「吉良吉影」の版間の差分

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2010年4月5日 (月) 03:01時点における版

吉良吉影きら よしかげ)は、荒木飛呂彦漫画作品『ジョジョの奇妙な冒険』のPart4『ダイヤモンドは砕けない』に登場する架空の人物。荒木飛呂彦短編集『死刑執行中脱獄進行中』に収録されている外伝的作品『デッドマンズQ』の主人公でもある。作者、荒木飛呂彦が、岸部露伴と並んでシリーズで最も気に入っているキャラクターであると語っている。

人物

ダイヤモンドは砕けない

1966年1月30日生まれ。A型。一見すると平凡なサラリーマンだが、その正体は手の綺麗な女性を48人殺してきた連続殺人鬼。しかし、最初の一人である杉本鈴美以外の女性は死体を自身のスタンド「キラークイーン」により消滅させてきたため、殺人事件としては扱われていない。女性の綺麗な手に異常な執着を示す性的嗜好の持ち主(綺麗な女性の手に執着するのは、彼が子供のころ見たモナリザの絵に描かれてあるモナリザの手を見て勃起した事が要因である。物語の終盤で彼はこの事を明かした。)で、生まれながらにして「人を殺さずにはいられない」性(さが)を持つ男(ただし、実際に人を初めて殺した時は半ば偶然の結果である)。切った爪の長さを計測し記録、保存する趣味がある。爪の伸びが早い時期には殺人衝動を抑えることが出来なくなる。絶望した時、血が出るほど爪をかむ癖がある。

平穏な生活」「植物の心のような生活」「安心した生活」といった平穏無事に生きる事を望み、その為に高い能力を隠し、出来うる限り目立たずに生きる事を生涯の目標としている。そのため、自分の殺人癖などを知った人間は例外なく抹殺してきた。

殺した手の綺麗な女性の手を持ち歩いており、それを偶然「重ちー」こと矢安宮重清に目撃され、彼を爆殺した。その事で彼の友人・東方仗助らに追われることとなり、戦いの末追い詰められ、逃亡を謀る。顔を入れ替えるスタンド能力を持つエステティシャンの辻彩を脅迫して、年頃・体格がほぼ同じ男「川尻浩作」を殺し、その死体の顔と指紋のパーツを自らの物と入れ替えさせた後、キラークイーンの爆弾により川尻浩作の死体と辻彩を消滅させ、土壇場で逃亡し行方をくらます。

しかし岸辺露伴を始めとした仗助達の調査と川尻浩作の息子、川尻早人によって吉良吉影であることを突き止められ再び対決することになる。戦いの末、仗助達に追い詰められたところで救急車の後輪に顔を轢かれて交通事故死してしまう(空条承太郎の「時を止める力」により時が止まった状態で吹き飛ばされたため、バックしていた救急車の隊員達が吉良に気づくのに遅れた事が原因)。この際に地面とタイヤにはさまれて顔の皮膚が剥ぎ取られてしまい、直前に自ら吉良と名乗っていたことと、歯型までは入れ替えていなかった事から、死体の歯形の照合によって事故死した死体は吉良吉影の物として処理され、成り変っていた「川尻浩作」は行方不明として後に処理された。

その後、死者の魂の通り道である「ふり向いてはいけない小道」に魂だけが迷い込み、幽霊となった杉本鈴美とその愛犬アーノルドによってその小道で振り向かされてしまい、謎のパワーによってスタンドもろとも「どこか」へ引きこまれてしまった。

ちなみに、「吉良は母親から虐待を受けており、父親はそれを知りつつも止められなかった申し訳なさから、息子が殺人鬼だと知っても守ろうとしていた」という裏設定を荒木本人が乙一との対談で語っている。しかし、そうしたバックボーンを描いてしまうと、哀しい悪役になってしまうため、あえて作中には出さなかったという。

デッドマンズQ

スタンド能力と生前の記憶を失った幽霊として登場する。平穏を望む性格は生前とそこまで変わっておらず、心の平穏を求めて仕事(殺し屋)を行う。しかし「殺人に用いる凶器は現地調達しなければならない」「住人のいる空間に入るには(ドアやその一部を開けてもらう、入室を許可するセリフを言わせる等)相手の『魂の許可』を得なくてはならない」「生者に触れられると身体がちぎれてしまう」など制約が多く、思うように遂行出来ないことに苛立ちを感じている。

そんな中、依頼主の尼僧から幽霊屋敷ならぬ「屋敷の幽霊」に住む者の殺害を命じられ、S市杜王区を訪れる。そこにあったのはまさしく家財道具ががすべて「幽霊」として存在する「屋敷の幽霊」であり、通常の物体と違って自由に持ち歩ける事から吉良は「宝の山」と狂喜する。しかし、屋敷に現れた謎の存在より襲撃を受け、かろうじて屋敷から脱出できたものの左腕を失ってしまう。依頼に不審なものを感じた吉良は幽霊の銃と銃弾を片手に依頼内容の調査を行うことにした…

スタンド能力

スタンドキラークイーン」は爆弾に関する能力をもつスタンド。人型のスタンドで、ネコとドクロが融合したような凶悪な顔を持ち、身体の各部にドクロの模様がある。

第一の爆弾

キラークイーンの指先で触れた物体を外見を変化させず爆弾に変化させる能力。この能力で1度に爆弾にできる物体は1つだけであり、酸素がないと爆発させる事が出来ない。触れた箇所のみを爆弾にしたり、一部に触れるだけで大きな物体を丸ごと爆弾にするなど、爆弾化させる範囲はある程度選択可能。
爆弾化には、1)地雷機雷のように何かが触れる事で爆発する接触起爆型の爆弾と、2)スタンドの右手の人差し指の側面についたスイッチを押すまで何をされても起爆しないため、爆発させるタイミングを任意で選択可能な爆弾の2種類がある。また、爆発の影響を周囲に及ぼさないように爆発力を調整することができるが、一度爆弾化させたもののタイプを切り替えることはできない。
爆破のタイプも2種類あり、a)通常の爆弾と同じように爆発し、爆圧や炎が大きく放出されるもの、b)爆弾化された物ではなく、爆弾に触れていた物が爆発し、爆弾化されていた物はそのまま残るものがある。なお、両タイプとも爆発した物は内部から爆破されるため、髪の毛一つ残らないほど跡形もなく破壊できる。
空気弾
キラークイーンの腹部に猫草「ストレイ・キャット」を収納することによりストレイ・キャットの「空気を操る能力」により「空気弾」を発射させ、その空気弾を「第一の爆弾」によって爆弾化させる攻撃方法。空気弾の特性上、肉眼では非常に見えにくい。空気弾は触れたものを爆破する「接触弾」と、好きなところで右手の指にあるスイッチを入れて点火できる「着弾点火弾」とを使い分けることが出来る。また、本来の空気弾は、尖った物に弱く、穴が開くと萎んでしまうが、「爆弾化」されていることで、内部の空気を含めて「爆弾」として固定されているので、真っ二つにされても空気弾が消えることは無い。しかし虹村億泰のスタンド「ザ・ハンド」に対しては空気弾その物や、爆風・爆圧等を空間ごと削り取られるため無力であった。

第二の爆弾 シアーハートアタック

キラークイーンの左手の甲には、体温を感知して自動追尾する第二の爆弾が仕込まれており、「シアーハートアタック」と呼ばれる。一見それ自体が別のスタンドのようだが、あくまでキラークイーンの技(武器)の一種である。シアーハートアタックに与えられたダメージや能力は吉良の左手へ還る。遠隔自動操縦で熱を探知し、敵を倒すまではどこまでも動き続け、敵を爆破する。この爆破は「シアーハートアタック」自体が爆発するわけでなく、爆炎を放つか、前述の第一の爆弾のように触れている物体を爆破する。「シアーハートアタック」は強力なパワーに加えて、単純な物理攻撃にはほぼ無敵な強固な防御力を持ち、空条承太郎のスタンド「スタープラチナ」のラッシュでも破壊できないほどであった。ただし、遠隔自動操縦の欠点として単純な動きしか出来ず、より温度の高い物に向かっていくため、あしらう事も可能である。また、東方仗助のスタンド「クレイジーダイヤモンド」に対しては「直す能力」によって強制的にキラークイーンの左手に戻されてしまうため無力である。

第三の爆弾 バイツァ・ダスト(BITE THE DUST、負けて死ね)

物語終盤で追い詰められた吉良吉影が再び『矢』に射抜かれて発現させた第三の爆弾。この能力は、吉良が激しく「絶望」することによって発動する。吉良の情報を知る(スタンド使いではない)人間にキラークイーンを取り憑かせ、その人物から吉良吉影についての情報を得た者、及び取り憑いた人間を攻撃しようとした者を爆殺し、かつ、約1時間程度の「時」を爆破して時間の経過を無かったことにする(戻す)事ができる。また、このバイツァ・ダストの攻撃は、キラークイーンを見た=キラークイーンが眼球へと取り憑いた状態で発動し、見た者がそのまま爆破されてしまうため、防御はほぼ不可能である。吹き飛ばされた長さの「時」に何が起きたのか、また「時」が何度吹き飛ばされたのかは、キラークイーンに取り憑かれた人間にしか知覚出来ない。又、バイツァ・ダストによって爆破されて戻された「時」の中では、爆破された時間で発生した物事は「運命」として再び起き、バイツァ・ダストが解除されない限り同じ時間になると、(吉良の情報を知らなくても、攻撃されていなくても)犠牲者は爆死してしまう。

由来など

名前の由来は「殺人」を意味する「KILL」からで、KILLER(殺人者)と語感が似ている日本人の苗字「吉良」を当てた。スタンド名の由来はそれぞれQueenの楽曲"Killer Queen""Sheer Heart Attack""Another One Bites The Dust"。能力のモデルは連載当時大ヒットしていた『スーパーボンバーマン』(作者自身、雑誌で好きなゲームと言及)と思われる。同ゲームにはダイヤモンド、どくろのマークなども出てくる。また、Another One~の歌詞自体も、バイツァ・ダストの能力をそのまま連想させるような内容となっているので、これを引用して能力のアイデアとしたという見方もできる。『デッドマンズQ』の由来はアメリカのバンド「Oingo Boingo」の楽曲「Dead Man's Party」か。

その他

一般からTシャツのデザインを募集するユニクロ主催のイベント「UNIQLO CREATIVE AWARD 2006」に荒木飛呂彦が審査員として参加した際、荒木自らもデザインを手がけたコラボTシャツを発表している。キラークイーンから派生したオリジナルバリエーションキャラとして、「キラー・タイガー・クイーン」と「キラー・ダンシング・クイーン」の二種が活躍する絵柄が描かれている。