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'''藤本由香里'''(ふじもと ゆかり、[[1959年]][[8月13日]]<!-- Mixiの自己申告[http://mixi.jp/show_friend.pl?id=160185](Mixi の会員のみ参照可能)--> - )は、[[熊本県]]に生まれ育った[[筑摩書房]][[編集者]]。[[編集#編集実務|編集]]の仕事のほか、社外で[[マンガ]]評論や、[[女性]]の[[セクシュアリティ]](いわゆる[[ジェンダー]]論)、[[家族]]論、あるいは時事問題を扱う[[評論家]]、[[作家]]、性([[性行為|セックス]])の研究も行なう[[フェミニスト]]。自称・[[性風俗|風俗]]評論家として'''白藤花夜子'''(しらふじ かやこ)という別名がある<ref name=Itoi>[[ほぼ日刊イトイ新聞]] 「藤本由香里著『快楽電流』刊行始末」[http://www.1101.com/editor/1999-05-26.html](1999年5月26日)</ref><ref name=shougen>松文館裁判: 第8回公判 弁護側証人尋問 ~その13~ [http://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Tone/9018/shoubun0714-07.html](藤本証言は次のページにも続く)</ref>。
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<nowiki>'''藤本由香里'''(ふじもと ゆかり、[[1959年]][[8月13日]]<!-- Mixiの自己申告[http://mixi.jp/show_friend.pl?id=160185](Mixi の会員のみ参照可能)--> - )は、[[熊本県]]に生まれ育った[[筑摩書房]][[編集者]]。[[編集#編集実務|編集]]の仕事のほか、社外で[[マンガ]]評論や、[[女性]]の[[セクシュアリティ]](いわゆる[[ジェンダー]]論)、[[家族]]論、あるいは時事問題を扱う[[評論家]]、[[作家]]、性([[性行為|セックス]])の研究も行なう[[フェミニスト]]。自称・[[性風俗|風俗]]評論家として'''白藤花夜子'''(しらふじ かやこ)という別名がある<ref name=Itoi>[[ほぼ日刊イトイ新聞]] 「藤本由香里著『快楽電流』刊行始末」[http://www.1101.com/editor/1999-05-26.html](1999年5月26日)</ref><ref name=shougen>松文館裁判: 第8回公判 弁護側証人尋問 ~その13~ [http://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Tone/9018/shoubun0714-07.html](藤本証言は次のページにも続く)</ref>。
 
<!-- 藤本証言(1995年):
 
<!-- 藤本証言(1995年):
 
「学陽書房から『ニューフェミニズムレビュー』という全6巻のシリーズがありまして、これに白藤花夜子という名前で編集委員として参加し、第3巻の『ポルノグラフィ』という巻を責任編集及び執筆をしております」
 
「学陽書房から『ニューフェミニズムレビュー』という全6巻のシリーズがありまして、これに白藤花夜子という名前で編集委員として参加し、第3巻の『ポルノグラフィ』という巻を責任編集及び執筆をしております」

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'''藤本由香里'''(ふじもと ゆかり、[[1959年]][[8月13日]]<!-- Mixiの自己申告[http://mixi.jp/show_friend.pl?id=160185](Mixi の会員のみ参照可能)--> - )は、[[熊本県]]に生まれ育った[[筑摩書房]][[編集者]]。[[編集#編集実務|編集]]の仕事のほか、社外で[[マンガ]]評論や、[[女性]]の[[セクシュアリティ]](いわゆる[[ジェンダー]]論)、[[家族]]論、あるいは時事問題を扱う[[評論家]]、[[作家]]、性([[性行為|セックス]])の研究も行なう[[フェミニスト]]。自称・[[性風俗|風俗]]評論家として'''白藤花夜子'''(しらふじ かやこ)という別名がある<ref name=Itoi>[[ほぼ日刊イトイ新聞]] 「藤本由香里著『快楽電流』刊行始末」[http://www.1101.com/editor/1999-05-26.html](1999年5月26日)</ref><ref name=shougen>松文館裁判: 第8回公判 弁護側証人尋問 ~その13~ [http://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Tone/9018/shoubun0714-07.html](藤本証言は次のページにも続く)</ref>。 <!-- 藤本証言(1995年): 「学陽書房から『ニューフェミニズムレビュー』という全6巻のシリーズがありまして、これに白藤花夜子という名前で編集委員として参加し、第3巻の『ポルノグラフィ』という巻を責任編集及び執筆をしております」 (ページ末尾に「転載は自由です」と付記あり。許諾条件がなく、法廷証言でもあるためパブリック・ドメインと見なし、コメントアウトで掲出) --> 作家としての代表的な著作に、[[少女マンガ]]を分析・評論した『私の居場所はどこにあるの?』、ジェンダー・セクシュアリティ論の『快楽電流』、家族論の『愛情評論』など。また、編集者として手がけた書籍として『[[強姦|レイプ]]・男からの発言』(1988年)、『[[発情]]装置』(1998年)、『[[東京大学|東大]]で[[上野千鶴子]]にケンカを学ぶ』(2000年)、『[[竹宮惠子]]のマンガ教室』(2001年)、など多数ある。評論家としては、マンガ、とりわけ少女マンガ・[[レディースコミック]]や[[フェミニズム]]を基軸に[[現代 (時代区分)|現代]]女性・[[少女]]が直面する「[[恋愛]]」(あるいは「[[愛]]の幻想」)、「[[人間の性|性]]」、「[[家族]]」、「[[労働|仕事]]」<ref>働く女性の博物館 企画展展示品: 「コミックでたどる女性と仕事展」 [http://www.miraikan.go.jp/tenji/006/sce001.html] は、藤本が企画した300枚弱のパネル展示。(開催: 2000年1月21日 - 3月31日。貸出可)</ref><ref>『ニュー・フェミニズム・レビュー vol.5』(1994年)の論考「お仕事!」で、1980年代末ごろ次々と連載が始まった刀根夕子『[[OL]][[グラフィティ]]』や[[深見じゅん]]『[[悪女 (わる)]]』などの「OL仕事コミック」を、[[弘兼憲史]]『[[課長島耕作]]』や[[聖日出夫]]『なぜか笑介』などと対比している(シリーズ五冊目『リスキー・ビジネス』p.130)。</ref>、「生き方」と、それらの変化・変遷を一貫して凝視し、さまざまな媒体で発言。女性のセクシュアリティは時代の[[関数 (数学)|関数]]であって時代の移り変わりによって変化すると主張している。マンガ作品ごとの小評論やコメントは数多く、少女マンガ評論家として著名。少女マンガ愛読者からの支持は少なくない。 == 概要 == 子どものころから読書が好きで<ref name=Donna>[[読売新聞]]日曜版「どんな仕事? 藤本由佳里さん」[http://www.yomiuri.co.jp/junior/articles_2001/011028-2.htm](2001年10月28日。ヨミウリ・ジュニア・プレスの児童・生徒が取材した記事)</ref> [[熊本市立藤園中学校]]、[[熊本県立熊本高等学校]]を経て、[[東京大学]]教養学科を卒業。就職先を決める際、総合[[出版社]]ならば自由がきくという理由から<ref name=Donna>就職</ref>筑摩書房を選んで入社した。 筑摩書房第4編集室で編集者として女性のセクシュアリティ、コミュニケーション論、社会問題などの書籍を手がけて<ref name=shougen>経歴</ref>勤務するかたわら、[[明治学院大学]]<ref>講座「芸術・社会・人間」。前出の脚注「松文館裁判: 第8回公判 弁護側証人尋問 ~その13~ 」参照。</ref>、[[早稲田大学]]<ref>夏期集中講座「漫画史」。前出の脚注「松文館裁判: 第8回公判 弁護側証人尋問 ~その13~ 」参照。</ref>で講師も。また[[日本マンガ学会]]の設立に立ち会い<ref>「『日本マンガ学会』ができるまで 情報の共有へ向けて」『ユリイカ』2006年1月号特集「マンガ批評の最前線」、ISBN 4791701429 [http://www.seidosha.co.jp/index.php?%A5%DE%A5%F3%A5%AC%C8%E3%C9%BE%A4%CE%BA%C7%C1%B0%C0%FE]</ref>、同学会の第一回総会(2001年11月3日)から[[小野耕世]](映画評論家)、[[呉智英]](評論家)らとともに理事も務めている<ref>WELCOMEマンガ大学: お知らせ [http://kunio.nagatani.name/osirase/kojin.htm] 「日本マンガ学会 第1回総会・大会レポート」で拍手承認で理事に就任。</ref>。『[[AERA]]』編集長から「畏友 (!?)」<ref>AERA-net.jp 「【編集長日記】[[萩尾望都]]にため息」[http://www.aera-net.jp/fromeditors/2006/05/post_5.php](2006年5月1日)</ref>と呼ばれたこともある。 編集の仕事は、筑摩書房で年間七、八冊の編集を担当するため、常時三十冊ほど出版予定をかかえ、「編集者ってまるで皿回しみたいに息つく暇がない」、とぼやき<ref name=Donna>ぼやき</ref>つつも、その編集の仕事で『竹宮惠子のマンガ教室』を手がけるかたわら、少女マンガを中心とするマンガ評論を執筆。特に少女マンガ評論には定評がある<ref name=tinami>tinami.com: インタビュー: 藤本由香里「少女マンガのセクシュアリティ ~[[強姦|レイプ]]から[[メイド]]へ~」 前半: [http://www.tinami.com/x/interview/10/page1.html](2001年9月1日。全四ページ)、後半: [http://www.tinami.com/x/interview/11/](2001年10月2日。表紙ページ含めて全六ページ)</ref>。[[処女作]]の単著『私の居場所はどこにあるの?』は、少女マンガ評論に新たな可能性を切り拓いたと評されている<ref>前出の脚注 tinami.com: インタビュー: 藤本由香里「少女マンガのセクシュアリティ ~レイプからメイドへ~」後半部の表紙ページ下部の著作紹介参照。</ref>。とりわけフェミニスト著作者からは、フェミニズム関連書の意欲的な編集が高く評価されている。2001年に取材された際、「私ほど、好きな本ばかり作ってきた人はいないかも」と自身のそれまでの仕事を語ってみせた<ref name=Donna>仕事の自己評価</ref>。 また、女性のセクシュアリティについて考察を深めるため、女性にとっての性(セックス)も研究し、この分野における論客ともなっている<ref>みんぱくミュージアム劇場 からだは表現する「「20世紀のエロス」[[オーガズム]] ~身体を超える意志」[http://www.minpaku.ac.jp/special/200003/20.html](2000年4月29日、[[国立民族学博物館]]で開かれたディスカッションでパネリストの目玉として登壇、ディスカッションの俎上にのった話題一覧は、藤本が女性の性(セックス)分野で論客であることを示す一例となっている)</ref>。 同時に、マンガ評論専門家として[[朝日新聞社]]主催の[[手塚治虫文化賞]]審査員(2000年、2002年、2006年)や、[[講談社漫画賞]]選考委員(2006年)、[[文化庁メディア芸術祭]]マンガ部門審査員<ref>審査員となったのは故・米沢嘉博さんのピンチヒッターだったと本人は明かしている 。<!-- [http://mixi.jp/view_diary.pl?id=282180816&owner_id=160185](Mixi会員のみ閲覧可)--></ref>(2006年)などを歴任。 === ''New Feminism Review'' === 作家へのテイクオフは、[[1990年代]]前半に[[学陽書房]]が刊行した雑誌体裁の『ニュー・フェミニズム・レビュー』<ref>第二波フェミニズム運動が退潮した時期は[[ウーマン・リブ]]20年という節目となっていた。来たるべき第三波フェミニズム運動への助走をコンセプトとして、スローガン「おもしろいことは、待ってるだけじゃダメ!」を掲げて呼びかけ、当時のフェミニストを中心に老若男女が執筆。編集に参加・協力した執筆者の何人かは、のちフェミニズム主流を担っている。</ref>シリーズが事実上の嚆矢となった。四人のフェミニスト上野千鶴子、加納実紀代、樋口恵子、[[水田宗子]]とともに白藤花夜子名義で編集委員として名を連ねている。 シリーズ二冊目、水田宗子編集の『女と表現 フェミニズム批評の現在』では、白藤名義の「ボレロ [[欲望]]の構造」と、藤本名義の「少女マンガにおける『[[少年愛]]』の意味」の二つを書く。前者は[[ジョルジュ・ドン]]の舞台『ボレロ』を観た印象から、女性自らが欲望の主体となることが難しい事情を小文で解き明かす。ジョルジュ・ドンは男性ダンサーだが、ドンを女性ダンサーに置き換えた『ボレロ』が実現すれば女性の欲望に新しい構造が生まれる可能性があると指摘し、男性優位・男性支配の性の構造を変える鍵(突破口ないし糸口)になりうると説く<ref>このころの藤本のキーワードともなっているので、原文を正確に引用すると、「視線は性別を揺らすのだ――性の構造にひびをいれる新しい表現の鍵はここにあると、私には思えるのである」と提起している。この「視線は性別を揺らす」のフレーズが、シリーズ三冊目の副題「揺れる視線の[[政治学]]」につながってゆく(『女と表現』p. 278)</ref>。後者の藤本名義の文は、「[[やおい]]」の出自と変化を分析。少女マンガに多く見られる「少年愛」は、少女たちが性的存在であるという枠組みから離れ、性愛を操作するシミュレーションであると説明した。このシミュレーションによって視線の移動を獲得することが、少女たちの能動的性を獲得する契機となるかもしれない、とその可能性に期待を寄せた。 次の、シリーズ三冊目『ポルノグラフィー 揺れる視線の政治学』において、白藤名義で責任編集と執筆、シリーズ二冊目同様に藤本名義でも執筆した。白藤名義の一つ目は[[ノンフィクション作家]]・山口文憲を対談の相手とし、男にとっての[[ポルノ]]を追究する。二つ目に、これまで、いわゆる[[官能小説]](ポルノ小説)を読んだことも見たこともない「ポルノ[[処女#転用|処女]]」であるにもかかわらず当時女性官能小説家として活躍していた斎藤綾子にアダルトビデオを見せ<ref>白藤宅で、伏見憲明が講師となって、女性四人のゲイ・ポルノ鑑賞会を行なった際、斎藤綾子はアダルトビデオ初体験だと語っている(『ポルノグラフィー』p. 214)</ref>、『[[O嬢の物語]]』を読ませて、その感想を聞くという趣向で、被虐([[マゾヒズム]])とポルノとの連関を語り合う。三つ目は、フェミニズムでしばしば重視される「愛あるセックス」を挑発的に問う小文を執筆。藤本名義では[[アダルトビデオ]]製作会社「VIPエンタープライズ」の[[プロデューサー]]兼[[監督]]・岸田光明のインタビューと、レディースコミックの官能性を[[ファンタジー]]・被強姦願望・[[SM (性風俗)|SM]]・[[近親相姦]]などさまざまな角度から詳細に検証する中編、の二つを書いている。 同誌編集で藤本は、白藤花夜子を「わけあって素顔を隠す気鋭の風俗評論家」<ref>『ポルノグラフィー』p. 35</ref>と紹介し、また誌面の写真でも仮面を付けて、その正体を隠していた。 いずれにせよ、シリーズ三冊目の『ポルノグラフィー』は、併せて30人以上の執筆者を擁し、副題の政治学のみならず、[[心理学]]、フェミニズム、[[同性愛]]との関係と同時に、1990年代日本のポルノグラフィの実情を概観。さらに歴史的な視点として江戸時代のポルノグラフィ代表格である[[浮世絵]]の[[春画]](枕絵)の専門家・[[田中優子]](江戸学者)を配し、国際的にも[[アメリカ合衆国|米国]]・[[カナダ]]で活躍するフェミニストの論考を配するなど多様な切り口から編集している。レディースコミック、官能小説などを多数読み込み、また[[アダルトビデオ]]にも接したこの時期は、女性の性(セックス)の探求やセクシュアリティに傾注する藤本にとって大きなステップとなった。 それとともに多くのフェミニストとの協働で編集した本書は、女性にとってのポルノ、英語でいわゆる「エロティカ」 ([[:en:Erotica|Erotica]]) <ref>ラディカルフェミニスト、[[グロリア・スタイネム]]の古典的著書に「エロチカとポルノグラフィ」(1978年)[http://www.app-jp.org/library/steinem.html] がある。</ref>と呼ばれる作品創作の実験的試みにも取り組み<ref>[[コミックマーケット]](コミケ)で売られる同人誌などで活躍する「やおい」ないし「[[JUNE]]」系の作家・山藍紫姫子の『捜神記』の抄録を併せて掲載し、コミケの取材を行なった藤本は、当時の同人誌事情について解説を執筆(『ポルノグラフィー』p. 134)。そのほかに国内外のエロチカ作品五点を掲載し、本文写真に写真家・[[松本路子]]のセンシュアルな作品を用いている。</ref>、ポルノが性差別であるとか、あるいはポルノが男性による女性の支配をもたらす、といった通俗的で皮相な理解に突きつける問題提起<ref>すべてのポルノグラフィが女性を貶める性差別であり、性暴力や性犯罪にも結び付き、女性に不快感を与える暴力的な性表現、とする見方(キャサリン・マッキノン ([[:en:Catharine MacKinnon]]) 、[[アンドレア・ドウォーキン]]『ポルノグラフィと性差別』青木書店、ISBN 4250202003、参照)。日本におけるレディースコミックや、欧米の女性向けエロティカの登場で、そのように単純化した見方では説明しきれない事態が生じていた。本書はその部分に焦点を当て、問い直す目的で編まれた。</ref><ref>ロビン・モーガン ([[:en:Robin Morgan|Robin Morgan]]) のフレーズ「ポルノグラフィは理論であり、レイプは実践である」(1974年)という言い方は、ポルノ排撃のスローガンとして使われてきた。(「理論と実践:ポルノグラフィとレイプ」 ''Theory and Practice: Pornography and Rape'') [http://www.app-jp.org/library/morgan.html]</ref>であったため、当時、日本のフェミニズムに大きな影響を与えた。 このシリーズは1995年4月まで続き全六巻を公刊、藤本はすべての巻で執筆し、さまざまな切り口、たとえば女性にとっての[[老い]]、仕事、[[生殖]]・[[妊娠]]など多様な視点から分析・検討する機会ともなった。 === 『私の居場所はどこにあるの?』 === ポルノグラフィなどの研究と並行して、マンガ、とりわけ少女マンガや、レディースコミックの動向にも目を向ける。いまや少女マンガ論の古典となりつつある<ref>奈良県立図書情報館通信 (Lib Info NARA) [http://blog.mag2.com/m/log/0000160354/107698281.html] 「これも図書情報館」(2006年9月15日)</ref>『私の居場所はどこにあるの? 少女マンガが映す心のかたち』(1998年)が、最初の単著刊行となる。 本書は、1970年代から1990年代末ごろまでの少女マンガの描写から、女性のセクシュアリティや価値観の変遷を女性の心理や内面に焦点をあてて分析したものである。藤本が少女マンガに目を向けるのは、読者である少女たちの価値観・意識(夢や欲望)の動向を、人気のある少女マンガが鋭敏に反映していると見るからである<ref>京都精華大学アセンブリーアワー講演会、講演要旨: 「少女マンガはこれまで、もっとも鋭敏なかたちで最先端の女性たちの意識の変化を映し出してきました」(2001年7月12日) [http://www.kyoto-seika.ac.jp/assembly/2001/0712.html]</ref>。30年にわたる少女たちの恋愛観、あるいは性描写などのセクシュアリティや、家族観、職業観の変化を分析し、同時に少女マンガで描かれる「やおい」や[[トランスジェンダー]](性別越境)など[[性的指向]]に関する描写の変遷にも目を向ける。 精緻な分析は注目を浴び、先行の少女マンガ論であった[[荷宮和子]]『少女マンガの愛のゆくえ』(1994年)や横森理香『恋愛は少女マンガで教わった』とは一線を画し、女性のセクシュアリティ・性意識に着目した本格的少女マンガ論の嚆矢となり、今日(こんにち)でもなお、少女マンガ評論の新境地を拓いたと評される。 なお、本書を出版した年の八月、[[共同通信]]配信のコラムで[[斎藤美奈子]]著『紅一点論』の書評を発表。斎藤の着眼と分析のよさを高く評価し「知ることは、変わること。そのための強力な援護射撃」になる本だ、と述べてエールを送っている<ref>ビレッジセンター出版局: 斎藤美奈子『紅一点論』[http://www.villagecenter.co.jp/book/kouitten.html]([[信濃毎日新聞]]、[[岩手日報]]、[[北國新聞]]、[[中国新聞|中國新聞]]が掲載)</ref>。 === 『快楽電流』 === 次に作家として一つの大きな転換点となった作品に『快楽電流』(1999年3月)がある。本の帯で「小さい頃から私は[[売春]]婦に憧れていた」と謳ったこの作品は、レディースコミックから男性向けの[[性風俗]]、[[ポルノグラフィ]]としての[[アダルトビデオ|AV]]やポルノ[[小説]](いわゆる狭義の[[官能小説]])、[[売春]]・[[援助交際]]、[[東電OL殺人事件]]までを素材として、藤本が現代女性のセクシュアリティやジェンダーを考察する性の研究に打ちこんできた一つの成果となった。また実験小説として、女性にとってのポルノ・「エロティカ」 ([[:en:Erotica|Erotica]]) も試みている。 本書で藤本は、現代女性の生き方が1990年代頃に「受動的な客体」から「能動的な客体」へと質的な変化が起こっていると指摘する。すなわち、受動から能動へと変わりつつも、現代女性は、[[男性]]から「愛される存在」でしかなく主体になれない、依然として客体となっているという指摘である<ref>『快楽電流』広告は「現代の女性はついに〈能動的な客体〉を手に入れた」[http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309242132]と肯定的に記述するが、藤本は本文で自身の体験に触れながら、愛されることから逃れられない女性の現状を詳述した。</ref>。この指摘は、前出のジョルジュ・ドンのダンスを分析した小文に萌芽が見られる<ref>藤本はこの小文で「それは、おそらくは女性が《欲望の主体》としてたち現われることの難しさによると思われる」「女性にとって真の意味での欲望の主体としての表現はどのようにして可能なのであろうか」と述べている(シリーズ二冊目『女と表現』p.278)</ref>。 なお、本書は、白藤花夜子名義で発表してきた作品をも収録するため、藤本は別名・白藤との共著を強く望んだが、版元編集者と装幀デザイナーの説得で断念、白藤が藤本と同一人物であることを明かすことになり<ref name=Itoi>正体判明</ref>、「風俗評論家」として別名・別人格で執筆しようとする藤本の目算は潰(つい)える結果となった。 本書所収の短編官能小説「ワンナイトスタンド」は、この年の10月に出た[[藤沢周]]編集の女性競作官能小説集『歓喜まんだら』に、白藤名義で収められている。 === 法規制に反対 === 男性向けポルノグラフィを考察した藤本は、絵やマンガが法的な規制対象になるという危惧から、[[横浜市|横浜]]で行なわれた第二回・子どもの性的商業的搾取に反対する世界会議 (World Congress against [[:en:Commercial sexual exploitation of children|CSEC]]) <ref>2nd World Congress against CSEC - Yokohama 2001 [http://www.csecworldcongress.org/en/yokohama/]</ref>の[[ワークショップ]]第一部「漫画は CSEC(子どもの性的商業的搾取)ではない」でパネリストとして発言、マンガは従来から子どもたちに自己のセクシュアリティを考える機会や材料となっていると指摘し、そのような良質な部分を損なう早急な法的規制に、懸念を表明している<ref>横浜会議(ワークショップ)レポート第一部「パネリストから報告」要旨 [http://picnic.to/~ami/repo/ws1.htm](2001年12月18日)</ref>。 このほかにも、性表現抑圧の法令に反対するアピールなどに、賛同人としてたびたび名前を連ね、基本的にマンガなどの表現媒体の[[表現の自由]]を擁護するスタンスをとっている<ref>東京都健全育成条例改定に反対する市民有志Webサイト [http://www.savemanga.com/index2.html] で、署名呼びかけ賛同人に加わっている(2004年1月17日)</ref>。 さらに教育基本法の改正に反対し<ref>東京新聞2006年12月10日付『本音のコラム』で「男女平等の終わり」と題し、千葉県市川市の市議会が「男女平等基本条例」を廃止した動きを伝えたうえで、日本女性学会の「教育基本法『改正』に関する緊急声明」[http://www.joseigakkai-jp.org/kyouikukihonhou.html](2006年12月1日)に触れ、「このままだとホント、とんでもないことになりかねないよ」と危機感を表明している[http://sokonisonnzaisuru.blog23.fc2.com/blog-entry-221.html]。</ref>「『【アピール】公述人・参考人として教育基本法案の徹底審議を求めます』への市民緊急賛同署名」にも名を連ねている。 === 公判証言 === 女性のジェンダー・セクシュアリティや、セックス、すなわち性の研究を深めた藤本は、刑事事件となった[[松文館裁判]]で2003年7月、弁護側証人として出廷<ref>ブログ「いざこざの外」: 第8回公判弁護側意見証人・藤本由香里氏 [http://plaza.rakuten.co.jp/bihatuyome/diary/200511290000/](2003年7月14日の法廷記録。アップロードは2005年11月29日)</ref>、[[わいせつ]]だと疑いを受けたアダルトコミック『蜜室』における[[女性器]]の描写が一般に流布する描写と比べて特に過激だとは思えず、むしろ作者のきめ細かい工夫が見られ、女性の気持ちや体が開いていく描写として必然性があると指摘する<ref name=Michi>『「わいせつコミック」裁判 松文館事件の全貌!』の版元・道出版の説明文 [http://www.shobunkan.com/michi/4-86086-011-X.html]。藤本証言の要約は、「作品としての『蜜室』を精密に分析すれば、性器描写には必然性がある」となっている(2004年1月出版)</ref>。 証言の中で藤本はまず、作者の丁寧な仕事によって「(女性の視点でみて)非常にうまくいってるときのセックスのリズムとか呼吸とかそういったものを写し取っている」と述べる。その結果、「いたずらに[[性欲]]を刺激するために性器を子細に描写しているというよりは、むしろ、そういう関係性全体の中でのそのかかわり合いの象徴として」「作者が自分との性によって女の人が喜びを感じてだんだん開いていく、自然に気持ちも体も開いていく」描写となっていると指摘。男性の性欲や性衝動、[[性的興奮]]をいたずらに刺激・喚起するのではなく、女性の気持ち、密着感や温かさを、ある種の[[性的快感|快感]]のバロメーターとして性器の開き方を描き分けた『蜜室』の描写は、「読者自身が持っているある種身体的な性的な記憶(身体的な親和的な記憶とか、そういう相手と密着したときの密着感)をよみがえらせることでエロチックな気分にさせるというところにウェイトがある」、と分析結果を述べている。 また、インターネットで容易に実写映像が見られる時代となっている今日(こんにち)、「実写でもない、絵で書いたに過ぎないもの、性器描写というのを取り締まるのはどうか」と社会環境の具体例を挙げて証言して[[捜査]]にあたった[[警察]]や、[[起訴]]に及んだ[[検察]]を批判。結論として『蜜室』の描写が、実写の写真やアダルトビデオと比べ、一般的な男性にとって性欲を喚起する度合いは低いと考えられる旨述べている<ref name=shougen>証言内容</ref>。 この藤本証言に対し、一審・[[東京地方裁判所|東京地裁]]刑事第2部(裁判長・[[中谷雄二郎]])は「藤本証人が述べるように、そこには性や女性に対する作者の一定の意識等が反映されていると見る余地もないわけではない」と一定程度認めながらも、物語の展開や筋書きから「作品の眼目である性交、性戯場面を導入展開するためのものにすぎず、作品の中心はあくまでも性交、性戯場面の描写にある」とし、「本件漫画本の構成や物語の内容・展開等にかんがみると、平均的読者が、本件漫画本から、弁護人らや藤本証人が主張するように、一定の思想や意識を読み取ると期待することは著しく困難というほかなく、したがって、単なる好色的興趣以上のものを看取することはほとんど不可能というべきである」と退け、『蜜室』の描写は「専ら読者の好色的興味に訴えるもの」と認定した<ref>連絡網 AMI-Web「松文館裁判東京地裁判決全文」: [http://picnic.to/~ami/news/etc/040122hanketsu.txt]、裁判所サイト(Courts.go.jp)PDF: [http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/06AE18CE0A3B7D2D49256E530022F513.pdf]</ref>。 この東京地裁判決について藤本は、長岡義幸(ジャーナリスト)、[[米沢嘉博]]、[[山口貴士]]と対談した医学新聞『メディカルトリビューン』2004年7月号で、性表現が過激化する現状から判断して、「どう考えても負けるはずがない」と思っていた、にもかかわらず敗訴となったのは意外だと感想を述べ、わいせつを決める基準は裁判所が独占(健全な[[社会通念]]は裁判所の判断で決定)すると宣言した判決文を批判、「どんなに流通していても、それがいいかどうかは裁判所が決めるものだ」とする裁判所の姿勢に懸念を表明した<ref>医学新聞『メディカルトリビューン』2004年7月号「裁判官が『社会通念』を決める」[http://www.medical-tribune.co.jp/ss/2004-7/ss0407-3.htm]。その根拠として、前出の東京地裁判決文中から、「しかしながら、わいせつ性の判断に際し問題とされる健全な社会通念とは、前記[[チャタレー事件]]判決が判示するように、社会を構成する個々人の認識の集合ないしその平均値ではなく、これを超えた集団意識であり、仮にこれに反対の認識を持つ個々人がいたとしても、その一事をもって否定されるべき筋合いのものではなく、ここでいう'''健全な[[社会通念]]'''がいかなるものであるかの判断は、'''裁判所に委ねられた法解釈ないし法的価値判断'''というべきである」の部分を指摘した。</ref>。藤本はこの一連の経緯を、文藝春秋の『日本の論点2005』で簡潔に報告している<ref>文藝春秋編『日本の論点2005』(2004年11月8日、ISBN 4165030406)の「『わいせつ』の基準はどこか」というテーマで「健全か否かは『お上』が決める――わいせつコミック裁判の横暴」と題する小文を執筆。[http://www.bitway.ne.jp/bunshun/ronten/club/sample/author/06/a2117.html](「日本の論点PLUS」の表題のみ。本文閲覧は有料会員制)</ref>。 控訴審・[[東京高等裁判所|東京高裁]]第6刑事部(2005年6月。裁判長・[[田尾健二郎]])は、藤本証言に言及しなかったものの、「性器部分が人体の他の部分に比して誇張され、かつ、細かい線画によって綿密に描かれることによって、性器の形態や結合・接触状態の描写がはなはだ生々しいものとなり、読者の情緒や官能に訴え、想像力をかきたてる」描写だと判示し、一審同様に「平均的読者が本件漫画本から一定の思想や意識を読み取ることは著しく困難」であり、「芸術的・思想的価値のある意思の表明という要素はほとんど存しないから、本件漫画本がその作品性、思想性、芸術性により性的刺激の度合いが緩和されているとは認められない」とし、『蜜室』の描写が、「今日の健全な社会通念に照らし、いたずらに性欲を興奮又は刺激させ、かつ、普通人の正常な性的[[羞恥心]]を害し、善良な性的道義観念に反する」わいせつ物に該当すると認定した<ref>[[児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律|児童ポルノ法]]改悪阻止「松文館裁判 控訴審判決その1」 [http://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Tone/9018/shoubun0616hanketsu.html]</ref>。しかし「わいせつ性の程度を、同様の情景を実際に撮影した写真やこれを録画したビデオテープ、[[DVD]]等の実写表現物の有するわいせつ性の程度と比べると、両者の間には相当の開きがあり、本件漫画本が漫画本であるが故のわいせつ性の特殊性も考慮しなければならない」とも判示、藤本証言(実写画像との比較)の意図を汲んだ形となり、検察官による被告の取調べで『蜜室』がわいせつ物であると認めた情状を併せた勘案で、懲役刑を科した一審判決を破棄、罰金刑に減刑した<ref>児童ポルノ法改悪阻止「松文館裁判 控訴審判決その2」 [http://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Tone/9018/shoubun0616hanketsu2.html]</ref>。 本件[[松文館裁判]]で被告は上告、最高裁で審理中となっている。 === 評論家活動 === 前掲した著書執筆のほか、『[[週刊文春]]』の「漫画羅針盤」や、『ESSE』、『MINE』、[[共同通信]]などにコミックに関するコラムを連載、『[[ダ・ヴィンチ]]』は不定期で掲載し、さらに『[[東京新聞]]』の連載「本音のコラム」にも時事問題を中心とする評論を執筆している。紙面の肩書きはコラムの内容によって、評論家・編集者のどちらかを使い分ける。東京新聞2006年12月17日付コラムでは、[[サントリー学芸賞]]受賞の『[[手塚治虫]]=ストーリーマンガの起源』の著者[[竹内一郎]]をめぐって、マンガ研究者や関係するブログが騒然としていること、手塚研究が複数出て話題になっているにもかかわらず、そうした重要な先行研究への言及がなかったこと、ほとんどの記述は手塚本人の発言のみに依拠していること、同書が[[九州大学]]から[[博士]]号を授与された博士論文を用いたこと、など簡潔な紹介文を執筆。この時は、肩書きとして評論家を用いた。 上に挙げた東京新聞連載「本音のコラム」は、マンガやコミックの評論ではなく、基本的に時事問題に関する評論となっている。具体的には、たとえば、学校などでの男女児童同室着替え(着替えや、身体測定、いわゆる[[身体検査]]を男女同室で行なう問題)や[[教育基本法]]改正から、[[靖国神社問題]]、[[水俣病]]、[[皇室]]の問題まで政治や時事的な話題を中心としたコラムである。例に挙げた竹内一郎についてのコラムは「マンガ批評」と題されているが、これも竹内個人や竹内の論文を批評するというよりも、むしろ九州大学や[[サントリー文化財団]]の杜撰(ずさん)な選考体質に言及<ref>藤本は、「問題にするのはあくまでサントリー賞であって竹内さんじゃないことははっきりしてます」と明言している。 <!-- Mixi会員のみアクセス可能: [http://mixi.jp/view_diary.pl?id=269312400&owner_id=160185] --></ref>、それら団体にまともな批判が集中するのは手塚治虫研究がすすんできた証拠であるから、「いいことだ」と論評するものであった。 マンガ評論においては2005年に、雑誌『クイック・ジャパン』誌上で[[矢沢あい]]の1985年以降の全作品を解説し、作家論を論じる「進化する矢沢あい」を発表している。 また、マンガ評論家として、たびたび講演も行なう。[[目黒区]][[男女平等]]・共同参画センターが企画・主催し、2006年9月20日に同センターで開かれた講演会「コミックの中の女性たち 『[[NANA]]』や『[[のだめカンタービレ]]』の人気のヒミツ」で講演している。映画がヒットした矢沢あいの『NANA』と、ドラマ化が決まった[[二ノ宮知子]]の『のだめカンタービレ』を取り上げ、少女たちから評価されて人気のあるコミック作品には、新たな価値観が含まれているからだと解説<ref>JANJAN 文化: 「恋人よりも女友達を―NANAに見る新しい女性像」 [http://www.janjan.jp/culture/0609/0609261774/1.php](2006年9月27日。目黒区男女平等・共同参画センター講演会「コミックの中の女性たち 『NANA』や『のだめカンタービレ』の人気のヒミツ」報告。(執筆: みやもとこう)</ref><ref>livedoor ニュース: 「『NANA』『のだめ』に描かれる女性像」 [http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2498280/detail] (2006年9月27日)藤本談: 「人気のあるコミックは、新しい価値観を内包している」</ref>し、両作品が、女性が女性であることを肯定的に捉えている「新しい女性像」を描いたと述べている。『NANA』は、ルームメイトの女性二人が、互いの絆を好きな男性との絆よりも優先させる生き方を描き、『のだめ』は主人公女性のつきあう男性側が主人公の意思に学んで、二人がともに成長してゆく対等な関係を描いた[[ギャグ漫画|ギャグマンガ]]。いずれも従来の「(自分の愛した)男性こそが女である私を救ってくれる」というパターン<ref>関連する論考に、藤本「女であることを愛せるか レズビアンコミックとシスターフッドをめぐって」がある(『イマーゴ imago』 Vol.2-8 、特集・レズビアン、青土社、1991年8月)</ref>を越えた作品になっていると指摘、女性の意識に質的な変動が起きており、「女性のセクシュアリティは時代の関数であって時代の移り変わりによって変化する」との従来からの主張を裏付ける解説であった。この年の12月22日、[[漫画家|マンガ家]]・[[夏目房之介]]を誘って[[有楽町]]の[[東京国際フォーラム]]で開かれた「のだめ[[オーケストラ]]コンサート」に聴衆の一人として駆けつけている<ref>ブログ・ 夏目房之介の「で?」: 「のだめコンサート」 [http://blogs.itmedia.co.jp/natsume/2006/12/post_ce11.html] </ref>。 <!-- === 『愛情評論』 === --> === 人脈と評価 === 編集者として、あるいはマンガ・フェミニズムの評論家として、[[上野千鶴子]]、[[小倉千加子]]、[[中島梓]]、[[吉田秋生]]など錚々(そうそう)たる豊富な人脈を築き<ref>matt-thorn.com: ''FUJIMOTO Yukari's First Book'' 『私の居場所はどこにあるの? 少女マンガが映す心のかたち』[http://www.matt-thorn.com/shoujo_manga/ibasho.html]</ref>つつ、その一方で少女マンガや、観た映画、編集などで接した知識から、家族問題を考察する『愛情評論 「家族」をめぐる物語』を上梓、[[精神科]]医の[[香山リカ (精神科医)|香山リカ]]は[[北海道新聞]]の書評で同書を取り上げ、「現代という戦場で日々を送る若者や女性たちにとっては、格好のブックガイド」であると評価している<ref>北海道新聞: 書評『愛情評論』 [http://www5.hokkaido-np.co.jp/books/20040328/4.html](2004年3月28日)</ref>。 [[女性学]]・[[心理学者]]の[[小倉千加子]]は、「この人の強みは自分に発情できること」、と評したことがある<ref>matt-thorn.com: 「快楽電流--女の、欲望の、かたち」 [http://www.matt-thorn.com/shoujo_manga/kairakudenryuu.html]</ref>。 == 関連項目 == * [[編集者]] * [[漫画]] - [[漫画評論]] - [[漫画評論家]] - [[少女漫画]] - [[レディースコミック]] * [[性]] - [[人間の性]] - [[性の研究者]] - [[性愛]] - [[セクシュアリティ]] - [[性的指向]] - [[同性愛]] * [[女性学]] - [[フェミニズム]] - [[ジェンダー]] - [[:en:Anti-pornography movement#Feminist objections|Anti-pornography feminists (Feminisit objections)]] - [[:en:Sex-positive feminism|Sex-positive feminism]] * [[表現の自由]] - [[わいせつ]] - [[有害コミック騒動]] - [[松文館裁判]] == 文献 == === 著書 === * 1998年3月 『私の居場所はどこにあるの? 少女マンガが映す心のかたち』学陽書房、ISBN 4313870113 (少女マンガ論) * 1999年3月 『快楽電流 女の、欲望の、かたち』[[河出書房新社]]、ISBN 4309242138 (ジェンダー論) * 2000年12月 『少女まんが魂 現在を映す少女まんが完全ガイド&インタビュー集』[[白泉社]]、ISBN 4592731786 (少女マンガ家へのロングインタビューとコラム集 <ref>白泉社の雑誌『PUTAO』(『プータオ』)に連載された少女マンガ評論と、インタビュー。インタビューした少女マンガ家は、[[清水玲子]]、[[羅川真里茂]]、[[吉田秋生]]、[[秋里和国]]、[[高口里純]]、[[榎本ナリコ]](野火ノビタ)、[[萩尾望都]]の七名。また、『[[ベルセルク (漫画)|ベルセルク]]』の[[三浦建太郎]]特別インタビューも収録。1999年発表作を対象とした第4回手塚治虫文化賞で選考委員として、「現在連載されているあらゆる作品の中で、私には、これが一番面白い」、と讃え、「生き続けることの希望と絶望。その根源に届く作品」、と評した(「第4回手塚治虫文化賞 選考委員のコメント集」 [http://www.asahi.com/tezuka/00e.html])うえで、魂の柔らかさのある「『ベルセルク』は少女マンガ」という自説を展開している「『プータオ』2000年秋の号」および藤本著『少女まんが魂』収録。[http://web.archive.org/web/20060303233247/http://www.hakusensha.co.jp/shopping/sp_selection/miura/]。</ref>) * 2004年2月 『愛情評論 「家族」をめぐる物語』[[文藝春秋 (出版社)|文藝春秋]]、ISBN 4163580603、<ref>文藝春秋広告誌『本の話』2004年3月号、自著を語る: 「地図を描く」[http://www.bunshun.co.jp/jicho/map/map.htm]</ref> (家族論) === 共著 === * 1990年12月 上野千鶴子(編)『ニュー・フェミニズム・レビュー vol.1』学陽書房、ISBN 4313840419 ** 各巻タイトル: 「恋愛[[テクノロジー]] いま恋愛ってなに?」 *** 藤本由香里(執筆)「女と恋愛 少女マンガのラブ・イリュージョン」 * 1991年5月 水田宗子(編)『ニュー・フェミニズム・レビュー vol.2』学陽書房、ISBN 4313840427 ** 各巻タイトル: 「女と表現 フェミニズム批評の現在」 *** 白藤花夜子(執筆) 「ボレロ 欲望の構造」 *** 藤本由香里(執筆) 「少女マンガにおける『[[少年愛]]』の意味」 * 1992年3月 白藤花夜子(編)『ニュー・フェミニズム・レビュー vol.3』学陽書房、ISBN 4313840435 ** 各巻タイトル: 「'''ポルノグラフィー''' 揺れる視線の政治学」(編集のみならず以下のように対談・インタビュー・執筆も) *** 白藤花夜子(山口文憲対談)「ポルノのルール、恋愛のルール、恋愛とポルノの間の深い溝」 *** 白藤花夜子(斎藤綾子対談)「『O嬢の物語』をどう読むか」 *** 白藤花夜子(執筆)「割れた鏡の[[万華鏡|カレイド・スコープ]]」 *** 藤本由香里(執筆)「女の、欲望のかたち レディースコミックにみる女の性幻想」 *** 藤本由香里(岸田光明インタビュー)「現場インタビュー AV業界のうらおもて」 * 1992年12月 樋口恵子(編)『ニュー・フェミニズム・レビュー vol.4』学陽書房、ISBN 4313840443 ** 各巻タイトル: 「エイジズム [[おばあさん]]の逆襲」 *** 藤本由香里(執筆)「“閉じられた[[季節]]”の向こう側」 *** 白藤花夜子(執筆)「私にとってのエイジング そして最後に〈[[愛]]〉が残った……」 * 1994年3月 上野千鶴子(編)『ニュー・フェミニズム・レビュー vol.5』学陽書房、ISBN 4313840451 ** 各巻タイトル: 「リスキー・[[ビジネス]] 女と[[資本主義]]の危うい関係」 *** 藤本由香里(執筆)「お仕事! 『[[悪女]]』と『[[課長島耕作|島耕作]]』の働き方はどう違う」 * 1993年4月 水田宗子(責任編集)『女性の自己表現と文化 第2回環[[太平洋]][[女性学]]会議』田畑書店、ISBN 4803802491 * 1995年4月 加納実紀代(編)『ニュー・フェミニズム・レビュー vol.6』学陽書房、ISBN 431384046X ** 各巻タイトル: 「[[母性]]ファシズム [[母]]なる[[自然]]の誘惑」 *** 藤本由香里(執筆)[[文化]]の中の母性「生殖」からの逃走と再生 [[萩尾望都]]を中心に」 *** 白藤花夜子(執筆)ニッポン[[母親]]事情「エロチックな[[妊娠]]」 * 1996年12月 水田宗子ほか『母と娘のフェミニズム 近代家族を超えて』田畑書店、ISBN 4803802858 * 「ワンナイトスタンド」(白藤花夜子名義で執筆した短編官能小説) ** 1999年3月 藤本由香里『快楽電流 女の、欲望の、かたち』河出書房新社、ISBN 4309242138 所収 ** 1999年10月 藤沢周(編)『歓喜[[曼陀羅|まんだら]]』マガジンハウス、ISBN 4838711247 にも所収 * 「少女マンガが愛でる男のカラダ」 ** 2000年6月 伏見憲明(編)『QUEER JAPAN』vol. 1 (特集・メイル・ボディ) 所収 * 「少年の居場所・少女の居場所」 ** 2000年7月 『現代人の居場所』至文堂、ISBN 4784360204 所収 * 「分身 少女マンガの中の『もう一人の私』」 ** 2001年11月 宮原浩二郎、荻野昌弘(共編)『マンガの[[社会学]]』世界思想社、ISBN 4790709019 所収 * 「藤本由香里との対話」 ** 2002年12月 [[今一生]]『恋愛以前』[[原書房]]、ISBN 4562035811 所収 * 「[[性]]の[[快楽]]・恋愛の快楽」 ** 2003年2月 [[青木保]]ほか『[[アジア]]新世紀 4 [[幸福]]』[[岩波書店]]、ISBN 4000268341 所収 * 「松文館事件裁判証言」 ** 2004年1月 長岡義幸『「わいせつコミック」裁判 松文館事件の全貌!』道出版、ISBN 486086011X 所収 <ref name=Michi>内容</ref> * 2004年9月 藤本由香里・村上知彦・[[夢枕獏]](共編著)『達人が選ぶ女性のためのまんが文庫100』白泉社、ISBN 4592883403 * 「少女マンガに魅せられて」 ** 2005年1月 [[伏見憲明]]『性という〈[[饗宴]]〉』ポット出版、ISBN 493901570X 所収 * 「進化する矢沢あい」(全作品解題/作家論) ** 2005年8月 『クイック・ジャパン 61』(特集 矢沢あいの時代 1985 - 2005)、[[太田出版]]、ISBN 4872339789 所収 * 「開かれた女たち 『御開帳』『もっと奥まで』…女はもう止まらない!」(座談会: 酒井あゆみ、南智子、北原みのり) ** 2006年12月 [[鹿島茂]](著作代表)『オン・[[セックス]] 鹿島茂対話集』文藝春秋、ISBN 4167590050 所収 * 2006年12月 フリースタイル(編)『このマンガを読め! (2007)』フリースタイル、ISBN 4939138348 ** 執筆者50名中の一人として執筆に参加 === 主な編集書 === * 1988年8月 ティモシー・ベイネケ『レイプ・男からの発言』筑摩書房、ISBN 4480854517、ちくま文庫: 1993年6月、ISBN 4480027459 ** 原著: Timothy Beneke, ''Men on Rape: What They Have to Say About Sexual Violence'' * 1990年11月 小倉千加子『女の人生すごろく』筑摩書房、ISBN 448081292X、ちくま文庫: 1994年12月、ISBN 4480029346 * 1991年6月 バーン・ブーロー、ボニー・ブーロー(共著)『[[売春]]の社会史 [[古代オリエント]]から現代まで』筑摩書房、ISBN 4480855734、ちくま文庫: 1996年9月、上: ISBN 4480082921、下: ISBN 448008293X ** 原著: [[:en:Vern Bullough|Vern Bullough]], Bonnie Bullough, ''Women And Prostitution: A Social History'' * 1991年8月 中島梓『[[コミュニケーション]]不全[[症候群]]』筑摩書房、ISBN 4480855963、ちくま文庫: 1995年12月、ISBN 4480031340 * 1992年1月 上野千鶴子・小倉千加子・[[富岡多恵子]]『男流文学論』筑摩書房、ISBN 448082278X、ちくま文庫: 1997年9月、ISBN 4480033289 * 1995年7月 [[ポール・ギャリコ]]『猫語の[[教科書]]』筑摩書房、ISBN 4480831614、ちくま文庫: 1998年12月、ISBN 4480034404 ** 原著: [[:en:Paul Gallico|Paul Gallico]]: ''The Silent Miaow: A Manual for Kittens, Strays, and Homeless Cats'' * 1995年7月 [[松岡正剛]]『フラジャイル 弱さからの出発』筑摩書房、ISBN 4480857109、ちくま学芸文庫: 2005年9月、ISBN 4480089357 * 1996年8月 金満里『生きることのはじまり』筑摩書房、ISBN 4480042032 * 1996年11月 リリアン・フェダマン『[[レズビアン]]の歴史』筑摩書房、ISBN 4480857338 ** 原著: [[:en:Lillian Faderman|Lillian Faderman]], '' Odd Girl and Twilight Lovers - A history of lesbian life in twentieth-century America'' * 1997年8月 エリザベート・バダンテール『XY 男とは何か』筑摩書房、ISBN 4480863052 ** 原著: [[:fr:Élisabeth Badinter|Élisabeth Badinter]], ''XY, de l'identité masculine'' * 1998年1月 上野千鶴子『発情装置 [[エロス (性愛)|エロス]]の[[シナリオ]]』筑摩書房、ISBN 4480863117 * 2000年1月 [[遙洋子]]『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』筑摩書房、ISBN 4480818154 * 2001年6月 竹宮惠子『竹宮惠子のマンガ教室』筑摩書房、ISBN 4480888039 * 2002年3月 上野千鶴子、小倉千加子(共著)『ザ・フェミニズム』筑摩書房、ISBN 4480863370、ちくま文庫: 2005年9月、ISBN 4480421491 * 2006年1月 [[ジャネット・エンジェル]](那波かおり訳)『コールガール 私は大学教師(プロフェッサー)、そして売春婦』筑摩書房、ISBN 4480837159 ** 原著: Jeannette Angell, ''Callgirl: Confessions of an Ivy League Lady of Pleasure'', Permanent Press, New York, Hardcover: July 2004, ISBN 1579621104 [http://www.thepermanentpress.com/bookdisp.ihtml?id=388], Paperback: HarperCollins Publishers, 1st April 2005, ISBN 0060736054 [http://www.harpercollins.com/global_scripts/product_catalog/book_xml.asp?isbn=0060736054] * 2006年7月 ヨコタ村上孝之『マンガは欲望する』筑摩書房、ISBN 4480873511 == 脚注 == <references/> == 外部リンク == * [http://www.kyoto-seika.ac.jp/hyogen/manga-gakkai.html 日本マンガ学会] * 集英社コミック文庫: [http://comic-bunko.shueisha.co.jp/plan/american/report.html 藤本由香里のアメリカ少女マンガ報告](2006年5月18日 Part1 - 2006年10月18日 Part6。本文は PDF ファイル) * matt-thorn.com: 藤本由香里「[http://www.matt-thorn.com/shoujo_manga/love_illusion.html 女と恋愛 少女マンガのラブ・イリュージョン]」(『ニュー・フェミニズム・レビューVOL.1 恋愛テクノロジー いま恋愛ってなに?』学陽書房、1990年12月。著者藤本の許諾により掲載され、全文が読める) * matt-thorn.com: 藤本由香里「[http://www.matt-thorn.com/shoujo_manga/fujimoto.html 少女マンガにおける「少年愛」の意味]」(『ニュー・フェミニズム・レビューVOL.2 女と表現 フェミニズム批評の現在』学陽書房、1991年5月。上と同じ。全文が読める) {{people-stub}} {{jawp}} [[Category:編集者|ふしもとゆかり]] [[Category:マンガ表現論|ふしもとゆかり]] [[Category:日本のノンフィクション作家|ふしもとゆかり]] [[Category:性の研究者|ふしもとゆかり]] [[Category:フェミニスト|ふしもとゆかり]] [[Category:ジェンダー|ふしもとゆかり]] [[Category:フェミニズム|ふしもとゆかり]] [[Category:ポルノグラフィ|ふしもとゆかり]] [[Category:熊本県出身の人物|ふしもとゆかり]] [[Category:1959年生|ふしもとゆかり]]