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(まど)とは、部屋などの壁や屋根に設けられた、採光換気のための開口部(広義の「」)である。

近代化された建物ではガラス戸などの建具がはめられていることが多い。また、ステンドグラスなどの高度な装飾が施されることもある。

概要[編集]

窓は採光と通気を主な目的として設けられた壁面に施された開口部である。しかし通路のような人が通れる形状ではなく、開口部は腰より高い位置に設けられる事が多い。照明の乏しかった時代には自然光を取り入れるために非常に重要な装置であった。また外気を取り入れ内部の空気を排出するための通気口としても重要である。用途にもよって様々な窓が存在し、特定の目的に特化した窓や装飾された窓、所定の機能を追加された窓など様々な様式が存在する。

窓は建物内部から見ると外部に向かって穿たれた開口部である。ただし窓を塞ぐものが無い構造だと、開口部を通して外部から望まないものまでもが屋内に侵入してしまう。が降れば雨水が、春先や夏場には昆虫を含む動物などが、秋には落ち葉が、冬には寒風が吹き込んだりするし、あるいは泥棒のような望まれない闖入者が入り込む。その対策として窓に蓋をつける様式が一般的で、ガラスなどの透光素材が高価だった時代にはが取り付けられた。

なお窓には、を通して風景を見るという機能がある。例えば茶室では、窓に取り付けられた障子を開け放つことで窓枠に切り取られた風景を室内に与え、その風情を楽しむことが出来る。こういった思想は茶室だけに限らず、多くの庭園を持つ建築様式では、窓から見える庭園の風景に配慮して庭の設計を行う傾向がある。中国蘇州にある古典庭園(→蘇州古典園林)にみられる「漏景」という様式では、庭園内に壁をしつらえ、透かし窓から風景を楽しむ。

窓の歴史[編集]

人間が初期に居住した空間は洞窟だと考えられ、窓に相当するものはまず存在しなかった。その後、住居の発達につれ窓を作る余裕ができるようになった。のブロックを積み上げたり、土を練って塗り固めた壁に開けられた穴は、当初は完全な穴だった。後に開口を外側が狭く、内側が広くすることで厚い壁でも幾らかでも多く採光しようとした工夫が、文化圏の別なく見られる。

後に窓に窓枠をはめ、四角い窓に四角いで蓋が出来るようにしたものが登場したと考えられるが、これは文化圏にもよって、跳ね上げ式の蓋や観音開きの蓋、あるいは鎧戸のように複数の板を組み合わせ外気を通すよう工夫されたものや、透かし窓が開いているもの、ガラスなど透明素材を組み込んだものなど多様化、後に金属加工技術の発達にも伴い、様々な様式が発達したと考えられる。

ヨーロッパ[編集]

石や煉瓦による組積造建築を発達させていったヨーロッパでは、窓の実現にアーチ構造が広く用いられる。組積造建築物に開口部をとるには、窓の幅よりやや長い石材や木材のまぐさを渡すという技術も用いられたが、小さな部材同士の圧縮力で実現するアーチ構造により開口を保つ方式が広く定着する。アーチを用いた窓は、半円アーチ・ランセット型・直線アーチ・三弁アーチなどと様々な形状へと発展し、それに取り付けられる窓枠をも含めて意匠的にも洗練されていく。

ゴシック建築においては、ロマネスク建築の礼拝堂の薄暗さへの不満を解消する画期的な構造技術であるフライング・バットレスが発明され、窓を格段に大きくすることに貢献した。それまで身廊の壁を塞ぐように立っていた高い側廊は、その上部の機能を細いアーチ(フライング・バットレス)に譲ったのである。彩色の豊かなステンドグラスが発達したり、華麗なバラ窓が多く造られたりと、この頃「窓」は大きな躍進を遂げた。

日本[編集]

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伝統的な商家建築の窓。二階には漆喰を塗った虫籠窓(むしこ-)、一階には大きさの異なる格子が用いられている。

日本では竪穴式住居の時代には天井部に採光用と排煙用の開口部が見られたが、これには庇が設けられ、雨は吹き込まないようになっていた。その後日本家屋の技術が発達して障子のようなを使った採光用の窓が長らく利用されていたと考えられる。この障子は開け放つことで換気の用も足し、また梅雨など湿度が高い季節でも建物の広い開口部にもより、晴れ間には開放して換気させ易い様式が発達したと考えられる。

後の洋風建築が導入されるようになった文明開化当初から昭和中期ごろまでは、様式の窓は窓枠やガラス板を支える枠組みは木製のものがほとんどだったが、工業の近代化にも伴っての窓枠が、更にはアルミを中心とした金属製(サッシ)が多くなっている。

現代的(先進国における)な窓プライバシー対策としては、建築物の窓には型ガラスやフィルムが用いられ、自動車の窓にはスモークフィルムなどが貼られる場合がある。ガラスは強い衝撃を受けると割れてしまう素材でもあるため、防犯の面から金属線で補強された「ラス入りガラス」などのような機能性ガラスも利用されている。

窓の分類[編集]

開閉方法による分類[編集]

窓は、その開閉方法により以下のように分類される。

横引き 
レールにはめた窓を左右にスライドさせることで開閉する形式。開けた状態の窓を収納する戸袋などのスペースが必要である。
開き 
蝶番などで取り付け、垂直方向の軸を中心に回転させて開閉する形式の窓。1枚のみで構成したものを「片開き」、2枚で構成し左右に軸を設けたものを「両開き」と呼ぶ。
はめ殺し 
開閉のできない窓。フィックス窓とも呼ばれ、採光のみに供し、通風の機能が不要な場合に用いる。
上げ下げ 
ペアになった二枚の板を垂直のレールにはめ、ワイヤなどで連結し、連動させて上下に動かす窓。片方を引き下げるともう片方は上に移動する。
ルーバー 
横に細長いガラス板を、水平方向の軸を中心として回転させて開閉する形式の窓。ハンドルなどで開閉し、台所・便所・洗面所・収納などの換気を目的に用いることが多い。
滑り出し(すべりだし) 
窓枠の溝を建具がすべると同時に金具の回転によって外へ開きだす窓。戸先と吊元側の両方共に開口する為、妻側の窓であっても、窓の外側をクリーニングする事ができる。回転軸が縦の場合は縦滑り出し、横の場合は横滑り出しと呼ばれる。
ドレーキップ 
内開き・内倒しの二通りの開き方を可能とした窓。

配置による分類[編集]

窓は、その取り付け位置によって以下のように分類される。

連続窓 
横方向に連続して配置した窓。建築家ル・コルビュジエの提唱した近代建築の五原則には「水平連続窓」が挙げられている。
出窓 
室内から外部に張り出す形で設置する窓。張り出した棚状部分に花や置物を飾るなど、意匠的な愉しみをもたらす。
天窓 
天井に設置する窓。ルーフウィンドウトップライトとも呼ばれ、効率の良い採光が可能である。
腰窓 
窓枠の底辺が腰くらいの高さにある窓。
掃き出し窓 
窓枠の底辺が床面の位置にある窓。

機能による分類[編集]

排煙窓 
単に排煙設備とも呼ばれるが、通常ははめ殺し・採光用の窓であるものの、火災で室内の視界が悪化した場合に非常用のチェーンを引くと、掛け金が外れて煙が排出されるようになっている。煙が排出されやすいよう高い位置に設けられるが、物によっては閉める際には手動で閉じなければならず、誤って開けてしまうと閉めるのが厄介である。
脱出窓 
乗物などに設けられており、通常ははめ殺しとなっているが、非常時にはレバー操作などで窓枠やフレームごと取り外せる。また、ビルディングなどでは脱出用設備(綱梯子)やシューターなどが用意されている窓がある。これらは大きく開く構造となっていて、廊下や通路にあり、下向きの赤い三角のシールが窓に張ってある。はしご車が被災者を救助するために利用する場合もある。

窓と心理[編集]

ことわざ・慣用句[編集]

  • 窓の蛍窓の雪 : 「蛍雪の功」に由来する言葉で、苦学するさまをさす。の光で勉強をしたという車胤、雪の反射光を明かりとしたという孫康の故事にちなみ、唱歌「蛍の光」でも知られている。
  • 窓の内 : 保護者によって大切に育てられ、俗世間との交流が少ない様子をいう。「深窓の令嬢」などという言い回しがなされる。
  • 窓際 : 企業などで、役職や年季相応の仕事を担当せずにぶらぶらと過ごしている状態を揶揄的にいったもの。そういった人をさして「窓際族」ともいう。
  • 社会の窓 : ズボンの前面のファスナーをさす俗語。

関連項目[編集]

関連書[編集]

  • 酒井一光 『窓から読みとく近代建築』学芸出版社 ISBN 4761523875
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