OVA

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オリジナル・ビデオ・アニメーション通称OVA(オーブイエー)またはVアニメとは、物理メディア(VHSLDDVDなど)での発売またはレンタルを主たる販路として作られる商業アニメ作品。テレビ放送劇場公開、オンライン配信などとは本来の目的ではないはずだが、OVAが発売前にテレビ公開されたり、同時期に劇場公開されることなどもあり、ある作品をOVAと呼ぶか劇場公開アニメと呼ぶか揺れがあるケースも存在する。広い意味でのオリジナルビデオの一種だが、アニメ以外の狭義オリジナルビデオとは異なる独自の発展を遂げた。

概要[編集]

もともとはオリジナル・ビデオ・アニメーションOriginal Video Animation)の略であるとされたが、後にオリジナル・ヴィジュアル・アニメーションOriginal Visual Animation)の略ともされるようになった。

人気が出れば後にテレビ放送・劇場公開される場合もあるし、テレビアニメの続編をOVAで製作する事もある。また近年では衛星放送や一部UHF局などで先行放送される場合も増えている。OVA初期にはOAVオリジナル・アニメーション・ビデオ)という表現もよくなされたが、アダルトビデオオーディオビデオの略称と間違え易いため、徐々に廃れていった。現在は学習研究社発行のアニメ雑誌で使用される程度で、かつてほどは使われない。 OVAという呼称を初めて用いたのは角川書店のニュータイプである。他紙ではOAVという表記であった。ニュータイプは同時にOVAを「オヴァ」と読むことを推奨していた(ニュータイプ内の1コーナーに於いてではあったが)。しかしその努力も空しく、当時(OVA黎明期)にはOAVの方が一般的であった。

歴史[編集]

OVAの歴史は、1983年に、『ダロス』が発売されたことにより始まる。最初期のOVAが登場した時代は、ビデオデッキの普及率が低く、レンタルビデオ店も少なく、しかもソフト1本が2万円近くすることも珍しくなく、ごく限られたユーザーしか見ることができなかった。そのためアニメはテレビで無料で試聴するのが基本、有料の場合でも映画館の入場料程度であることに慣れていた当時のユーザーからは存在そのものに批判的な意見があった。

それでもこのような形態での作品製作が一般化したのは、レンタルビデオ店が増えたことの影響が大きい。当初からアニメは作品数が少ないわりにレンタル店では常に人気だったのである。海外映画は字幕作品が多く、日本映画は版権の関係で本数が少なかったため、必然的に低年齢・ファミリーが見られる作品がアニメに絞られたからだと考えられる。

販売代金だけで製作費の回収が可能であるとはっきりすると、多くの発売元から続々と多数のOVAが発売されはじめた。その後、OVAはアニメの発表の場として1990年代にかけ重要な位置を占めるようになるが、2006年現在、そのリリース状況は鈍化している。これは、かつてはOVAとしてリリースされたような作品が、現在はキッズステーションアニマックスなど、スカイパーフェクTV!を初めとする衛星放送事業者ケーブルテレビ局の目玉商品として、ソフト販売に先駆けて放送されたり、独立UHF局で放送されることがしばしば行われるようになったため、放送・上映されていない作品が最初にビデオソフト化される、というOVAの定義に正確に合致しなくなってきたためでもある。

個人のアニメファンが自ら好んでアニメのソフトを購入するということがはっきりすると、それらの層を対象にしたアニメも作られるようになった。

OVAはアニメに新たな変化をもたらした。OVAでは、スポンサーの玩具メーカーなどの意向を聞かずに製作ができ、また、毎週24分枠の映像を準備する必要もなかった。映画のように、制作費以上に宣伝費がかかるということもなかった。このため、多くのアニメスタジオが競ってOVAを出した。これらの中には、それまでの児童向けアニメでなく、それよりも高い年齢層を対象としたものも多くあった。それまでは、狭い年齢層や、特定の趣味を持つ愛好者などを対象にしたアニメはテレビでの視聴率が取れず、作りにくい状況があった。しかし、OVAはそのような作品の製作を可能にした。具体的な例として、熱狂的なファンはそれなりの数いるが、作品の内容が一般的でなかったためにあまり作品がアニメ化されなかった、新谷かおるのような漫画家の作品が、初期に相次いでOVA化されている。レンタルビデオ店の18禁コーナーに陳列されるアダルトアニメも、OVAとして1984年には既に存在した。これらのOVAの成功は当然ながらテレビアニメや劇場アニメにも大きな影響を与えた。

OVAが想定する購買層は、前述した通り、15 - 40歳程度の独身男性とレンタルビデオ店である。OVAの価格は敢えて高め(5,800 - 9,800円程度)に設定される。これらの層は比較的高額でもビデオソフトそのものを購入することが多いため、その売り上げによって直接資金を回収する。宣伝や作品内容もそれらの層をピンポイント的に狙って行い、効率的に資金回収できるようになっている。OVAは少人数で長時間かけて製作されることが多く、内容さえ大きく外さなければ、半年かけて30分の作品1本を完成させる程度のペースでの制作サイクルでも資金回収が成り立つシステムになっている。近年ではレンタル展開をせず、一般向けの販売だけで投資を回収するものもある。

ちなみに近年の作品で作画や背景がひどかったりする作品があるがその原因はいくつかある。まずTVアニメの多さである。 現在、週に70本以上アニメが放映されていて、製作各社ともTV放映用作品の作業を優先させ、OVAの作業などは後まわしになるためである。次にスタッフの少なさも原因のひとつである。現在のTVアニメはCGを多く使ったりしているがOVAはスタッフが少ないためにCGを多く使えない場合もある。そのためにTVアニメよりクオリティが下と見られるという逆転現象が起きてしまうことがある。

OVAの形態、およびテレビアニメとの関係[編集]

初期のOVAは、ほとんどが劇場アニメのフォーマットを模したもので、60 - 90分程度で完結した内容、価格は9,800円 - 14,800円程度の作品が主流であった。

しかしその後、テレビアニメの続編や番外編をOVAとして製作することが一般的になると、OVAもテレビアニメのように30分×数本のシリーズで、価格は各5,800円程度という形態が主流となる。 さらに、OVAシリーズでヒットした作品の続編がテレビシリーズとして製作されたり、当初OVAシリーズとして企画されていたものがTVシリーズ化されたりと、OVAからテレビに進出という流れも確立されていく。 一方で、テレビアニメも放送後ほどなくしてビデオソフト化されるようになり、OVAとテレビアニメの境界は次第に曖昧なものとなっていった。

そして、1995年に放送されたテレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の成功が、こうした流れに決定的な影響を与えた。この作品は、スポンサーからの資金提供に依存するそれまで一般的だったテレビアニメの資金調達法ではなく、テレビ放映した後、それを収録したソフト販売で利益をあげるというビジネスモデルを採用し、テレビ放映作品でありながらOVAに近接する形態を積極的にとって製作され、それまでOVAがテレビアニメに対して優れていた作画の品質の点でも、OVAのそれに近い高品質な形で制作された。この手法が大成功を収め、実際に同作品が大きな収益をあげたことから、アニメファン向けのテレビアニメが十分ビジネスになることが証明され、テレビアニメについても劇場映画のような製作委員会方式が採られることが多くなり、純然たる意味でのOVAは急速に減少していくこととなった。

今日では、OVAは発売前に衛星放送ケーブルテレビで先行放送されることも多い。その一方で、アニメファン向けのテレビアニメ(主に深夜アニメUHFアニメ、BS/CSオリジナルアニメ)も、放送はプロモーション的な意味合いが強く、ビデオソフトの売り上げで収益を上げるという、実質的にOVAと変わらないビジネスモデルとなっている。

OVAの主な種類[編集]

ここでは、OVAの主な種類について述べる。この特徴は、OVAから派出し、ケーブルテレビ局やWOWOW、独立UHF局、CSで先行的に放送された後、直後にビデオソフト化される作品も含む。これらの作品がテレビ放送される場合、そもそもスポンサーがつかなかったり、製作会社そのものがスポンサーになっていることが多い。これは、放送が作品の宣伝を兼ねていて、見られなかった者が見た者から情報を得て、その後購入者となることを想定して放送されているためである。

OVAが対象としている視聴者及び購入者は、ある程度の収入のある高年齢層の独身男性である要出典ノート参照。これらのファンは作家性の高いアニメや自分の性的嗜好に沿ったアニメ(男性向けアニメ)を非常に好む。このようなアニメのファンは特に、20代から30代の独身男性が多いが、女性もいる。ただし、女性を対象にした作品は1990年代前半に花とゆめ原作の作品が連作された他は(女性向けアニメ)はあまり多くない。

前者の例は、押井守の『機動警察パトレイバー』(1988年)のような著名アニメ作家の作品がある。ストーリーや設定を重視したものが多い。内容はさまざまだが、架空の世界や遠未来、近未来などを舞台にとり、独自に設定された乗り物や武器が登場するものが好まれる。アニメのスタッフは無名でも、原作が著名なことも多い。現在、インターネットなどで検索をかけると、これらの作家に関するファンページや情報が多くヒットするが、これはそれらのファン層とインターネットの利用者層が重なっているためで、そうでないアニメの評価が著しく低いというわけではない。

後者の例は、『HAND MAID メイ』(2000年)がある(ただしこの作品は、ビデオソフト化の前にテレビ放送されており、厳密な「OVA」の定義には合致しない作品である)。この種のアニメの女性キャラクターは、性的特徴(特に胸など)を極端に強調したり、従順すぎるほど男性主人公に従順な性格だったり、メイド服やセーラー服を標準のコスチュームにするなど、一部の成年男性に対して性的な嗜好を刺激する特徴を持つ。ただしこのようなアニメは日本が元祖ではなく、アメリカでは1930年代に既に『ベティ・ブープw:en:Betty Boop)』という先例があった。現在日本で製作されているこの種のアニメは、何らかの特徴が『ベティ・ブープ』に一致するものが多い。なお、これらのアニメでは、直接的性描写があるものもあるが、無いものの方が多い。この種のアニメは種類が細分化されており、極端な幼児体型の女性キャラクターが登場するものや、没個性的な男性主人公が多くの女性キャラクターにかこまれて日常生活を送るもの(ハーレムアニメ)も根強い人気がある。この種のアニメは、アダルトアニメによく似ているが、概念としては異なる。ただし、それらの趣味の無い一般人から見るとどちらも同じにしか見えない。

これらのアニメも関連するアニメグッズが製造され、それにより資金回収が行われることも多い。これらのグッズはアニメショップといわれる専門店で販売され、子供向けアニメのグッズのように一般販売店で売られることはまずない。販路などを絞ってコストや売れ残りを削減し、それらの販売店へわざわざ出かける人々のみを対象としたビジネスが成立している。

OVA作品の例[編集]

五十音順。詳細はCategory:OVAを参照。

オリジナル作品[編集]

他メディア原作作品[編集]

TVアニメ・劇場アニメの続編など[編集]

関連項目[編集]

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