「空飛ぶスパゲッティ・モンスター教」の版間の差分
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2010年8月20日 (金) 02:25時点における最新版
空飛ぶスパゲッティ・モンスター教(Flying Spaghetti Monsterism, FSMism, フライング・スパゲッティ・モンスター教, パスタファリアニズム)はオレゴン州立大学物理科の卒業生のボビー・ヘンダーソンが、インテリジェント・デザイン説を公教育に持ち込むことを批判するため創始したパロディカルト。
「インテリジェント・デザイン」についての概説[編集]
インテリジェント・デザイン説(ID説)とは、創造科学の一つである。
インテリジェント・デザインでは、自然科学における生物の進化(進化論)は間違っており、人類を遥かに上回る「何らかの知性」(インテリジェント)が、世界や生物を最初から現在の姿で創造(デザイン)したのだ、という(キリスト教を含むアブラハムの宗教の天地創造を否定しない)考え方を取る。主にキリスト教右派の人々(例えばブッシュ大統領)がこの考え方を支持している。
一般的な創造科学との違いは、「何らかの知性」を「キリスト教の神」であるとは明言せず、したがってID説を採用することによって他の宗教などを信仰する人々に対しても信教の自由を侵害することはなく、また自らをより科学的である(科学たる条件を満たしている、科学そのものである)等と主張している点にある。
彼らは、自分達はあくまで特定の宗教などとは関係ないと主張しているが、自然科学の世界では、現在までに生物の発生や進化に「何らかの知性」が関与したと判断するに十分な証拠が無いこと、ID説の主張者や支持者たちの政治的・宗教的背景や明白な動機などからもID説は科学的な仮説たり得ず、宗教活動や政治活動と位置づけられ、その上でなお自らを科学と標榜することから、疑似科学と断定されている。進化論裁判#現在の動きも参照のこと。
概要[編集]
2005年にカンザス州教育委員会で、公教育において進化論と同様にインテリジェント・デザイン(ID説)の立場も教えなければいけないという決定がなされることになっていた。これに抗議するために、2005年6月、ボビー・ヘンダーソンは公開質問状を提出した。彼は自分のサイト「venganza.org(スペイン語で復讐の意味)」において空飛ぶスパゲッティ・モンスターの概略を示して、明らかな証拠やそれに基づいて進化を説明できる十分な論理性整合性があると論じ、創造論の一部として「空飛ぶスパゲッティ・モンスター」についても進化論やID説と同様に公立高校で教えることを公開質問状において提案した。そして彼は、もしこれが受け入れられないようなら法的手段をとると教育委員会に警告した。
その後、空飛ぶスパゲッティ・モンスターはインターネット上のミーム・流行となり、ブログ(特に「Boing Boing」)などを中心に世界に広まった。カンザス州教育委員会にもID説を教える事に反対する人々がおり、ヘンダーソンはそのうち3人から空飛ぶスパゲッティ・モンスターに対する好意的な返事を受け取った。また別の1人からは「神のまがい物を作るとは深刻な侮辱である」との返事があった。
結局2005年11月、カンザス州教育委員会は多数決の結果、進化論を「問題の多い理論」として教える科学教育基準を採決し、ID説派が勝利を収めるかたちとなった。
スパゲッティ・モンスター教団は自らの「宗教」をラスタファリアニズムならぬパスタファリアニズムとも呼ぶ。
ID説の信奉者等は「平等の為進化論のみならずインテリジェント・デザインも学校で教えるべきだ」と主張する。空飛ぶスパゲッティ・モンスター教団はこの点を皮肉って、「平等のため『スパゲッティ・モンスター』が人類を作ったという説も学校教育で教えるべきだ」と主張している。
ID説の信奉者等は「何らかの知性」が「キリスト教の神」であると明言しない。空飛ぶスパゲッティ・モンスター教団はこの点も皮肉っていて、「『何らかの知性』は『スパゲッティ・モンスター』であり、ブッシュ大統領を始めとしたID説の信奉者は我等がスパゲッティ・モンスター教を学校教育に採り入れる為に戦ってくれている」と主張している。
創造科学者ケント・ホヴィンドは、進化論の正当性を証明できたものに25万ドルを支払うという約束をした(科学者達は、この検証が不公平なものであると主張している[1])。これを受け、2005年8月、「Boing Boing」は、キリストがスパゲッティ・モンスターの息子ではないという実験的証拠を見付けた者に25万ドルを払うと約束した(ただし、キリストはスパゲッティ・モンスター教団で崇拝されている訳ではない)。後に懸賞金は「インテリジェントにデザインされた通貨100万ドル分」に値上げされた。
主な教義[編集]
- 宇宙は空飛ぶスパゲッティ・モンスターによって創造された。
- 最初に創造したものは、山、木々、小人一人だった。
- すべての証拠が、進化はモンスターのヌードル触手によって推進されたことを示している。
- 古代の人の身長が低いのはモンスターの触手によって頭を抑えられていたからであり、現代人の背が高いのは触手が足りなくなったからである。
- 地球温暖化、大地震、ハリケーンや他の自然災害は1800年代に始まる海賊の数の減少の直接的な結果である。
- ボビー・ヘンダーソンがこの宗教の「預言者」である。
- 信者は海賊の衣装を着る。海賊はモンスター教の中で重要な位置を占めている。
- 男性の乳首は痕跡器官ではなく、海賊が気温や風向きをはかるのに必要だったから存在する。
- 彼らが信仰する偉大なるヌードルと同様、空飛ぶスパゲッティ・モンスター教徒は家族倫理を共有している。
- 宗教的な祭日は毎金曜日。
- 天国にはストリッパー工場とビール火山が約束されている。
- 祈るとき、「アーメン」の代わりに「ラーメン」と言う。
- 学校教育では進化論のみならずスパゲッティ・モンスター創造説を教えるべきだ。
- ブッシュ大統領を始めとした「進化論以外の創造説も学校教育で教えるべきだ」と主張する人々は我々の代弁者だ。
関連項目[編集]
教義書[編集]
- 『The Gospel of the Flying Spaghetti Monster』 Bobby Henderson Villard Books (2006). ISBN 0-81-297656-8
- 『反★進化論講座』 ボビー・ヘンダーソン[著] 片岡夏実[訳] 築地書館 (2006). ISBN 4-8067-1340-6
外部リンク[編集]
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