「高津祥一郎」の版間の差分
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2015年6月6日 (土) 23:29時点における最新版
高津 祥一郎(たかつ しょういちろう)とは、パチンコ、パチスロメーカーを架空の著作権で騙す詐欺師である。
事件概要[編集]
警視庁が摘発したパチンコなどのライセンス詐欺事件では、「金色のガッシュ!!」や「スラムダンク」、「ジョジョの奇妙な冒険」などの人気マンガの名前が勝手に使われていた
パチンコやスロットの新商品に人気マンガのキャラクターが使えると偽って契約料をだまし取っていたとして、キャラクターライセンス販売会社の元会長らが2015年4月、詐欺で警視庁に摘発された。「金色のガッシュ!!」「ジョジョの奇妙な冒険」「スラムダンク」…。詐欺に使われたのはいずれも名の通った人気マンガばかり。だが、契約料として複数の会社から振り込まれた約20億円は、元会長らの東京・銀座での豪遊などに消えた。
平成24年9月ごろ、愛知県のパチンコメーカー「大一商会」の東京都内の事務所に、帽子を目深にかぶり、マスクを着けた男が訪れた。「すみませんでした…」。応接した担当者に平身低頭する男が名乗ったのは、人気マンガ「金色のガッシュ!!」の作者「雷句誠」だった。
大一商会は、2年前にキャラクターライセンス販売会社「メディル」に同マンガのキャラクターライセンス料2億円を払い込み、商品化に向けての協議を進めていた。だが、いっこうに具現化しないことにいらだちを強め、メディルを問い詰めたところ、男が直接、同社を訪れたのだった。だが、男が平身低頭したあとも話はいっこうに進まなかった。それもそのはず。男は、作者とは縁もゆかりもない全くの別人。メディルはそもそもキャラクターライセンスを持っていないどころか、作者とも何の接触すらしていなかったのだ。
作者本人と接触し、ことの顛末を悟った大一商会の刑事告訴を受け、警視庁捜査2課は2015年4月、詐欺でメディル元会長、高津祥一郎(47)=埼玉県ふじみ野市上福岡=ら3人を逮捕。5月、高津は同罪で起訴された。
「北斗の拳」「ど根性ガエル」「エヴァンゲリオン」…。パチンコ店に入ると、一世を風靡した人気マンガやアニメのキャラクターが、パチンコやスロットのイメージキャラクターとして出迎える。 パチンコ台は出玉の確率などだけでなく、イメージの重要性が増しており、どんなキャラクターを起用するかが新商品開発の要の一つとなっていることがよく分かる。そこに目を付けたのが、高津らだった。
高津らの営業に使われたマンガは「金色のガッシュ!!」のほかにも「ジョジョの奇妙な冒険」「スラムダンク」「ワンピース」など、いずれも人気を博した著名マンガばかり。より高額のライセンス料も見込め、メーカー側が飛びつかない方がおかしいような陣容だ。
パチンコの新商品開発は普通、キャラクターの使用許諾を原作者などから取ることから始まるが、高津らは許諾を得ないままの飛び込み営業を社員に指示。メーカー側から色良い返事があれば、高津が作者と調整し、商品化を進める仕組みだった。高津らは作者の署名を偽造して偽の営業許可証を作成。メーカーから作者も交えた商談を求められても、「先生は人と会うのが好きではない」などと、のらりくらりとかわし続け、作者との議事録まで偽造した。
大一商会が偽装を見破ったのは平成24年秋、同社の担当者が、金色のガッシュの作者が出版社と争っていた訴訟記録を閲覧し、自社に提出された営業許可証の署名と、訴訟記録にあった署名が似ても似つかぬものと判明してからだ。だが、時すでに遅し。平成20年ごろから始まった詐欺の被害は十数社に及び、総額は約20億円に上るとみられている。メディルのここ数年の売り上げの大半はライセンス詐欺によるものだったとみられ、その事実について、社員もうすうす気付いていた。社内では「今月の売り上げ、本当は2000円」などと噂が駆け巡っていた。なかには「高津がマンガ作者のサインを練習しているのを目撃した」と話す社員もいた。
だが、こうした社員の風評もどこ吹く風。巨額の現金を懐に入れた高津は、いずれは逮捕されるのを知ってか知らずか、豪遊し続けた。高津は運転手付きのベントレーを乗り回し、夜は東京・銀座のクラブで毎晩のようにホステスらとカラオケに興じていた。だまし取ったとみられる約20億円のうち、高津のもとに入っていたとみられるのは約3億円。「ほとんどが遊興費に消えたようだ」(捜査関係者)という。
「新しいコンテンツを生み出し、新しいメディアに載せて育てる」を企業理念としていたメディル。実際に生み出せたのは壮大なホラ話だけだった。