ゴールド免許

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ゴールド免許(ゴールドめんきょ)とは、「優良運転者」で「優良運転者講習」対象者に交付される運転免許証[1]通称で、有効期限表示部分の地の色が金色となっている。正式には優良運転者免許証と称する。

概要

ゴールド免許は、自動車運転免許の更新等をした時点で過去5年以内に加点対象となる交通違反などがない優良運転者に与えられる運転免許である。免許証の有効期限記載欄が金帯で表記され、黒枠で「優良」の文字が付記される。1994年5月10日道路交通法改正で導入された。

ゴールド免許となる免許更新時に必要な講習は優良運転者講習となって講習時間が短い事から費用が安く、優良運転者免許更新センター(ゴールド免許センター)による更新も可能[2]となる利点がある。

さらに無違反を少なくとも5年間継続できたリスクの低いドライバーであることの証明であるため、自動車保険のうち多くの任意保険で保険料の割引制度がある。

対象となる「5年間」は、免許の有効期限年の誕生日から41日前の日以前の5年間である。ゴールド免許になるかどうかを判定する期間が免許更新年の誕生日40日前であり、この時点で交付される免許証がゴールド免許になるかが決定され通知葉書に「優良」などと反映される。

免許証の色の区分

詳細は 日本の運転免許#色と有効期限 を参照

運転免許証の有効期限の背景色には3種類ある。

グリーン
初めて免許を取得した場合。次の更新の時、あるいは別な免許を取得した時点でブルーになる。有効期間は、2年以上3年以内。
ブルー
免許歴が5年に満たない場合、あるいは更新前の5年間に点数の付く事故・違反があった場合。有効期間は3年〜5年(年齢・違反歴などによる)。
ゴールド
更新前の5年間に点数の付く事故・違反がなかった場合。有効期間は5年(ただし、更新時の年齢が70歳の者は有効期限4年、同じく71歳以上の者は有効期限3年)。

ゴールド免許の詳細

ゴールド免許は、5年間無事故無違反を続けるなどの条件を満たした後、免許更新または新規取得をした場合にのみ交付される。したがって自動的に交付されるものではなく、仮に無事故無違反であっても、免許証を更新忘れなどで失効させてしまっている、いわゆる「うっかり失効」の場合、ゴールド免許の交付は認められない。

例えば、今まで普通自動車免許しかなかった者が自動二輪の免許を取得するなど、新たな免許を取得すれば、ゴールド免許に切り替わる。
ちなみに、改姓・住所変更・限定解除など裏面追記で済む手続きの場合、手続きの時点で前述の条件を満たしていても、ゴールド免許にはならない。それは通常の免許更新ではないからであり、その後の免許更新の際に条件を満たせば、ゴールド免許に切り替わる。

違反歴と免許区分が異なる場合(いわゆる「金メッキ」)

ゴールド免許保持者は一般的に無事故無違反と思われがちだが、仮に当該免許保持者が交通違反をして、無事故無違反でなくなっても、ゴールド免許そのものは一般の免許と同様、次回更新時まで有効である。この状態が、俗に「金メッキ」と呼ばれることもある。

これは、ゴールド免許自体が、該当する免許が更新された時点(正確にはその年の誕生日40日前)までの5年以内の期間が、無事故無違反だったことを証明することのみを目的としているからである。したがって、ゴールド免許だけでは、免許交付後の違反歴は把握出来ない。

そのため、違反歴を確認したい時には、別途運転経歴の照会や、運転経歴に関する証明書の取得が必要となる(SDカード (運転免許)も参照)。

実際に運転をしているドライバーの中には、交通違反と認定されない物損事故を起こしているドライバーもおり、「無違反ではあるものの賠償責任の発生する事故履歴はある」というリスクを負ったゴールド免許保持者も存在する。

「金メッキ」免許は次の更新時にはブルー免許(3年または5年)になるが、その後ゴールド免許に復帰できるのは最後に点数が加点される違反があった時点から5年以上経って迎える更新時となる。

たとえばゴールド免許を得て3年と少し後に2回目の違反行為があり違反運転者に区分された場合、以後無違反であっても、次の更新ではブルー免許で有効期間は3年間となるからその次の更新でも5年間にわずかに足りない期間の無違反にしかならず再度ブルー免許で有効期間5年間(過去5年間に違反1回)となる。
こういう事例の場合、ゴールド免許でない期間が8年継続してしまい、最後の3年間はゴールド免許の要件による事故無違反歴を満たしていながら、その恩恵を受けられない期間(「金メッキ」とは逆の状態)となる。
そこで、自動車保険料の割引等と免許証更新に伴う追加費用を検討した上で、無違反で5年を経過した直後に新たな種別の免許を取得し、ゴールド免許を早期復活する選択肢が出てくる。ただし紛失等を理由とした再交付では、紛失した免許と同じ条件の免許が交付されるだけで、再交付時点で過去の違反歴を参照してもゴールド免許が発行されるわけではない。

さらに制度の歪みとして、ゴールド免許になるかどうかを判定する期間が免許更新年の誕生日40日前であるということから、この40日間を含めて免許更新日までの期間に違反行為があった場合でも、交付されるのはゴールド免許となってしまう。こうして免許証更新直近に違反があったにもかかわらず交付されてしまうゴールド免許は、違反歴を参照する期間と免許更新日の時差が生んだ「金メッキ」状態と言える。ただしこの状態は、運転経歴の照会により違反歴を把握することは可能である。このため、運輸業界や自動車運転従事の職業を中心に、就業の際に運転免許証の色の検討の他にも運転経歴の照会が求められることも少なくない。

また、運転頻度が低いが自動車を所有している者の自動車保険任意保険が、ゴールド免許保持者について割り引かれるのは、運転の安全性と並んで運転の頻度を反映しているからでもあり、一定の保険契約期間内に事故に遭う確率を考えれば、一定の合理性は認められるだろう。

免許更新時に参照される違反歴は、行政処分としての違反の点数を記録したものである。そのため、その違反に対して反則金を納付せずに刑事裁判となり、判決が未確定であったとしても、行政処分としての違反歴は記録されている。この場合、免許更新時点では優良運転者とはならず、ゴールド免許は交付されない。係争中の刑事裁判の判決が違反の事実を覆す場合に限って、事後的にゴールド免許が交付されるにすぎない。

レアケース

運転免許は持っていても自動車を運転しないペーパードライバーは、そもそも運転をしないため、一応無事故無違反者とはなるが、飲酒運転者への車両の提供・酒類の提供・飲酒運転車両への同乗などの場合、運転していなくても違反点数が付き、ゴールド免許は取得出来ない。これは、制度上、運転をしない者がすべて無違反でゴールド免許が更新されていくわけではないことを、端的に示したものである。

普通自動車一種運転免許の取得後1年を経過しない運転者は初心運転者標識(若葉マーク)を付けなければならないが、それ以前に原付や自動二輪の免許でゴールド免許対象となる5年間無事故無違反の者は、新たに普通免許を取ってもそのままのゴールド免許である。しかし、普通自動車を運転する場合、1年間は若葉マークを付けて運転しなくてはならない点に変化はない。

ゴールド免許と訴えの利益

免許の更新の際にゴールド免許以外の免許証の交付を受けた場合に違反等はしていないなどと主張して、公安委員会に対し異議申立てや裁判所に対する取消訴訟ができるか問題となる。とりわけ一般運転者として扱われた場合には、更新期間がゴールド免許と同じ5年であるから訴えの利益が認められるか問題となった。この点、2009年2月27日の最高裁判決は更新時講習や経由地申請の点に相違があることについては手続上の要件の差異にすぎず直ちに訴えの利益を肯定できないが道路交通法は優良運転者の実績を賞揚し、優良な運転へと免許証保有者を誘導して交通事故の防止を図る目的で優良運転者であることを免許証に記載するとともに更新手続上の優遇措置を講じているとして優良運転者たる地位を法律上の地位として保護する立法政策を特に採用したものであるとして、一般運転者として扱われて更新を受けた者が更新処分の取消しを求める訴えの利益を認めた。

脚注

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