化学消防車

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化学消防車(かがくしょうぼうしゃ)とは、消防車の一種。水による消火が不可能・困難な石油コンビナート航空事故などの重大な危険物火災に対応する。化学車ともいわれる。

概要[編集]

化学車の例(太田市消防本部
泡原液搬送車の例(鈴鹿市消防本部・南消防署)

油脂・化学物質の火災の場合、水をかけると逆に火の勢いが強くなってしまうため、放水では消火できない。そのような火災に対応し、泡消火剤粉末消火剤を撒くことのできる消防車である。通常は消防署に配備されているが、石油備蓄基地や高い可燃性を持つ航空燃料を扱う空港などの大規模火災が発生する可能性が高い公的施設にも配備される。民間であっても、化学工業関連企業、自衛防災組織の設置を義務付けられる石油コンビナートなどの施設にも配備されている。また、車両火災に備えて主要の幹線道路、高速道路などを抱える消防にも配備される傾向にあり、そのほか、自衛隊の航空基地、駐屯地飛行場の消防隊などにも配備されている(空港用化学消防車参照)。

泡消火剤は、原液を水と混合させて放射することにより消火する。そのため、通常は車両自体に水・原液のタンクを装備している。しかし、タンク内の消火剤は数分で使い切ってしまうため、泡原液搬送車大型水槽車消防水利などによる補給が不可欠となる。石油コンビナート火災に対応する大型化学車、泡原液搬送車、高所放水車の3台をまとめて3点セットという。なお、高所放水車の代わりに、同等の性能を持つはしご車で構成する場合があるほか、自衛消防隊では、大型化学車と高所放水車の機能を1台にまとめた大型化学高所放水車を導入する場合もある。

型式[編集]

自治体消防の化学車は以下の型式で表される。

普通化学車[編集]

普通化学車(II型)
東京消防庁
普通化学車(III型)
館林地区消防組合
  • I型
I型化学車は、1,000Lの水槽と300Lの薬液槽を装備し、車両火災や小規模化学火災に対応する化学車。4t級シャーシで製作されることが多く水槽付きポンプ車として運用している消防も少なくない。このうち3t級シャーシの車両は長野県にて害鳥カラス)の駆逐に利用されていた。
  • II型
II型は登録台数が最も多く、ポピュラーな化学車。通常、1,300Lの水槽と500Lの薬液槽を装備し、危険物火災の他に、タンク車として一般火災にも十分に対応できるような装備になっている。5t級シャーシをベースに艤装されることが多い。

(※I型とII型を総称して軽化学車という)

  • III型
III型は大規模な油脂火災や工場火災にも対応できるような仕様の車両。通常は7t級シャーシや8t級シャーシで製作され、1,300Lの水槽と1,200Lの薬液槽、800型泡放射砲を装備している。
  • IV型
IV型化学車は8t級シャーシで製作され、2,000Lの水槽と1,600Lの薬液槽を装備している。800型泡放射砲を2門装備しているのが特徴。全国的にも配備数は少ない化学車である。
  • V型
V型化学車は10t級の三軸シャーシで製作され、A-1級ポンプに2,300Lの水槽、1,800Lの薬液槽を装備しており、で大規模化学火災にも対応できるような仕様になっている。

(※III型、IV型、V型を総称して重化学車という)

大型化学車[編集]

  • 大I型
大型化学車は石油コンビナート等特別防災地域を管轄する消防本部に配置され、化学車3点セットとして大型高所放水車、泡原液搬送車と共に活躍する。石油コンビナートにおける大規模油脂火災に対応するため、通常は、8t級のシャーシにA-1級のポンプと1,800L~2,000L程度の薬液槽を装備している。ほかの消防車からの送水または有圧水利からの取水を前提に作られているため、水槽は装備されていない車両がほとんどである。出動は滅多にないため車庫の2列目であったり、別車庫で待機していることが多い。
  • 大II型
いわゆる航空機火災用の大型化学車のことを指す。早く現場に駆けつけ初期消火を行うため、高出力のエンジンとポンプを積み、高速、高加速で走行放水が可能な車両。空港付近の消防に配備されているが現在、空港の消防力(航空局)が充実してきているため消防ではほとんど新規配備は少なくなってきている。

特殊化学車[編集]

上記の型式にあてはまらず特殊な化学車も存在する。

  • 毒劇物災害対応特殊化学車
毒劇物災害用に赤外線分光ガス分析装置、陽圧式化学防護衣を積載し、その上化学車としての機能も積んだ化学車のこと。最近では毒劇物に関しての防災機能は救助工作車が担当することが多い。
  • 空港用超大型化学消防車
空港での航空火災に備えた化学車で前述の大II型と機能はあまり変わらないが大II型より若干、加速力等を向上させている。
関西国際空港が開港時にローゼンバウアー社の車両を導入したのをきっかけに、最近では海外からの輸入の空港化学消防車が配備される例も少なくない。
  • 空港用特殊化学消防車
中小規模の空港(飛行場)に配備される化学車のことで航空機の初期消火、乗務員の救出を行う。そのため、別名「救難消防車」とも言われる。
粉末消火剤は、そのまま空中に散布することで消火する。水と反応して発火したり、可燃性ガスを生じる禁水性物質に関連する火災の消火に用いる。

関連項目[編集]