上田美由紀

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上田 美由紀
上田 美由紀
上田 美由紀

上田 美由紀(うえだ みゆき)は、鳥取連続不審死事件の犯人である。

鳥取県鳥取市を中心におこった連続不審死事件である。2009年に発覚した(事件は2004年から2009年にかけて、計6件)。元スナックホステス・上田美由紀(2009年当時、35歳)の周辺で6人の不審死が起こり、注目された。

概要

鳥取連続不審死事件

2009年11月に上田美由紀が別件の詐欺罪で逮捕された後に一連の不審死に関する捜査が行われた。2010年1月に上田美由紀は強盗殺人罪で逮捕され、最終的に2人の殺害した罪で起訴された。

一連の不審死事件

42歳男性不審死事件
2004年平成16年)5月13日、上田美由紀の交際相手で、読売新聞鳥取支局に勤めていた男性記者(42歳)が段ボールに詰められた状態で鳥取市内で列車に轢かれ死亡した。段ボールには「出会って幸せだった」などのようなことが書かれており、鳥取県警は文面の様子などから遺書と判断し、男性記者の死因を「自殺」と処理して司法解剖などは行わなかった。男性記者は女との金銭トラブルがあり、同僚などから重々借金をしていた。
27歳男性不審死事件
2007年(平成19年)8月18日、上田美由紀の家族と共に貝を採りに鳥取砂丘近くの海岸に出かけた会社員の男性(27歳)が海で溺れて病院に搬送、約10日後に死亡した。男性は泳げなかった。上田美由紀とは2001年頃にスナックで知り合い、2005年頃から同居するようになった。男性は上田美由紀から日常的に熱湯をかけられるなどの暴行を受けていた。
41歳男性不審死事件
2008年(平成20年)2月、鳥取市郊外の山中で鳥取県警所属の男性警察官(41歳)が首つり死しているのが発見。男性は上田美由紀が働いていたスナックの常連客であり、2人の間で金銭トラブルがあったという。
矢部和実さん(当時47歳)不審死事件(起訴事案)
2009年(平成21年)4月11日早朝、北栄町沖の日本海でトラック運転手の矢部和実さん(当時47歳)の水死体を発見。遺体からは睡眠導入剤、肺からは水死の場合入るはずのない砂が検出された。
58歳男性不審死事件
同年9月、上田美由紀と同じアパートに住んでいた無職の58歳男性が女の車を使って運転していたら鳥取駅前で乗用車と衝突。上田美由紀は「相手と示談する」といい、男性から8万円もらったが、その後、ことは進展せず、男性が示談相手ともめることになった。そして、1ヶ月後に男性が突如体調が悪くなり、10月27日に死亡。前日にはこん睡状態に陥っていた。男性は上田美由紀のスナックの常連客で、自宅の鍵を上田美由紀に預けていたという。
円山秀樹さん(57歳)不審死事件(起訴事案)
同年10月6日、自営業の円山秀樹さん(57歳)が「集金に行く」といい、車でどこかへ出発、翌日の午後2時、自宅から約4km離れている鳥取市内の摩尼川でうつ伏せの状態で死亡しているのが発見された。しかし、川は溺れるはずのない水深約20cmで顔を押し付けた可能性があり、遺体から睡眠導入剤が検出された。円山秀樹さんは上田美由紀とその同居人に140万円ほどの未収金があり、前日の発言はこのことだと思われる。現場から約10m離れたあたりに円山秀樹さんの車が発見され、カーナビの走行記録をみたところ、自宅を出発してから事務所そこから約7km離れた上田美由紀の自宅へ行き、数度、上田美由紀の自宅敷地を出入りし発見現場に到着。その後は移動していない模様。

電気工事業の円山さんとは4年前から知り合い

鳥取県警が強盗殺人容疑で逮捕した元スナック従業員上田美由紀と、被害者の電気工事業円山(まるやま)秀樹さんは少なくとも4年前から知り合いだった。上田は円山さんに家電製品の修理を頼んでおり、2人の間で商品がやりとりされたのは今回が初めてだったという。県警は、円山さんが未払い代金の支払いを再三求めたことが、殺害のきっかけになった。

上田に電気業者の紹介を頼まれた鳥取市に住む男性が、リフォーム関係の仕事で知り合いだった円山さんを紹介。上田は2005年後半以降、円山さんに家電製品の出張修理を何度か依頼しており、その際は代金未払いはなかったという。

しかし、2009年8~9月、上田は、同居する元自動車セールスマンの男(46)=詐欺罪などで起訴=と一緒に、初めて円山さんから代金後払いでテレビやDVDレコーダーなど12点、約123万円相当の商品を入手。しかし、代金を支払わず、新品のままリサイクル店などに転売し、現金化した。

円山さんは最後の商品を渡した2009年9月2日以降、上田や男に督促。行方不明になる前日の2009年10月5日には、円山さんから上田と男が使う携帯電話に計4回電話をかけていた。円山さんの姿はたびたび、上田らが住むアパートでも目撃されており、円山さんは知人に、代金回収のために訴訟を起こすとも話していた。

円山さんの再三の支払い要求に対し、「現金書留で代金を送った」「親が払う」などと言うものの、上田と男は代金を払わなかった。

県警が今回、上田を殺人容疑ではなく、強盗殺人容疑で逮捕したのは、上田が円山さんを殺すことで、未払い代金の支払いを免れ、財産上、不法な利益を得たとみているためだ。

県警の調べに対し、上田と男は、円山さんが行方不明になった2009年10月6日午前、円山さんと一緒に、円山さんの遺体が発見された摩尼(まに)川まで行っていたことを認める供述をしている。

2件目強盗殺人罪で上田起訴(2010年3月)

鳥取県沖の日本海で2009年4月に水死体で見つかった同県若桜町のトラック運転手矢部和実さん(47)を借金返済を免れるために殺害したとして、鳥取地検は3月24日、鳥取市の元スナック従業員上田(うえた)美由紀を強盗殺人罪で起訴し、発表した。上田は同市の電気工事業円山(まるやま)秀樹さん(57)に対する強盗殺人罪でも起訴されている。

地検は、上田が起訴内容を認めているかどうかについて明らかにしていないが、捜査関係者によると、上田容疑者は取り調べに対し、円山さんの事件も含めて黙秘を続けているという。

上田は2009年4月4日午前7時半~同10時40分ごろ、矢部さんから借りた270万円の返済を免れるため、睡眠導入剤などを飲ませて意識がもうろうとした矢部さんを同県北栄町の海岸に誘い、おぼれさせて殺害した。

地検は、上田がひとりで矢部さんを殺害したとみている。上田が矢部さんに睡眠導入剤を飲ませた場所については特定できていないが、どのように飲ませたかについては、「公判で明らかにする」としている。

一方、鳥取県警は、上田の隣人で、2009年10月に死亡し、円山さんや矢部さんと同じく体内から睡眠導入剤が検出された無職田口和美さん(58)についても、事件に巻き込まれた可能性があるとみて捜査を続けている。

上田に新たな詐欺容疑。8回目逮捕(2010年4月)

鳥取県警鳥取署は4月12日、鳥取県の連続不審死をめぐって2件の強盗殺人罪などで起訴された鳥取市福部町の元スナック従業員上田(うえた)美由紀と、別の詐欺罪などで起訴された元自動車セールスマンの男(46)を新たな詐欺容疑で再逮捕した。上田の逮捕は通算8回目で、詐欺容疑について否認している。

2人は2009年8~9月、鳥取市内の中古車販売店で軽乗用車4台(計約130万円相当)、農機具販売店で発電機など8点(計83万3千円相当)を転売目的で詐取した。

鳥取不審死、捜査本部を解散。無職男性死亡は立件せず(2010年5月)

鳥取県で死亡した男性3人の体内から相次いで睡眠導入剤が検出された連続不審死事件を捜査している鳥取県警は5月10日、捜査本部を解散した。

男性2人の死については強盗殺人容疑で元スナック従業員上田美由紀が逮捕、起訴された。しかし、3人目の男性について、県警は病死と判断した。

起訴状によると、上田は2009年4月、借金返済を免れる目的で同県若桜町のトラック運転手矢部和実さん(当時47)を同県北栄町の海岸で殺害、同10月には家電製品代金の代金支払いを免れるために鳥取市の電気工事業円山(まるやま)秀樹さん(57)を同市の川で殺害した、とされている。

県警は、上田被告の隣人で、2009年10月に自宅で倒れ、死亡が確認された無職田口和美さん(58)についても死亡した状況に不審な点があるとして捜査してきた。

“西の毒婦”上田美由紀のおぞましき“籠絡セックス”

男たちから金を巻き上げ、次々と殺害したといわれる“毒婦”木島佳苗(37)。その木島と同じく、多くの男性の不審死事件で逮捕され、“西の毒婦”と恐れられた上田美由紀(38)の初公判が、2012年9月25日に鳥取地裁で開かれた。   ところが、その法廷で明かされたおぞましき籠絡セックスの手口が、司法関係者らを驚愕させているのだ。司法記者がこう話す。

「この裁判は、2009年に不審死した2人の男性(=当時57歳と47歳)の殺人容疑が争点。上田が関与したとみられる事件は計6件あるが、どれも証拠が乏しく、鳥取市内で上田と同居していた男(48=詐欺罪で服役、後に出所)が関与し、その供述で公判維持できそうな2件を当面起訴したというわけです。ところが、その冒頭陳述で、妻子持ちだった男を同居に引きずり込んだ、卑劣な手練手管が明かされたのです」

当時自動車販売員だった男性は、2007年に上田が働いていた鳥取市内のスナックに来店。男女仲となり、「避妊薬を飲んでいる」と話す上田と中出しセックスに励んでいた。だが、それが原因で、思わぬ脅迫を受けることとなったのだ。

「ある日、上田の妹のアケミと名乗る女から電話があり、『姉に子供ができた』『避妊薬を飲み忘れた』などとわめき立てたという。女はさらに『家族に捨てられる!』『親戚から妊娠を責められ、姉が自殺する』などと脅迫し、男に妻子を捨てて同居させたというのです」(同)

ただ、恐ろしいのはその先だ。冒頭陳述にある同居男性の供述によれば、実は上田には妹はおらず、電話したのは後に本人と判明。要は、セックスと血縁者を装った脅迫でがんじがらめにしていたというのだ。社会部記者がこう話す。   「上田は同居後も、濃厚なセックスと脅迫で男を共犯に仕立てたと検察側は主張しているが、被害者たちは軒並みこのアメとムチでたらしこまれ、金銭を搾取された揚げ句、殺害された模様。そのため、今後は被害者たちとの赤裸々な性が浮き彫りになると見られているのです」

もっとも、上田被告の弁護団は「同居男性の供述は全くの嘘」と全面対決の姿勢。判決は12月4日だが、今後の展開から目が離せない。

裁判

上田美由紀に死刑求刑(2012年11月)

債務を免れるため、男性2人に睡眠導入剤を飲ませ溺死させたとして強盗殺人罪などに問われた鳥取市の元スナックホステス上田美由紀(38)の裁判員裁判の論告求刑公判が2012年11月5日鳥取地裁野口卓志裁判長)で行われた。

検察側は「人命を軽視した身勝手極まりない犯行で、情状酌量の余地はない。被害者2人は恐怖と苦悶の中で絶命しており、(被告)自らの命をもって償わせる以外にない」と述べ、死刑を求刑した。

論告などによると、上田は2009年4月、トラック運転手・矢部和実さん(当時47歳)に睡眠導入剤を飲ませ、鳥取県北栄(ほくえい)町の海岸で水死させて借金270万円の返済を免れたほか、同年10月にも、電気工事業・円山秀樹さん(同57歳)を同様の手口で、鳥取市の摩尼(まに)川で水死させ、家電製品代123万円の支払いを逃れたとされる。

上田は強盗殺人罪について無罪を訴え、弁護側は元同居人の男性元会社員(49)=詐欺罪などで服役し、出所=による犯行と主張している。6日には弁護側の最終弁論があり、上田被告の最終意見陳述が行われる。判決は12月4日。

一審死刑判決(2012年12月)

鳥取県内で知人男性2人を殺害したなどとして、強盗殺人罪などに問われた鳥取市の元スナックホステス上田美由紀(38)の裁判員裁判の判決が2012年12月4日鳥取地裁であり、野口卓志裁判長は、求刑通り死刑を言い渡した。

判決によると、上田は2009年4月、トラック運転手・矢部和実さん(当時47歳)に睡眠導入剤などを飲ませ、同県北栄町の海岸で水死させて借金270万円の返済を免れ、同年10月には、鳥取市の摩尼川で電気工事業・円山秀樹さん(同57歳)を同様の手口で水死させ、家電製品代約53万円の支払いを逃れた。

野口裁判長は、被害者2人から検出された睡眠導入剤などについて、上田が両事件の直前に知り合いの男性から譲り受けるなどしたものと指摘するなどし、上田による連続強盗殺人事件と断定した。 これまでの公判で、上田は「私はやっていません」と否認し、被告人質問では黙秘。

弁護側は「同居していた男性元会社員(49)=詐欺罪などで服役し、出所=と警察が協力してうそをつき、被告を犯人に仕立てた」と反論した。

裁判は、裁判員選任から判決までの期間が過去2番目の長さの75日に及んだ。

2審も死刑。鳥取連続不審死事件。広島高裁松江支部(2014年3月)

鳥取県で平成21年に起きた連続不審死事件で、2件の強盗殺人罪などに問われ、1審鳥取地裁の裁判員裁判で死刑判決を受けた元スナック従業員、上田美由紀(40)の控訴審判決公判が20日、広島高裁松江支部で開かれ、塚本伊平裁判長は状況証拠に基づき上田の犯行を認定した1審判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。

1審でほぼ黙秘していた上田は控訴審で自ら関与を否定し、弁護側も無罪を主張した。直接証拠がなく、被告の供述の信用性をどう評価するかが最大の争点だった。

1審判決は、被害者2人の自殺や事故死の可能性を否定。

  1. 2人から検出された成分と同じ睡眠薬を被告が入手していた
  2. 殺害の機会があったのは上田だけで、事件直後に現場付近でずぶぬれになっていた
  3. 借金などの返済を免れる動機があった-ことなどを認定し、被告の犯行と結論づけた。

上田は控訴審の被告人質問で、当時同居していた元会社員の男性(50)に言及し、「男性が被害者を追って海岸に向かい、戻ってくるとズボンがぬれていた」「別の被害者は男性の車に乗って行方が分からなくなった。ニュースで何かあったと知ったが、男性に口止めされた」などと犯行を示唆した。

借金返済などを免れるという動機については「返済を迫られたことはない」と否定。弁護側も「被告には殺害の動機や機会がなかった」として、改めて無罪を主張していた。

一方、検察側は上田の供述を「虚偽の弁解。借用証書など客観的証拠に反し信用できない」として控訴棄却を求めていた。

報道

この事件は、2009年11月2日に詐欺容疑で上田美由紀が逮捕された際、鳥取県警は実名を公表し、県警記者クラブに加盟する報道各社に発表資料を配布した。しかし、不審死事件が発覚した5日以降は匿名にきりかわった。これは、殺人容疑で立件されれば裁判員裁判の対象となるため、世間に予断をあたえないための配慮とされている。しかし、ほとんどの週刊誌は実名や顔写真を掲載し、センセーショナルな見出しで女の生い立ちや生活実態を報道した。『週刊新潮』は、『社会的な関心がおおきく、「知る権利」にこたえるため』、『週刊文春』は「事案の重大性をかんがみて」という理由で実名報道を選択した理由を説明している。

一連の報道についてマスコミ研究者の桂敬一は、「実名報道は捜査当局の判断をまってからでもおそくない。興味本位の報道ではよくなく、インターネット上でも情報が氾濫しており、フィクションの世界で犯罪ができあがるような錯覚すらおぼえる」と指摘している。

2010年1月28日に女が強盗殺人罪で逮捕されたのを機に、テレビや大手新聞でも実名報道に切り替えとなった。

関連項目