横田飛行場

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横田飛行場(よこたひこうじょう)は、東京都多摩地域西部にある在日米空軍基地横田基地(よこたきち)と呼ばれることが多いが、日本の公的資料では「横田飛行場」と呼称されている。

ファイル:YokotaAirBaseGate2.jpg
横田基地第2ゲート

拝島駅の北側で東福生駅の東側に位置し、福生市立川市昭島市武蔵村山市羽村市瑞穂町の5市1町に跨っている。本州では最大の米空軍基地である。在日米軍司令部及び米第5空軍司令部が置かれている極東における主要基地であり、極東地域全体の輸送中継ハブ基地(兵站基地)としての機能を有している。戦闘部隊がいないのが特徴。

沿革[編集]

1940年昭和15年) に旧帝国陸軍立川飛行場の付属として多摩飛行場(たまひこうじょう)が建設され、太平洋戦争中には陸軍の航空機試験場(陸軍航空審査部)として利用されていた。敗戦後は、1945年9月4日アメリカ軍接収された。接収後に基地の拡張工事が行われ、1960年頃には概ね現在の規模となった。拡張に際しては、北側で国鉄(現JR八高線国道16号線の経路が変更され、南側で五日市街道が分断された(この為、この周辺では常時渋滞している)。朝鮮戦争当時はB-29爆撃機の出撃基地として機能し、ベトナム戦争時も補給拠点として積極活用されていたが、1971年以降は戦闘部隊が沖縄に移転したことにより、現在は輸送中継基地として機能している。

また2007年現在日本国内において唯一鉄道貨物による軍需物資の輸送が定期的に行われている施設でもある。輸送されているのはジェット燃料でありJR鶴見線安善駅に隣接する米軍鶴見貯油施設(つるみちょゆしせつ)より平日のみ1日1往復JR南武線青梅線経由にて専用の貨物列車が設定されており、拝島駅構内にてディーゼル機関車に付け替えられて拝島駅構内から基地内まで伸びる単線非電化専用線(引込み線)を経由して運び込まれている。通称「米タン」(べいたん)。

荷主である米軍の都合に応じて増減便が行われている様であり、イラク戦争等の有事の際には平常は運休する日曜日にも運転が行われていた。一方で平時には週に数回しか運転されない事もある。

またかつて1967年(昭和42年)8月8日新宿駅にて発生した米軍燃料輸送列車事故は、横田基地向けでは無く隣接して存在していた米軍立川基地へ運転されていた同様の貨物列車が原因となって起こったものであり、当時のベトナム戦争反対運動や学生運動等の活動を刺激する原因となった。

基地データ[編集]

ファイル:Yokota Community Center.jpg
横田コミュニティーセンター
  • 基地総面積:約7,136,413平方メートル
  • 滑走路:3,350m×幅員60m 1本
  • 方位:18/36
  • オーバーラン:南側305m/北側300m
  • 着陸方式:ILS
  • 付帯設備:管制塔、誘導路、格納庫、駐機場、整備工場、通信施設、旅客ターミナル
  • 米軍司令部:在日米軍司令部、第5空軍・第13空軍司令部(ケニー司令部 第一分遣隊)、第374空輸航空団司令部、日米共同統合作戦調整センター
  • 駐留部隊:第730航空機動中隊、アメリカ沿岸警備隊極東支部、DFAS-J(会計業務隊)、第10報道分遣隊、空軍音楽隊、郵便中隊
  • その他施設:消防署、兵員宿舎、将校宿舎、家族住宅、スーパーマーケット病院診療所教会、小中高等学校、大学、幼稚園、小銃射撃訓練場、ごみ処理場、図書館郵便局、放送局 (AFN Tokyo) 、ファーストフードショップ、映画館、体育施設(野球場、ボウリング場、ゴルフコース等)
  • 基地内人口:約10,000人(内訳 軍人・軍属 :約4,000人、家族 :約6,000人)
  • 日本人従業員:約2,200人
  • 常駐航空機:C-130・・・13機、C-21・・・4機、UH-1Nヘリコプター・・・4機

軍用機に混じり軍人及びその家族の本国帰省用に定期チャーター便の長距離旅客機が飛来する。

毎年6月から9月の間の連続した土曜日と日曜日(2007年は8月25日と26日に行われた)に「横田基地友好祭」(通称:横田のカーニバル)が行われ、普段は立ち入ることの出来ない市民も第5ゲート(最寄り駅は青梅線牛浜駅)から基地に入場する事が出来る。友好祭では航空機の展示を行う航空ショー、バンド演奏、飲食店などが出店される。注意事項やスケジュールなどは、この項目の外部リンクにある「素顔の横田基地」や「福生市観光協会」に掲載される。

航空管制[編集]

種類 周波数 (VHF) 周波数 (UHF)
CLR 131.400MHz 249.950MHz
GND 133.200MHz 308.600MHz
TWR 134.300MHz 315.800MHz
DEP 122.100MHz 363.800MHz
APP/ARRIVAL(AREA A) 123.800MHz 317.850MHz
APP/ARRIVAL(AREA B) 120.700MHz 261.400MHz
APP/ARRIVAL(AREA C) 118.300MHz 270.600MHz
PILOT DISPATCH 119.000MHz 313.600MHz
ATIS 128.400MHz 281.000MHz
TERMINAL 313.600MHz
AMC COMMAND POST 128.000MHz 276.200MHz

325.800MHz
349.400MHz

METRO 344.600MHz

航空保安無線施設[編集]

局名 種類 周波数 識別信号
横田 TACAN (CH 85) YOK
横田 ILS(R/W 36) 109.7MHz I-YOK
横田 ILS(R/W 18) 108.7MHz I-YAS

名前の由来[編集]

「横田」の由来は、当時の北多摩郡村山村 (現在の武蔵村山市) にあった字名が、横田であったところから来ていると言われている。

訴訟[編集]

基地問題は進駐直後から発生し、滑走路建設のための砂利採取は多摩川の河床を低下させ、下流の府中用水などに影響を及ぼした。また、廃油の流出による井戸水汚染、異臭や引火事故、騒音や飛行機事故など、周辺住民の日常生活へも被害を及ぼした。騒音問題では、1976年(昭和51年)に横田基地公害訴訟団が夜間飛行差し止め請求を起こしている。

立川基地が返還された一方で、横田基地では現在でも年間の離着陸数は20,000回に及び、年に数回実施されている空母艦載機着陸訓練は夜間にも行われている。この様な訓練により周辺の住民に多大な騒音被害を与えているため、飛行差し止めを求める訴訟なども起こっている。

民間共用化[編集]

東京都石原慎太郎知事が「民間共用化」を公約しており、民間チャーター便の就航が近いとされているが、騒音被害の深刻化を危惧している地域住民の反対運動も行われている。

日米両政府は米空軍と航空自衛隊による「共用化」で合意しており、航空管制権が日本側に返還され、航空自衛隊が受け持つことになる。この合意が実現すると、同基地には空軍第5・第13航空軍司令部と東京都府中市から移転してくる航空自衛隊航空総隊司令部が同居することになる。共用化や総隊司令部の移転などは2010年を予定しており、既に「共同統合作戦調整センター」が設置されている(2006年2月)事が判明している。

全世界的な米軍再編の動きに従って、キャンプ座間神奈川県)への陸軍第一軍団司令部移転計画(現在は米ワシントン州フォートルイスに所在)が存在し、これが実現した場合、四軍の司令部が日本に揃うことになり、“日米軍事一体化・アメリカの世界戦略への協力だ”として反対する声もあるものの、日本政府は米軍再編へ協力する姿勢を示している。

横田空域[編集]

横田進入管制区、通称「横田空域」と呼ばれる1都8県におよぶ広大な空域の航空管制を横田基地で行っている。「横田ラプコン(RAPCON: Radar Approach Control の略)」とも呼ぶ。同空域は1992年に約10%が返還された結果、高度約7000m~約3600mの6段階の階段状となっている。この空域は米空軍の管制下にあり、民間航空機であっても当該空域を飛行する場合は米軍による航空管制を受けなければならない。但し、事前協議によって飛行経路を設定する必要があり手続きが煩雑なため、羽田空港を離発着する民間航空機のうち、伊丹空港関西国際空港等への便などを除き、同空域を避けるルートで飛行している。羽田空港や成田空港から西日本や北陸方面へ向かう民間航空機の飛行ルートの障害となっているため、航空路が過密化する要因の一つとなっている。

2006年10月27日、日米両政府による空域一部返還交渉の結果、羽田空港の西側にあたる、横田空域の南半分のうちの約40%(横田空域全体の約20%)が日本側に返還されることが決定した。横田空域の北半分についても高度規制が引き下げられる。羽田空港の再拡張事業である4本目の滑走路が供用開始される2009年末に間に合うよう、空域返還は2008年9月までに実現する予定。

一部返還後の横田空域の南半分は高度約5500m~約2400mの5段階の階段状となる。これにより、羽田空港を利用する民航機が横田空域を迂回したり同空域を越すために急上昇する必要が減るため、年間約180億円(羽田空港の再拡張前は130億円)の経済効果があると試算されている。約180億円の内訳は、燃料費削減による効果が約66億円分、飛行時間短縮による運航コスト低減効果が36億円分、旅客利便性向上効果が77億円分とされる。羽田空港の年間発着回数は約296,000回から407,000回へと増加する。時間短縮効果は、羽田出発便のうち中国地方・北部九州行きで3分、関西地方・南部九州・沖縄行きで約2分、羽田到着便では2分以上とされる。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

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