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'''陸上競技'''(りくじょうきょうぎ、)は、走る、跳ぶ、投げる、歩くなど、ほとんど道具を使わず、基本的な体力などを勝負に、地上での記録を競う[[スポーツ]]。
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== 概要 ==
 
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陸上ウェア

陸上競技(りくじょうきょうぎ)は、走る、跳ぶ、投げる、歩くなど、ほとんど道具を使わず、基本的な体力などを勝負に、地上での記録を競うスポーツ

概要[編集]

陸上競技
  • 走種目を主体にするトラック競技と、跳躍(走幅跳など)や投擲(ハンマー投など)を主体にするフィールド競技に分かれる。
  • 走種目の大半はトラックを使って行われ、跳躍や投擲などのフィールド種目は、トラックの内側にあるフィールドで行われる。なお、競技場によってはフィールド競技(特に跳躍)の競技場所がトラックの外側に設置されていることがあり、またマラソン等の道路競技は競技場外の公道を走ることになる。
  • 1983年からは世界選手権大会が開催されるようになった。当初は夏季オリンピック前年の4年に1回の開催だったが、1991年の東京大会からはオリンピック前後の2年おきの開催となった。
  • 競泳と違い、フィールド種目に限り、複数の場所で同時進行ができる(最大で同時間に5種目前後が進行している)ことから、ビギナーにとっては逆にどの種目を見たらいいのかを判断しづらく、テレビ局も生中継の際にはカメラワークや画面の切り替えのタイミングが難しい(複数のフィールド種目で有力選手の試技の時間帯が重なった場合などがその具体例である)という難点もある。また大会運営面ではフィールド種目(特に跳躍種目)で有力選手の試技とトラック種目(特に短距離種目)の決勝が重なる場合があり、跳躍選手がスタンドに手拍子を求めているのを中断される(短距離種目のスタートを優先する為。選手はピストルの音に反応してスタートする為、静粛を求められる)こともある。
  • 逆にある程度観戦歴を持つ人やファンの場合には、あらかじめプログラムで競技日程を確認した上で、時間毎に見たい種目の近くに席を移動する(国内の場合、殆どの大会は自由席なのでスタンド内の移動は可能である)など、各自で観戦日程を自由に組む人も多い。

歴史[編集]

陸上競技
陸上競技
陸上競技

陸上競技は紀元前776年の第1回古代オリンピックに遡る歴史のある競技である。この時にはスタジアムの長さ分の走種目、スタディオン走のみが行われた。

古代には、他にもヨーロッパ中でいくつかの競技大会が開かれていた。

他にもケルト人チュートン人、ローマ帝国を倒したゴート人といった民族も陸上競技の大会を開き、人気を集めていたようである。しかし、これらの民族では陸上競技は軍事鍛錬と関連したものであるのが一般的で、それほど大きく組織立ったものとはならなかった。中世には、貴族の子息たちが乗馬、馬上槍、剣術などの鍛錬に加え、ランニング、跳躍、レスリングなどの鍛錬を行っていたようである。競争相手のライバルや友人らとの間で競技会を開催することも公式、非公式を問わず、広く行われていた。

時代の枠を越えて、ヨーロッパ全土で多くの陸上競技スポーツが親しまれていた様子が確認されている。しかし、イギリスでは13世紀から16世紀にかけてスポーツを楽しむことに国家的な制限を課していた。これはアーチェリーの鍛錬に支障が出ないようにするためであった。この制約が17世紀になって除かれた後、イギリスではスポーツが再び盛んになった。陸上競技組織の活動は19世紀になって行われるようになった。これには学校においてスポーツ体育が実施されるようになった影響もある。正規の学校における陸上競技が取り入れられた初出としてイギリスのサンドハースト王立陸軍士官学校において1812年1825年に行われたとの説もあるが、これを補強する証拠は今のところない。記録に残っている最古の会合は同国のシュロップシャー州シュルーズベリー1940年に王立シュルーズベリー校が開催したもので、当時1838年1841年まで生徒として在籍していたCTロビンソンが60年後に複数の手紙に当時の詳細について書き残している。

陸上競技は、ルネサンス以降に近代スポーツとして発展し、1896年に開催された第1回アテネオリンピックをきっかけとして、世界各国へと普及した。日本には明治初期に、海軍兵学寮のイギリス人教師によって伝えられた。日本が初めてオリンピックに参加したのは、1912年の第5回ストックホルムオリンピック大会であり、中・短距離走の三島弥彦と長距離走の金栗四三が参加した。

陸上種目の多くはその起源を古代にまで遡るものが多く、古代ギリシアで既にその競技種目としての形式が確立されていた。1896年の第1回近代オリンピック大会でも陸上競技は実施され、常に実施競技としてありつづけるとともに、オリンピックの花形種目としての地位を占めてきた。女性のオリンピックにおける競技参加は1928年まで許可されなかった。

国際競技統括団体IAAF1912年に創設され、1983年からは、オリンピックとは別の大会として、IAAF世界陸上競技選手権大会を開催するようになった。他に世界室内陸上競技選手権大会ヨーロッパ陸上競技選手権大会なども開催されている。特にオリンピックを始め、主要な陸上競技大会の期間中は高い注目を集めるものの、スポーツ全般から見ると多くの国で一般からの関心の度合いはやや低くなりがちである。ヨーロッパで毎年夏にサーキット大会が開催され、この種の連続する競技大会としては最高峰に位置している。

全米アマチュア競技連盟が米国における統括団体であったが、1970年代にプロフェッショナルスポーツとしての促進が進むと、その管轄を外れた。新たな統括団体として、TAC (The Athletics Congress) と呼ばれる団体が結成され、後に全米陸上競技連盟 (USA Track and Field; USATF; USA T&F) と改名した。さらにより緩やかな組織として、ロードレースの普及促進を図る団体として全米ロードランナークラブ(RRCA)がある。両団体とも、以前は偽アマチュアリズムとされた、レース出場を通じて金銭を得る行為を禁止していない。

種目[編集]

陸上競技
陸上競技
陸上競技

(公式種目のみ〔【】内は非公式〕)

  • 上記の競技のうち、日本でもなじみのあるハーフマラソンや駅伝競走はオリンピックや世界陸上競技選手権大会には採用されていない。これはマラソン同様に陸上競技場の外、つまり公道をコースとせざるを得なく、更に男女別で分ける必要もあることから、公道での交通規制が増えすぎてしまい、警備への負担増加、規制による市民生活への影響などが大きいためとも考えられる。
  • 女子の場合は長距離走と競歩、また跳躍競技、投擲競技などの大半は日本陸連から日本記録公認外種目として始まったものが多い。大部分は1930年までに公認されたが、長距離走と競歩は1980年、三段跳は1986年、棒高跳、ハンマー投は1993年になって公認されるようになった。

世界記録[編集]

陸上競技

陸上競技の世界記録一覧を参照

参考 陸上競技のオリンピック記録一覧

競技規則[編集]

計測・単位について[編集]

フィニッシュタイムの計測(トラック競技)
  • トルソー(ここでは頭、腕、足、手及び足を含まない部分を示す)がゴールラインをきった時点で走者のフィニッシュとされる。
  • 写真判定装置を用いる場合、10000メートル以下の競技では、1000分の1秒以下を100分の1秒に繰り上げる。10000メートルよりも長い競技では、100分の1秒以下を10分の1秒に繰り上げる。また、一部でも競技場外で行われるレースにおいては、10分の1秒以下を秒に繰り上げる。
  • 手動計時の場合は、トラック種目の場合は100分の1秒以下を10分の1秒に繰り上げ、一部でも競技場外で行われるレースにおいては、10分の1秒以下を秒に繰り上げる。また、3個の時計のうち2個が一致する場合はそのタイムが記録となり、全て異なる場合は真ん中のタイムが記録となる。尚、時計が2つのときは遅いほうのタイムを記録とする。そのため、同じ着順の計時を複数名で担当する。
距離の単位(トラック競技)
  • 基本的に競技場内で行われる競技はメートル、公道へ出る競技はキロメートルで表される。
距離の計測(フィールド競技)

風速の測定[編集]

陸上競技

風速は、各種目下記の秒数計測し、100分の1メートル以下を10分の1メートルに切り上げる。

  • 60メートル スタートから5秒間
  • 100メートル スタートから10秒間
  • 200メートル 先頭の選手が直線に入ってから10秒間
  • 100メートルハードル スタートから13秒間
  • 110メートルハードル スタートから13秒間
  • 走幅跳 踏み切り板から40メートル離れ、助走路のそばにあるマーク通過から5秒間で、競技者の助走が40メートル未満なら助走開始時から5秒間。
  • 三段跳 踏み切り板から35メートル離れ、助走路のそばにあるマーク通過から5秒間で、競技者の助走が35メートル未満なら助走開始時から5秒間。

測定器はトラック競技の場合は1レーン側のトラックから2メートル以内のフィニッシュラインから50メートルところに設置し、フィールド競技の場合は踏み切り板から20メートルのところで、助走路から2メートル以内のところに設置する。また、トラック、フィールド共に1.22メートルのところで測定する。

競技時の服装[編集]

陸上競技
  • 服装は濡れても透けないもの。
  • 前と後ろにナンバーカード(旧呼称:ゼッケン)をつける[1]
    • 普通、数字で1桁から4桁。ロードレースでは5桁も。
    • 小規模の開催では選手側が用意する。
    • ある程度の大会(予選会や標準記録があり参加者が限られるもの)では開催名やスポンサー名の入ったナンバーカードが配られる。
    • 最近は競技会、種目によって(セパレートレーンの短距離走やフィールド種目などで)はナンバーカードをつけないことがある。
  • トラック競技は写真判定のためにレーンナンバーを示す腰ナンバーカードをつける(リレー種目はアンカーのみのことが多い)。
    • ちなみに、最近の腰ナンバーカードは直ぐに取り外しできるよう(レーンが決まるのはレース直前であるから)シール状になっていることが多い。このシールは特にスパッツの生地には全く馴染まないため競技開始直後に剥がれることが多く、オリンピックや世界選手権の決勝レースにおいてもスタートと同時に選手が白いナンバーカードを「落とす」光景が見られる。そのため、水濠で足が濡れることでよりシールが剥がれやすくなってしまう3000メートル障害では太ももなどの地肌に直接ナンバーシールを貼る選手もいる。

主な失格[編集]

陸上競技
陸上競技
  • 他の競技者の邪魔をしたり、走路をふさぐこと。
  • トラック競技で、不正スタートを行った競技者。ただし混成競技では不正スタートがあった後、2度目以降のスタートで不正スタートを行った競技者が失格。
    1回目の不正スタートが即失格となるこのルールは、2010年1月より国際陸上競技連盟主催大会で適用されている。日本国内でも2010年度から3年間は、試行的に日本陸連主催の一部大会で適用されるが、2013年度以降は中学、高校を含めて日本陸上競技連盟主催の全大会(全国小学生陸上を除く)に適用範囲を広げる予定。全国大会につながる地区大会は各陸上競技協会の判断によるが、新ルールの適用が推奨される。2010年度から適用されるのは、日本選手権、日本ジュニア選手権、日本ユース選手権、国際グランプリ大阪大会、スーパー陸上。400mまでの短距離種目と400mと1600mのリレー種目に限定し、フライング判定装置の設置が原則となる。装置がない場合、目視とビデオ映像で判定する。日本学生陸上競技連合も2010年度は、日本学生個人と日本学生対校の両大会で新ルールが適用された。
    新ルールが適用されない国内大会では、不正スタートがあった後、2度目以降のスタートで不正スタートを行った競技者すべて。ただし混成競技では2回不正スタートを行った競技者。
    なお、小学生の日本国内の大会では従来とは変わらずに、同一競技者が2度目の不正スタートで失格となる(競技には参加させ、記録は参考記録)。
  • トラック競技で、レーンの内側を走ること。
  • セパレートレーンの各種目において、競技中に他者のレーンに侵入すること。
  • リレー走で、バトンの受け渡しをテーク・オーバー・ゾーン外で行うこと。
  • ハードル走で、ハードルをはみ出して低い位置で跳んだり、ハードルをわざと倒すなど失格行為を行うこと。
  • その他、定められた失格行為。

国際競技会における走種目のスタート合図[編集]

  • 2006年度の競技規則改正により、下記の競技会においてはスターターによる合図を英語に統一することになった。
  • 上記以外の国際競技会については、従来どおり開催する国や地域の言語、英語またはフランス語で合図する。

公認種目、公認記録の扱い[編集]

陸上競技
  • 公認種目はIAAF等が公認した種目で、その種目において世界で最高の記録が出ると、世界記録として認められる。また、公認種目以外の種目では「世界最高記録」として扱われる。公認種目では、公認記録(世界記録、各国記録、各種大会記録)として100メートル、200メートル、100メートルハードル、110メートルハードルと走幅跳三段跳の場合は追い風2.0m以内であれば公認記録となる。追い風2.0mを超えると各種大会の順位付けの記録は付くが、公認記録としては認められず「追い風参考記録」にとどめられる。
  • 混成競技では、風速を計測する種目の平均風速が追い風2.0m以内であれば混成競技の記録として公認され、そうでなければ「追い風参考記録」となる(2010ルール改正)。
  • 世界陸上競技連盟の競技規則に沿った競技会での記録でないと、公認記録とならない。

脚注[編集]

  1. 走り高跳及び棒高跳は前か後ろ片方だけでよい。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  • 東京教育大学体育史研究室編 『図説 世界体育史』 新思潮社 1964年

外部リンク[編集]

陸上競技の画像[編集]

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