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レンタルビデオとは、映画・アニメ・テレビ番組などの作品が録画されているビデオテープ・DVD(映像ソフト)を有料で貸すサービス。
概要[編集]
レンタルビデオ店は全国に数多くあるが、もともとレンタルビデオ業はレンタルレコード業に端を発している。レンタルレコード業は、レコードを借りた本人が自宅でカセットテープに録音することを暗黙の前提にしており、当初、著作権侵害の可能性があり、レンタル業その物が違法であると問題視されていたが、利用者の増大に伴いレコード業界と和解、レコード業界にレンタルレコード店が一定の料金を支払うことにより決着した。その後、映画ビデオにおいてもレンタルが始まった。ビデオの発売時期は、映画興行(ロードショー)の時期よりかなり遅れるとはいえ、映画館で見るより大変安価で自宅で好きな時に鑑賞できることや、またソフトを購入する場合と比べれば、さらに割安感があったことから、急速に売上を拡大していった。これにより家電メーカーは、再生機としてのビデオテープレコーダの売上を伸ばすことになる。
ビデオのレンタルを行う店(レンタルビデオ店)には、様々なジャンルのビデオが並べられている。特に、最新の人気映画以外に大きな場所を占めているジャンルに、成人向けビデオ(アダルトビデオ)がある。アダルトビデオはレンタルの回転が速くて利益率も高いため、レンタルビデオ店の経営にはたいへん重要な位置を占めており、中にはアダルトビデオ専門のレンタルビデオ店も存在する。
レンタル期間は、一般に「二泊三日」「七泊八日」などと表現される。料金は、かつては二泊三日で350円程度が一般的であったが、近年では新作(発売から概ね3ヶ月以内のもの)を除けば七泊八日で350円程度のことが多い。貸し出し時に決められた期間を超過して返却すると延滞料金を徴収される。
なお、現在はほとんどのビデオやDVDと一部のCDにコピー防止措置が取られている。また、現在の日本の著作権法では、コピー防止措置を解除・回避してダビングすることは違法である(ダブルビデオデッキによるコピー防止信号を解除しないダビングは違法ではない)ただしコピーガードのContent Scramble System(CSS)については厳密にはVHSの“コピーガード”のような、いわゆる“プロテクト”という位置づけではなく、あくまでもリージョンコードで指定された地域外でのコンテンツの再生を制限するためのものであり、これを解除すること自体は何ら違法性は無いという見方もある要出典。
歴史[編集]
1978年、アメリカのフィラデルフィアにレンタルビデオ第一号店が出店されたという。
PPTシステム[編集]
レンタルのビデオテープが高価であることから、1990年頃からPPT(Pay Per Transaction)システムといわれる方式が登場した。これは映画の興行収入モデルをベースにしており、映画制作会社からソフト(=フイルム)の使用許諾を得たリース会社(=配給会社)は、レンタルビデオ店(=映画館)に対してソフトのリースを行い、レンタルビデオ店は貸出実績(=入場料収入)に応じて売上の中からロイヤリティをリース会社に支払い、リース会社は制作会社へ使用料を支払う。主にTSUTAYAが導入しているが、これは日本でPPTシステムを運営している最大の会社であるレントラックジャパンがTSUTAYA(カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC))の子会社であることに関係している。なお、ゲオ(GEO)の関連会社であるゲオサプライ(旧グレード・コミュニケーション)では同様のシステムを「レベニューシェアリングシステム(RSS - Revenue Sharing System)」と称している。
このシステムにおいて、制作会社は通常の販路ではソフトの売上が期待できない作品(いわゆるB級映画や劇場未公開作品)でもある程度の収入が期待でき、また作品ごとに貸出回数や客層などの統計情報を得られるメリットがある。 レンタルビデオ店では、1本あたり平均8000円~10000円かかる商品が1000円(レントラックジャパンの場合)、条件によっては0円(レントラックジャパンのPPT特別方式の場合。ただし通常の契約と分配率が異なる)で仕入れられるため、資産として購入するより安価にソフトを揃えることができるので、著名な作品は大量に投入して顧客の満足と売上を確保し、知名度の低い作品も少ないリスクで幅広いジャンルを投入してバラエティに富んだ売場で競合店との差別化を図れること、リース期間終了時には売上の良いソフトは買い上げて(1本1000円~1500円程度。この時点でロイヤリティの支払は終了する)自店の在庫とし、人気の無いソフトは返却して不良在庫としないメリットがある。
その一方で、通常は仕入にかかったコストを償却すれば以後の売上は全て店の利益になるのに対して、リース期間中は延滞料金収入も含めた売上から契約に応じて最低補償額以上のロイヤリティを支払わなければならないこと(レントラックジャパン方式の場合。セールの時でもTSUTAYAの貸出料金が一定の金額よりも下がらない理由のひとつ)、貸出実績を管理・報告する都合上POSシステムが必須となり導入にある程度の費用がかかること、そしてレンタルショップ側に有利な条件でリースされる作品には著名なものが少ない、などのデメリットもある。
近年の傾向[編集]
業界の変化[編集]
2000年頃から、レンタルのメディアがビデオテープから、スペースを取らないDVDに変わりつつある。DVDは省スペース以外にも、ビデオテープのように巻き戻す手間が必要ないこと、読み出しが非接触式のため繰り返し再生しても劣化が起きにくく画質も良いこと、洋画では字幕・吹替毎に在庫を持つ必要もないなど、ユーザーとレンタルビデオ店双方にとって利点がある。
DVD以外の規格では、2005年7月から、 PSPで見る映像コンテンツ、UMD Videoのレンタルも開始されている(Blu-ray DiscやHDDVDのレンタル化については不明である)。
また、セル(販売)DVD価格の下落で、気に入った作品をレンタルではなく直接購入するユーザーが増えてきたことや、過当競争で貸出料金も下落していく傾向にあり、中小のレンタルビデオ店が廃業したり、大手レンタルチェーン傘下でフランチャイズ化するといった現象も起こっている。
最近では、店舗でのレンタルだけでなく、宅配によるオンラインDVDレンタル(TSUTAYA DISCAS、ぽすれん等)も登場している。また、パソコンの高性能化、ADSLやFTTHなど通信速度の高速化(いわゆるブロードバンドの普及)に伴って、メディア自体の貸し出しや返却の必要がないネットでの有料動画配信も盛んになってきているため、レンタル業態そのものが大きく変わる可能性がある。
次世代メディアのデメリット[編集]
かつて、レンタルレコード店でレコードからコンパクトディスクにメディアが移行した時と同様に、レンタルビデオ店は、既にビデオテープで保有している過去の名画等の資産を、改めてDVDで揃え直す必要に迫られている。これは、近い将来にDVDからその次世代規格へとメディアが移行する際にも起こり得ることであり、レンタルビデオ店の構造的な問題であると言える。
また、ビデオテープに比べると、確かに機械的なトラブル(ビデオデッキへのテープの巻き込み、切断など)は起こりにくいが、メディアとしての堅牢性は劣るうえ、データを高密度に記録している構造上、1つのキズが致命的な影響を及ぼすことや、再生環境(家庭用ゲーム機やパソコン、中国や東南アジアで製造された安価な再生専用機など)によって「相性問題」が発生しやすいなど、再生不良のトラブルはかえって増加している傾向にあるとも言われている(特に、幼児~小学校低学年くらいの年齢層を対象にしたソフトにおいて顕著である)。
キズはディスクの研磨で再び再生できるようになることが多いが、DVDはCDに比べて信号面の保護層が薄いため、1~2回が限度と言われている。これらの問題を解決する一つの方法として、製造段階でキズのつきにくいコーティングを施した商品も現れた。当初は製造ラインやコストの問題があり、ごく一部のメーカーでしか採用されていなかったが、徐々に採用メーカーは増えつつある。
関連項目[編集]
- 代表的なレンタルビデオチェーン店 - TSUTAYAとゲオで全国のレンタル店の過半数を占めている。
- 代表的なオンラインレンタル店
- 関連団体
- 日本映像ソフト協会(JVA)
- 日本音楽著作権協会(JASRAC)
- 日本国際映画著作権協会(JIMCA)
- 日本コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合(CDVJ)
- 日本レコード協会(RIAJ)
- その他