AOKIホールディングス
株式会社AOKIホールディングス(アオキホールディングス、英:AOKI Holdings Inc.)は、紳士服の販売を主事業とする持株会社である。
概要[編集]
主力となる店舗は「AOKI」(旧メンズプラザアオキ)ブランドの店舗で、紳士服業界では第2位の企業である。ただし、持株会社体制への移行により、現在は事業子会社の株式会社AOKIが運営している。
CMでは、亀梨和也、上戸彩、佐々木蔵之介、東山紀之、草野仁などをイメージキャラクターとして起用。同じくイメージキャラクターを務める役所広司は、2005年10月に吸収合併した株式会社トリイのイメージキャラクターであった。また、礼服販売のイメージキャラクターには、草野仁が起用されている。その一方でCMソングには、TRICERATOPS「僕らの一歩」、槇原敬之「カイト」、カジヒデキ「ロリポップ・キャンディー」などを起用している。
AOKIの詐欺行為発覚[編集]
紳士服販売で業界2位の「AOKI」が手を染めた詐欺商法。この春大学に進学する学生を宣伝ハガキでつりあげ、セールで謳った企画商品の数を騙ったあげく、通常価格で購入させるというもの。明らかな詐欺行為である上、景品表示法にも抵触しかねない悪質な手口だ。
問題が発覚したのは、被害にあった学生の父親がたまたまHUNTERの記者だったから。売り場で「おかしい」と直感し、真相を追及した記者とAOKI側のやり取りの詳細を報じる。
大学の入学式を数日後に控えた3月29日、来ていくスーツを買い忘れていたことに気付いた女子学生は、あわてて近所の「AOKI 清水店」を訪れた。
お目当ては、AOKIから送られてきた印刷物にあった《フレッシャーズ限定 スーツも揃う》と謳った「19,000円」の5点セット。内容は、ブラウス、バッグ、靴、ストッキングにスーツの上下。たしかにお得である。友人の多くがAOKIでスーツを買ったと聞いていたのも、同店を選んだ理由の一つだった。
ところが、このセット企画は『土日祝限定 各日5セット』。世間知らずの女子学生は、この小さな記載には目がいかなかったらしい。当然、「19,000円」のセット価格で購入できるものと思い込んでいた。
応対した店員は「セットについて説明した」というが、はじめから全部で「19,000円」だと信じている学生には通じない。単なる商品説明だと考えてしまった。商品が決まり、いざ支払いという段になって、女子学生は驚くことになる。請求金額は「43,640円」。セット価格の2倍以上の額だったのだ。すっかり青ざめてしまった。
たまたまスーツ代を届けに来た父親が、何事かとのぞいたことが、「AOKI」の運の尽きだった。女子学生の父親はHUNTERの記者。顛末を聞いて「おかしい」と直感した。あまりの金額の相違に、「手持ちがない」として購入を止めようとしたところ、店員は「入学式に間に合いませんから、一部だけの入金で商品はお渡しできます」という。印刷物の確認が先だと考えた記者は、20,000円の内金を入れ、娘を連れていったん自宅に帰った。時系列で記せば、次のような顛末となる。
- 当初は「売れた」と強弁 - 29日16時頃 紳士服の「AOKI」清水店で女子学生用スーツなど5点購入
- 別添ハガキに記載の5点セット「19,000円」での購入を希望していたため、20,000円を用意して支払いを済まそうとしたところ、43,000円以上の支払いを要求される。
- 19,000円ではないかと確認したところ、5点セット「19,000円」の企画は1日5着分で、すでに「本日分は出ております」との説明。「ご説明したはずです」と強弁。
- 所持金が不足したため、購入を止めようとしたところ、一時金を支払ってもらえば、商品を渡すと言い出したため、いったん20,000円を入金。週明けに残額を支払うとの約束で商品を持ち帰宅。しかし、入学式目前のこの時期に1日5着も売れるとは思えない。まだスーツを買っていないのは、のんびり屋の娘くらいだろう。しかもこの日は雨。記者は、この時点でおかしいと判断した。
- 帰宅後、改めて印刷物を読み返し、店舗に電話を入れる。“明日の朝、改めて購入するとして先着5名の中に入れば、「19,000円」になるのか”と確認。店側は、「商品があれば」と回答。さらに、本当に5セット売れたのかと確認。
- 店側は、「好評の企画ですから、本日分はすでに出ています」と主張。
- 本日分の5着は本当に売れているのか確認したところ、「出ていますね」。その後、いきなり「商品をお返しいただき、返金ということにさせていただきたい」。ますます怪しい。
- それなら、5着分の伝票があるはず。伝票を見せてもらえるかと追及。伝票はあるんだなと再度回答を求めたところ、いきなり『申し訳ございませんでしたー』。
――えっ?申し訳ございませんでしたって……、あなた、実際には売れてないんでしょ。伝票がないんだよね。5着も売れてないんでしょ。
- 店側 申し訳ございません。
――申し訳ございませんじゃなくて、何着売れたの?
- 店側 申し訳ございませんでした~。
――何着売れたの?
- 店側 2~3着です。
――あなたは店長さん?
- 店側 責任者です。
――これからそちらに行きます。
【店頭でのやり取り】
――店長は?これはどういうことか?伝票はどうなった?
- 店長 ここに……。
――2着しか売れてないじゃないか……。
――これは詐欺だろう。学生を騙すのか?
- 店長 いいえ、決して。
――騙してるじゃないか。企画物は全部売れた。高いやつしかない。入学式は1日。そんな学生の足元を見るのか?
- 店長 ……。
――全店でこうした商売をやっているのか?
- 店長 いいえ……。
――ここじゃ、やってるじゃないか。
――企業倫理の問題だ。許せない。何人の学生を騙したか?
- 店長 いいえ、決してそのようなことは……。責任者を呼びますので。お待ちいただいて……。
――絶対許さない。社長と話をしよう。企業の大小は関係ない。詐欺商法がばれたら、会社のトップが説明するのが道理だろう。
- 店長 返金が……。
――きちんと話を聞くのが先だ。
- 約1時間後。エリアマネージャーなる人物と店長が記者の自宅に来訪。「お話を聞きに来ました」というので、顛末を確認し、詐欺行為なのだから社長と話をしたいと言い渡し、この日のやり取りを終了。
- 翌日のお昼前、エリアマネージャー氏から電話。「私どものジョウチョウと連絡が取れませんで、午後からのご連絡になります」。“ジョウチョウ”という言葉の意味が分からない。聞くとエリアマネージャーの上司なのだという。一般的な言葉ではなく、どんな漢字をあてればいいのかさえ分からない。それを平気で「ジョウチョウが、ジョウチョウが」である。この会社は、世間と隔絶したところで商売をやっているようだ。
- 同日。AOKIの九州地区責任者とかいう人物から記者の携帯に電話があったが、これが何と午後3時過ぎ。現場からの連絡が取れなかったため、遅くなったのだという。この会社には、危機管理能力がないのか、あるいは、世の中を甘く見ているのかのどちらかということだ。九州地区責任者氏によると、専務にまで話を上げたが、社長には翌日の月曜日に報告するという。やはり危機管理能力もなければ、客を大事にする心構えもない。
- 結局、あずけた20,000円を返してもらうことと、AOKIの社長名で説明を受けることを約して九州地区責任者との話を終わった。やはり、顧客重視の姿勢に欠けているらしく、週明けの31日には、何の連絡もなかった。1日になって再び九州地区責任者から電話が入ったが、「もうしばらくお時間を下さい」。
詐欺行為、遅い連絡体制、いずれもAOKIの企業体質を問われる事態だ。しかも、ターゲットにされたのは学生。1日5セットの嘘を、果たしてどれくらいの客が見抜くことができただろう。「完売しました」と言われれば、おそらく大抵の客は店側の言葉を信用し、高い買い物をするのではないか。
詐欺行為発覚の翌日から、HUNTER取材陣がAOKIの各店舗や学生のスーツ購入者を取材しているが、19,000円のセットで購入できたのは一部。ほとんどの学生が、通常の割引価格で購入している。支出額は30,000円~40,000円といったところだ。店側からすれば、巧妙な客寄せが成功している状況だろう。しかし、この商法は胡散臭い。
沿革[編集]
- 1958年9月 - 長野県更級郡篠ノ井町(現長野市)に洋服の青木を創業。
- 1965年7月 - 長野県篠ノ井市に株式会社洋服の青木を設立。
- 1968年7月 - 商号を株式会社アオキに変更。
- 1971年11月 - オリジナル商品開発に着手。
- 1975年4月 - 長野石堂本社ビル竣工。
- 1976年8月 - アオキファッション販売株式会社を設立。
- 1979年8月 - 商品管理及び販売情報管理のため、コンピューターシステムを導入、稼動開始。
- 1980年7月 - 商号を株式会社アオキファッションに変更。
- 1981年12月 - イタリアミラノのオートクチュールデザイナー アントニオ・フスコと技術提携。
- 1982年12月 - 長野南高田店が紳士服専門店ワンフロアの売り場面積が日本最大になる。
- 1984年10月 - 毛織産地の愛知県一宮市に商品本部開設。
- 1985年9月 - 商号を株式会社アオキインターナショナルに変更。
- 1986年11月 - 本社を神奈川県横浜市緑区(現 都筑区)に移転。
- 1987年4月 - 株式を、社団法人日本証券業協会東京地区協会に店頭売買銘柄として登録、公開。
- 1988年8月 - 全店へのPOSレジスター導入。
- 1989年5月 - 東京証券取引所市場第二部に上場。
- 1990年11月 - 横浜港北総本店、メンズ専門店世界最大級の売場面積1,000坪に増床。
- 1991年9月 - 東京証券取引所市場第一部に上場。
- 1992年10月 - 愛知県尾西市に商品センター開設。
- 1993年9月 - 東レ・帝人との共同開発素材を使用した商品を企画・販売開始。
- 1994年9月 - 国際羊毛事務局他7社と共同開発、世界初「ウール100%形態安定スーツ」の販売開始。
- 1995年1月 - 阪神・淡路大震災被災地に防寒ハーフコート10,000着寄贈。
- 1998年10月 - インターネットホームページ開設。
- 1999年4月 - デザイナー島田順子と提携。
- 2000年10月 - 株式会社コート・ダジュールを設立。
- 2002年7月 - 株式会社コート・ダジュールが株式会社ヴァリックに商号変更。
- 2002年10月 - 株式会社ウエディングスを子会社化。
- 2003年6月 - 株式会社トリイと業務・資本提携。
- 2003年12月 - 株式会社ヴァリックがジャスダック市場に上場。
- 2004年9月 - 「スーツダイレクト」をトータルコーディネートショップ「オリヒカ」に転換。
- 2005年4月 - 株式会社ウエディングスが株式会社ラヴィスに商号変更。
- 2005年9月 - ゼビオ株式会社から紳士服小売事業(ゼビオメンズ)11店及びメディア小売事業8店を譲受。
- 2005年10月 - 株式会社トリイを吸収合併。新CIを導入し、アオキに新装する旧トリイ店舗と新規出店のアオキ店舗は、現在の店舗ロゴ「AOKI'」を使用開始。
- 2005年12月 - 株式会社ラヴィスがジャスダック市場に上場。
- 2006年4月 - 商号を株式会社AOKIホールディングスに変更し、事業持株会社化及び社内カンパニー制を導入。
- 2006年4月 - 商号変更による既存店新装開店に伴い、現在の店舗ロゴ「AOKI'」に順次変更。
- 2006年8月 - 同業で福岡市の大証2部上場フタタに友好的TOBと株式交換を組み合わせた経営統合を提案するも、フタタはAOKI案に拒否反応を示し、筆頭株主で提携関係にある東証1部上場の同業コナカとの経営統合を選択。
- 2006年11月 - 本社を東京都港区(アニヴェルセル表参道と同一住所)に移転、横浜市都筑区の旧本社(横浜港北総本店と同一住所)を横浜本社とする。
- 2007年4月 - TOBによりカジュアル衣料品販売のマルフルを子会社化、6月には株式交換により完全子会社化した。
- 2007年11月 - 会社分割によるAOKIカンパニー・オリヒカカンパニー事業の分社化(新設会社:株式会社AOKI・株式会社オリヒカ)、それに伴う純粋持株会社体制への移行、およびジャスダック市場に上場している子会社「ヴァリック」ならびに「ラヴィス」の株式交換による完全子会社化を発表。
- 2008年4月1日 - AOKI・オリヒカ各カンパニーの分社化、ならびにヴァリック・ラヴィス両社の完全子会社化を実行、正式に純粋持株会社体制に移行した。
- 2008年5月31日 - 九州地方の福岡県で3店舗がオープン。CMにはローカルタレントの福田健次、深町健二郎、中島浩二が出演。
- 2010年4月 - 株式会社AOKIが株式会社オリヒカを吸収合併。
- 2010年10月1日 - 株式会社ラヴィスがアニヴェルセル株式会社に商号変更。
- 2011年7月 - 本社を横浜市都筑区に移転。
店舗数[編集]
(2013年3月31日現在)
- 株式会社ヴァリック(VALIC)
- カラオケルーム「コート・ダジュール」:143店舗
- 複合カフェ「快活CLUB」他:211店舗
- アニヴェルセル株式会社
- 記念日の館「アニヴェルセル表参道」とゲストハウスウエディングスタイルの挙式披露宴施設:13店舗
関連会社[編集]
完全子会社[編集]
- 株式会社AOKI - 「AOKI」、「ORIHICA」の運営。
- 株式会社ヴァリック - カラオケルーム「コート・ダジュール」、複合カフェ「快活CLUB」などの運営。
- アニヴェルセル株式会社 - 結婚式場ならびに「アニヴェルセル表参道」の運営。
労働問題[編集]
AOKIホールディングスとAOKIとが、同社の組合員に対し、労働組合からの脱退の勧奨や強要などを行っていると、2010年10月に報じられた。同月16日には、全国の70店舗の前で、組合による抗議活動も行われたという。同社の労働組合・「AOKIグループユニオン」は、神奈川県労働委員会に対し、不当労働行為の救済申し立てを行った。