新興宗教

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戦後の新興宗教

新興宗教(しんこうしゅうきょう)とは近年創始された新しい宗教のことをいう。日本では江戸時代後期以降に成立したもの、西洋では19世紀末以降のものをいう場合が多い。

1951年立正佼成会PL教団などが中心となって、他の新宗教団体と共に新日本宗教団体連合会(略称:新宗連)が結成されたが、新宗連では一般的に使用されてきた従来の「新興宗教」は悪いイメージがある用語として、「新宗教」という用語を使うよう各種関係団体などに働きかけてきた。現在使われている「新宗教」はここに端を発している。

概説[編集]

現在、宗教学上の分類用語としてもちいられる。1970年代以降に台頭してきた宗教を新宗教という。また、新宗教の発展拡大が止まりつつある中で、時代の動向を反映した、大変目立ついくつかの教団を「新新宗教」と呼ぶこともある。新新宗教には、それなりに新しい面があるとする見解がある一方、それまでとはまったくちがう新しい宗教という、間違ったイメージを与える可能性があるために、「新新宗教」という単語は使わないほうがいいという見解もある。

これは東洋大学宗教社会学西山茂教授の諸論考(「新宗教の現況」『歴史公論』五巻七号、1979年など)によって定義され、評論家の室生忠によって広まった。しかし、共通の定義や解釈はなく、新宗教とは、第二次世界大戦後に宗教法人として認可された宗教団体すべてを指すという説もある。また、「新新宗教」の定義は、新しい時期に設立されたものとするものと、そのうち「旧」宗教とは顕著に異なる特徴をもったものだけにするという二種類の見解がある。キリスト教仏教神道などさまざまな宗教・宗派が土台になっている。

新宗教とは、現世救済の宗教という特徴がある。救いを実現するには寄付や行事参加による行為よりも、心の持ち方を改め、善意と感謝の念をもって対することを重視している。

なお、一部の新宗教には旧来の伝統宗教から正統な派生を遂げたものもあり、これらは伝統教流を継承していることから一概に過去百年内に勃興したというのみで新宗教や新新宗教に分類しきれない団体もある他、これらはもっぱら新宗教の範囲に位置づけられることを望んでいない団体もある。これに対し、道理や理論が破綻しており胡散臭い存在であるとして、宗教学者や他教団などから批判されることもある。また、教祖や教団設立に至るまでに宗教的な背景がほとんどなく、「突然の天啓」や「神がかり」によって派生・形成されてきた教団も多い。これが戦後の新宗教の一つの特徴ともいわれる。

一部の新宗教では、霊感商法といった詐欺恐喝まがい行為、悪質な勧誘、大学などで宗教団体であることを隠して活動するダミーサークル、終末感を煽った教義による反社会的な活動などにより社会問題となることも少なくない。また、逆に、一部の「悪徳な商行為をする企業」が新宗教を偽装したり、「生活の向上や幸福」などと新宗教の信者獲得手法を取り入れたりして、その境界があいまいとなっている面がある。

そのため、多くの新宗教団体はこれらの問題行状のある教団と一括りにされることを嫌っており、世間一般においても近時はこれら問題行状のある教団をカルト教団と呼称して区別する傾向にある。

「カルト」と同様に「新興宗教」も前述のような教団・団体を指すことが多く、マスコミはそれを前提にもちいている傾向がある。したがって、学術用語として「新興宗教」がもちいられることはない。

日本の新宗教の中には政治に積極的に参加していくという姿勢を持っている教団も多く、日本の政治に一定の影響力を持っている。例として、公明党の強力な支持母体である創価学会が有名であるが[1]立正佼成会世界救世教なども国政選挙において特定の候補者を支持したりしている。 また、新宗教という用語は最近おこった新しい宗教というイメージがあるが、例えば、天理教金光教などはその起源が江戸時代にまでさかのぼり、高校の日本史の教科書にも記載されている。新宗教としてくくられる宗教であっても、それなりの歴史と伝統を持ち、宗教教誨事業への参加やボーイスカウト日本連盟で単独の宗教章が承認されているものある。

新宗教の中には、いわゆる伝統宗教と連携して、死刑廃止運動やカルト対策などの社会問題に取り組む教団や宗教者もある。

それゆえ、キリスト教や仏教などに限らず、今日存在するあらゆる既成宗教もおこった当時は新宗教であり、周囲から異端としてみられたという歴史的背景の上で成り立っている。また、発生当初は先鋭的・独善的な思想を持った宗教でも時がたつと温厚になる場合やまたその逆もある。したがって、近代の新宗教も一括りとして皮相的な見方をするのではなく、教団ごとにその教義や性格などを精査し、今後の動向を見守る必要性が望まれる。

新宗教と現代社会[編集]

新宗教はその国の伝統的な宗教が背景にあって、日本においては神道系や仏教系といったように、その新宗教が土台とする宗教文化が明確である場合が多い。しかしながら、産業革命以降の交通機関の発達などで国家間のグローバル化が進んだ影響により、特に1970年代以降の新宗教(新新宗教)においては世界各地でどの宗教文化が中心となっているかが不明確な宗教運動が興ってきている。また、複数の伝統宗教の要素を取り込む以外にも、宗教とは異分野の要素(ビジネス科学等)を取り込むことによって、宗教行為そのものについてもそれが経済行為なのか、あるいは心理療法行為なのかが判然としない場合もある。

そのようなハイパー的な特徴を持った宗教運動を「ハイパー宗教」と呼んで従来型の新宗教と区別することもある。代表的なハイパー宗教の例としてはアメリカのサイエントロジーやフランスのラエリアン・ムーブメント、日本においては GLA幸福の科学が挙げられる。幸福の科学はみずからを「先進宗教」と称したが、組織としては、1990年代の後半から従来型の新宗教と同様に土地や建物を国内各地・世界各地に建立する活動を展開した。

一方、IT革命等でインターネットの普及が進んだことにより、「サイバー宗教」と呼ばれるような、インターネット上で活動を展開して組織的な広がりを持つ運動もおこっている。例えば、1992年に活動を開始した中国の法輪功では、創始者がニューヨークに移住後にサイバー宗教的な性格を持ち、インターネットをもちいることで組織的に拡大した。

日本における新興宗教の勃興[編集]

戦後の日本で新興宗教がこれほどはびこるようになった要因は、基本的には共産主義勢力の伸長に対抗して保守一党支配体制を補完する役割を新興宗教に求めたという、政治的要因が大きい。

これは発想としては明治期まで遡る戦前の国家神道の発想と同根で、ヨーロッパにおいてキリスト教、特にカトリック教会が果たしてきた政治的役割を、新興宗教に期待したためである。貧困層をまとめて保守政党の支持勢力に組み込むという機能である。貧困層は経済的階級からいくと、社会主義共産主義といった左翼勢力の支持層に位置し、人口分布の上でも多数を占めるために、そのままでは左翼勢力が政権に就くことになる。日本の場合、支配国のアメリカの都合上、左翼勢力、特に共産党は政権から遠ざける必要があった。そのたる戦後の民主化過程においてすら様々な対策が講じられたが、そのうちの1つが「反共マシーン」としての新興宗教の活用であった。左翼思想の主流であるマルクス主義は宗教を敵視しているために、信仰の篤い人は宗教感情を刺激してやるだけで反射的に左翼政党に反感を持つという性質がある。また、各教団単位での票の取り纏めをさせればそれに対して政策的見返り(公明党の主張した地域振興券など)から裏リベートまで、様々な利益誘導政治のチャンネルとして新興宗教団体を利用出来るという利点がある。

このような事情で、戦後の日本は新興宗教の一大繁殖地と化し、そこから生まれた新興宗教の大半が、直接、間接に保守政党の支持勢力に組み込まれたわけである。

神道系の新宗教団体[編集]

教派神道系[編集]

山嶽信仰系[編集]

想念憑依系[編集]

大本系[編集]

世界救世教系[編集]

生長の家系[編集]

真光系[編集]

天理教系[編集]

独立系その他[編集]

仏教系の新宗教団体[編集]

日蓮宗系[編集]

霊友会系[編集]

日蓮正宗系[編集]

天台宗系[編集]

浄土系[編集]

浄土真宗系[編集]

その他浄土系[編集]

真言宗・密教系[編集]

曹洞宗系[編集]

チベット密教系[編集]

その他の仏教系[編集]

インド系の新宗教[編集]

キリスト教系の新宗教団体[編集]

イスラム系の新宗教団体[編集]

GLA系諸教団[編集]

精神修養団体・心霊研究団体[編集]

その他の新宗教団体[編集]

(一部、新宗教と定義されない場合もある)

宇宙・UFO系[編集]


冗談宗教[編集]

ときには明らかに馬鹿げた教義を掲げた宗教団体が創立される場合がある。多くの場合、既存宗教や社会に対する批判を目的としているが、実践者がきわめて深遠な考察に至り、真っ当な宗教思想として成立してしまうこともままある。

脚注[編集]

  1. 『世界大百科事典』 86頁。

関連項目[編集]

関連書籍[編集]

  • 新宗教事典(編著:井上順孝、弘文堂 1990年)

外部リンク[編集]

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