長野猟銃立てこもり事件
長野猟銃立てこもり事件 | |
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[[File:|0250px|立てこもり現場となった住宅の位置[1]]] | |
立てこもり現場となった住宅の位置[1] | |
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場所 | 日本:長野県中野市江部 |
座標 | |
日付 | 2023年(令和5年)5月25日 - 26日 25日16時30分ごろ - 26日4時37分 ( – JST) |
標的 | |
攻撃手段 | |
兵器 | 猟銃、サバイバルナイフ |
武器 | |
死亡者 | 男女4人(#犠牲者も参照) |
負傷者 | |
行方不明者 | |
他の被害者 | |
損害 | |
犯人 | 男A(当時31歳)[1] |
攻撃者 | |
容疑者 | |
動機 | *女性Wと女性Xが自分のことを『独りぼっち』とばかにしていると思ったから
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関与者数 | |
関与者 | |
攻撃人数 | |
防御者 | |
対処 | 長野県警が男Aの身柄を確保し、殺人の容疑で現行犯逮捕[1] |
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長野猟銃立てこもり事件(ながのりょうじゅうたてこもりじけん)は、2023年(令和5年)5月25日に長野県中野市江部で発生した立てこもり事件である。
現場付近に住む女性2人と、現場に駆けつけた長野県警察の男性警察官2人が死亡し、農家の男(当時31歳)が殺人容疑で逮捕された[1]。
概要
2023年5月25日16時25分ごろ[2]ないし26分ごろ[3]、長野県中野市江部の畑で、農作業をしていた住民から「男に女性が刺された」と消防に通報があった[2]。16時35分ごろ、通報を受けて駆け付けた長野県中野警察署地域課のパトカーに対し、上下ともに迷彩柄の服を着用し、帽子とサングラスをつけたマスク姿の男が猟銃を発砲した。その後、男はパトカー後方から助手席側へ回り込み、助手席から車外に出ようとした男性警部補をナイフで襲った[4]。男は屋外で発砲した後、畑の近くにある中野市議会の議長の家に立てこもった[5]。刺された66歳の女性1人と現場に駆け付けて襲撃された男性警察官2人は病院に搬送されたが死亡が確認された[6]。死亡確認時刻は女性が18時7分、男性警察官2人が18時18分と19時である[3]。
長野県警察は17時33分、銃器のような物を持った男が逃走していると発表した[3]。19時45分ごろに中野市危機管理課は近隣住民に屋内避難を呼び掛けるとともに、現場を中心とした半径約300メートルを避難区域に指定し、現場付近の国道403号と県道を全面通行止めとしたと発表した[7]。
その後、男は市議会議長の息子であることが報じられた[8]。4人を襲撃したのちに自宅に戻って母親と叔母と立てこもり、自宅内で母親が、電話で父親が説得を試みた。母親の説得に対して、男は「絞首刑は一気に死ねないから嫌だ」と出頭を拒否した[9]。20時前後には2発の銃声が相次いだ。男が猟銃で自殺を試みたが失敗したと見られる[9]。母親の供述によれば、母親はその後20時30分過ぎに「私が撃ってあげる」と言って猟銃を受け取り、そのまま持って逃げ警察に保護された[9]。22時41分ごろに長野県警察からの要請を受け、警視庁捜査1課特殊犯捜査係(SIT)と神奈川県警察特殊急襲部隊(SAT)が現場に派遣された[10]。翌26日の0時10分ごろに叔母も警察に保護された[9]。
26日4時37分ごろ、容疑者の男が捜査員に確保され[11]、男は同日8時21分[3]、巡査部長に対する殺人容疑で逮捕された[12]。男が確保された直後(4時54分[3])には現場で倒れていた70歳の女性の死亡が確認され、犠牲者はあわせて4人となった[13]。男は自宅前を散歩で通りかかった女性2人を襲撃した後、70歳の女性については台車に載せて自宅敷地内に運んだとみられる[14]。日本で発生した1つの事件で複数の警察官が殉職した事件は、1990年(平成2年)11月に沖縄県で暴力団抗争の警戒に当たっていた警察官2人が組員と誤認されて射殺された事件以来、33年ぶりである[15]。
男は逮捕後の27日午後、留置先の長野中央警察署から[16]、長野地方検察庁へ送検された[17][18]。
犠牲者
死因はいずれも失血死とされる[19]。
- 女性W(当時70歳)[1]
- 事件発生当日、女性Xとともに散歩をしており、中野市議会議長の自宅前を通りかかった際に男に刃物で襲われた。男が立てこもっていた現場近くに倒れていたため救出が困難となり、翌日の朝に救助された[20]。
- 女性X(当時66歳)[1]
- 女性Wが襲われた後にその場から逃げ出して近くにいた男性に助けを求めたが、男に捕まり刃物で複数回刺された[21]。
- 男性警部補[22][23]。Y(当時46歳:長野県警中野警察署)
- 事件発生当時は巡査部長Zとともに田園地帯を巡回しており[24]、拳銃不携帯・防弾チョッキ未装着の状態で現場に急行した[25][26]。
- パトカーの助手席側に乗っていたところを男に銃撃され、その後車外に出たところを刃物で複数回刺されたことが致命傷となったとみられる[19][27]。
- 男性巡査部長[28][23]。Z(当時61歳:中野警察署)
- パトカーを運転していたところを運転席側の窓の外から男に銃撃され[27]、銃弾は胸を貫通していた[19]。
被疑者
被疑者は農業を営む31歳の男で、中野市議会議長や農薬販売会社の社長を務める父親を持つ、3人兄弟の長男だった[8]。小中学校時代は野球に打ち込み、高校は近隣市にある県立校へ進学[8]。東京都内の大学に入学後は首都圏で1人暮らしを始めたが、間もなく中退。知人らによれば「この頃から様子が変わった」とされ、他人とほとんど会話をしなくなった[29]。実家に戻った後は父親の勧めもあり、近くの果樹園でブドウなどの栽培を開始[29]。2019年に父親は軽井沢町内でジェラート販売店を始め、2022年に中野市に開いた2号店では男も母親と働き、アイスクリームの味付けを研究していた[8][29]。一方で事件までのここ数年、消防団や祭りの保存会といった地域の活動に顔を出さなくなっていた[8]。父親は男が確保された5月26日に市議を辞職し[30]、6月8日には後任の議長が選任された[31]。
男は母親に対し、女性2人を襲った理由について「2人が話しながら散歩しているとき、自分のことを『独りぼっち』とばかにしていると思った」と説明していた[9]。母親は男について「大学時代に『独りぼっち』と言われていじめられ、そのことばに過剰に反応するところがあった」と話しており[9]、務めていたジェラート店でも店を手伝っていた学生らが雑談で「東京では、ぼっちだね」と話すのを聞いた男が「俺がぼっちとばかにした」と激高するなどのトラブルを起こしていた[32]。また、警察官2人を銃撃した理由については「駆けつけた警察官に殺されると思ったので、撃たれる前に猟銃を発射した」と説明していた[14]。
男は2015年1月以降、狩猟と標的射撃を目的に散弾銃などの所持について長野県公安委員会から許可を得ており、2015年1月に散弾銃1丁、2017年10月に別の散弾銃1丁と空気銃1丁、2019年2月に猟銃1丁の許可を取得していた。いずれの銃も銃刀法で義務づけられる3年に1回の更新手続きを済ませており、精神疾患などがないとする診断書も提出されていた。また、これとは別に県警は年1回、銃の所持者に対して健康や精神状態に問題がないかを面談で検査していたが、2023年2月の実施時も問題はなかった。一方で地元の狩猟関係者によれば、男は地元の猟友会には入っていなかった[33]。
捜査
長野県警察は、事件発生翌日の26日正午より県警本部にて会見を開き、中野警察署に100人規模の捜査本部を設置したことを明らかにした[34]。
反応
内閣官房長官の松野博一は、5月26日の記者会見において、事件について「ご冥福を申し上げるとともに、ご遺族に心よりお悔やみを申し上げる」と哀悼の意を表した上で、「現在、警察において犯行の経緯、背景を含め事件の全容解明に向け捜査を進めている」とし、「政府としては、銃器犯罪の根絶のため、引き続き関係機関が連携して対策を推進していく考えである」と述べた[35][36]。
影響
- 2023年5月28日にTBS系『日曜劇場』(長野県では信越放送で放送)枠で放送されたドラマ『ラストマン-全盲の捜査官-』第6話の放送内容が本事件を連想させるものであったため、番組の冒頭に立てこもりのシーンが含まれている注意喚起のコメント、最後に被害者への追悼コメントがテロップが流された[37]。
脚注
出典
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 (2023-05-26) 【詳報】長野立てこもり容疑者「悪口言われたと思い殺した」 ja NHKニュース 日本放送協会 [ arch. ]
- ↑ 2.0 2.1 鈴木英世 深津誠 (2023-05-25) 鈴木英世 深津誠 長野・中野市で立てこもり 猟銃と刃物所持か 女性1人死亡 ja 毎日新聞 毎日新聞社 [ arch. ]
- ↑ 3.0 3.1 3.2 3.3 3.4 『信濃毎日新聞』2023年5月27日朝刊第9版第二社会面28頁「ドキュメント 中野立てこもり事件」(信濃毎日新聞社)
- ↑ (2023-05-30) 長野4人殺害、警官2人は拳銃携帯せず…1人は左腕から心臓付近まで深い刺し傷 読売新聞 [ arch. ] 2023-06-03
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- ↑ (2023-05-25) 男が猟銃発砲、立てこもり 女性と警察官2人死亡 長野・中野 ja 産経ニュース 産業経済新聞社 [ arch. ]
- ↑ (2023-05-25) 長野県中野市で猟銃発砲、男が民家に立てこもり 警官2人と女性死亡 ja 朝日新聞デジタル 朝日新聞社 [ arch. ]
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- ↑ (2023-05-26) 立てこもり容疑者、銃など4丁の所持許可 2月の検査でも問題なし 毎日新聞 [ arch. ] 2023-06-03
- ↑ (2023-05-26) 【詳報】「説得して投降」 長野県警本部長ら記者会見 中野市の立てこもり事件 信濃毎日新聞デジタル [ arch. ] 2023-05-26
- ↑ (2023-05-26) 長野立てこもり 「事件の全容解明に向け捜査中」と松野官房長官 毎日新聞 [ arch. ] 2023-05-26
- ↑ (2023-05-26) 【速報】長野4人死亡立てこもり事件うけ 松野官房長官「銃器犯罪根絶のため対策を推進」「厳しい規制は治安の根幹」 TBS NEWS DIG [ arch. ] 2023-05-26
- ↑ (2023-05-29) TBS系「ラストマン」冒頭で立てこもりシーンの注意喚起 番組SNSで長野事件の被害者を追悼 日刊スポーツNEWS 2023-05-29 [ arch. ] 2023-05-29
関連項目
- 日本における銃犯罪一覧
- ラストマン-全盲の捜査官- - 前述のように第6話の内容に本事件を連想させるものがある。
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