「ラッシュ時」の版間の差分

提供: Yourpedia
移動: 案内検索
(SEOに熱心なMuttley (トーク) による編集を Fromm による直前の版へ差し戻しました)
 
(2人の利用者による、間の2版が非表示)
137行目: 137行目:
  
 
== 関連項目 ==
 
== 関連項目 ==
 +
[[Image:1960年代の通勤ラッシュ6.jpg|350px|thumb|1960年代の通勤ラッシュ]]
 +
[[Image:1960年代の通勤ラッシュ7.jpg|350px|thumb|1960年代の通勤ラッシュ]]
 +
[[Image:1960年代の通勤ラッシュ8.jpg|350px|thumb|1960年代の通勤ラッシュ]]
 
* [[通勤]]
 
* [[通勤]]
 
* [[通学]]
 
* [[通学]]

2020年1月17日 (金) 22:14時点における最新版

ラッシュアワー

ラッシュ時(ラッシュじ、英語: Rush hour)とは、通勤通学者などが多くて道路交通機関が混雑する時間帯のこと。「通勤ラッシュ」や「ラッシュアワー」とも呼ばれる。通称「ラッシュ」。

概要[編集]

ラッシュアワー

多くの鉄道路線バス路線・道路では、通常は朝は企業や学校へ向かう都心方面の列車バス・道路が通勤・通学客によって混雑し、夕方・夜間には企業や学校から帰宅する郊外方面の列車・バス・道路が混雑する。この混雑を迎える時間帯が「ラッシュ時」と呼ばれる時間帯である。

ラッシュ時は利用客が多いので交通事業者側の増収につながると一般に解釈される場合も多いが、定期券利用者が多く、ラッシュ時のために(ラッシュ時以外では過剰となる)新たな車両や設備を用意する必要が出るなど、事業者側にも多くの支出や投資を伴う。

日本の状況[編集]

朝ラッシュ・タラッシュ[編集]

通常の鉄道路線においては大都市方面が上り線で、郊外方面が下り線であるため、朝は上り列車が、夕方は下り列車が混雑する。概ね上り線は平日(7時台-9時台)に、下り線は平日の夕方夜間(18時台-20時台)に列車の混雑のピークを迎え、それぞれラッシュ時と呼ばれる。朝のラッシュ時と夕・夜間のラッシュ時を区別し、前者を「朝ラッシュ時」、後者を「夕(ゆう)ラッシュ時」と分けて呼ぶこともある。

ラッシュ時以外の混雑しない時間帯については、朝ラッシュ時より前の時間帯を「早朝(時間帯)」、朝ラッシュ時と夕ラッシュ時の間の時間帯を「日中(時間帯)」、夕ラッシュ時の後の時間帯を「夜間・深夜(時間帯)」と呼ぶことが多い。アーバンネットワークでは、大阪駅基準で22時以降を「深夜時間帯」と定義している。

朝ラッシュ時は、企業の出社時刻や学校の始業時刻が短い時間帯に集中するため、通勤・通学客が集中して混雑が特に激しい。一方で夕ラッシュ時は、帰宅時刻が分散するため、朝ラッシュ時より混雑は若干下がるものの、時間帯としては朝ラッシュ時よりも若干長く続くことが多い。

日本の朝ラッシュ時の鉄道の混雑は、かつては乗車率300%を超えることも当たり前で「殺人的混雑」と評され、世界的にも有名であった。現在は、以下の各種対策により、以前よりは改善されているが(最高で平均200%程度、一列車あたりの最高が250%程度)、現在もさらなる改善へ向けた取組みが必要とされている。

バスにおいても同様で、朝ラッシュ時は住宅地から駅、駅から企業や学校に向かうバスが混雑し、夕ラッシュ時はその逆方向が混雑する。

鉄道やバスなどで移動する際、日中よりもラッシュ時のほうが時間がかかる。また、ダイヤが乱れることも多い。これは、ラッシュ時には他の時間帯より格段に乗降客が多いため乗降に時間がかかるのと、日中よりかなり列車の本数や道路交通量が多く途中で列車が詰まったり道路渋滞がおこりノロノロ運転になったりしてしまうためである。

逆ラッシュ[編集]

ラッシュアワー

首都圏近郊においては先述の通り、朝方上り列車が混雑し、夕方下り列車が混雑するのが通例であるが、朝方下り方面が混雑し、夕方上り方面が混雑する路線もある。これを「逆ラッシュ」と称している。

具体的には、以下の2つの場合がある。

関西地方においても、大阪方面に向く流動が多いが、各府県庁所在地や大学・企業・工場・空港に向く流動も見られる。特に関西国際空港を抱える阪和線南海本線や大学が立地する学研都市線JR京都線琵琶湖線が顕著である。

ラッシュ時と日中の違い[編集]

鉄道[編集]

ラッシュアワー
1960年代の通勤ラッシュ
1960年代の通勤ラッシュ

日本の鉄道ではラッシュ時の混雑を緩和するため、ラッシュ時には列車の増発や車両の増結やラッシュ時に対応した列車種別の変更などがなされる。

増発
鉄道では、ラッシュ時となる時間帯には増発される。1時間あたりの本数も日中より多くなり、運転間隔が日中より短くなる。
  • JR神戸線・京都線・宝塚線では夕方ラッシュ時も日中とほぼ同じの本数で運行されている。
  • 日中に始発終着とする電車のない駅の始発・終着電車も運転される。
  • 工業地帯など、日中の交通需要が見込めない地域を走行する場合には、ラッシュ時のみ列車が運転され、日中は全く運転されないという路線もある(鶴見線大川支線山陽本線和田岬支線名鉄築港線など)。
増結
ラッシュ時には通常の編成よりも多い両数の編成で列車が運転されることがある。増結によって、増結した車両の分だけ多くの人が乗車でき、その分だけ混雑が緩和する。増結分は駅でのホーム有効長の延長が必要になるが、用地や費用等で延長が困難な場合はドアカットかホーム有効長が短くなる駅の手前で解結を行う場合がある。
列車種別の変更
路線により、日中とは違う列車種別の列車を運転することがある。ラッシュ時のみに運転される列車や、逆にラッシュ時には運転されない列車がある。
  • ラッシュ時にしか運転していない列車種別には、大別すると通勤種別ホームライナーがある。
通勤種別
通勤特急や通勤急行等、ラッシュ時に通勤需要に対応するための列車。種別名に通勤が冠されることが多いが、冠されない場合もある。路線・会社ごとに、日中の停車駅の数から増減がある。原則的に朝に都心に行き、夕方都心から帰ってくる乗客向けに、平日朝の上りと、平日夕方・夜間の下りに運転されるが、例外的に朝の下り、夕方・夜間の上り、日中・土曜日休日に運転されるものもある。
JR神戸線・京都線では、朝ラッシュ時に通過駅のある「快速」(舞子駅垂水駅須磨駅を通過する快速および京都駅 - 大阪駅間が快速(途中停車駅は長岡京駅・高槻駅・茨木駅・新大阪駅))になる列車を設定している。この列車は「快速」であるが、新快速と同じ速度で運転している。
ホームライナー
座席定員制普通列車。平日夕方・夜間の下りと平日朝の上りに運転される。乗車するには乗車券のほかに別途ライナー券が必要となる。
  • 地下鉄においてはラッシュ時には昼間時に利用客の少ない駅も乗降客が増加するため、優等列車を運転しないことが一般的である。
  • 近年は、これまでラッシュ時にも優等列車を運転していた区間について、優等列車としての運行を廃止し、すべて各駅停車として運転される対策がとられることがある。これは、速達列車は一般に各駅停車より混雑するため、高い混雑が列車の遅れの原因となっているところ、全列車を各駅停車とすることで列車ごとの混雑を平準化して列車の遅れを防止しようとする狙いがある。2000年に名鉄瀬戸線で行われた例があるほか、2007年より私鉄混雑率ワースト1・2である東京メトロ東西線東急田園都市線で実施され、特に後者はメディアにも強く注目された(東西線については速達種別より各駅停車の遅延が目立ち、速達系通過駅の停車列車増加のため実施された)。
押し屋の配置
鉄道駅では、混雑度が増してくる大都市周辺の主要駅を中心に、朝に「押し屋」と呼ばれる電車に乗り切れない人を車内に押し込む係員をアルバイトなどで雇い、ホームに配置することがある。
女性専用車両
痴漢防止の観点などから、大都市周辺を中心にラッシュ時に女性専用車両が設定される路線が多い。しかし、これにより却って他の車両の混雑が悪化したり、乗降が多い駅の改札口(およびそれらにつながる階段等)に近い車両に乗りたいという考えから有効な利用がなされなかったりという問題が発生している。また一部には男性差別であるとの指摘もある。
ラッシュ時専用改札口
ラッシュ時のみに使用される改札口が設けられることがある。かつては阪急電鉄のように完全に無人の出口(フリーパスゲート)が設置された例もあった(現在は廃止)。ストアードフェアシステムや不正乗車防止システムの導入により自動改札機の設置が必須になったことや、遠隔操作により改札口の常時稼働が可能になったことなどにより、都市部では減少している。
乗車用ホームを降車用として使用
櫛型ホームを有する都心の終着駅では、朝ラッシュ時に乗客を早く降ろすために、通常乗車用として使っているホームからも降車させることがある。

バス[編集]

バスでも、ラッシュ時には増便がなされたり、急行バスが運行される系統もある。

ラッシュ時の混雑緩和策[編集]

鉄道[編集]

1960年代の通勤ラッシュ

鉄道においては、上記のような増発や増結がなされてもなお混雑の解消に至らず、増発や増結が物理的に不可能となることもある。そのため、車両や施設そのものの改良がなされることがある。

混雑に対応した車両の連結
特に混雑する車両については、座席格納車両を列車に連結することが行われることがある。また、乗降時間を短縮するため、通常の車両よりもドアの多い多扉車(5扉車・6扉車)を連結したり、ドアの幅を拡幅した車両(ワイドドア車)を投入することなどが行われることもある。
  • 京阪電気鉄道5000系(5扉)がその始祖である(登場当時は架線電圧が600Vで、列車の増発や増結面で制約を受けていた状況下にて登場した)。この車両には日本で唯一の昇降式座席が搭載されている(閑散時は2つの扉を締め切り、座席を降ろして他の車両と同等の着席サービスを確保している)。
  • JR東日本埼京線中央・総武緩行線東急田園都市線などに連結される6扉車は、座席格納車両であり、始発からラッシュ終了時まで座席を利用することができない。なお、座席格納6扉車を最初に導入した山手線については、混雑緩和の実現やホームドアの導入を理由に、2010年2月から座席の格納を中止するとともに、6扉車の連結を取りやめて通常の4扉車への交換が進められている。
  • ワイドドア車は東京地下鉄東西線小田急電鉄などに存在する。小田急では混雑緩和効果が薄いとして一部の車両に留まっているが、東京地下鉄東西線では2010年より再度ワイドドア車(15000系)を導入すると発表している。
新型車両の投入
高性能な新車両の導入も、増発や定員増加につながることから、積極的に行われることがある。
線路容量の増加
上記の各対策を行ってもなお混雑が著しい場合には、物理的に列車を多く走らせる設備を整備することが必要となる。すなわち、単線の路線であれば複線に設備を改良し、複線の路線であれば複々線へ改良もしくは並行する新ルートを建設し、また非電化の路線であれば電化することが必要となる。
  • JRの前身・日本国有鉄道(国鉄)では通勤五方面作戦と銘打ち、1964年から1982年にかけて首都圏の主要路線で複々線化や新ルート開設が行われた。また、私鉄でも連続立体化工事とあわせて現在まで各社が取り組んでいる。
なお名鉄瀬戸線のように、ラッシュ時間帯の優等列車を廃して全て各駅停車として運転する、並行ダイヤを採用する場合もあるが、これも一つの路線上に運転可能な本数を増やすという意味では線路容量の増加につながっている。

バス[編集]

道路渋滞し定時運行が問題となるバス路線の走行する道路においては、センターラインの移動、バスの専用または優先車両通行帯(いわゆるバスレーン)の設置、右折レーンのない道路での右折禁止、人が集中する道路や駅前への車両進入禁止などが行われ、バスをスムーズに運行するための措置がとられることもある。バスレーンは大都市に比較的多いが、大都市以外にも設置されている場所もある。

道路[編集]

道路については、交通容量が鉄道より小さく、ラッシュ時の渋滞への対策が必要となる。一般には、バイパス高速道路の新設、拡幅、交差点の立体化などによって、交通容量の増加が図られる。 この他、ラッシュ時に日本で取られている方策としては、交通容量に余力がある高速道路への転換を促し一般道路の混雑を緩和するために朝夕通勤時間帯に実施されているETC通勤割引(参考:ETC割引制度)、ラッシュ時の交通量変化に対応して渋滞する方向の道路の青信号時間を長くするなど信号の鳴動時間変更、通勤手当制度や社内規則の運用、ノーカーデーの実施などによるマイカー通勤の自粛・禁止などがある。

その他の対策[編集]

国土交通省や各交通機関では、ラッシュ時を避けたオフピーク通勤を呼びかけている。これに呼応して、フレックスタイム制を実施している職場もある。

日本以外での状況[編集]

鉄道[編集]

ラッシュの時間帯[編集]

1960年代の通勤ラッシュ

混雑する時間帯については、国によって差異が見られる。特に夕方のラッシュについては、残業や飲み会の慣習などの違いから、比較的ピーク時間帯が早い都市(17・18時台に下り線が集中的に混雑)が多く、東京のように深夜まで混雑が続く都市は例外的である。

1970年代頃のフランスでは1日に4回のラッシュ時があった。これは当時昼休みが2時間程度と比較的長いため、朝・夕方以外にも昼休み開始前後とそれの終了前後には路線バス地下鉄が混雑することがあった。ただし、混雑度は夕方ラッシュ時よりやや低い。

アメリカなどの利用客が少ない路線では、朝夕の通勤・通学時の運行が主で、日中や休日に運行本数が極端に減るか、あるいは全く運行されない路線も多い。

ラッシュの度合[編集]

先進国の都市で比較すれば、東京の鉄道の混雑は突出している。ニューヨークロンドンパリといった大都市圏でも、東京と比べれば列車の混雑度合いは小さく、混雑区間も都心部近辺に限定されている。ただし、車両故障などによる遅延・運休、治安の悪化などの諸問題が見られる路線が多い。

世界全体にみると、定量的な比較は難しいが、ラッシュ時には乗客が車体の屋根にあふれるほどの超混雑になっている鉄道路線もみられるようである。例えば、世界で最も混雑する鉄道としてはインドのムンバイ近郊鉄道がしばしば取り上げられ、9両編成の電車に定員の3倍に達する5,000人が乗車しているとされる。ムンバイ近郊鉄道においては、無理に乗車した乗客が列車から落下したり、ホーム間を移動するため線路に立ち入ったりしたことにより、1日に平均で12人が死亡している。

ラッシュへの対策[編集]

列車の増発、増結、停車駅の少ない快速列車の運転などは、世界的に共通してみられる。しかし、着席サービスの提供を優先する都市が多く、少なくとも乗車時間が30分を超える近郊路線では、最大限に座席を確保することが基本になっている都市が多い。例えばフランス、アメリカなどでは、ラッシュ時の需要のために総2階建車両が導入され、多人数が着席できるようになっており、パリRERには3扉2階建という構造の電車もある。短距離の地下鉄などでは、路線によって異なるが、フランス、ドイツなど、座席数の多いクロスシートを導入している都市も少なくない。日本のように一つの車両に最大限に乗客を詰め込むことを原則としている事例は珍しい。

この他、イギリスオランダなどでは、ラッシュ時以外の運賃を割安にすることで混雑を平準化するという方策がとられている。

道路[編集]

1960年代の通勤ラッシュ

世界的なモータリゼーションの進展により、ラッシュ時の道路が車の身動きができないほどの猛烈な混雑に見舞われる都市は多い。マイカーの輸送力は公共交通機関に比べて遥かに劣るため、比較的小規模な都市でも混雑問題が深刻化する。走っている自動車の台数を低減させるためにアメリカオーストラリアでは相乗りなどを勧めている。

また、鉄道路線やライトレール路面電車を新設(復活)したり、バスレーンの設置や、途中駅・バス停に駐車場を設置することで自動車から鉄道・バスに乗り換えて郊外から都心へ向かうパークアンドライドを促進するなどの施策も見られる。ロンドン、シンガポールなど、大都市中心部への自動車の乗り入れによる交通渋滞を防ぐために都心部への乗り入れ車両から料金を徴収するロードプライシングが採用されている都市もある。

関連項目[編集]

1960年代の通勤ラッシュ
1960年代の通勤ラッシュ
1960年代の通勤ラッシュ