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AO入試(エーオーにゅうし、アドミッションズ・オフィス入試)は、出願者自身の人物像を学校側の求める学生像(アドミッション・ポリシー)と照らし合わせて合否を決める入試方法である。A.O.(Admissions Office)とは「入学管理局」の意。
概要[編集]
1990年慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパス(SFC2学部)が、他に先駆けて導入した。学科試験の結果で合否が決まる一般入試とは異なり、内申書、活動報告書、学習計画書、志望理由書、面接、小論文などにより出願者の個性や適性に対して多面的な評価を行い合格者を選抜する。
同様の選抜方式が一律にAO入試と称されている訳ではなく、自己推薦入試(AO入試とは別に自己推薦入試という名前の入試が存在する大学もある)、公募推薦入試、一芸入試等、各学校、各課により名称は様々である。
一部の学部(主に医学部・歯学部・薬学部等)においては、大学入試センター試験または大学独自の個別筆記試験を課すことがある。例えば、長崎大学医学部医学科の2012年度AO入試では、センター試験で80%以上の点数を取っていなければ合否の選抜対象に入らない。
また、日本数学オリンピックや各種科学コンテスト、弁論大会等、所定のコンテストで優秀な成績を収めた受験生に対する入学枠を用意している大学もある。
課題[編集]
「中教審」(中央教育審議会)の場で、「AO・推薦入試」が、「大学生の学力低下につながっている」と危惧する声があり、学力を担保するために、新たに設ける学力試験「高大接続テスト」(仮称)を実施すべきとの検討がなされている。前述のセンター試験を課す大学も増えており、例えば九州大学や筑波大学などにおいて通常の学力試験を付さないAO入試の入学者は学力が一般入試の入学者に比べ学力が振るわず退学をするといったケースも見られて、センター試験を付したものとなるケースが増加している。この様な背景から、東京大学、京都大学といった今までよりもはるかに高い能力を持った者を要求するAO入試にセンター試験を付した新しい推薦入試を検討している。
また、多くの私立大学においてAO入試が、学校経営安定の為の入学者の早期確保の手段となってしまっているという指摘がある。旧来型の推薦入試では出願が11月以降という決まりがあるが、AO入試にはこの規制がないため、夏休み前に合格者を出しているケースも少なくない。一方で、入学までに空白期間が生じることを利用し、「入学前教育」を実施している大学が多く出てきている。ベネッセが2005年度にAO入試を実施した大学を対象に調査したところ、74%の大学が入学前教育を行っていた。また、早稲田大学が人間科学部の自己推薦入試を廃止し、教育学部も定員を3分の1にして評定平均の基準を引き上げるなど、各大学にはAO入試から離れる動きもある。また、AO入試で入学した学生の6人に1人が退学しているという調査結果も存在する。
一方、AO入試で入学した学生の方が、一般入試で入学した学生よりも学力が優れているという報告もある。例えば慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパスでは、「AO入試の導入以降、一貫してAO入学者のGPA(Grade Point Average)換算の成績(平均値)が一般入試による入学者よりも高い。」また、早稲田大学においても、「(AO入試による)入学者の入学後の学業成績も、一般入試による入学者に比べ概ね良好である」と報告している。更に東北大学の学内調査においても、AO入試組の方が一般入試組よりも学力が高いという結果が出ている。このため、東北大学ではより学習意欲が高い学生を獲得するため、一般入試の後期試験を廃止し、AO入試枠を拡充した。