結社
結社は、共通の目的のために組織される継続的な団体のこと。なお、associationは協会と訳されることが多いが、協会は結社の一形態である。
目次
概要
結社は共通の目的のもと、人為的に結成される、継続的な団体である。自然発生的な共同体・地域社会とは結成の経緯で、集会とは継続性の有無で区別される。
日本では、日本国憲法に定められている「結社の自由」によって、政治的なものだけでなく、さまざまな結社を組織することが保証されている。憲法上では、自然発生的なものを含め、団体の総称が結社といえる。
もっとも、現在直接的に「結社」という用語を使用するのは、後述の俳句・短歌・川柳の団体が主で、他は「秘密結社」「政治結社」などが時折使用される程度である。
結社は「党」「派」「組」「流」「会」「社」など、どのような組織名を名乗っても自由であるが、前記の組織名に根付いたイメージというものがあるので、それからはなはだしく逸脱した命名(たとえば、政党内の派閥が「組」を名乗るなど)はあまりなされない。また、日本における「赤十字社」のように、法律によって関係がない者は名乗れないようになっている場合もある。
文学における結社
小説、映画などには「秘密結社」がよく登場するが、現代社会において「結社」の語をよく用いるのは主に歌壇や俳壇や柳壇である。
歌人、俳人、柳人は短歌作品、俳句作品の発表の場として、短歌結社、俳句結社、川柳結社に所属し、その結社の発行する雑誌に投稿するのである。これは明治期に短歌、俳句がそれまでの芸事から、近代的な文学芸術へと改革されて以来の伝統である。
また、漢詩においては中国の北宋の頃から詩人の集まりである「詩社」が結成され、前記の短歌などの結社同様の活動を行っていた。
短歌結社の例
俳句結社の例
川柳結社の例
ズニ族の例
アメリカ(メキシコ)先住民のズニ族の場合、呪医結社が存在し、R・ベネディクトが著書『文化の型』において紹介している。それによれば、秘伝の知識を、生涯を通して少しずつ学ばせていくとされ、上位の階級に進むごとに、その入会式の際に教えられる。また、この呪医に治療され、回復した患者も、その医師の集団(結社)の正式な成員にならねばならないという決まりがある(治療した患者が多ければ、会員も増えることになる)。
ズニ族の考え方では、「戦闘儀礼の結社」「狩猟儀礼の結社」「道化儀礼の結社」といったこれら諸々の結社は、呪医結社と一緒であると定義されている。ただ、R・ベネディクトは異なる点も指摘しており、例えば、戦闘結社に入るためには、「誰かを殺した人のみ」と定められており、この時、殺害した事情は全く問題としていない。そこには、血を流した人達は誰でも「自分の生命を救う」ため、生命を奪われる危険から逃れるために加わるという考えに基づき、この戦闘結社に入った者は、村の治安を維持する義務が課せられる。狩猟結社の成員も男だけの会員であり、医師ではなく、道化結社も呪医とは異なるとしている。しかし、著しい相違が確認できるにもかかわらず、ズニ族はこれら諸々の結社を呪医結社と一つのものと考えている。
関連項目
文学に関するもの
短歌結社、俳句結社、川柳結社については#短歌結社の例、#俳句結社の例、#川柳結社の例、を参照