アンチウイルスソフトウェア

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2010年8月19日 (木) 06:45時点における小内山晶 (トーク | 投稿記録)による版 (外部リンク)

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アンチウイルスソフトウェア (Anti-Virus Software) とは、コンピュータウイルス(以下ウイルス)を検出・除去するためのソフトウェアである。単に「アンチウイルス」、または「ワクチン(ソフトウェア)」、「ウイルス対策ソフトウェア」などとも言う。

なお、ウイルスソフト等と呼ばれることもあるが、この呼び名ではこのソフトウェア自体がウイルスだという意味に取れるので、不適切である。(なお、「~ソフトウェア」の略語として「~ソフト」とも言う。)

概要

基本的には、コンピュータに常駐して作動するソフトウェアで、次のような動作をする。

  • コンピュータウイルスの特徴など(パターン)を記録したデータファイル(パターンファイル、定義ファイルなどともいう)とコンピュータ内部で遣り取りされるデータを照合する(パターンマッチング)。照合対象は、ファイルの静的検索型が基本的であり、さらに読み書きされるファイル等のデータを動的検索するもの、Webブラウザメーラーで送受信されるデータ(添付ファイル、スクリプト等)を動的検索するものがある。
  • 内部にウイルスが発見された場合は、除去できれば除去を行い、除去できないものも含めて何らかの警告を出す。

主に、クライアントを対象とするものと、サーバ(メールサーバ、データサーバなど)を対象とするもの(ゲートウェイ型)に分かれる。

データファイル(パターンファイル等)やウイルス検索エンジン(検索プログラム)は、新しく発見されたウイルスに対応するために頻繁に更新されている。また、最近のクライアント向けアンチウイルスソフトウェアでは、インターネットから自動的にダウンロードして更新するものが主流である。しかし、しばしば、それらの更新ソフトウェアのテストが不十分な場合があり、それらが自動更新された多くのユーザのパソコンが動作不良・起動不能になったり誤検出するなど、トラブルが発生することがある。

なお、スパイウェアを発見・駆除するものはアンチスパイウェア等と呼ばれる。またパーソナルファイアーウォールアンチスパム等の製品とも区別される。これらの総合対策スイートとして提供される製品もある。また、アドウェアフィッシング(Phishing)対策ソフトウェアも今後展開しようとしている。

これらの有害なプログラム類を総称して不正ソフトウェア、マルウェアと呼び、これへの対策を不正ソフトウェア対策、マルウェア対策と言う。この対策をするソフトウェアを、不正ソフトウェア対策製品ないしアンチマルウェアと言う。経緯上、アンチウイルス ソフトウェア(Anti-Virus Software)はアンチマルウェアとの戦いの始まりに相当する。

このようなアンチウイルス、アンチスパイウェアを装ったマルウェア (WinFixerなど) が登場しているので、この点も注意が必要である。

日本での市場

セキュリティ対策ソフトの日本での市場は、トレンドマイクロシマンテックマカフィーの大手三社による寡占的な状況が続いてきた[1][2]が、個人向けについては低価格路線で新規参入したソースネクストが一時的とはいえメーカー別シェア2位になるなど[3]、新たな潮流ができつつある。同様の低価格路線をとる対策ソフトには、V3ウイルスブロック インターネットセキュリティやキングソフトインターネットセキュリティなど、アジア系のものが多い。

さらに、無料で利用できるAVG Anti-Virusやavast! antivirusの一般への普及や、ウイルスセキュリティZEROなど年次更新料不要の低価格帯ソフトも登場している。

だが、このような低価格路線とは対称的に、検出力を売りとする対策ソフトの新規参入も2005年秋頃から増加している。検出率の高さで知られるカスペルスキーの販売をジャストシステムが開始したことなどはその代表例である。同様の高検出率路線をとる対策ソフトには、NOD32やDr.Web、F-Secure、G DATA アンチウイルスキットなど、ヨーロッパ系のものが多い。

また、クライアントOSで高いシェアを持つマイクロソフトもセキュリティ対策部門に進出し、2007年1月に同社ウイルス対策ソフトWindows Live OneCareを発売しており、動向が注目されている。このようなマイクロソフトの動きに対しては各社とも対抗策をとり始めており、対抗製品としてシマンテックからNorton360G DATA SoftwareからTOTAL CAREなどが発売され、またトレンドマイクロやF-Secureなどからは1台分のライセンス料で複数台使えるパッケージが登場するなど、セキュリティ対策ソフト市場は競争が激化しつつある。

主なソフトウェア

  • Active Virus Shield (AOL)
    • AOL無償提供するアンチウイルスソフト。Kasperskyの技術をベースにしている。
  • Avira AntiVir PersonalEdition (Avira GmbH)
    • PremiumとPremiumからスパイウェア検出機能等を省いたClassicがあり、後者は個人使用に限り無料。日本語版はなく、旧バージョンでは2バイト文字のファイルの検出に未対応だったせいか、日本での無料版の利用者は他ソフトに対して少ない(最新バージョンでは対応済み)。
    • Premiumは本社のあるドイツでトップシェアを誇り、検出力にも定評がある。
  • avast! antivirus (ALWIL Software a.s.)
    • 個人使用に限り無料。日本語版もある。
  • AVG Anti-Virus (Grisoft)
    • 無料版がある。英語のみ(日本語にするファイルも個人レベルで配布されている)。メールなどの末端に広告が入る。
  • BitDefenderSOFTWIN
    • 毎日更新される迅速なウイルス検知・対応や他アンチウイルスソフトと競合しにくいという特徴が支持されている。体験版は1年間の試用が可能(但し常駐ウイルススキャンは非対応)。Windows以外にLinuxFreeBSDに対応。Linux版のみ、日本でSoftAgencyから購入可能。
  • Clam AntiVirus (Summit Open Source Development Group)
    • UNIX類似OS、Windowsで動く、オープンソースで開発されている。商用のソフトに比べて検出率は劣るものの新種ウイルスの対応が商用のソフトより早かった事がある。
  • Dr.Web (Doctor Web Ltd. / 株式会社ネットフォレスト)
  • ウイルスチェイサー (株式会社インテリジェント ウェイブ)
    • ロシア政府も採用するウイルス検索エンジンDr.Webを使用したWindows用のアンチウイルスソフト。高いウイルス検出能力と動作の軽さが評価されている。体験版は1ヶ月の試用が可能。
  • eTrust アンチウイルス日本CA株式会社)
    • 2種類のスキャンエンジンを搭載し(例外あり)、企業向け製品では大きなシェアをもつ。
    • 個人,SOHO向け製品名はCA アンチウイルス
    • Windows Vistaオフィシャルパートナー、欧米向けの同OSの宣伝においては、Vistaのベストパートナーウイルス対策ソフトとして同社の名前があがる。MicrosoftがWindows Live OneCareの次に推すセキュリティーパートナー(過去にMcAfee → TrendMicro → CA)
  • F-Secureインターネットセキュリティ日本エフ・セキュア
    • 元々企業ユーザーやLinux向けなどを専門にしていたが、2006年4月より個人ユーザー向けにもアンチウイルスソフトを開発。プログラム内部にウイルス検出エンジンを3つとスパイウェア検出エンジン2つを搭載し、ウイルス検出率を高めることを売りにしている。エフ・セキュア本社があるフィンランドらしく、操作画面にはムーミンが登場し、初心者にも親しみやすいものとしている。2007年版からムーミンなしの画面も選択できるようになった。
  • Sophos Endpoint Security ソフォス株式会社)
    • 英国に本拠を持つ。WindowsやMacOS、UNIX等のセキュリティ製品を提供する。個人ユーザー市場へは展開を行わず、企業向けに特化することで高品質なサポートを提供することをポリシーとしている。
  • G DATA アンチウイルスキット (G DATA Software)
    • Kasperskyavast!の2種類の性格の異なるアンチウイルスエンジンを搭載して、検出力を高めている。日本語版の販売はイーフロンティアが行う。日本語OSに最適化されたRelease2が発売されている。
  • インテゴ・ウイルスバリアIntego
    • Macintosh用セキュリティウェアの草分けである Intego社(本社:フランス)が開発。Mac OSとの相性の良さで信頼が高い。
  • カスペルスキー・インターネットセキュリティZAO Kaspersky Lab
    • 開発元がロシアであるため旧ソ連地域のウィルスに強く対応していて、検知率は世界最高峰。欧州では評判が高くシェアも高い。日本ではver.5まではライフボートが代理販売していたが、2006年秋から販売のver.6 では、ジャストシステムが販売することになった。
  • キングソフトインターネットセキュリティ金山軟件有限公司 / キングソフト株式会社)
    • 6ヶ月の期限付きで無料ダウンロード、利用が可能。1年間ならびに無期限サポートへの更新時は有料。日本語・日本サイト。元々は中国のソフト。開始当初、一部の対応機種で障害は見られたものの、現時点では全て解消している。
    • 価格はウイルスセキュリティゼロ、ウイルスキラーゼロとほぼ同じで無期限サポートの利用が可能だが、Checkmarkによるテストで、アンチウィルスでLevel2(駆除)、トロイの木馬検出能力を認証されている。
  • マカフィー・ウイルススキャンマカフィー株式会社)
    • 有料のみ。日本語・日本サイト。ワーム系のウイルスに強いとされている。
    • 企業採用では世界トップシェアの老舗ベンダー。大手三社のなかでは最も古株で、MS-DOSの頃「世界で初めてトロイの木馬が駆除できるソフト」として知られた。
    • フェンリル株式会社と業務提携を行っておりSleipnir2インストール時に、90日無償版をインストールして使用することも可能である。
  • NOD32アンチウイルス(ESET, s.r.o. / キヤノンシステムソリューションズ株式会社)
    • パワーユーザーを中心に性能の良さと動作の軽さが評価され、日本でもユーザーが増えている。検出率の高さ、特に次々と生まれるウイルスの亜種に対して定義ファイル提供前でも高い検出率を誇る。
  • ノートン・アンチウイルス (株式会社シマンテック
    • ウイルスバスターとともに日本では知名度で他を圧し、ユーザーも多い。
    • MS-DOS時代より歴史のあるアンチウイルスソフトである。以前は年々ソフト自体が大きくなり、高速なCPUと容量の多いメモリーを必要とするなど動作が重い傾向にあったが、2007年版で解消され、動作が軽くなった。
  • Panda Titanium Antivirus (Panda Software, S.L. / ITX イー・グローバレッジ株式会社)
  • V3ウイルスブロック インターネットセキュリティ(株式会社アンラボ / 株式会社インターチャネル・ホロン
    • 元NECインターチャネル。名前のとおり、元NECの子会社。低価格と親しみやすいインターフェイスが魅力。
  • ウイルスキラーイーフロンティア
    • 価格の安さは魅力。北斗の拳版やハローキティー版といった派生版もあり、色物ソフトに見られる場合があるが、基本的性能は良い。
    • 2007年2月よりドラえもん版も発売予定
    • 2007年5月より、MicrosoftによるWindows Vistaのサポート終了まで更新料が不要な版が発売された。
  • ウイルスセキュリティK7Computing / ソースネクスト株式会社)
    • 価格の安さが魅力。MicrosoftによるWindows Vistaのサポート終了まで更新料が不要な版も発売。
    • 検知率は、評価が分かれる。
  • ウイルスバスタートレンドマイクロ株式会社)
    • 有料のみ。日本語・日本サイト。知名度の高さから企業での採用率も高いが、ADSLなどの通信速度が急激に低下する、バージョンを上げるとコンピュータが応答しなくなるなどの一時的な問題が発生したことがある。米国でもある程度のシェアを持つが、他社に同名のソフトがあったため米国内ではPC-cillinの名前で発売している。
  • ウイルスドクター (北京江民新科技術有限公司)
    • 中国では金山、瑞星(Rising AntiVirus)と並ぶアンチウイルスソフトのひとつ。
  • Windows Live OneCare
    • マイクロソフトが2007年1月から販売するアンチウイルスソフト


  • スパイスウィーパー
    • ウェブルート・ソフトウェア株式会社が2007年1月から販売するSpy Sweeper with Antivirus アンチウイルスソフト

関連項目

脚注

  1. 中堅・中小企業の業務アプリ利用実態(3)ウイルスバスターのトップは当分安泰:ITpro
  2. ウイルス対策ソフト乗り換え案内(1):日経パソコンオンライン
  3. BCNランキング :: PICKUP NO.1 :: セキュリティソフト、更新料不要の「ウイルスセキュリティZERO」がトップに

外部リンク


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