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[[中学校]][[高校]](最近は[[小学校]]も)に通う[[生徒]]達が、学校の[[公式サイト]]とは別に、同じ学校に通う生徒間での交流や情報交換を目的に立ち上げた非公式な[[サイト]]のこと。
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<!--{{otheruses|ウェブサイト|映画|学校裏サイト (映画)}}
ほとんどがいわゆる「簡単作成サイト」で作られており、また使用されている[[ハンドルネーム]]も本名・あるいは容易に本名が想像できるものが多く、発言内容も「[[放課後]]の教室」と揶揄される。
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{{出典の明記|date=2008年4月}}-->
昨今は[[違法ダウンロードサイト]]の紹介や根拠のない[[中傷]][[インターネット]]上にあって万人が閲覧できる状況であるのに[[個人情報]]の暴露などで問題になることが多々ある。
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'''学校裏サイト'''(がっこううらサイト)とは、ある特定の学校の話題のみを扱う非公式の[[匿名掲示板]]である。'''学校勝手サイト'''とも言う。
学校に関わる公式でないサイトは全て学校裏サイトと定義されるため、呼び名だけが先行して恐怖感を煽っている一面もある。
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[[2008年]]に[[文部科学省]]によって行われた調査によれば、学校裏サイトのほとんどが大型[[掲示板]][[2ちゃんねる]])の[[スレッド]]であるという。
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ほとんどが部外者が入れないよう[[パスワード]]を設定されていたり、[[携帯電話]]からのアクセスしか出来ない(PCからのアクセスはIPアドレスで判断され拒否される)、学校名で検索してもヒットしないようになっており、そのため検索などで探し出すのは容易ではない。2008年3月に[[文部科学省]]が発表した「[http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/001/index48.htm 青少年が利用する学校非公式サイトに関する調査報告書]」では38260サイトが確認されたとしている。ただし、この報告書においては、[[2ちゃんねる]][[ミルクカフェ]]、[[Yahoo!掲示板]]などのいわゆる巨大掲示板の中の[[スレッド]]も1つとして数えている。これらを除外すると4733サイトとなる。巨大掲示板は部外者にも開放されており、パソコンでの検索・アクセスも可能であるため、この段落の冒頭の記述が当てはまるわけではない。
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== 概要 ==
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[[情報社会論]]を専門とする[[下田博次]]・[[群馬大学]][[大学院]]社会情報学部[[教授]]は、こうした匿名掲示板を[[2004年]]頃から追跡を始めている。裏サイトがいつ頃広まったかは不明だが、下田教授のゼミ生の証言から[[2002年]]頃には既に存在していたとされる。学校裏サイトの存在が初めて取り上げられたのは[[2006年]][[8月]]に放送された[[NEWS23]]である。NEWS23の取材スタッフが下田教授の研究室を訪れた際、裏サイトの調査資料を偶然目にした事がきっかけである。この時点ではさほど注目されなかったが、同年[[12月]]に[[FM群馬]]が、裏サイトをメインに据えた内容の番組を放送。これを契機に、年明けから各メディアで特集が組まれるようになるなど社会問題として注目され始める。2007年[[9月]]に[[神戸市]][[須磨区]]の[[滝川高校いじめ自殺事件]]で、裏サイトに被害者の男子生徒に対して、誹謗中傷や脅迫紛いの文章を書き込んでいた事がセンセーショナルに取り上げられ、以後[[いじめ]]関連の報道の中で頻繁に取り上げられるようになり、2007年~2008年に放送された[[テレビドラマ]]『[[3年B組金八先生]]』の第8シリーズで題材のひとつとして選ばれたことから一般への知名度があがった<ref>[[藤川大祐]] 『ケータイ世界の子どもたち』 [[講談社]]、2008年、48頁。ISBN 978-4062879446。</ref>。[[共同通信]]の報道によると、この事件の際には書き込んだ内容が名誉棄損的な内容ではなく、侮辱的書き込みであったために、書き込んだ者のみが処罰され、管理人側には[[幇助罪]]が適用されることはなく嫌疑不十分で[[不起訴処分]]となっている。これは、刑法が規定する幇助罪は[[名誉毀損罪]]に対してのみであり、[[侮辱罪]]について幇助罪が適用された判例が無かったためである。一方、民事では2008年5月に、管理人の責任を認めて55万円の損害賠償の支払いを命じる判決が出されている<ref>[http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20080524p101.htm 学校裏サイト、管理人に賠償命令…大阪地裁]</ref>。
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上記の通り、学校裏サイトは決して「完全な匿名」ではなく、'''[[警察]]などの機関が動けば個人の特定は不可能ではないし、民事上の責任を科される場合もある'''。またこの事件で明らかになったように、学校裏サイトの開設者は現役の在校生に限られるわけではなく、学校の卒業者や保護者、それ以外の第三者による場合もある。
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同じく下田によると、[[ブラウザ]]機能付き[[携帯電話]]を子供が持つことが一般的ではない日本以外の国では、こうした匿名掲示板の問題は顕在化していないとされる。
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また、携帯電話からの書き込みでは携帯電話会社が問い合わせに応じないため、なかなか特定されにくいという問題もある。そのため、携帯電話から利用できる学校裏サイトは無法状態になる傾向が強いとされる{{要出典|date=2008年4月}}。
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== 問題点 ==
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下田によると、こうした匿名掲示板には、実名を挙げての誹謗中傷や猥褻画像が大量に書き込まれているとされる。このうち、誹謗中傷については、神戸での事件でも問題になったように、在校生などが標的になる他、東京都児童相談センター[[心理判定員|児童心理司]]・山脇由貴子の『教室の悪魔:見えない「いじめ」を解決するために』では、在校生の保護者に関するデマがサイト内で流されて、最終的に被害者が転校を余儀無くされるという事例も紹介されている。
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また[[イニシャル]]や[[伏字]]などでの[[誹謗]]・[[中傷]]が行われることもあるため、特定の個人ではなく該当のイニシャルを持つ全員が被害に遭う可能性もある。また時には児童・生徒以外にもその親や[[モンスターペアレント]]が、批判・攻撃目的で学校裏サイトに書き込む事例もある。
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2008年に横浜市が行った調査では、市内にある145の中学校のうち68の中学校で学校裏サイトへの削除依頼を行ったことがあるとされるが、この際、削除依頼を担当した教職員も誹謗中傷の標的となるケースが少なくないという<ref>[http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008041790070250.html 学校裏サイト、先生も標的 横浜市教委が調査]</ref><ref>[http://journal.mycom.co.jp/articles/2008/04/30/netbullying/002.html 「学校裏サイト」削除依頼し、休職に追い込まれる]</ref>。
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== 対策 ==
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{{Main|ネットいじめ}}
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現在の法制度では、こうした匿名掲示板の開設者を刑事的に処罰することは出来ず、決定的な対策は存在しない。下田はブラウザ機能付き携帯電話を安易に子供に与えている日本の現状が最大の問題であるとしており、[[フィルタリング]]機能の充実やブラウザ機能付き携帯電話を子供に与えることのリスクの周知(ペアレンタルロックは[[アダルトサイト|アダルト]]や[[出会い系サイト|出会い系]]など成年者対象サイトにしか有効ではない)、インターネット[[リテラシー]]教育などの対策を組み合わせてゆくしかないと指摘している。
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同時に、携帯電話からの書き込みは、書き込む度にホスト名やIPアドレスが間に介在する[[プロキシサーバ]]によって変化するため、特定されにくい<!--という要因も指摘されている{{要出典}}-->。また、携帯電話の個別識別情報についても[[個人情報]]の範疇に該当する可能性があるため、掲示板サービスを利用している管理者が直接その番号を知ることができるケースはほとんどない。このため、現状のところ携帯電話からの生徒による書き込みを制止するための手段は存在しない。
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また、[[管理者#管理人|管理者]]が管理自体を放棄しているケースでは、削除を求めることも困難である。管理が放棄されている掲示板において、検索エンジンで実名での誹謗中傷が検索出来るケースでは、何十年という将来に渡っても被害を受け続けることも想定される。<!--また、管理者が削除依頼を掲載することも多々あり、削除を依頼するという行為自体が被害を拡大させるケースもある{{要出典}}。-->
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さらに、利用者自身がプログラムを使い構築した掲示板サイトの場合は、運営するホスティングプロバイダでさえ特定の書き込みのみを削除をすることは技術的に難しい<ref>業者の掲示板サービスを利用している場合は、運営する業者側で、管理人が削除しない場合に代理で削除することも可能</ref>。<!--したがって、削除する場合はホスティングの利用を停止させるという方法以外に取り得ないと言える{{要出典}}。-->また、利用者が独自ドメインを使用している場合、仮に特定のホスティングプロバイダが契約を解除しても、利用者が新たなホスティングプロバイダと契約すれば、以前と全く同じ状態でサイトを公開できる<!--為、実効性の高さには疑問が付いて回る{{要出典}}-->。
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現時点でのインターネットに関する法規制は[[プロバイダ責任制限法]]以外にないことから、被害者の対応は非常に限られたものとなっている。また、海外のホスティングプロバイダを使った場合は、日本の法令が適用されないケースもある<!--ことから違法性の高い掲示板を海外のサーバーに置くことにより管理人の責任を免れようとする者も多く、管理人が誰なのかすら判明しないこともある{{要出典}}-->。さらに、検索エンジンに対する規制も存在しない<!--ことから、検索結果に表示される内容についても検索エンジン運営会社に対応を求めることは難しい{{要出典}}-->。なお、ヤフーをはじめとする検索エンジン運営会社の中には、検索結果に表示される内容についての削除依頼を「依頼内容の正当性や削除権限の有無を確かめることができない」として、受け付けていない場合も多い。
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2007年12月13日、PC版の学校裏サイトの一覧表を掲載したサイトが閉鎖したため、一覧サイトへのアクセスが一時的に不可となっていた。その後、2008年[[5月29日]]に[[サイブリッジ]]が、学校裏サイトの検索ができる「学校裏サイトチェッカー」のサービス提供を開始。裏サイトを発見した人が登録申請する[[ナレッジ]]共有型のデータや、社内外の有志で組織された「チェッカーズ」と呼ばれるボランティアスタッフと協力しながら「2008年内には3万件の学校裏サイト掲載」を目指すとしている
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<ref>[http://journal.mycom.co.jp/news/2008/05/29/057/index.html 学校裏サイトを探し出す『学校裏サイトチェッカー』の提供開始 | ネット | マイコミジャーナル]</ref>
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<ref>[http://japan.internet.com/busnews/20080529/4.html 全国の学校裏サイトを検索、「学校裏サイトチェッカー」 - japan.internet.com Webビジネス]</ref>
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<ref>[http://news.ameba.jp/economy/2008/05/14228.html 学校裏サイトチェッカー公開 文科省発表の38,260件目指す - Ameba News [アメーバニュース]</ref>。
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== 参考文献 ==
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山脇由貴子『教室の悪魔:見えない「[[いじめ]]」を解決するために』(ポプラ社、2006年)
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==注==
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{{脚注ヘルプ}}
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<references />
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== 関連項目 ==
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*[[滝川高校いじめ自殺事件]](報道において学校裏サイトの存在がクローズアップされた)
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*[[長崎小6女児同級生殺害事件]]
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*[[ネットいじめ]]
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*[[闇サイト]]
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*[[モンスターペアレント]]
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*[[匿名掲示板]]
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*[[日本の携帯電話文化]]
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*[[密告ネット]]
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*[[3年B組金八先生]]第8シリーズ(日本で初めて、連続ドラマのメインテーマの一つとして取り上げられた。)
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*[[相棒]]Season7(第18話にて、学校裏サイトが事件のテーマとして取り上げられている。)
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*[[怨み屋本舗 (テレビドラマ)|怨み屋本舗 REBOOT]](ドラマ第1話・第2話にて、学校裏サイトが事件に関わっている。)
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*[[2000年のゲームキッズ]](生徒達が運営した「スクールサイト」による教師への攻撃がテーマとなった作品を収録。本著は「学校裏サイト」の一般化以前に執筆された)
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*[[ユアペディア]](一部の項目が「学校裏サイト」の役目を持つ)
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== 外部リンク ==
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*[http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/001/index48.htm 青少年が利用する学校非公式サイトに関する調査報告書]
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*[http://arena.nikkeibp.co.jp/article/col/20070424/121743/ 学校裏サイトで、今何が行われているのか〜子どもとケータイの闇](日経BP)
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*[http://www.asahi.com/special/sendoushakai/TKY201005070341.html 裏サイト 疑心の教室](朝日新聞特集「扇動社会・4」)
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{{Wikipedia/Ja}}
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{{DEFAULTSORT:かつこううらさいと}}
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{{Internet-stub}}
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{{education-stub}}
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[[Category:ウェブサイト]]
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[[Category:インターネットの文化]]
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[[Category:教育問題]]
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[[Category:インターネット犯罪|かつこううらさいと]]

2012年4月30日 (月) 22:16時点における版

学校裏サイト(がっこううらサイト)とは、ある特定の学校の話題のみを扱う非公式の匿名掲示板である。学校勝手サイトとも言う。

ほとんどが部外者が入れないようパスワードを設定されていたり、携帯電話からのアクセスしか出来ない(PCからのアクセスはIPアドレスで判断され拒否される)、学校名で検索してもヒットしないようになっており、そのため検索などで探し出すのは容易ではない。2008年3月に文部科学省が発表した「青少年が利用する学校非公式サイトに関する調査報告書」では38260サイトが確認されたとしている。ただし、この報告書においては、2ちゃんねるミルクカフェYahoo!掲示板などのいわゆる巨大掲示板の中のスレッドも1つとして数えている。これらを除外すると4733サイトとなる。巨大掲示板は部外者にも開放されており、パソコンでの検索・アクセスも可能であるため、この段落の冒頭の記述が当てはまるわけではない。

概要

情報社会論を専門とする下田博次群馬大学大学院社会情報学部教授は、こうした匿名掲示板を2004年頃から追跡を始めている。裏サイトがいつ頃広まったかは不明だが、下田教授のゼミ生の証言から2002年頃には既に存在していたとされる。学校裏サイトの存在が初めて取り上げられたのは2006年8月に放送されたNEWS23である。NEWS23の取材スタッフが下田教授の研究室を訪れた際、裏サイトの調査資料を偶然目にした事がきっかけである。この時点ではさほど注目されなかったが、同年12月FM群馬が、裏サイトをメインに据えた内容の番組を放送。これを契機に、年明けから各メディアで特集が組まれるようになるなど社会問題として注目され始める。2007年9月神戸市須磨区滝川高校いじめ自殺事件で、裏サイトに被害者の男子生徒に対して、誹謗中傷や脅迫紛いの文章を書き込んでいた事がセンセーショナルに取り上げられ、以後いじめ関連の報道の中で頻繁に取り上げられるようになり、2007年~2008年に放送されたテレビドラマ3年B組金八先生』の第8シリーズで題材のひとつとして選ばれたことから一般への知名度があがった[1]共同通信の報道によると、この事件の際には書き込んだ内容が名誉棄損的な内容ではなく、侮辱的書き込みであったために、書き込んだ者のみが処罰され、管理人側には幇助罪が適用されることはなく嫌疑不十分で不起訴処分となっている。これは、刑法が規定する幇助罪は名誉毀損罪に対してのみであり、侮辱罪について幇助罪が適用された判例が無かったためである。一方、民事では2008年5月に、管理人の責任を認めて55万円の損害賠償の支払いを命じる判決が出されている[2]

上記の通り、学校裏サイトは決して「完全な匿名」ではなく、警察などの機関が動けば個人の特定は不可能ではないし、民事上の責任を科される場合もある。またこの事件で明らかになったように、学校裏サイトの開設者は現役の在校生に限られるわけではなく、学校の卒業者や保護者、それ以外の第三者による場合もある。

同じく下田によると、ブラウザ機能付き携帯電話を子供が持つことが一般的ではない日本以外の国では、こうした匿名掲示板の問題は顕在化していないとされる。

また、携帯電話からの書き込みでは携帯電話会社が問い合わせに応じないため、なかなか特定されにくいという問題もある。そのため、携帯電話から利用できる学校裏サイトは無法状態になる傾向が強いとされる要出典

問題点

下田によると、こうした匿名掲示板には、実名を挙げての誹謗中傷や猥褻画像が大量に書き込まれているとされる。このうち、誹謗中傷については、神戸での事件でも問題になったように、在校生などが標的になる他、東京都児童相談センター児童心理司・山脇由貴子の『教室の悪魔:見えない「いじめ」を解決するために』では、在校生の保護者に関するデマがサイト内で流されて、最終的に被害者が転校を余儀無くされるという事例も紹介されている。

またイニシャル伏字などでの誹謗中傷が行われることもあるため、特定の個人ではなく該当のイニシャルを持つ全員が被害に遭う可能性もある。また時には児童・生徒以外にもその親やモンスターペアレントが、批判・攻撃目的で学校裏サイトに書き込む事例もある。

2008年に横浜市が行った調査では、市内にある145の中学校のうち68の中学校で学校裏サイトへの削除依頼を行ったことがあるとされるが、この際、削除依頼を担当した教職員も誹謗中傷の標的となるケースが少なくないという[3][4]

対策

詳細は ネットいじめ を参照

現在の法制度では、こうした匿名掲示板の開設者を刑事的に処罰することは出来ず、決定的な対策は存在しない。下田はブラウザ機能付き携帯電話を安易に子供に与えている日本の現状が最大の問題であるとしており、フィルタリング機能の充実やブラウザ機能付き携帯電話を子供に与えることのリスクの周知(ペアレンタルロックはアダルト出会い系など成年者対象サイトにしか有効ではない)、インターネットリテラシー教育などの対策を組み合わせてゆくしかないと指摘している。

同時に、携帯電話からの書き込みは、書き込む度にホスト名やIPアドレスが間に介在するプロキシサーバによって変化するため、特定されにくい。また、携帯電話の個別識別情報についても個人情報の範疇に該当する可能性があるため、掲示板サービスを利用している管理者が直接その番号を知ることができるケースはほとんどない。このため、現状のところ携帯電話からの生徒による書き込みを制止するための手段は存在しない。

また、管理者が管理自体を放棄しているケースでは、削除を求めることも困難である。管理が放棄されている掲示板において、検索エンジンで実名での誹謗中傷が検索出来るケースでは、何十年という将来に渡っても被害を受け続けることも想定される。

さらに、利用者自身がプログラムを使い構築した掲示板サイトの場合は、運営するホスティングプロバイダでさえ特定の書き込みのみを削除をすることは技術的に難しい[5]。また、利用者が独自ドメインを使用している場合、仮に特定のホスティングプロバイダが契約を解除しても、利用者が新たなホスティングプロバイダと契約すれば、以前と全く同じ状態でサイトを公開できる。

現時点でのインターネットに関する法規制はプロバイダ責任制限法以外にないことから、被害者の対応は非常に限られたものとなっている。また、海外のホスティングプロバイダを使った場合は、日本の法令が適用されないケースもある。さらに、検索エンジンに対する規制も存在しない。なお、ヤフーをはじめとする検索エンジン運営会社の中には、検索結果に表示される内容についての削除依頼を「依頼内容の正当性や削除権限の有無を確かめることができない」として、受け付けていない場合も多い。

2007年12月13日、PC版の学校裏サイトの一覧表を掲載したサイトが閉鎖したため、一覧サイトへのアクセスが一時的に不可となっていた。その後、2008年5月29日サイブリッジが、学校裏サイトの検索ができる「学校裏サイトチェッカー」のサービス提供を開始。裏サイトを発見した人が登録申請するナレッジ共有型のデータや、社内外の有志で組織された「チェッカーズ」と呼ばれるボランティアスタッフと協力しながら「2008年内には3万件の学校裏サイト掲載」を目指すとしている [6] [7] [8]

参考文献

山脇由貴子『教室の悪魔:見えない「いじめ」を解決するために』(ポプラ社、2006年)

  1. 藤川大祐 『ケータイ世界の子どもたち』 講談社、2008年、48頁。ISBN 978-4062879446
  2. 学校裏サイト、管理人に賠償命令…大阪地裁
  3. 学校裏サイト、先生も標的 横浜市教委が調査
  4. 「学校裏サイト」削除依頼し、休職に追い込まれる
  5. 業者の掲示板サービスを利用している場合は、運営する業者側で、管理人が削除しない場合に代理で削除することも可能
  6. 学校裏サイトを探し出す『学校裏サイトチェッカー』の提供開始 | ネット | マイコミジャーナル
  7. 全国の学校裏サイトを検索、「学校裏サイトチェッカー」 - japan.internet.com Webビジネス
  8. 学校裏サイトチェッカー公開 文科省発表の38,260件目指す - Ameba News [アメーバニュース

関連項目

外部リンク

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