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賭博(とばく、英:gambling、独:Glücksspiel、仏:jeu d'argent)とは、金銭や品物を賭けて勝負を争う遊戯のこと[1]。
賭(け)事、博打(ばくち)、博奕(ばくえき)、勝負事とも。英語ではgamblingと呼ぶのが普通であるが、カタカナでは「ギャンブル」と表記されることが多い。gambleは娯楽としての賭博も含む広い考え方であり、危険性の高い冒険や意味のある危険、潜在性のある利益に手を付けること等という意味がある。
目次
概説[編集]
賭博とは、金銭や品物などを賭けて勝負を争う遊戯のことである[1]。 金銭や品物などの財物を賭けて、(偶然性の要素が含まれる)勝負を行い、その勝負の結果によって、負けた方は賭けた財物を失い、勝った方は(なんらかの取り決めに基づいて)財物を得る、と言う仕組みの遊戯(ゲーム)の総称である。
日常的に賭博を行う者や、賭博を特に好む者は「賭博師」や「ギャンブラー」、「博打打ち」などと呼ばれている。
賭け事の遊戯(ゲーム)を主催している者を胴元と言う。 胴元(主催者)側が、自分に有利になるように、様々な詐術を用いて表向きのゲームとは違うことが起きるように細工をして行う賭博を、いかさま賭博と言う。よくある手法は、参加者に分からないようなかたちで、なんらかのトリック(技術や道具)を用い、相手を錯誤させ、表向きの確率や期待値(見掛けの確率や期待値)とは違うように、実際の確率及び期待値を改竄して行うことである。いかさま賭博を行う者を「いかさま師」や「ゴト師」などと言う。
大分類[編集]
以下の内容は著者独自の見解で根拠がないのではないかと言っていた人がいたようです。 |
賭博とは、賭事(とじ)と博戯(ばくぎ)の二つを合わせた言葉である[2]。
賭事と博戯の違いは、賭ける側の人間が、賭ける対象となる勝負事の結果に当事者として関与できるか否かである[2]。
- 賭事(とじ) - 勝負事の結果に参加者が関与できないもの
- 博戯 - 勝負事の結果に参加者が関与できるもの
公営競技、「野球賭博」「富くじ(宝くじ)」「ルーレット」、「バカラ」などは賭事であり、「賭け麻雀」「賭けゴルフ」「賭けポーカー」などは博戯である。「クラップス」のように、一つのゲームで賭事と博戯が混在[3]する場合もある。
かつて博(ばく)というボードゲームがあり、それをプレイする(打つ)ことから「博打」と言う言葉が生まれた要出典。よって「博打を打つ」「博打打ち」という言葉は本来二重表現であるが、「博打」が「賭博」の同義語として扱われるようになると、二重表現とはみなされなくなった。
さまざまな金融商品や相場にも、その賭博性が提起されることがある。金融商品の中でも、保険はギャンブル的性質を持っている。保険の歴史は賭博から生まれた物であり、事故に遭遇するというギャンブルに金銭を賭けるもの、とされているからである(賭博の用語ではオッズと呼ばれる物は保険用語では「等級」と呼ばれ、病気のリスクの少ない若者のオッズは高いが、年配者の場合はオッズは低い。保険商品では「配当金」は固定のため、オッズが低いほど保険料は高くなる)。
先物取引や株式の購入など、通常であれば商品取引(相場)あるいは株式などのように、投資の範疇に含まれる行為のうち、手持ちの現金以上の金額を投じることのできる信用取引や、投機と呼ばれるハイリスク・ハイリターンな取引[4]を、広い意味でのギャンブルに含むこともある。
世界的には歴史上、手品のはじまりといわれるCup and balls(カップアンドボール)が賭け事の対象としてヨーロッパ、中東、地中海地方、遠くは中国まで広がったが、行う者が手品師と同義であることから、いわゆる「いかさま賭博」とも言える。
世界の賭博[編集]
各地に多種多様な賭博が存在する。
特に有名なものはカジノである。
またイギリスやオーストラリア、ドイツ等にはブックメーカー(bookmaker)なども存在し、殆どあらゆる事をギャンブルの対象にしている。
日本にも存在するパリミュチュエル方式(parimutuel)でも、日本より種類が豊富である。競馬はその日の全レースや、5着までの順位を全て当てる非常に難易度の高い物も存在し、サッカーもフットボールプールやトトカルチョとして親しまれている。
カジノゲーム[編集]
その他の賭博[編集]
賭博の問題点[編集]
賭博・ギャンブルは、人の射倖心をくすぐり、時に中毒的な依存状態を招き、破産や人格崩壊に至り、果てには自殺、殺人に及ぶ場合もある。また、いくら多額の金が賭けられても、胴元と参加者、あるいは参加者同士の間でその金が行き来するに過ぎず、経済生産が生じない。そのような非生産的な行為に人々のエネルギーが費やされてしまうと、生産的な行為を阻害する可能性がある。
賭博の問題は過去から認識されており、マハーバーラタや千夜一夜物語など古代の物語に、賭けに熱中するあまり全財産を失ったりイカサマではめられるというトラブルも描かれている。
違法賭博が暴力団など反社会的な集団の資金源になるなど、社会問題も多く内包する。
ギャンブル依存症[編集]
ギャンブルなしでは生きていけなくなった人における依存症(精神疾患)であり、世界保健機関(WHO)では「ギャンブル障害(ギャンブリング障害)[5]」「病的賭博[6]」と言う名称を使用している。この疾患にかかった人をギャンブル依存症者と呼ぶ。
自己の生活基盤・価値観、仕事や学業、家族や友人などの人間関係を犠牲にしてでもギャンブルを続けてしまう、と言う進行性を伴う。
この疾患を克服するためには、心理療法、適切な専門職の介入、自助グループへの参加などの方法がある。また当事者に対し、「一生ギャンブルに手を出さない」「新しい生き方を学ぶ必要がある」と言うことを認識させることが必要とされている。それは、再びギャンブルに手を出せば元の依存状態になってしまうからである。
子供とギャンブル[編集]
イギリスでは大人の監督下であることやメダルゲームなど賭け対象に制限はあるものの、子供が金を賭けてギャンブルを行うことが合法となっている[7]。子供のギャンブルはイギリス流の休日の楽しみ方のひとつであり、大人としての責任ある行動を経験させるものだという言説もあるが、ギャンブル依存症の患者の中には子供の頃のギャンブル体験を発端に挙げる者も多い[7]。また、ギャンブルが得意な子供はギャンブルでずっと勝ち続けることは自分にとって当然で、その報酬は正当な見返りである、という間違った幻想を抱くリスクがあるとも指摘される[7]。
宗教界での賭博に関する見解[編集]
ギャンブルには働かずに金持ちになれるという誘惑があり、世界宗教を始めとして多くの宗教で戒められている[7]。
賭博とイスラム教[編集]
千夜一夜物語には、王達による金銭や奴隷をかけたシャトランジの勝負が描かれているが、現代のイスラム教圏における賭博はあくまでお金を賭けずに行われる。これは、本来イスラム教圏において、金を賭けた賭博(ギャンブル)を行うことが、イスラム教の戒律やイスラーム法に違反するためである。
一部の国や地域では競馬などが行われているが、ほぼ純粋な競技であり、競馬で勝ち馬の予想を当てた場合は、払戻金ではなく、賞品や商品の引換券[8]がもらえる。これは「賭博ではない」と言い逃れができるようにするための主催者の知恵である。 なお、世俗化が進んだ地域ではギャンブルも行われている。
観光都市[編集]
世界の幾つか地域では賭博を合法化して、賭博を観光事業としている都市がある。
合法化 | 都市 | 場所 |
---|---|---|
1931年 | ラスベガス | アメリカ合衆国・ネバダ州クラーク郡 |
1933年 | カンピョーネ・ディターリア | イタリア・ロンバルディア州コモ県 |
1976年 | アトランティックシティ | アメリカ合衆国・ニュージャージー州アトランティック郡 |
2002年 | マカオ | 中華人民共和国・マカオ |
モンテカルロ | モナコ | |
ウォーカーヒル | 韓国・ソウル特別市広津区 |
関連作品[編集]
映画[編集]
ギャンブルをテーマにした映画。アクション映画の一種として扱われることがある。
- 『麻雀放浪記』、阿佐田哲也、東映、1984年10月10日
- 『Mr.Boo!ギャンブル大将』、嘉禾電影有限公司、1979年12月15日
テレビドラマ[編集]
- 『必殺必中仕事屋稼業』、朝日放送・松竹、1975年1月4日 - 3月29日
書籍[編集]
小説[編集]
- 『賭博者』、フョードル・ドストエフスキー、1866年
ライトノベル[編集]
- 『バクト!』、海冬レイジ、富士見ミステリー文庫、2005年 - 2006年
- 『ノーゲーム・ノーライフ』、榎宮祐、MF文庫J、2012年 -
- 『ギャンブルビート 博打代行』、鬼霧宗作、双葉社、2013年
漫画[編集]
ギャンブルをテーマにした漫画。福本伸行がギャンブル漫画の第一人者とされる。バトル・アクションの要素が取り込まれることがある。
アニメ[編集]
- 『Rio RainbowGate!』、TOKYO MX、2011年1月 - 3月
ミュージカル[編集]
- 『ガイズ&ドールズ』、デイモン・ラニアン、ブロードウェイ、1950年
脚注[編集]
- ↑ 1.0 1.1 広辞苑第六版「賭博」
- ↑ 2.0 2.1 大谷實『新版刑法講義各論[追補版]』(成文堂、2002年)533頁
- ↑ サイコロを投げてその目の出方に掛ける競技であるが、サイコロを投げる役であるシューターがプレイヤーに回り、シューターも他の役と同様に掛けることが出来るため、賭事と博戯が混在している。
- ↑ 投資商品の中でも、当たれば巨額の利益が得られるが、相場の値下がりなどによる投資額の損失リスクが高いもの。
- ↑ アメリカ精神医学会 (2014) アメリカ精神医学会 578-582頁 「物質関連障害および嗜癖性障害群 - 非物質関連障害群 - ギャンブル障害」。日本語版用語監修:日本精神神経学会、監訳:高橋三郎・大野裕、訳:染矢俊幸・神庭重信・尾崎紀夫・三村將・村井俊哉。 [ DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル ] 医学書院 2014-06-15 978-4260019071
- ↑ WHO (2005) WHO 221-222頁「F63 習慣および衝動の障害」 監訳・融道男・中根允文・小見山実・岡崎祐士・大久保善朗。 [ ICD-10 精神および行動の障害-臨床記述と診断ガイドライン(新訂版) ] 医学書院 2005-11-15 978-4260001335
- ↑ 7.0 7.1 7.2 7.3 ジョナサン・ウルフ 『「正しい政策」がないならどうすべきか:政策のための哲学』 大澤津・原田健二郎訳 勁草書房 2017年 第2刷 ISBN 9784326154401 pp.56-60.
- ↑ この場合の引換券は「ゲームカード」と言われ、当てれば粗品がもらえるカードの意。
関連項目[編集]
関連人物[編集]
作家・ライター[編集]
- 阿佐田哲也
- 山崎一夫(銀玉親方)
- 浅田次郎
- フョードル・ドストエフスキー
- 増川宏一 - ※賭博の歴史などを研究した文献がある。
ギャンブラー[編集]
ギャンブル依存症者[編集]
- 依存症
- ギャンブラーズ・アノニマス - 賭博常習者更生会
職業[編集]