ネットカフェ難民

提供: Yourpedia
2007年5月5日 (土) 10:17時点におけるBeyond (トーク | 投稿記録)による版

移動: 案内検索

ネットカフェ難民(ねっとかふぇなんみん)とは、アパート代を払うことが出来ず、インターネットカフェや漫画喫茶に寝泊まりする人のことを言う。統計に出てこない「隠れホームレス」という指摘がある。

概要

24時間営業のインターネットカフェなどで、ナイトパックと呼ばれる料金体系を利用して夜を明かし、日雇い派遣労働などで生計を立てている若年者を指す。2007年になって、NNNドキュメントTBSなどで取り上げられ、格差社会の象徴として問題となっている。

2007年3月15日に、参議院厚生労働委員会での質疑で、日本共産党小池晃議員がネットカフェ難民の実態を調査をするよう柳澤伯夫厚生労働大臣へ質し[1][2]、同大臣は「可能かどうか検討したい」と答えた。これまで、公的機関が調査した正確な統計データはなかったが、厚生労働省は初の実態調査に乗り出すことを表明した。[3]


{{#if:|

現住所、ネットカフェ 都会の家なきフリーター 夜5時間1500円(朝日新聞)

2006年11月2日
 低料金でシャワーや個室などを完備するネットカフェで生活する若者が都市部で増えている。彼らの多くが、生活が困窮し、家を失った若年フリーターだ。「不安定な生活を抜け出したい」というSOSもインターネットを通じて、支援団体に寄せられ始めている。 (山内深紗子)

 大阪・梅田のネットカフェ。5時間で1500円の「夜間パック」の受け付けが始まる午後10時、大阪市出身の男性(30)は、リュック一つを持って、個室に入る。

 ●体重10キロ減

 シャワー、歯磨きをすませ、備え付けの毛布をかぶり、リクライニングシートへ。だが、体は伸ばせない。「この先どうなるのだろう」。熟睡できない日が続く。

 男性は、大学卒業後、独り暮らし。本屋や弁当屋など5年で約10カ所のバイトを転々、昨秋、うつ病で仕事を辞めたのを契機に、家賃を3カ月滞納して家を失った。

 「完全個室、宿泊可能」。途方にくれていた時、繁華街で見つけた看板に引き寄せられた。

 派遣会社に登録し、日雇いでティッシュ配りや倉庫の仕分けなど、週5日働く。日当は交通費込みで約7千~8千円。食事は、コンビニのパンやハンバーガーばかりで、体重は10キロ減った。風邪をひきやすくなり、背骨が曲がり、痔(じ)にも悩む。

 ネットカフェを転々とし、体調が悪くなれば、3千円前後のカプセルホテルで横になって寝る。仕事がない日は、公園のベンチや図書館のロビーで過ごす。最近は「なぜ生きているのか分からなくなってきた」と話す。

 ●共感ブログ

 東京都のJR蒲田駅前のネットカフェで生活する岡山県出身の男性(28)は、9月中旬、ブログを立ち上げ「半ホームレス生活」を赤裸々につづり始めた。

 24歳で上京、パチンコ店に勤めながら歌手を目指していた。だが、友人の借金約180万円を肩代わりして、苦境に陥り1月からこの生活に。

 新宿を皮切りに、JR中央線と山手線沿線の約200店を転々、料金の安い蒲田に落ち着いた。今は、日雇い先でもらうネットカフェの半額券も活用している。

 利用するネットカフェの前で、毎夜のように若い男女が並ぶのを見た。「話がしたい。孤独から解放されたい」と、ブログを始めた。

 ネットカフェ情報を日々の思いと共につづる。「一緒に頑張りましょう」などの書き込みも増えた。「心が温まって、この生活から抜け出そうと決心した」

 5万円をため、10月下旬、唯一残っていた運転免許証を身分証明にして、長野県の工場に派遣契約が決まった。月収は16万円。寮にパソコンがないのでブログは中断したが、「生活を立て直したらブログを再開し、悩みを聞いてあげるのが今の目標」と話す。

 宿泊もできる多機能のネットカフェは、99年ごろからできた。日本複合カフェ協会に9月末で、1320店が登録している。全国55店舗を展開する加藤博彦会長(52)は「料金がサウナやカプセルホテルより安く、フリードリンクなどの特典もあって、都市部で特に宿泊利用が増えている」。

 東京・池袋、席数150の大型店店長は「一晩の泊まり客は平均140。大きなかばんを持ち何度も見る常連さんはそのうち約1割」と話す。

 ●届くSOS

 「ネットカフェ転々。助けて」「もう、こんな生活疲れました」

 生活困窮者を支援するNPO法人自立生活サポートセンター「もやい」の湯浅誠事務局長(37)の元には04年ごろ、こんなメールが若者から届くようになった。今では月2~3件ある。

 湯浅さんは「生活が困窮したフリーターは確実に増えており、都市で見えない存在となってホームレス状態になっている。行政は、そのグレーゾーンにも目を向けていくべきだ」と話す。

{{{URL}}}}}


{{#if:|

ネットカフェが僕の家 東京・蒲田25時(朝日新聞)

2006年12月23日
 「アパートも借りられない。今の僕はホームレス」と、日払いの仕事を続ける30代の男性。リストラされ派遣で働く50代の男性は「変則勤務で帰宅もままならない」。今夜、どこで眠ろうか-。彼らが向かう場所がある。東京・蒲田のネットカフェだ。格安料金で知られる。24時間営業で食事もでき、かろうじて体を休ませられるいすもある。年の瀬のネットカフェに不安と孤独の影を見た。(森本美紀)

 商店街のシャッターが下り、人通りも少ない午後10時。師走の風に首をすくめ、ネットカフェに寝泊まりする人たちが都内や川崎、横浜などの仕事先から帰って来る。

 千葉県出身の男性(46)は「仕事は派遣で商品の仕分け。今の収入では食べるのがやっと。アパートに入りたいけどお金がたまらない。正月もここで過ごすよ」。

 一度入店してから、つっかけ姿で銭湯に行く男性や、近くのコンビニに弁当を買いに行く女性もいる。

 この店に宿泊客が集まるのは、「圧倒的に安いから」と常連客。1時間400円前後といわれる全国相場の4分の1程度で、10店ほどある蒲田駅周辺でも格安。千円もあれば1泊できる。

 ◇格安で泊まる

 アルコール以外の飲食物の持ち込みは自由。店内には飲み物の自動販売機があり、カップめんや菓子も売っている。リクライニングシートや1畳ほどの広さの和室で、かろうじて体を伸ばせる。

 午後11時を回った。約200ある席は満席だ。小さなブースにはパソコンとテレビが1台ずつ。隣席とは申し訳程度の仕切りだけ。目にタオルをのせ、靴下をぬいでパソコンデスクに足を放り出して眠る若者や、体を「く」の字にしてテレビを見ながら横たわる中年男性らの姿が並ぶ。

 話し声は一切ない。互いの人生に立ち入ることも立ち入られることもしない。それが暗黙の了解だ。ほどなくフロアの蛍光灯が消えた。静まり返った部屋で、いびきが二重、三重に重なっていく。

 午前1時。派遣で働く男性(33)が一人、パソコンに向かっている。ここで寝泊まりするようになって半年がたつ。寮付きのアルバイトの仕事をしていたが、給料は完全歩合制。月に30万円になる時もあれば10万円のことも。「不安定な収入では将来が心配」と退職した。

 寮で暮らせなくなるよりも、収入が減る不安が大きくなっていた。登録していた派遣会社に連絡すれば、たとえ日雇いでも、決まった収入が確実に得られるとも思った。

 所持金は1万円。頼れる家族はいない。以前利用したネットカフェに足が向いた。卒業アルバムとへその緒をコインロッカーに預け、下着や洗面用具などの生活用品をショルダーバッグに詰め込んだ。

 ◇次の仕事求め

 午前8時に携帯電話の目覚ましで起きだし、トイレで歯をみがき、料金を払い店を出る。電車で都内の仕事場へ向かう。仕事仲間に「ホームレス」だと悟られないよう数日に1度は近くのビデオ鑑賞ルームでシャワーを浴びる。

 今の仕事はクリスマス用品の仕分け作業だ。8時間働いて日払いで7500円。夜はネットカフェに戻り、コンビニ弁当を食べながら「唯一の楽しみ」というオンラインゲームをして午前2時に寝る。「今は、ここが僕の家」

 1日の出費は食費や宿泊代など5千円までに抑え、日曜もネットカフェからほとんど出ずゲームをして過ごす。出費を抑えるためだ。

 今の「日雇い派遣」では健康保険を払う余裕もない。正社員の仕事を探そうとは思うが、月給制だと収入が入るのは1カ月以上先。それまでの生活費がなく、また日払いの仕事を選ぶ。今の仕事はクリスマスまで。次の仕事はまだ見つかっていない。

 神奈川県内の高校を卒業し、電機メーカーで正社員だったこともある。

 「このままでいいとは思わない。一度フリーターになると抜け出せない」

 ◇支援受け自立

 このネットカフェから歩いて10分ほどの別の店。深夜1時、受付に朝までの利用料金が割安になる「ナイトパック」を申し込む行列ができていた。席ではヘッドホンをつけた20代の男性がいすからずり落ちそうになり眠っている。都内のアルバイトの男性(32)は、昨年8月までの1年余りをここで過ごした。

 200万円の借金を抱え、家賃が払えず夜逃げしたのは2年前。たどり着いたのは、午後11時から午前9時までの8時間利用が900円弱のネットカフェだった。宅配便の集荷のアルバイトを終え午後11時に入店。硬いいすにすわり、注文した食事をパソコンデスクで終えると、キーボードを押し込み、つっぷして寝た。体をえびのように曲げるためか、胃に激痛が走り、カプセルホテルにも泊まった。

 家族とは絶縁状態で友人もいない。心がささくれだち、職場でも他人に当たることが多くなった。こんな生活はもう嫌だ。疲れた--。そんな折、カプセルホテルのテレビで、自立支援団体の番組を偶然見た。昨年8月、思い切って公衆電話から団体に電話した。「アパートを借りる保証人をお願いできませんか」。ネットカフェでの生活から何とか脱したい一心だった。

 スタッフの一人の家に居候させてもらいながら、早朝はビル清掃、日中は集荷作業と働き30万円を貯金。支援団体が保証人になり今年2月、都内に家賃5万円の部屋を借りた。今の仕事は通信機器の出荷作業。2カ月ごとの契約で、7千円の日払いだ。

 「まだぎりぎりの生活。もとの生活に戻るのでは」。不安もよぎるが1カ月でリーダーに抜擢(ばってき)され、正社員になり家族を持ちたいと思えるようになった。弁護士の助言を受け借金の整理も進めている。

 「今の僕があるのは、仲間との分かち合いができるよりどころができたから。政府の言う再チャレンジは、なぜか心に響かない。生活の糧を得ることは大事だけれど、それだけでは心は満たされない」

 23日夜には、支援団体が主催するクリスマスパーティーに参加するつもりでいる。

 <ネットカフェ> パソコンでインターネットが使える施設。漫画やゲームなども利用できる「複合カフェ」が多い。シャワーや歯ブラシ、毛布の貸し出しなどを始める店も。日本複合カフェ協会によると、全国の店舗の数は01年の2000店から05年は2737店。24時間営業で1時間380円~420円が多い。

 <参考情報> 総務省によると、アルバイトや派遣などの非正規雇用は1633万人(05年平均)。雇用者に占める割合は10年前の約2割が約3割に。「10年前の半年~1年の契約期間がこの数年は1~3カ月、今年から日雇いが顕著」と派遣ユニオン。「細切れ雇用」はアルバイトや契約社員にも広がり「労働者の切り捨て」との批判も。

{{{URL}}}}}

外部リンク

脚注・出典

  1. news24“ネットカフェ難民” 参・厚労委で議論
  2. “ネットカフェ難民”急増しんぶん赤旗
  3. ネットカフェ難民 初調査 東京新聞 2007年4月12日