもあって、公式に準じる作品として見なされている。

また、富野自身が書いた小説『ガイア・ギア』は1980年代後半に発表されたものだが(時代としては宇宙世紀0203年頃が舞台)、現在では絶版となっており(著者側等の諸事情によって復刊は困難とのこと)、後にサンライズが監修した書籍等における設定にも反映されていない。

さらに、宇宙世紀の最も未来を描いた『G-SAVIOUR』は、当初年号がS.C.(スペースセンチュリー)に設定され、別世界の物語であったものが、後に宇宙世紀へ改定された経緯がある。そのため、人型機動兵器の呼称や細かい設定等で矛盾が見受けられ、『ガイア・ギア』と共に宇宙世紀の正史という面では極めて黒に近いグレーな存在となっている。

宇宙世紀の時節

  • 宇宙移民の開始を以って、紀年法を「宇宙世紀」へ移行(西暦末期)
宇宙世紀0001年が西暦何年かは明確に定められておらず、放送当時の富野による「1969年のアポロ11号月面着陸でも1999年のグランドクロスでも好きな時にしてくれ」という発言から、この両年を宇宙世紀0001年としている資料も一部存在する(サンライズの宇宙世紀公式年表では、1999年は地球連邦政府樹立の年)。一般的には2045年(旧設定におけるコロニー建造開始年)より未来の時間軸だと語られることが多いが、2008年現在も公式設定は存在しない。

宇宙世紀の終焉

宇宙世紀の存続年数は定かでない。公式作品ではないが、『機動戦士Vガンダム外伝』において、宇宙世紀0653年に「恒星航行用宇宙船ダンディ・ライオンによってプロキシマ・ケンタウリへの植民を達成した」との記述がある。また、∀ガンダムが建造されたのは宇宙世紀で言う7800年頃である(その時代の紀年法が宇宙世紀か否かは不明)。この時期は何千年に渡り延々と続く最終戦争アーマゲドンの最終局面であり、人類は滅亡の危機に立たされていた。そして∀ガンダムは月光蝶を発動し、地球圏から木星圏までの人類の文明は崩壊した。その後、生き残った人類は月へ移住する者と地球に住み続ける者に分裂し、地球環境の再生を待った。人類はこの最終戦争にまつわる記録を黒歴史と呼び、月への移住者ムーンレィスによって封印された。

正暦へ

それから数千年後、地球が20世紀初頭の文明レベルにまで回復した頃の紀年法が『∀ガンダム』の舞台、『正暦』である。

宇宙世紀以外の世界観

『機動戦士ガンダム』の続編作品は全てこの宇宙世紀を舞台としていたが、1994年からは『機動武闘伝Gガンダム』をはじめとした「ガンダム」を冠しながらも続編ではない、原作者富野由悠季以外の手によるストーリーが発表され、宇宙世紀以外の時間軸で活躍するガンダムも出現することとなった。即ち『機動武闘伝Gガンダム』の「未来世紀」、『新機動戦記ガンダムW』の「アフターコロニー」、『機動新世紀ガンダムX』の「アフターウォー」といった紀年法による世界である。

1999年に富野由悠季の手で『∀ガンダム』が発表された。『∀』の世界自体は「正暦」という紀年法だったが、作中明らかにされた過去の歴史「黒歴史」において、宇宙世紀の世界だけでなく、『G』、『W』、『X』の世界も含まれていることになった。これは、全てのガンダムを全肯定するという意味を込めたものであった。

『∀ガンダム』以後にも新たな時間軸「コズミック・イラ」で展開される『機動戦士ガンダムSEED』および『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』が放映された。ガンダムエースで連載された安田朗の漫画『月の風』では、同作品群の世界が黒歴史の一部として描かれた。

なお、2008年時点における最新作『機動戦士ガンダム00』の舞台は西暦2307年であり、初の西暦時間軸における作品となっている。宇宙世紀は西暦の延長線上にあるという設定だが、『00』の西暦との関係は未だ言及されていない。

脚注

  1. 『機動戦士Ζガンダム』における、地球連邦政府の議会が置かれているダカール周辺の砂漠化などに象徴される。
  2. 『機動戦士ガンダムUC』では、英語を基本言語として綴りと発音を一致させた「世界標準語」が制定されている。

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