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(かばん)は、荷物の運搬を目的とした取っ手がついた主としてでできた状の服飾雑貨のこと。バッグ(bag)とも言う。服飾雑貨として認知されない袋状のものは取っ手がついていても単に「袋」と呼ばれ、主に収納目的のものは「ケース」と呼ばれることが多い。

概要

鞄には、ヒトが持ったり体に密着させたりするための1本か2本の取っ手やショルダーストラップ(肩掛け)、まれではあるがウェストバッグのように体に巻きつけるベルトがついている。また最近では、ベスト型の着る感覚の鞄も開発が進められている。袋の口はジッパーボタン(口金式)、紐、あるいは折りたたんで封ができるものが多く、旅行用鞄やアタッシェケースは施錠ができる。主となる袋状の収納空間以外にポケットや間仕切りを用いて、整頓し易さや取り出しやすさを工夫してあることが多い。

素材は化学繊維ナイロンなど)・綿などを織った布が一般的である。加えて、金属の植物、ポリ塩化ビニルビーズなども使われる。近年は軽くて丈夫な炭素繊維も使われている[1]

鞄は用途や運搬者によって大きさが違う。ポーチと呼ばれる財布が1つ入るほどの小さな鞄から、ゴルフクラブ一式を入れることができるゴルフバッグに至るまで、さまざまな大きさがある。

市販される鞄の価格は、100円ショップで求めることのできるような安価なものから、グッチシャネルなどブランドとして確立した鞄のように数十万から数百万円する高価なものまで、こちらも多様である。

なお、日本では家庭用品品質表示法の適用対象となっており雑貨工業品品質表示規程に定めがある[2]

日本に革鞄が導入されたのは、一説には、フランスに滞在していた商人山城屋和助が1893年(明治6年)に持ち帰り、職長森田七が模倣して作ったのが初めてと言われる[3]

鞄の種類

(それぞれ五十音順)

形状による分類

手に持つもの

アタッシェケース〈attaché case〉/アタッシュケース/ブリーフケース 
硬い箱型の手提げ鞄をいう。非常に薄く、入れられるのはハードカバー本1冊分程度の厚みの物まで。かつて大使館員、特に書記官駐在武官(フランス語で「アタッシェ」、attaché)が書類を携帯するのに使用していたことからこの名がつけられている。一方「アタッシュ」は、アクサンテギュの取れたattacheを英語読みした際の発音に由来し、日本語ではどちらの表記も用いられる[4]
ガーメントバッグ 
背広服(ジャケットとスラックス、上下)を入れて半分に折りたたみ携行できるようにした鞄。
抱鞄(かかえかばん) 
ビジネス用途で書類入れとして用いられた鞄。抱えて持つことが多かったが、大正時代半ばから手提げ式が多くなる。学生鞄としても広く用いられていたが、学生用としては現在衰退気味である(ごく一部の中学生高校生が用いているのみ)。
キャリーバッグ(英:Carrier bag) 
持ち運びに用いる小型から中型の鞄。手に持つタイプや肩に掛けるタイプなど、いろいろな形がある。紙またはプラスチック製の買物袋
クラッチバッグ 
肩ひものついていない小型のハンドバッグ。
ケリーバッグ 
女性用ハンドバッグの一種。元祖はエルメスの旧「サック・ア・クロア」。
セカンドバッグ 
手で抱えて持つ小型の鞄。従来は大型の鞄の中に入れて用いられていた。
ダレスバッグ(ドクターズバッグ、ロイヤーズバッグ、フレームトップケース、トップフレームブリーフケース) 
マチ幅の広い口金式のブリーフケースをいう。アメリカのダレス特使が愛用していたことから日本の鞄専門店が自社製品にこの愛称をつけたが、アメリカでは携行品の多い医師が多用することからドクターズバッグ(Medical bag)、あるいは多数の書類を持ち歩く弁護士が多用することからローヤーズバッグ(Lawyer's bag)といわれる。また、イギリスでは鞄の上側開口部が口金構造であることからフレームトップケース(Frame Top Case)、あるいはトップフレームブリーフケース(Top Frame Briefcase)と呼ぶ。素材は硬くて厚い牛革が用いられることが多い。かつては堅牢かつ容量自在なブリーフケースとして普及していたが、ナイロン製の軽量鞄に普及に押され気味である。Mr.ビーンも使用している。
トートバッグ 
四角い形状をしていて持ち手が2本ある鞄。多用途で用いられる。主に鞄上部(天)のみが開口部となっている場合が多い。薄手のものは折り畳んで小袋に入れ携帯できる。近年、レジ袋削減及び環境保護のための「マイバッグ」として注目されている。
ドラムバッグ 
ドラム状をしている鞄。ロールボストンともいう。
トロリーバッグTrolley case) 
キャスター付きで、鞄に付属する取っ手の出し入れができる、主に旅行用の鞄。トローリーケースとも呼ばれている。
ポーチpouch) 
小物を入れる小型の鞄。英語でパウチ。
ボストンバッグ(Boston bag) 
旅行用として多く用いられる手提げの革製鞄。底が長方形。ボストン大学の学生達に愛用されていたことからこの名がある。日本では大正末から製造されるが、昭和初期からファスナー式が中心となる。マジソンバッグが有名。

肩にかけるもの

ショルダーバッグ (Satchel
片方の肩にかけて使用する鞄。
スリーウェイバッグ(3WAYバッグ) 
広く、手で持つ・肩にかける・背負うの3通りの携行方法のある鞄の総称である。ハバサック(第二次大戦中の米軍用行嚢)がこの一つ。
ポシェット(仏:pochette) 
小物用の鞄。肩紐が長い。機能性に装飾性を兼ね備えており、ファッションアイテムとして広く女性に好まれる。
ランドセル 
学童用の背負い革鞄。
リュック(リュックサック) 
背負い鞄。

腰につけるもの

ウェストバッグ 
胴部分に巻きつけて使用されるベルト付き鞄。容量は小さいが両手が空き、下ろさずに出し入れできるので機能性が高い。収納物が増えるとバッグ部分を中心に下がってくる。
ベルトポーチ 
ベルトに通して使う小型の鞄。ウェストバッグと同様、機能性が高い。警備員が使用する「キーバッグ」もこの一種。

首にかけるもの

頭陀袋 
元々は仏教の僧侶が用いていた、首からさげる鞄。

使用目的による分類

学生鞄 
学生が持つ登下校用の鞄をいう。狭義では、革製の抱鞄を指す。
楽器ケース 
ヴァイオリントランペットなどの楽器を入れるための鞄。衝撃を受けると楽器の破損につながるので頑丈な“ハードケース”。
キューケース 
キューを収納するための鞄。
ゴルフバッグ 
ゴルフ道具(クラブやシューズなど)を入れるための鞄をいう。
サドルバッグ 
サドル、バイク・自転車に取り付ける鞄。
シザーバッグ(scissor pouch) 
元々は美容師花屋を入れるために使っていた小型の革製の鞄。現在は気軽な用途に使われている。ポーチの一種。
書道ケース 
書道の道具を収納するための鞄。
ショッピングバッグ 
買い物袋のこと。買い物時に持ち帰り用として店が提供または客が持参する、取っ手つきの紙袋・レジ袋エコバッグなどの総称。紙製のものは、耐久性を増すためにビニールがかぶせられているものもある。英語では女性のホームレスを「ショッピングバッグ・レディ」と俗称するが、これは全財産をこのショッピングバッグ一つに入れて持ち歩いていることにちなむ。
スーツケース 
背広など洋服を入れて運搬するための中型ないし大型の鞄をいう。ハンガーに掛けたままの上下一着とワイシャツ・革靴、その他少々のみを収められる寸法のものは特にガーメントバッグ(garment bag)と呼ぶ。
スポーツバッグ 
学生が運動クラブ用品を運ぶために携行するバッグをいう。それらのうち、主素材がエナメルのスポーツバッグを「エナメルバッグ」と呼んでいる。
タンクバッグ 
オートバイの燃料タンク上に固定して使用する鞄を指す。手に持ったり肩から掛けて携行できるようにストラップが装備されている。
チョークバッグ 
ロッククライミングチョークを入れる時に使われていた鞄。現在は気軽な鞄として使われている。ウェストバッグに近い。
ドキュメントケース 
ブリーフケースを少し薄手にしたデザインでより書類ケースに特化したもの。ジッパー全開式で抜き手(伸び手)と呼ばれる本体に収納可能な取っ手が付くモデルが多い。書類を仕舞うための小型の鞄、A4サイズで薄型の革製。ケースファイルに近い。
トランク 
大型のスーツケース。日本ではこの類として長持がある。
ハンドバッグ(handbag) 
婦人が財布化粧品などの小物を入れて携行する小型の鞄をいう。女性服(特にドレス)にはポケットが少ないことから、成人女性の多くが携行する。purse(英語版)(女性用の肩紐のないハンドバッグ)
ビジネスバッグ 
広く、一般的なビジネスマンOLが使用する鞄の総称である。
武器ケース 
刀剣を収納するための鞄。
ブリーフケース 
書類(brief)用鞄をいう。ホワイトカラーの男性が非常に多く用いる。時代とともに、書類以外の携行品を入れるためにマチ幅が広くなったり、携行の便宜のために肩掛け紐が付けられたものが生まれている。形は上記の抱え鞄によく似ているが、代表的な形状には、上部がファスナー式開口部となっているジップトップケース、上部開口部を蓋革(フラップ)が覆っているフラップトップケース、上部開口部が口金式となっているフーレムトップケース(ダレスバッグ)がある。倒れないように底に底鋲が付いていることが多い。
ミュージックケース  
楽譜を入れるために用いていた鞄。
メッセンジャーバッグ 

脚注

関連項目

外部リンク