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2020年1月12日 (日) 20:07時点における最新版
報道(ほうどう)は、ニュース・出来事・事件・事故などを取材し、記事・番組・本を作成して広く公表・伝達する行為であり、言論の一種である。ジャーナリズム。
現在では技術が発達し、様々な手法・メディアが開発されており、一般にマスメディア(mass media)と言われている。
報道機関(ほうどうきかん,the press)は大衆に対し報道する機関の総称である。「マスコミ」はこの俗称で、新聞社・放送局・出版社・通信社などがこれに該当する。
取材は報道対象の事実を確認する行為で、報道機関は原則として所属する記者の取材に基づく記事を報道するが、国外など遠隔地で発生した出来事は、通信社などの配信する記事によって報道する場合もある。
この場合、記事の頭に「○日ニューヨーク共同」のような形でクレジットが入る。
スポーツ新聞や地方紙では国内ニュースも通信社の配信記事に頼る場合がほとんどで、全国紙でも場合によっては国内ニュースも通信社の配信を受けることがある。
この場合、国外記事と異なり、ほとんどクレジットは入らない。まれに記事の最後に(共同)(時事)の形で入ることがある。
目次
報道の原則[編集]
報道は報道を受け取る大衆との信頼関係の上に成り立っている。 この為、報道は事実に基づいたものである必要があり、事実を追求するための取材が不可欠である。 憶測や推測に基づく記事は、信憑性が失われる原因となり、結果として信頼関係を失うこととなる。 取材をして裏付けを取り、事実を報道することが、報道の原則である。
よく、報道関係者が「真実を伝える」と発言することがあるが、これは原理的に誤りである。 なぜなら、ねつ造しない限り、事実はあくまで事実である。 だが、情報の送り手が真実を判断して、情報の受け手に伝えるということは、その時点で、情報の送り手側が事実に対して何らかの判断を下している可能性がある。 しかし、送り手側がどのような判断を行っているかを情報の受け手側は知りえない以上、この時点で原理的に報道の中立公正さが崩れているからである。 「報道は、事実をありのままに伝えること(事実を曲げないこと)」と言われるのは、この為である。
報道と人権[編集]
マスメディアが報道することは一般市民にとっては真実だと思いやすい。日本のマスメディアは「推定無罪の原則」を無視し、警察発表を鵜呑みにしがちである。よって「逮捕=有罪」のイメージを一般市民に植え付け、冤罪の原因になっているとよく批判される。過去起こった例では「松本サリン事件」が有名である。実名報道は被害者を苦しめるだけでなく冤罪であることが分かった被疑者に取り返しのつかないダメージを与える、犯罪者の更生の機会を奪っているとも批判される。また、視聴率を上げるために民間放送では情報の公正・中立性より時事性とセンセーショナルさを重視することが多く、「報道は真実を伝えるものではなく、視聴者が期待するものを見せるバラエティー番組の一種」と揶揄する声もある。スウェーデンなどに倣い事件報道においては一般市民は原則匿名とし、政治家・上級公務員・警察幹部・大企業経営者・労働組合幹部など社会的に大きな影響力のある「公人」が事件に関与したとされる場合に限って実名で報道するべきとの主張がある(浅野健一ほか)。
- 大部分の民間放送局は収益の8割以上をスポンサーからの広告料が占めており、その広告料は番組の視聴率により大きく変化する。よって、放送局側はスポンサーの意向に大きく逆らう事は難しいと言え、報道の内容にそれらの意思が介在していないと言い切ることはできない。無論、これは新聞などにも当てはまる。
- また、広告を流さないNHK等が絶対に信用できるという訳ではない。NHKの組織・予算は政府や国会の承認なくしては成り立たず、報道においてもこれらに配慮した内容にならざるを得ないのが現実である。また、制作に人間が関わる以上個人の思想が介在したり、真実とは違った報道がなされる可能性は否定できない。
- 報道にはいくつかのタブーが存在していると言われる。皇室・暴力団・警察・マスコミ・ユダヤ問題・同和問題・創価学会・在日コリアン・精神医療などいくつかのタブーが広く知られているが、一般的にこのような問題に関わる場面では、メジャーなメディアでは詳しい報道を避けていると指摘がある。これは、様々な圧力が存在している事に加え、報道する側にも、面倒な揉め事を避けたいという事なかれ主義的な意識が働き、自主規制が行われているものと考えられているものである。「報道におけるタブー」参照。
日本のマスメディアの人権意識の低さは記者の養成システムに原因があるという指摘もある。新人記者のほとんどは警察担当いわゆる「サツ回り」になる。警察官と親しくなるにつれて権力チェックの意識が薄れていくのである。
このように報道は社会的に非常に大きな力をもっており、「立法」「行政」「司法」の3つの権力にこの「報道機関」を加え、時に批判的な意味で4大権力と言われている。
報道と肩書[編集]
古くから日本人は肩書が好きと言われるように、日本では報道においても人物を表す手段として職業が多用される。
事件報道において職業名の表記が正当化されるのは、(1)政治家、上級公務員などいわゆる公人の関与した事件であり、その報道が市民による政治の監視機能に役立つ場合、(2)公人、有名人など社会的影響力があり、その報道が犯罪の抑止効果に役立つと考えられる場合、(3)ある企業・学校の成員によって集団的になされた事件や、特定の職業層に頻発している事件など、職業と密接に関連していると思われる事件であり、その報道が事件の解明・予防に寄与すると考えられる場合、などであるが、実際には単に容疑者・事件関係者の人物像を表す手段として利用されている。また、学生においても単に学生と表記すれば良いところ、大学生、女子大生、専門学校生、予備校生などと区別され、学歴差別に繋がる報道がなされる。
肩書報道は極端になればその問題があたかも特定の職業だけの問題であるかのような錯覚を与えやすく、例えば福岡飲酒運転事故以降に行われた飲酒運転に関する報道では、公務員の飲酒運転を中心に、また民間人に比べ時間を長く報道されたため、公務員は飲酒運転が多い、という印象を持つ者や公務員批判を行う者も少なくなかった。
報道における問題点と自衛策[編集]
報道は「報道と人権」でも述べた通り、大きな問題点を抱える。ここでは報道全般に言える一般の問題点を取り扱う。
- 中立公正な報道とは、単に事実だけを述べるにとどめるか、あるいは両論併記が基本であるが、この原則が全くといってよいほど守られていない。
- 推定無罪の原則など、基本的な人権意識が無い。また、取材マナーやモラルが根本的に欠如している。
- 過熱的な報道。バッシングなどが良い例である。また、過去に起きたことについての掘り返しがない。端的に言えば「熱しやすくさめやすい」。
- 社内不祥事、つまり、身内を必要以上に庇うが、同業他社の不祥事は執拗に批判する。しかし、他業種に対する批判に比べ、甘い事が批判されている。
- 報道の自由や表現の自由を主張するが、それに伴う義務や責任についての議論・指針がない。
- 「読者・視聴者の」という言葉が多く、記事に責任感や主体性が無い。
- 政治家や政策を非難するが、圧力がかかれば自粛する。また膨大なスポンサー料を支払っている企業が不祥事を起こしても取り扱わない事が多い。
- 事実をありのまま述べるのではなく、報道各社の主観を組み入れて構成されなおしている場合も少なくない。報道と真実の乖離が生じている。
- 動機や手口までもが詳細に報じられることが多く、自制のできていた犯罪予備群の共感を誘発し、多くの模倣犯を生み出してしまっている。
以上のことから、特定の報道機関からのみ情報を取得した場合、その機関の思想や考え方の影響を大きく受けてしまう危険が存在する。報道は、できるだけ多くの報道機関から取得するようにし、各機関の主観を自らで排除、もしくは比較し、事実を享受することが大切である。言論の自由が保障されている日本では各報道機関の主観は多様性に富んでいるため、比較しやすいのは幸いなことである。
また、近年のインターネット普及により、人々は以前よりも多くの報道に触れることが可能となった。その双方向性が活かされ、報道のあり方について大いに議論がされている。インターネット上に存在する匿名性は、権力、暴力に屈することない自由な発言の助けとなり、インターネット上での匿名の告発により、真実が明らかになったケースも少なくない。一方で、無責任な虚偽報道や中傷の温床となるマイナス要素もはらんでいる(証拠が存在する場合でも、現行法では名誉毀損に問われる可能性もある)。
テレビ放送の場合[編集]
日本でも諸外国でもテレビがジャーナリズムに大きな影響を与える。近年のメディアに対する批判において特にテレビは矢面に立たされている。ここでも、一般に指摘される問題点を取り上げる。
- ニュース・報道番組のキャスター・アンカーマンが個人的意見を述べる。あるいは、同席したコメンテーターに意見を求めるという形で代弁させる。しかし中立性を維持するためには、キャスターは事実以外は述べない必要があるし、コメンテーターなどの主観的意見を使う場合も、ニュース番組中に別のコーナーとして構成する必要がある(例:CNNのトークライブ)。
- 取材映像にBGMや効果音、あるいはナレーションを付加する事により必要以上に演出される。また、番組内で取り扱うジャンルの拡大。所詮「ワイドショー化」。
- 報道機関が、公平な報道と言う社会的使命よりも自己の政治的なイデオロギーを優先させるため、公平とは言いがたい恣意的な編集が行われている。
- 経歴に疑問が残る専門家をコメンテーターとして起用する(自称傭兵、自称博士など)。同様に、専門外のコメントを求め、怪しいコメントを行わせている。
- 他系列の放送局で問題を起こした場合、しつこく責任追及報道を行なうが、自局で問題を起こした場合は黙殺する報道姿勢は:「他に厳しく自分に甘い」と批判されている。
- 自局系列の放送局が問題を起こした場合でも在京キー局との関係が良好か対立関係にあるかで報道姿勢に温度差が出ている。
- NHKに限った話であるが、事件・事故報道や例外的なニュースを除き、原則的に企業・団体名や商標を出さない。これは、ニュース素材に事実として含まれる情報を改変しているという点で、放送法の原理とは明らかに矛盾する行為であるし、世界的に見てもかなり特殊な部類である。
メディアに対する報道姿勢の批判の背景[編集]
近年、噴出するメディアの報道に対する批判は、メディアのあり方が大きく変わってきたことが一つの要因として考えられている。「新聞・週刊誌」などの活字メディア、「音声」のラジオ放送、「映像」のテレビ、そして、もはやメディアとして確固たる地位を確立しただけでなく、「報道」というものまでをその守備とした「パソコン(インターネット)」のバランスがこの数年で大きく変わった。
ことさら、既成の第一メディアとして君臨してきた「テレビ」メディアに対しては他のメディアよりも風当たりが強くなっている。 もちろん、番組制作側の怠慢により報道の質が低下していることもまた事実であるが、中には「新規メディア」であるインターネット至上主義を主張するがあまり、的を射ない批判や報道の役割が無視されている批判がネットを中心として存在する。
報道を受けるにあたって求められる姿勢[編集]
報道機関には公正中立が求められるが、現実には必ずしもそうとは言えず偏向や誇張が含まれることがある。よって我々にはより正確な情報を手に入れ、一方的な情報に踊らされないためにもメディア・リテラシーを身に付け、マスメディアから配信される情報を鵜呑みにしないという事が求められている。
英語版に見るJournalism(2005年3月8日版)[編集]
Journalism is a discipline of collecting, verifying, reporting and analyzing information gathered regarding current events, including trends, issues and people. Those who practice journalism are known as journalists.
ジャーナリズムとは、散在している事物や人について現在起こっている出来事、流れ(トレンド)の情報を集め、検証し、レポートし、分析する技能・訓練のことである。それらの技能を有している者・それらの作業を行っている者を、ジャーナリストと呼ぶ。
Journalism is sometimes called the "first draft of history." Even though news articles are often written on deadline, they are usually edited and proofread before being published.
ジャーナリズムは、しばしば「歴史」の最初のドラフト版、同時代史と呼ばれる。たとえニュースの記事がしばしば締め切りに追われたなかで書かれるものだとしても、それらは通常、出版される前に編集され、校正される。
Journalists' interaction with sources sometimes involves confidentiality. Many Western governments guarantee the freedom of the press. By extension, these freedoms sometimes also add legal protection for journalists, allowing them to keep the identity of a source private even when demanded by the police or prosecutors.
ジャーナリストの情報源との関係(相互作用)には、ときおり守秘義務を含む。西洋の多くの政府は、報道の自由を保障している。それはときおり、ジャーナリストへの法的な保護にまで拡張される。検察や警察からの要請・要求があった場合でも、ニュースの情報源を秘匿することが許されるのである。
The main activity of journalism is the reporting of events by stating who, what, when, where, why and how and explaining the significance and impact of the event or trend. Journalism exists in a number of media: newspapers, television, radio, magazines and the internet as a newcomer.
ジャーナリズムの中心的な活動は、出来事を誰が、何を、いつ、どこで、なぜ、どのように行ったかをレポートすること、その出来事や流れが持つインパクトや意味を説明すること、である。ジャーナリズムは、幾種類ものメディアに存在する。新聞、テレビ、ラジオ、雑誌、そして新しくは、インターネットにである。
Generally, a distinction is drawn between reporting (just the facts) and opinions: such as editorials, (the official opinions of the paper) and op-ed columns ("opposite the editorial page" commentary).
大抵の場合、事実のレポートと意見(新聞の社説やコラム・論評)は区別される。
However, this distinction is sometimes difficult to make. Journalists may unintentionally fall prey to propaganda or disinformation. Journalists may give a biased account of facts by being selective in their reporting, for instance focusing on anecdote or giving partial explanation of actions. Foreign reporting may be more susceptible, because it is more difficult for the writers or editors of a newspaper in a given geographical area to fact-check reports from a distance.
しかしながら、この区別はしばしばとても難しい。ジャーナリストは、プロパガンダ(宣伝)や偽りの情報に、意図せずに乗せられることに陥りやすい。またジャーナリストは、報道する事柄を取捨選択する作業の中で、事実の持つ意味・価値に、先入観や特定の傾向や偏見を与えることになりやすい。たとえば、何か逸話に焦点を当てるときや、一連の出来事への部分的な説明を試みるときである。外国の出来事をレポートするときは、よりそうした罠に陥る余地がある。なぜならそれはその距離から、地理的な理由により、ライターや新聞の編集者たちにとって、事実を確認して報道することはより難しいからである。
Newspapers and periodicals will often contain features (see under heading feature style at article news style) written by journalists, many of whom specialise in the form.
新聞や定期刊行物は、しばしばジャーナリストによって書かれた特集記事を含む。特集記事を書くジャーナリストはその道のスペシャリストである。
関連項目[編集]
- 虚偽報道
- 誤報
- メディア・リテラシー
- やらせ
- イエロー・ジャーナリズム
- 報道の自由
- 表現の自主規制
- 放送禁止用語
- 報道被害
- 敵対的報道
- ジャーナリスト
- 記者クラブ
- 社会
- 文化
- 新聞
- 放送
- ピューリッツァー賞
- 坂田記念ジャーナリズム賞
- マスコミュニケーション
- 放送倫理・番組向上機構(BPO)
- 市民ジャーナリズム
- Wikipedia:報道
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