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− | 日本では古くから毒キノコとして知られており、『[[今昔物語集]]』では「和太利(わたり)」という名で登場し、和太利による毒殺未遂事件が取り上げられている(巻二十八・第十八話「金峰山の別当、毒茸を食ひて酔はぬ事」)。 | + | 日本では古くから毒キノコとして知られており、『[[今昔物語集]]』では「和太利(わたり)」という名で登場し、和太利による毒殺未遂事件が取り上げられている(巻二十八・第十八話「金峰山の別当、毒茸を食ひて酔はぬ事」)。[[クサウラベニタケ]]・[[カキシメジ]]とともに「キノコ食中毒の御三家」と呼ばれている。 |
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2014年7月21日 (月) 19:34時点における最新版
ツキヨタケは、ハラタケ目キシメジ科ツキヨタケ属に属するキノコの一種。現在の学名はOmphalotus guepiniformis(詳細は下参照)。夏から秋にかけてブナやナラ等の広葉樹の枯れ木に群生する。標高がやや高い場所では多く見られるキノコである。
特徴[編集]
紫褐色または黄褐色のかさで、柄は短く、つば状の突起がある。新鮮なものはツキヨタケ中に含まれる成分であるランプテロフラビンの効果によって、暗闇で白色のひだが青白く発光するが、熟成が進むと発光しない場合もある。柄を裂くと、紫褐色のシミがあるので他の食用キノコと見分けられるが、まれにシミのないものもあるので注意が必要である。色が地味で肉厚なためおいしそうに見えるため、食用キノコと間違い誤食し中毒に至ることが多い。日本での毒キノコ中毒例の半数以上がツキヨタケによるものといわれるほどである。また、大きさはかなりばらついており、大きいものでは25cmほどのものもある。
毒成分はセスキテルペンのイルジンS (Illudin) などとされるが依然研究途上にある。食後約30分から3時間程度で嘔吐や下痢などの食中毒の症状が現れ、見るものが青く見える幻覚症状を伴うことがある。最悪の場合、脱水症状などで死に至ることもある。
日本では古くから毒キノコとして知られており、『今昔物語集』では「和太利(わたり)」という名で登場し、和太利による毒殺未遂事件が取り上げられている(巻二十八・第十八話「金峰山の別当、毒茸を食ひて酔はぬ事」)。クサウラベニタケ・カキシメジとともに「キノコ食中毒の御三家」と呼ばれている。
成分[編集]
- 毒性分(細胞毒) イルジンS ( illudin S ) 、イルジンM ( illudin M ) 。ネオイルジンA( neoilludin A )、ネオイルジンB( neoilludin B )
- illudin Sの毒性:LD50:マウス(腹腔 内)50mg/kg。
- 発光物質 ジヒドロイルジンS(dihydroilludin S)。デオキシイルジンM (deoxyilludine M)、ランプテロフラビン
- 抗菌物質 レクチン
- 色素 アトロメチン、テレホール酸、ジロシアニン
学名について[編集]
従来のツキヨタケの学名 (Lampteromyces japonicus (Kawam.) Sing.) は、1947年にロルフ・シンガーによって新たに一属一種として与えられたものである。しかし、2002年になってヨーロッパや北アメリカに分布するOmphalotus属との類似性が指摘された(この場合、先名権の関係により学名はOmphalotus japonicusとなる)。そして、根田仁による標本の比較検討の結果、ツキヨタケはOmphalotus guepiniformisと同定された。これにより、従来のLampteromycesはシノニム扱いとなった。
日本では現在はこの学名が用いられているが、Omphalotus oleariusの英語版記事などではOmphalotus japonicusとして紹介されており、学名については現在も議論されていると思われる。
なお、Omphalotus属は欧米およびオーストラリアに分布し、発光性およびツキヨタケ同様イルジン(本来、Omphalotus illudensから発見された)を含む毒キノコが多い。特に、Omphalotus oleariusはJack O'Lanternの名前で知られている。
類似の食用キノコ[編集]
幼菌はシイタケに、成菌はムキタケ、ヒラタケに類似し、特にムキタケとは同一場所に生える場合もあり、間違えることも多い。
2005年10月、長野県JA信州諏訪の農産物直売所で誤って販売され中毒事故が発生した。
関連項目[編集]
- キノコ
- en:Omphalotus olearius - ツキヨタケと類縁種であり、同じ毒 (Illudin) を含む。