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2014年7月14日 (月) 18:40時点における最新版
JR東日本 岩泉線 | 停車場・施設・接続路線
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岩泉線(いわいずみせん)は、岩手県宮古市にある茂市駅と下閉伊郡岩泉町にある岩泉駅を結ぶ東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線(地方交通線)。
概要[編集]
茂市駅で山田線から分岐する、終点の岩泉駅で接続鉄道路線の無い盲腸線である。岩泉駅の近くには龍泉洞という観光地がある。1日の列車本数は全線直通が3往復と区間運転1往復(詳細は後述)。
日本国有鉄道(国鉄)時代に特定地方交通線第2次廃止対象線区に選ばれていたが、並行する国道340号押角峠が急カーブかつ幅員狭小で大型車が通行できず、名松線(現在は東海旅客鉄道が経営)とともに代替道路未整備を理由に廃止対象から除外された。
国鉄分割民営化でJR東日本が発足した1987年度には180人/日だった輸送密度(JR東日本は「平均通過人員」と呼称)は、発足以来長期低落傾向が続き、全線運休直前の2009年度には、46人/日にまで落ち込んでいた。これは、JR東日本の在来線全67線はもとより、JRグループ全路線、また、私鉄・第三セクター鉄道を含めた全鉄道路線の中でも最下位となる数字であった[1]。
1996年にはJR東日本盛岡支社から地元にバス転換の提案があったが、後に取り下げている。線内で最大の利用があるのは岩手大川駅である。また、茂市駅 - 岩手和井内駅間と浅内駅 - 岩泉駅間には並行して路線バスも運転されている。浅内駅と路線バスの岩手落合停留所は歩いても15分程度のところにある。
ラインカラーはグレーである。
2010年7月31日に発生した脱線事故のため、以後長らく全線運休が続いていたが、2012年3月30日にJR東日本は鉄道での復旧を断念し、バスによる輸送を継続するという方針を発表した[1]。
路線データ[編集]
- 管轄(事業種別):東日本旅客鉄道(第一種鉄道事業者)
- 区間(営業キロ):茂市駅 - 岩泉駅 38.4 km
- 軌間:1067 mm
- 駅数:9(起終点駅含む)
- 岩泉線所属駅に限定した場合、起点の茂市駅(山田線所属[2])が除外され、8駅となる。
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:なし(全線非電化)
- 閉塞方式:スタフ閉塞式
- 交換可能駅:なし(全線1閉塞)
- 最高速度:85 km/h
- 運転指令所:盛岡総合指令室(運転取扱は茂市駅)
全線が盛岡支社の管轄である。
運行形態[編集]
2010年7月31日に土砂崩れによる脱線事故が発生し、以来全線運休となっている。脱線車両の撤去は同年11月18日に行われたものの、沿線内すべての地域で危険個所の調査が必要となっているため、復旧のめどは立っていない[3]。同年8月2日からはバス代行が開始された。代行バスは当初押角駅・二升石駅を通過していたが、8月17日からは最寄り国道上に仮設の停留所が設置され停車している。また、一部の便が宮古駅発着となった[4][5]。
通常時の列車ダイヤでは、2008年10月時点で、茂市駅または山田線宮古駅より終点の岩泉駅まで行く列車が1日3往復(朝1往復、夕方2往復)運行されていたほか、岩手和井内駅折り返しの区間列車が朝に1往復設定されており、このうち2往復が山田線宮古駅まで乗り入れていた。全列車とも各駅に停車していた。車両側の設備は整っていたもののワンマン運転は行われていなかった。
1992年3月13日までは岩泉駅発着4往復・岩手和井内駅折り返し1往復の1日5往復が運転されていた。
使用車両[編集]
非電化であるため気動車が用いられている。
- 現在の車両
- キハ110系100番台 - 盛岡車両センター所属
- 過去の車両
歴史[編集]
改正鉄道敷設法別表第8号に規定する予定線で、東北本線(現在のいわて銀河鉄道線)の小鳥谷から小本街道沿いに三陸海岸沿いの袰野(ほろの。岩泉町の字名で岩泉 - 小本間に位置する)に至る鉄道と、落合付近(岩泉町の字名で浅内 - 二升石間に位置する)から分岐して、茂市で山田線に接続する鉄道の一部である。
計画時に袰野で接続するはずであった改正鉄道敷設法別表第6号の予定線(現在の三陸鉄道北リアス線)は、後に海岸沿いをトンネルでショートカットするルートに改められたため、当地を経由していない。
実際に建設着手されたのは、戦時体制下で、沿線から産出する工業用耐火煉瓦の原料となる粘土に軍需物資としての需要が生じたことによる。太平洋戦争中の1942年6月25日に茂市駅 - 岩手和井内駅間が小本線(おもとせん)として開業、1944年に岩手和井内駅 - 押角駅間が貨物線として開業し、粘土採取地から索道によって押角駅まで粘土を輸送した。
終戦後ほどなく押角トンネルを貫通、1947年11月25日から旅客輸送も全線で開始するなど沿線の政治力も伴い徐々に延伸、浅内以北は日本鉄道建設公団の施工により1972年2月6日に岩泉駅まで開通したが、ここで延伸は停止した。
旧線名の「小本線」は計画当初の終点からとったもので、岩泉駅 - 小本駅間には国鉄バスが運行されていたが、鉄道は結局そこまで達することはなかった。
岩泉駅 - 小本駅間の国鉄バスは、国鉄民営化後もJRバス東北によって運行されていたが、2003年4月1日にJRバス東北岩泉営業所と陸中海岸線岩泉駅 - 小本駅 - 大牛内間が廃止され、岩泉町民バスへ移管された。
2010年7月31日に押角駅 - 岩手大川駅間で土砂崩れによる脱線事故が起き(詳細は「岩泉線列車脱線事故」を参照)、以来長く全線の運休が続いている。
2012年3月29日にJR東日本が運行再開を断念する意向を固めたと報じられ[6][7]、3月30日に正式発表された[1]。
年表[編集]
- 1942年(昭和17年)6月25日 【開業】小本線 茂市 - 岩手和井内 (10.0 km) 【駅新設】岩手刈屋、岩手和井内
- 1944年(昭和19年)7月20日 【延伸開業】岩手和井内 - 押角(5.8 km、貨物営業のみ)【駅新設】(貨)押角
- 1947年(昭和22年)11月25日 【延伸開業】押角 - 宇津野 (4.5 km) 【旅客営業開始】岩手和井内 - 押角 【駅新設】宇津野 【貨物駅 → 一般駅】押角
- 1948年(昭和23年)11月26日 【災害不通】全線(風水害による)
- 1949年(昭和24年)3月5日 【営業再開】全線(復旧)
- 1957年(昭和32年)5月16日 【延伸開業】宇津野 - 浅内 (10.9 km) 【駅新設】岩手大川、浅内 【駅廃止】宇津野
- 1966年(昭和41年)10月1日 【駅新設】中里
- 1972年(昭和47年)2月6日 【延伸開業】浅内 - 岩泉(7.4 km、旅客営業のみ) 【駅新設】二升石、岩泉 【改キロ】岩手大川 - 浅内 (-0.2 km) 【線名改称】岩泉線
- 1982年(昭和57年)11月15日 【貨物営業廃止】茂市 - 浅内
- 1984年(昭和59年)6月22日 運輸大臣が廃止承認を保留
- 1985年(昭和60年)8月2日 代替道路未整備を理由に廃止対象から除外
- 1986年(昭和61年)4月1日 岩手和井内・浅内駅無人化に伴い、茂市 - 岩泉間一閉塞化(スタフ閉塞化)
- 1987年(昭和62年)4月1日 【承継】東日本旅客鉄道
- 2003年(平成15年)10月11日 快速「キハ52・58岩泉号」が運転され多くの乗客が岩泉線に足を運ぶ(13日まで)
- 2008年(平成20年)
- 2010年(平成22年)
- 2011年(平成23年)
- 3月11日 東北地方太平洋沖地震の影響により、代行輸送を休止
- 3月20日 代行輸送を再開
- 2012年(平成24年)
駅一覧[編集]
駅名 | 駅間営業キロ | 累計営業キロ | 接続路線 | 所在地 |
---|---|---|---|---|
茂市駅 | - | 0.0 | 東日本旅客鉄道:山田線(宮古駅まで直通あり) | 宮古市 |
岩手刈屋駅 | 4.3 | 4.3 | ||
中里駅 | 2.9 | 7.2 | ||
岩手和井内駅 | 2.8 | 10.0 | ||
押角駅 | 5.8 | 15.8 | ||
岩手大川駅 | 10.0 | 25.8 | 下閉伊郡岩泉町 | |
浅内駅 | 5.2 | 31.0 | ||
二升石駅 | 2.8 | 33.8 | ||
岩泉駅 | 4.6 | 38.4 |
廃駅[編集]
- 宇津野駅
- 1957年5月16日廃止、位置は押角駅 - 岩手大川駅間、茂市起点 20.3 km[9]、押角トンネル岩手大川方抗口付近(テンプレート:ウィキ座標)。電報略号は、ウノ。
- 小本線時代に存在した駅で、浅内へ延伸されるまでは当路線の終着駅であった。岩泉行き列車に乗り押角トンネルを抜けると、すぐ左側に見える広い平らな敷地が跡地であり、国道340号からは木製の橋で繋がっている。
- 2010年7月31日に発生した岩泉線の土砂崩れ事故では、事故処理のため被災車両をこの駅の跡地に輸送している[10]。
- 車で国道340号を走行し、難所の押角峠を越えるのは非常に時間がかかり、危険も多い。一方で、岩泉線の復旧にはかなり時間がかかることが予想されている。このためこの駅を復活させ、茂市 - 宇津野間だけでも運行をとの意見があるが、JRによるとこの区間にも調査が必要な箇所があるため、実現は難しいとされる[11]。
岩泉線を舞台にした作品[編集]
脚注[編集]
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 岩泉線(茂市〜岩泉)についてPDF - JR東日本、2012年3月30日。
- ↑ 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編』JTB 1998年
- ↑ 脱線車両を撤去、復旧めど立たず 岩手・JR岩泉線[リンク切れ] - 河北新報、2010年11月19日。
- ↑ 岩泉線 土砂崩壊に伴う8/16までのバス代行についてPDF - JR東日本盛岡支社、2010年8月6日。
- ↑ 岩泉線 8/17からの土砂崩壊に伴うお知らせPDF - JR東日本盛岡支社、2010年8月6日。
- ↑ (2012-03-29) JR岩泉線、再開断念の方向 30日にも正式発表 岩手日報Web News 岩手日報社 盛岡 2012-03-29 [ arch. ] 2012-03-29
- ↑ 安藤いく子 (2012-03-29) 安藤いく子 JR岩泉線:廃線へ 土砂崩れで不通「乗車率悪い」 毎日JP 毎日新聞社 東京 2012-03-29 [ arch. ] 2012-03-29
- ↑ 2010年現在、このように起点駅、中間駅、終点駅ともに一つもみどりの窓口が設置されていない路線は、全国のJR線の中で岩泉線のほかにJR東日本の男鹿線と四国旅客鉄道(JR四国)予土線がこれに該当する。
- ↑ 今尾恵介『日本鉄道旅行地図帳 2号 東北』新潮社、2008年、p.37
- ↑ 土砂崩れで列車脱線=乗客ら3人が軽傷―岩手・JR岩泉線 - asahi.com、2010年7月31日
- ↑ JR岩泉線に係る状況報告会を開催 - JR岩泉線復旧応援サイト、2010年12月21日