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2020年1月13日 (月) 01:58時点における最新版
テニス(tennis)はネット越しにボールをラケットで打ち合う球技。リアルテニス、ロイヤルテニスやコートテニス、ローンテニス、ソフトテニス(軟式テニス)等があるが、現在では単にテニスと呼ぶ場合、ローンテニスを指す。但し日本では事情が異なり、硬式テニスと呼ばれたり表記されることが多々ある。これはソフトテニス(軟式テニス)と区別するためである。日本においては単にテニスという場合、ソフトテニスを指しているのか硬式テニスを指しているのか曖昧なことが多々ある。庭球(ていきゅう)とも表記する。
目次
歴史[編集]
複数の人間が1つの球を互いに打ち合うという形態の球技の起源は、紀元前にまで遡ることが出来る。エジプトでは宗教的な行為のひとつとしてこのような球技が行われていた。紀元前15世紀の壁画で球を打ち合う球技を行う人々の姿が描かれたものが発見されている。
エジプトに存在したこの球技は、古代ローマ帝国にもレクリエーションの1種類として引き継がれたが、現在のテニスの直接の祖先に当たる球技は、8世紀ごろにフランスで発生し、当初はスール(soule < ケルト語 hehaul 「太陽」より。ボールを太陽に見立てたもの)、フランス貴族の遊戯として定着をはじめた16世紀以降にはジュー・ドゥ・ポーム(jeu de paume 、「掌の遊戯」の意)と呼ばれた。
フランスでこの球技が盛んになった理由としては、ローマ時代の直接の影響よりも、8世紀から11世紀まで、イベリア半島から南フランスまで進出していたイスラム教徒(ウマイヤ朝)が、エジプト時代と同様に、宗教的行為として行っていたものに、キリスト教の僧侶が興味を持ち模倣したことからはじまったと言われている。(「ラケット」の語源がアラビア語であることに注意されたい。フランスの僧院で特に盛んに行われるようになったのは、イスラム勢力がヨーロッパから駆逐された12世紀ごろ以降からとされる。)
現代のローンテニスに対して、初期のテニスは普通単に「テニス」と呼ぶが、このことはあまり知られていない。「テニス」の名称は攻守交代の際のサーバーの掛け声である「トゥネ!」(仏:Tenez! 、動詞 tenir の命令形で「(球を落とさないように)取ってみろ」の意)にちなむ。基本的なルールやスコアリング方式はローンテニスと似ている部分もあり、ファイブズ (fives)、ペロタ (Pelota) などのハンドボールから発達した。
昔のテニスのコートは僧院にあり、四方を壁と傾斜した天井に囲まれていて、現代のローンテニスのコートより大きかった。18世紀から19世紀にかけてヨーロッパの貴族の間で大流行し、多くのコートが建造されたが、現存するものは少ない。イギリスでは復元されたコートがクリフトン大学にある。近代における貴族階級の遊戯としてのテニスは、イギリスではロイヤル・テニス (Royal Tennis 、「王家のテニス」の意)、アメリカではコート・テニス (Court Tennis 、「宮廷のテニス」の意) とも呼んでいる。
中世では、ラケット(現代とはやや形状が異なる)、あるいは掌でボールを打ち合っていた。手袋を使うこともある。「ポーム」とは掌を意味する。ボールは固形物(石等)を芯に糸をぐるぐる巻き、皮で被ったもので現代のものよりはるかに重く、弾力性は少ない。サーブは一方の側からのみ行われ、傾斜した屋根を転がるように打ち上げる。レシーブ側のプレイヤーは、落ちてきたボールが二度バウンドする前に打ち返す。失敗したプレイヤーはポイントを失う。ゲームの最初の第一球の打ち込みが「サーブ」と呼ばれるのは、中世においては、レシーバーにあたる人間の従者が第一球を屋根に打ち上げる役目を行っていたことに起源がある(従者「サーバント」が主人に対して行う行為は「サービス」)。14世紀には現在のラケットの原型が登場した。これはまだガットは張られておらず、ガットが張られるようになったのは16世紀になってからである。また、この初期のラケットは選手が自作していたそうである。
現代の多くのスポーツとは異なり、ローンテニスの歴史はごく浅い。1873年12月、ウォルター・クロプトン・ウィングフィールド少佐が考案した「スフェリスティキ(sphairistike 、ギリシア語:σφαιριστική 、「球戯術」の意。略してスティッキ(sticky))」がその原型。現在の社会体育、生涯スポーツの概念の先駆けとなる発想で、ラケット、ネット等をセットで商品化し、芝生の上なら何処でも楽しめる『持ち運びのできるテニス』などともいわれた。ボールは中空のゴムボール(軟式テニスボールと同様なもの)を採用し、当初現在のように硬質のフェルト(現在のテニスボールに独特な毛羽立ち)で覆われていなかった。
ウイングフィールド少佐の考案したテニスのコートは、中心部分が細くなっている蝶ネクタイ型をしていた。1874年、ウイングフィールド少佐はテニスに商用としての可能性を見て特許を取得したが、商業的には成功しなかった。ウイングフィールド少佐は特許の期限切れにともなう再申請をおこなっていない。しかし、イギリスやアメリカで有閑階級を中心に急速に広まった。アメリカではニューヨークのスタッテン島、メアリー・ユーイング・アウターブリッジの家で最初にプレイされた。
中空のゴムボールでは芝生上でしばしば不安定なバウンドをみせることがあり、フェルトを巻いた現在のボールに近いものも考案された。その二種のボールはながらく併用されていたが、やがてフェルトカバーボールが主流となっていく。
1881年にはローンテニス・クラブが設立。1877年ロンドンで、アマチュアの大会として第1回目のウィンブルドン選手権が開催された。1881年には、アメリカ国立ローンテニス協会(今のアメリカ・テニス協会)が、ルールを標準化し、かつ競技を組織化した。1881年に「全米シングルス選手権」(最初の名称:U.S. National Singles Championship)の第1回大会がアメリカ・ロードアイランド州ニューポートで開催され、6年後の1887年に「全米女子シングルス選手権」(U.S. Women's National Singles Championship)が始まった。これらが現在の全米オープンの原型となった大会群である。男子テニス国別対抗戦のデビスカップは、ナショナルチームの間で1900年から始まった。
日本のテニス界[編集]
日本へのローンテニスの伝播については諸説あり、いまだ詳らかではない(なかでは1878年にアメリカのリーランドが文部省の体操伝習所で紹介したという説が広く流布しているが、確たる証拠はないとされる)。 用具の調達が困難であったことからゴムボールを使う日本の独自の軟式テニス(現在のソフトテニス)を考案し、独自の発展を遂げた。その軟式テニスで育った選手(熊谷一弥、清水善造、佐藤次郎等)が硬式テニスに転向し、欧州、米国に転戦し始める。彼らはその独特のテニス(軟式テニスで培われたドライブ)で大活躍し、世界を驚かせた。清水は1920年のウィンブルドン選手権「チャレンジ・ラウンド」で決勝に進出し、当時の世界ナンバー1だった米国のビル・チルデンに肉薄した。また、その年に開催された第7回オリンピックで日本がシングルス、ダブルスともに銀メダルを獲得した(尚このメダルが日本のオリンピック最初のメダルである)。熊谷は主に米国で活躍し、クレーコートで無類の強さを発揮した。佐藤は当時の世界ランキングで3位まで昇りつめたが、1934年4月に遠征中にマラッカ海峡で投身自殺をする。1970年代には日本でもプロ選手が登場、そのプロ第1号(戦後初のトーナメントプロ)である神和住純(父が軟式テニスの全日本チャンピオン、本人も軟式出身)が世界を転戦する。神和住は主に「WCTサーキット」で活躍し、当時のトップ選手だったスタン・スミスを2度破るなどの活躍を見せた。近年は松岡修造の健闘があった。平均的な成績(アベレージ)はいくらか低かったものの、ピーク時は限りなく高く、時にトップランカーと互角に渡り合い、そして倒した。1995年ウィンブルドン選手権男子シングルスでのベスト8は大健闘といっていいだろう。それ以後、日本の男子選手で世界トップレベルに近づいた選手は少ないが、2008年に錦織圭が18歳で日本人最年少ツアー優勝を果たして全米オープンでも4回戦に進出、世界ランキング100位以内に入った。
女子では1975年のウィンブルドン選手権女子ダブルスで、沢松和子とアン清村のペアが初優勝したことが日本テニス界の起爆剤となり、世界挑戦を目指すプロ選手が増えてきた。1980年代に活躍した井上悦子はその先駆者的な存在となる。やがて、1989年にプロ転向した伊達公子が、1990年代に目覚ましい大活躍を遂げ、日本人の女子テニス選手として初の世界ランキングトップ10選手に成長した。同時期には沢松奈生子、雉子牟田直子、長塚京子、神尾米、遠藤愛、佐伯美穂、吉田友佳、杉山愛等が次々と世界ランキングトップ100入りし、日本女子テニスは全盛を築く。平木理化の1997年全仏オープン混合ダブルス部門での優勝もあった。しかし伊達が1996年に引退した後、他の選手の勢いも衰えた。2004年2月に杉山愛が世界ランキング8位を記録し、日本人女子として2人目のトップ10入りを果たしはしたが、杉山と浅越しのぶ(伊達の後輩にあたる)の活躍に頼りきりの状態が長らく続いてきた。その浅越しのぶは2006年を最後に引退を表明し、2009年には杉山の引退も表明された。森上亜希子、中村藍子、森田あゆみなどの今後の活躍が望まれている。
ルール[編集]
1対1のシングルスと2対2のダブルスがある。
試合開始前のトスによって決定された一方のプレイヤーがサーバー、他方がレシーバーとなり、ゲームごとに交替する。また、プレーするコートは、奇数ゲーム終了ごとに交替する。サーバーはベースラインの外から相手コートのサービスエリアでバウンドするようにボールを打つ。レシーバーはサーブされたボールを2回バウンドする前に相手コートに打ち返し、お互いにラリーを続ける。次のようなときに失点(相手方の得点)となる。
- サーブを2回続けてフォルト(ダブルフォルト)したとき
- サーブされたボールがバウンドする前にレシーバーが触れたとき
- 自分のコートでボールが1回バウンドし、もう1回バウンドしたとき
- 自分のコートでボールが1回バウンドし、逆回転によってネットを越えて相手のコートに戻ったとき(この場合は特殊で、ボールが相手コート上にあってもネットタッチさえしなければ、2バウンドする前にオーバーネットして打ち返し、相手が取れなければそのポイントは自分のものとなる)
- 自分のコートに落ちたボールがバウンドしなかったとき
- 自分の打ったボールの1回目のバウンドが、相手のコート外(アウト)だったとき
- 打ったボールが審判に命中したとき
- ラケット以外の部位がボールに触れたとき
- 相手コート内でボールに触れたとき
- 体やラケットがプレー中にネットに触れたとき
- ラケット以外の持ち物をコート上に2回落としたとき
得点は、0点=ラブ (love)、1点=フィフティーン (fifteen, 15)、2点=サーティ (thirty, 30)、3点=フォーティ (forty, 40) と数える。一方が4点を取ると1ゲーム、6ゲームを取ると1セット取得となる。5セットマッチであれば、3セット取得すると勝利となる。ポイントが両者3点(40)ずつになると「デュース」(deuce)となり、相手に2点差をつけるとそのゲームを得る。なお、この時に1点リードしている状態を「アドバンテージ」(advantage)と言う。また、ゲームカウントが 5-5 になると、そのセットを得るためには2ゲーム差をつけて 7-5 としなければならない。
ただし、ゲームカウントが6-6となった場合は、次のゲームはタイブレーク(tiebreak)という特別ルールのゲームとなり、2ポイント以上の差をつけて7ポイント以上を獲得した方がゲームの取得者となり、このセットを得る。タイブレーク中のポイントの数え方は、zero、one、two、three、…となる(註:この時は0はzeroとなる)。タイブレークが行われたセットのスコアは、例としてセット取得者側から見る場合は7-6(6)のように表記し、この場合はタイブレークが8-6のスコアで終了したことを意味する(カッコ内の数字はタイブレークを取得しなかった方のポイント数である)。主要な国際大会の最終セットでは、タイブレークのルールを採用せず、2ゲーム差が付くまで通常ルールでゲームを続行する場合もある。
タイブレークのルールは1920年代に、試合時間短縮のために考案されたものである。4大大会でも、全米オープンだけは、最終セットでタイブレーク決着を採用している。
なお、現在は有力選手の参加が少なく注目度の低いダブルスの合理化を目的として、2005年秋以降の男子国際大会において、ダブルスのみ、各ゲームともデュースなし(ノーアドバンテージの1本勝負)、1セットを一律5ゲーム先取方式(4-4で通常方式のタイブレークを行う)とする等のルール変更が提案されており、ダブルスプレイヤーを中心として反対運動が起こるなど、大論争が巻き起こっている。
このシステムを試行した初の国際大会である2005年10月のAIGジャパンオープンテニスでは、日本の岩渕聡、鈴木貴男組が日本人ペアとして初のツアーダブルス優勝を果たしている。
2006年の全米オープンから、クレーコートであるためにボールマークが残る全仏を除くグランドスラム大会のメインスタジアムと第一コートにおいて、条件つきで判定に異議を唱えられる「インスタントリプレイシステム」(チャレンジシステム)が採用された。選手が審判の判定に疑問がある場合に「チャレンジ」を行うと、「ホークアイ」というCGを用いた自動ライン判定システムのスロービデオが流れ、判定がやり直される。この手続きは主審がオーバールールを行うのと同様に、オンプレイの場合はラリー中のボールを止めて行う。明らかなエースおよびアウトやフォルトの場合はポイントが適用されるが、その他の場合はレットとなり、ポイントをやり直す。誤審が判明すればチャレンジする権利は失われないが、判定が覆らなかった場合、その選手はチャレンジ失敗となり、チャレンジする権利を1回失う。権利は1セット2-3回(全米全豪は3回)与えられる。ただしタイブレークになったセットでは1回、ゲームカウントが6-6となった最終セットでは2回権利が追加される。なお、このルールによってテレビ放送でのリプレイが減った。
用具[編集]
- ラケット
- 棒状のグリップの先が輪になっており、そこにストリングが張られている。長さ69センチ前後、重さは240~380グラム程度。材質は繊維強化プラスチック(FRP)、チタンなどを用いた複合材料や、アルミ、スチール、木などの単一素材のものがある。
- ボール
- 黄色、表面はメルトンと呼ばれるフェルトで覆われている。直径6.35~6.67センチメートル、重さ56.7~58.5グラム。保管している缶に1.8気圧が保たれるようになっておりプレッシャー・ボールと呼ばれる。昔は白いメルトンだった。
- 大気圧のノンプレッシャー・ボールという練習球もあるが公式戦では使用できない。
- コート
- サーフェスはグラス(天然芝)、クレイ(真砂土・荒木田土・粘土砂混合土)、アンツーカ(焼成土)、ハード(コンクリートに塗装)、ウレタン(ウレタン樹脂またはゴム)、グラスサンド(砂入り人工芝)など。縦23.77メートル、横10.97メートルで、中央に高さ107センチメートルのネットが張られている。
- 英国ではグラス(芝生)、北米ではデコ・ターフと呼ばれる製品が、オセアニアではリバウンド・エースという製品が普及している。
服装[編集]
公式の試合において、着用する服装はルールにより定められている。清潔でプレーにふさわしいと認められたテニスウェアを着用しなければならない他、トーナメントによっては開催要項に明記して、服装の形や色を規制する場合がある。有名なのはウィンブルドン選手権において白を基調としたウェアとシューズの着用が義務づけられている。 また、スポンサーや製造者のマークの大きさも決められており、アディダスの三本線はデザインとは認められず製造者マークと見なされ、2008年より大きさの制限が設けられている。 ジュニアの大会では、原則としてメーカーのマークなどが、胸の位置以外にあるものは認められない。 テニスラケットも原則としてメーカー契約選手で無い限りメーカーのマークがされたガットを使用する事は出来ない。
テニス用語[編集]
テニスの用語は、ロイヤルテニスで使われるフランス語の用語から命名されている。
- テニス (tennis)
- フランス語の動詞 tenir の命令法2人称複数形で「(球を落とさないように)取ってみろ」という意味の「トゥネ」(Tenez!)に由来する。これはロイヤルテニスにおけるサーバー側のプレイヤーの掛け声であり、「サーブするぞ!」 (I am about to serve!) ということを意味する。ゴルフで「フォア!」 (Fore!) というのと似ている。
- ラケット (racquet, racket)
- フランス語の「raquette」からきているが、この言葉は「掌」という意味のアラビア語ラーハに由来する。
- ガット (gut)
- ラケットに張る弦。正式にはストリングス (strings)という。ガットは「腸」を意味する。素材はナチュラルガット(動物の腸)の他、ナイロンやポリエステル等がある。太さは、主に1.10~1.42mm(15~18)。
- テンション (tension)
- ガット(ストリングス)をラケットに張る強さ。強さの単位には通常ポンド(pounds, lbs, LBS)が使われる。ガットやラケットは、それぞれ適正張力が推奨されている場合が多く、45~60ポンドである場合が多い。張り上がりが強いほど硬くなり、コントロール性が良くなる。また弱いとボールスピードが上がる。
- デュース
- 古フランス語で2を意味するドゥウス deus/deuz (現代語ドゥー deux)より。現在、フランス語では平等・同点を意味するエガリテ(égalité)が用いられる。
- ラブ
- アラビア数字の「0」が卵型をしていることから卵を意味するフランス語の定形ルーフに由来するという俗説があるが、実際は「何でも無い」という意味の成句「愛のためでも金のためでもない(Neither for love nor for money)」に由来する。
- 「0」「15」「30」「40」というスコアの数え方は、当初は60進法で0、15、30、45であったものの45の5が省略されるようになったものだという説が有力である。なお、フランス語では「0」、「15」、「30」、「40」、「アドバンテージ」は、「zéro」、「quinze」、「trente」、「quarante」、「avantage」(アヴァンタージュ、アヴォンタージュ)であり、全仏オープン等で聞くことができる。
- キープ (keep)
- サーバーが自分のサービスゲームを取得すること。
- ブレーク (break)
- レシーブ側が相手のサービスゲームを取得すること。ルールを考慮すれば、基本的には相手のサービスゲームをブレークしなければ試合に勝つことはできないことになる(ただし、ファイナルセットにもタイブレークが適用されている試合に関しては、この限りではない)。
- グリップ(ラケットの握り方)
- 主にコンチネンタル、イースタン、ウエスタンの3つの握り方がある。コンチネンタルは、ボレーやスマッシュに、イースタンは、フラット、トップスピン、 スライスとどれも打てる。またウエスタンはフラットやトップスピンに適している。
- ストローク
- ボールを打つこと。フォアハンドストロークとバックハンドストロークがある。
- フラットストローク
- ボールに対してフェイスをフラットにして打つ。スピードのあるボールが打てる。
- トップスピンストローク
- ボールに強い順回転をかけることにより、落差の大きい打球となり、高くバウンドする。
- スライスストローク
- ボールに逆回転をかけることで、バウンドした後に低く滑るような打球となる。
- ロブ (lob)
- 相手の頭上を抜いたり、時間を作るなどの目的でボールを高く打ち上げること。フラット、アンダースピン、トップスピンの3つがある。
- ボレー (volley)
- 相手が打ったボールをバウンドする前に打ち返すこと。ボレーにはミドルボレー、ローボレー、ハイボレー、ハーフボレー、ドロップボレー、アングルボレー、ドライブボレーなどがある。
- サーブ (serve)
- ボールを空中に離し(「トス」と呼ぶ)、そのボールをラケットで打つこと。「サービス」とも言い、サーブを打つ人を「サーバー」と呼ぶ。サーバー側コートのベースライン後方から対角にある相手コートのサービスエリア(サービスボックスとも言う)にサーブを入れる事で、ゲームのポイントが開始される。サーブがサービスエリアに入らなかった場合、前述のように(「ルール」の項を参照)、1ポイントにつき1度のみ失敗(フォルト)が許されており、もう1度サーブを打つことができる。2度目のサーブも失敗した場合、ダブルフォルトとなり、サーバーはそのポイントを失う。トスを上げる場所は特に規定されているわけではないが、多くの場合、頭上に上げる。相手がサーブしたボールに触れる事ができなかった場合、これを「サービスエース」と呼ぶ。また、かろうじて触れられたものの、エース級のサーブでポイントを取った場合は「サービスウィナー」と呼ぶ。サーブの種類はボールの回転で分類されることが多く、主に「フラットサーブ」、「スライスサーブ」、「スピンサーブ」などと呼ばれる球種が存在する。しかし実際のところ、これらの球種の分類は回転量や回転の方向についてのものであるため、明確な区別が難しく、複数の性質を併せ持つ中間型も多い(「スライスサーブ」と「スピンサーブ」の両方の性質を持つ「トップスライスサーブ」などが知られている)。また、回転ではなく打法における分類としては、ラケットの先端を水平よりも下側に向けた状態から打つサーブを特にアンダーサーブと呼ぶ。
- フラットサーブ
- ボールの回転量が少なく、軌道の変化に乏しいので、他の回転をかけたサーブに比べるとサービスエリアに入れることは難しいとも言えるが、その分最もスピードを出すことのできるサーブである。
- スライスサーブ
- ボールを切る(スライス)ようにして打つことで回転をかけることから名のついたサーブである(ただし実際に「切るようにして打つ」ことがこのサーブを上手く打つにあたって適切かどうかについては意見の分かれるところである)。右利きの場合、ボールはサーバーから見て左に曲がりながら飛ぶ。上から見たとき、反時計回りの回転が主となる。(アンダーサーブは主に順時計回りが主)
- スピンサーブ
- 前方への回転が主で、落差の大きい軌道を描く。このため、前述のフラットサーブなどよりも比較的サービスエリアに入れることが容易である。バウンド後は回転の影響により他のサーブに比べて高く弾む。サービスエリアに入る確率が高いこと、また高く弾むために攻撃されにくいことからセカンドサービスとして用いられることが多い。回転方向によっては、やや左に跳ねさせたり、逆にやや右に跳ねさせたりといった調節も可能である。「ツイストサーブ」や「キックサーブ」と呼ばれるサーブがあるが、もともとスピンサーブがこのような別名を持っており、これらのサーブは同系統のサーブであると考えられる。一方、これらの呼称をそれぞれ独立したサーブとして差別化しようとする動きもあるが、現時点ではそれが明確に定義されているとは言えないため、総称としての「スピンサーブ」という呼び方が適切であるといえる。
- フォールト (fault)
- サーブで打ったボールがサービスエリアに入らなかったときのコール。1ポイント中に2度フォールトすると「ダブルフォールト」となり、サーバーはそのポイントを失う。
- フットフォールト (foot fault)
- サーブを打つ時に、ラインを踏んだり、ラインを越えて踏むなど、足を着いていた位置が規定の範囲から外に出ていた場合にコールされ、フォールトとしてカウントされる。ボールがラケットから離れた後に足を着く位置については問われない。
- レット (let)
- プレーをやり直すこと。サーブの時、打ったボールがネットに当たってサービスエリア内に入ったり、トスしたボールが着地するまでに打たなかったりした場合、サーバーにはそのサーブをやり直す権利がある。また、プレー中に他のコートからのボールや、その他プレーの妨げとなるものが入ってきたり、身に着けているものや持っているボールを落とした場合などにもコールされ、ファーストサービスからプレーをやり直す。
- ネット (net)
- サービスで打たれたボールがネットに接触した場合、審判が発するコール。このコールによってボールがネットに接触したことを確認し、その後、そのボールがサービスエリアに収まった場合はレット、収まらなかった場合はフォルトをあらためてコールする。
- リターン (return)
- サーブを返球すること。返球したボールがサーバーに触れずにポイントを得た場合「リターンエース」と呼ぶ。
- タッチ (touch)
- ネットにラケットや体で触れた時、またボールがラケットや体にかすったことで失点となったと判断された場合や、ボールが天井などの構築物に触れたと判断された時などにコールされ、失点となる。
- ボールパーソン (ball person; ball boy, ball girl)
- テニスの試合中に、ラリーが終了したボールを拾ったり、選手にボールを渡したり、ルールに沿って新しいボールに変えたりする人。多くの場合、正式な訓練を受けた子供たちが行う。タオルや、落としたラケットを渡すこともある。
- トス (toss)
- サーブの際にボールを上空に投げ上げる動作。
- 試合開始前に、初めにサーブを行うプレーヤーを決定するための動作。コイントスと、ラケットによるトスがある。以下はラケットを使用する場合である。一方のプレーヤーがグリップを軸にしてラケットを回転させ、ラケットが地面に倒れ静止した状態での表裏を、ラケットが回転している間に他方のプレーヤーが当てることにより行う。このとき、ラケットを回すプレーヤーは、相手側のプレーヤーに対して以下に示すような問いかけを行い、公正を期すため応答がある前にラケットを回す。トスの結果により選択権を得た側が、「サーブを初めに行う」「レシーブを初めに行う」「ネットのいずれかの側のコートに入る」「選択権を相手に譲る」のいずれかを選ぶ。なお、規定の練習が開始されるとコートの状況の確認が可能となるため、トスは規定の練習の前に行われる。
- ラフ・オア・スムース (rough or smooth)
- かつてのラケットには、飾りガット、あるいは飾り糸と呼ばれる紐が結わえられており、紐が平坦に見える側が表(スムース)、凸凹に見える側が裏(ラフ)と判断される。 飾りガットが廃れた一方で、グリップエンドのラケット製造者のマークを用いて表裏を判断するようになった。スムース・オア・ラフとひっくり返して言うこともある。
- アップ・オア・ダウン (up or down)
- グリップエンドのマークが正しい向きになっている場合は表(アップ)、上下反転している場合は裏(ダウン)と判断される。
- フィッチ (which)
- 上2つの選択肢を特に指定せず、単に「どちらか」を答えさせる意味での問いかけ。海外では使われない言い回し。
- ゲーム、セット、アンド マッチ (game, set and match または game, set, and match)
- 「ゲーム終了、セット終了、そして試合終了」の意で、試合終了時にコールされる。(なお英語では、ゲームセット(game set)という言葉は、チェスなどのゲーム用具一式の意を持つ。)
- プレイのスタイル
- ストローカー (Stroker) / ベースライナー (Baseliner)
- ベースラインの付近でのストロークを主体としてプレーを行うプレーヤー。
- アグレッシブベースライナー (Aggressive Baseliner)
- 強打などで攻撃的なプレーを行うベースライナー。
- カウンターパンチャー (Counter Puncher)
- 自分からは強打せずに相手のショットを拾って粘り、ミスを誘ったり、相手の強打を利用してカウンターを狙うスタイルのプレーヤー。
- ハードヒッター (Hard Hitter)
- 強打を得意とするプレーヤー。
- サーブアンドボレーヤー (Serve and Volleyer)
- サーブを打った後すぐにネット付近に移動してボレーやスマッシュを行うプレーを得意とするプレーヤー。
- ネットプレーヤー (Net Player)
- ネットの付近に位置しているプレーヤー。
- ビッグサーバー (Big Server)
- 速いサーブを得意とするプレーヤー。
- オールラウンダー (All-Arounder) / オールコーター(All Courter)
- 万能なプレーを行うことのできるプレーヤー。
その他のテニス用語[編集]
- 振動止め
- ゴム状の素材でできており、ラケット全体の振動を軽減させる目的でストリングスの一部に装着して利用する。利用するかどうかは利用者の判断で選択できるが、装着できる位置などに関してルールで定められている。
- オーバーグリップ
- グリップの周りに巻いて利用する。様々な種類が存在する。
- ノー・アドバンテージ・スコアリング方式
- 試合時間の短縮を図って採用されることのあるルールで、デュースの後1ポイントでそのゲームの取得者を決定する。略して「ノー・アド」などと呼ばれることがある。
- レシーバーズ・チョイス (receiver's choice)
- ノー・アドバンテージ・スコアリング方式のゲームで採用されることがあり、デュースの後ゲームを1ポイントで決める時に、サーバーが左右どちらからサーブを行うかを、レシーバー側が決めることができる。審判は「Deuce. Deciding point, receiver's choice.」とコールする。
- ノン・プレッシャライズド・ボール (non-pressurized ball)
- 一般にノンプレッシャーボールと呼ばれる。ボール内の空気圧を外気圧と同じ程度にして作られているため、空気がほぼ抜けないボール。プレッシャライズド・ボールよりも空気圧が低い分、ボールの素材で反発力を補っている。空気抜けの問題はないため、販売時に缶などで高圧で密封する必要はない。
四大大会[編集]
四大大会を1年間ですべて優勝することを年間グランドスラムという。これを夏季オリンピックの開催年(オリンピアード)に達成し、同時に五輪の金メダルを獲得することを「ゴールデン・スラム」という(1988年に当時19歳のシュテフィ・グラフが達成した偉業から、この新語が作られた)。
ソフトテニス[編集]
ソフトテニス(軟式テニス)は日本へテニスが紹介された当時、テニス用具の国産が難しく輸入品が高価であったため、比較的安価に輸入(独)できたゴムを材料としたボールが使われたのが始まりである。アジアを中心にプレイされていたが現在は全世界に普及しつつあり、2007年の第13回世界選手権には40カ国をこえるエントリーがあった。ダブルスを主体というイメージが強いが、1994年以降シングルスのルールも整備されている。 また、硬式テニスとは違うルールも一部ある。
その他[編集]
- 1998年、日本テニス協会や日本プロテニス協会などは9月23日(秋分の日)を「テニスの日」に制定した。
- バドミントンなどとともに、レクリエーションやレジャーとしても広く行われる競技である。公園や高原のリゾート地などには、しばしばテニスコートが見られる。
テニスを扱った作品[編集]
小説[編集]
漫画[編集]
- エースをねらえ! (山本鈴美香)
- しゃにむにGO (羅川真里茂)
- フィフティーン・ラブ (塀内夏子)
- ベイビーステップ (勝木光)
- テニスの王子様 (許斐剛)
- STAY GOLD (大島司)
- GUT's (風童じゅん)
- "LOVe" (石渡治)
- 見上げてごらん (草場道輝)
- Happy! (浦沢直樹)
- テニスボーイ (原作:寺島優 漫画:小谷憲一)
- 少年よラケットを抱け (ちばてつや)
- 翔の伝説 (高橋陽一)
- 燃えるV (島本和彦)
映画[編集]
- リトル・モー(1978年、米国)
- ウィンブルドン 愛の日(1979年、米国)
- ウィンブルドン(2004年、イギリス・フランス)
- テニスの王子様(2006年、日本)
テレビドラマ[編集]
- エースをねらえ!(2004年、日本)
- エースをねらえ! 奇跡への挑戦(2004年、日本)※上記の続編
- Happy!(2006年、日本)
- Happy!2 〜私、先輩の為にガンバリます(2006年、日本)※上記の続編
コンピュータゲーム[編集]
- Tennis for Two(ウィリアム・ヒギンボーサム)
- テレビテニス(エポック社)
- テニス(任天堂)
- マリオテニスシリーズ(任天堂)
- ファミリーテニス(ナムコ)
- スマッシュコート(ナムコ)
- みんなのテニス(ソニー・コンピュータエンタテインメント)
- パワースマッシュシリーズ(セガ)