セミ

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'''セミ'''(蝉・蟬)は、[[カメムシ目]](半翅目)・[[頚吻亜目]]・'''セミ上科'''(Cicadoidea)に分類される[[昆虫]]の総称。「鳴く昆虫」の一つとして知られる。 == 特徴 == [[熱帯]]や[[亜熱帯]]の[[森林]]地帯に分布の中心を持つが、[[亜寒帯]]の森林、あるいは[[草原]]に分布するものもいる。約3,000種が知られ、[[テイオウゼミ]]のような翅端までが130mmくらいの巨大なものから、[[イワサキクサゼミ]]のように20mm程度のものまでいる。 [[成虫]]の体は前後に細長い筒型で、頑丈な[[脚]]、長い[[口吻]]、発達した[[昆虫の翅|翅]]などが特徴である。一方、[[触角]]は短い毛髪状であまり目立たない。[[翅]]は前翅が大きく、休息する際は体の上面に屋根状にたたむ。前翅後縁と後翅前縁は鉤状に湾曲していて、[[飛翔]]する際はこの鉤状部で前後の翅を連結して羽ばたく。一般に飛翔能力は高く、羽音を立てながらかなりの速度で飛ぶ。 オス成虫の腹腔内には音を出す発音筋と発音膜、音を大きくする共鳴室、腹弁などの発音器官が発達し、鳴いてメスを呼ぶ。また、外敵に捕獲されたときにも鳴く。[[気管]]の拡大によって生じた共鳴室は腹部の大きな空間を占め、鳴き声の大きな中型種である[[ヒグラシ]]や[[ヒメハルゼミ]]などでは腹部を透かして見るとほとんど空洞に見えるほどである。セミに近縁の[[ヨコバイ]]や[[アワフキムシ]]などにも同様の発音器官があるが、これらはセミのように人間にはっきり聞き取れる音量・音域ではなく、一般に「鳴く昆虫」とは見なされない。 一方、メス成虫の腹腔内は大きな[[卵巣]]で満たされ、尾部には硬い[[産卵管]]が発達する。 == 生態 == セミは、[[卵]]→[[幼虫]]→[[成虫]]という[[不完全変態]]をする虫である。 [[日本]]の場合、成虫が出現するのはおもに夏だが、[[ハルゼミ]]のように[[春]]に出現するもの、[[チョウセンケナガニイニイ]]のように[[秋]]に出現するものもいる。成虫期間は1-2週間ほどと言われていたが、これは成虫の飼育が困難ですぐ死んでしまうことからきた俗説で、野外では1か月ほどとも言われている<ref>読売テレビ ニューススクランブル 「今年はセミが大発生!?セミの謎に迫る」(2007/8/3)<br />http://www.ytv.co.jp/ns/special/bn/2007/08/asx/sp070803.asx</ref>。 さらに、[[幼虫]]として地下生活する期間は3-17年([[アブラゼミ]]は6年)に達し、短命どころか昆虫類でも上位に入る寿命の長さをもつ。 ===鳴き声=== 鳴き声や鳴く時間帯は種類によって異なり、種類を判別する有効な手がかりとなる。たとえば日本産セミ類では[[クマゼミ]]は午前中、[[アブラゼミ]]や[[ツクツクボウシ]]は午後、[[ヒグラシ]]は朝夕、[[ニイニイゼミ]]は早朝から夕暮れまで、などとなる。 夏に多いとはいえ真昼の暑い時間帯に鳴くセミは少なく、比較的涼しい朝夕の方が多くの種類の鳴き声が聞かれる。 ===排泄=== セミを捕えるのに失敗すると、逃げざまに「[[尿]]」のような排泄物をかけられることが多い。 俗に「仕返しにおしっこをかける」などと言われるが、実際は飛翔の際に体を軽くするためという説や膀胱が弱いからという説もある。体内の余剰水分や消化吸収中の樹液を外に排泄しているだけで、外敵を狙っているわけではない。そのため飛翔時だけでなく樹液を吸っている最中にもよく排泄する。 また、「セミのおしっこ」はほとんど水の便で、有害物質はほぼ含まれない。 == 生活史 == セミの幼虫は地中生活で人目に触れず、成虫は飼育が難しいので、その生態について十分に調べられているとは言えない。したがって、ここに書かれていることも含めて、検証が不十分なことがあることを認識しておくべきである。 ===幼虫=== 交尾が終わったメスは枯れ木に産卵管をさし込んで産卵する。枯れ木の上を移動しながら次々と産卵するため、セミが産卵した枯れ木は表面が線状にささくれ立つ。 ニイニイゼミなど早めに出現するセミの卵はその年の秋に[[孵化]]するが、多くのセミは翌年の[[梅雨]]の頃に孵化する。孵化した幼虫は半透明の白色で、薄い皮をかぶっている。枯れ木の表面まで出た後に最初の脱皮をおこなった幼虫は土の中にもぐりこみ、長い地下生活に入る。 幼虫は太く[[鎌]]状に発達した前脚で木の根に沿って穴を掘り、長い口吻を木の根にさしこみ、[[道管]]より樹液を吸って成長する。長い地下生活のうちに数回(アブラゼミは4回)の脱皮をおこなう。地下といえども[[モグラ]]、[[ケラ]]、[[ゴミムシ]]などの天敵がおり、中には[[菌類]](いわゆる「[[冬虫夏草]]」)に冒されて死ぬ幼虫もいる。 若い幼虫は全身が白く、目も[[退化]]しているが、終齢幼虫になると体が褐色になり、大きな白い[[複眼]]ができる。羽化を控えた幼虫は皮下に成虫の体が出来て複眼が成虫と同じ色になる。この頃には地表近くまで竪穴を掘って地上の様子を窺うようになる。 {| |- |[[画像:Exit_tunnels_of_Cicada_A.jpg|150px|Exit tunnels of Cicada]] |[[画像:Exit_tunnels_of_Cicada_B.jpg|150px|Exit tunnels of Cicada]] |[[画像:Exit_tunnels_of_Cicada_C.jpg|150px|Exit tunnels of Cicada]] |- | colspan=3|雨上がり後のセミの竪穴。縁石の短辺寸法は10cm。 |} ===羽化=== [[File:Cicada molting animated-2.gif|thumb|180px|終齢幼虫の[[羽化]]の様子]] 晴れた日の夕方、目の黒い終齢幼虫は[[羽化]]をおこなうべく地上に出てきて周囲の樹などに登ってゆく。羽化のときは無防備で、この時にスズメバチやアリなどに襲われる個体もいるため、周囲が明るいうちは羽化を始めない。このため室内でセミの羽化を観察する場合は電気を消して暗くしなくてはならない。夕方地上に現れて日没後に羽化を始めるのは、夜の間に羽を伸ばし、敵の現れる朝までには飛行できる状態にするためである。木の幹や葉の上に爪を立てたあと、背が割れて白い成虫が顔を出す。成虫はまず上体が殻から出て、足を全部抜き出し多くは腹で逆さ吊り状態にまでなる。その後、足が固まると体を起こして腹部を抜き出し、足でぶら下がって翅を伸ばす。 <gallery> 画像:Graptopsaltria nigrofuscata_larva1.jpg|地上に這い上がる幼虫 画像:Graptopsaltria nigrofuscata_larva2.jpg|木の幹を登る 画像:Aburazemi-uka.JPG|背が割れて白い成虫が顔を出す 画像:Emerging Cicada.png|足でぶら下がり翅を伸ばす Image:Nukegara.JPG|抜け殻 </gallery> アブラゼミの羽化(写真はそれぞれに別の個体) 翌朝には[[外骨格]]が固まり体色がついた成虫となるが、羽化後の成虫の[[性成熟]]には雄雌共に日数を必要とする。オスはすぐに鳴けるわけではなく、数日間は小さな音しか出すことができない。ミンミンゼミの雌は、交尾直前になると、雄の鳴き声に合わせて腹部を伸縮させるようになるので、その時期を知ることができる。 ===成虫=== 成虫も幼虫と同じように木に口吻を刺して樹液を吸う。幼虫は道管液を吸うが、成虫が樹液を摂食した痕には[[糖]]分が多く含まれる液が出てきてアリなどが寄ってくることから、成虫の餌は[[師管]]液と考えられる。ほとんど動かず成長に必要な[[アミノ酸]]などを摂取すればよい幼虫と異なり、飛び回ったり生殖に伴う発声を行う成虫の生活にはエネルギー源として大量の糖分を含む師管液が適するのであろう。また逆に、土中の閉鎖環境で幼虫が師管液を主食とした場合、大量の[[糖]]分を含んだ[[甘露]]を排泄せざるを得なくなり、幼虫の居住場所の衛生が保てなくなるという問題もあり、幼虫が栄養価の乏しい道管液を栄養源とする性質にも合理性が指摘できる。 成虫には[[クモ]]、[[カマキリ]]、[[鳥類]]などの[[天敵]]がいる。[[スズメバチ]]の中でもモンスズメバチは幼虫を育てる獲物にセミの成虫を主要な獲物としていることで知られ、個体群の存続に地域のセミの多様性の高さを必要とする。 == 分類 == === セミ科 Cicadidae === ==== セミ亜科 Cicadinae==== * ニイニイゼミ族 Platypleurini ** ニイニイゼミ属 ''Platypleura'' : [[ニイニイゼミ]]、[[クロイワニイニイ]]、[[ミヤコニイニイ]]、[[ヤエヤマニイニイ]]、[[イシガキニイニイ]]、[[コニイニイゼミ]] ** ケナガニイニイ属 ''Suisha'' : [[ケナガニイニイ]]、[[チョウセンケナガニイニイ]] * エゾゼミ族 Tibicenini ** エゾゼミ属 ''Tibicen'' : [[エゾゼミ]]、[[コエゾゼミ]]、[[アカエゾゼミ]]、[[キュウシュウエゾゼミ]]、[[ヤクシマエゾゼミ]]、[[タイワンエゾゼミ]]、[[コウライエゾゼミ]] ** クマゼミ属 ''Cryptotympana'' : [[クマゼミ]]、[[ヤエヤマクマゼミ]]、[[スジアカクマゼミ]]、[[タイワンクマゼミ]]、[[タカサゴクマゼミ]] ** ハゴロモゼミ属 ''Chremistica'' : [[ハゴロモゼミ]] * アブラゼミ族 Polyneurini ** アブラゼミ属 ''Graptopsaltria'' : [[アブラゼミ]]、[[リュウキュウアブラゼミ]] ** タイワンアブラゼミ属 ''Formotosena'' : [[タイワンアブラゼミ]] * ホソヒグラシ族 Cicadini ** ホソヒグラシ属 ''Leptosemia'' : [[ホソヒグラシ]]、[[チョウセンホソヒグラシ]] ** ハルゼミ属 ''Terpnosia'' : [[ハルゼミ]]、[[エゾハルゼミ]] ** ヒメハルゼミ属 ''Euterpnosia'' : [[ヒメハルゼミ]](亜種オキナワヒメハルゼミ、亜種ダイトウヒメハルゼミ)、[[イワサキヒメハルゼミ]] ** ヒグラシ属 ''Tanna'' : [[ヒグラシ]](亜種[[イシガキヒグラシ]])、[[ソウザンヒグラシ]]、[[コヒグラシ]]、[[タイピンヒグラシ]] ** タイワンヒグラシ属 ''Pomponia'' : [[タイワンヒグラシ]]、[[テイオウゼミ]] ** ''Semia'' : [[ワタナベヒグラシ]] ** ''Purana'' : [[タイワンヒメヒグラシ]] ** ''Taiwanosemia'' : [[ホッポヒグラシ]] ** ''Formocicada'' * ミンミンゼミ族 Oncotympanini ** ミンミンゼミ属 ''Oncotympana'' : [[ミンミンゼミ]] * ツクツクボウシ族 Dundubiini ** ツクツクボウシ属 ''Meimuna'' : [[ツクツクボウシ]]、[[クロイワツクツク]]、[[オオシマゼミ]]、[[イワサキゼミ]]、[[オガサワラゼミ]]、[[コマゼミ]] ** ''Platylomia'' ** ''Macrosemia'' : [[カレイゼミ]] * クサゼミ族 Moganniini ** ツマグロゼミ属 ''Nipponosemia'' : [[ツマグロゼミ]] ** クサゼミ属 ''Mogannia'' : [[クサゼミ]]、[[イワサキクサゼミ]]、[[クロバネクサゼミ]]、[[ルリクサゼミ]] ==== チッチゼミ亜科 Tibicininae==== * チッチゼミ族 Cicadettini ** チッチゼミ属 ''Cicadetta'' : [[チッチゼミ]]、[[エゾチッチゼミ]]、[[オカモトチッチゼミ]]、[[クサチッチゼミ]]、[[チョウセンチッチゼミ]] * クロイワゼミ族 Mudini ** クロイワゼミ属 ''Muda'' : [[クロイワゼミ]] * Huechysini ** ''Scieroptera'' : [[アシアカハグロゼミ]] ** ''Huechys'' : [[ハグロゼミ]] === テチガルクタ科 Tettigarctidae === [[オーストラリア]]に1属2種が生息する。 *テチガルクタ属 ''Tettigarcta'' : [[チカメゼミ]] == おもな種類 == === 日本産 === [[西日本]]と[[東日本]]、低地と山地、[[都市]]部と[[森林]]で生息するセミの種類が異なる。また、[[南西諸島]]や[[小笠原諸島]]にはそれぞれ[[固有種]]が生息し、日本本土のものと似ていても集まる木や鳴き声が異なる。 全部で30種あまりが知られるが、[[チッチゼミ]] ''Cicadetta radiator''、[[エゾチッチゼミ]] ''Cicadetta yezoensis''、[[クロイワゼミ]] ''Baeturia kuroiwae'' の3種はチッチゼミ亜科 Tibicininae、それ以外はセミ亜科 Cicadoidae に属する。 なお、鳴き声は文字で表現するのが難しく、同種でも人によって表現が異なることに注意。 ; [[ハルゼミ]] ''Terpnosia vacua'' : 体長23-33mmほどで、オスの腹部が長い。[[マツ]]林にすむ。成虫は和名通り4月中旬頃から入梅の頃までに発生する。ゆっくりと「ジーッ・ジーッ…」と鳴く。 ; [[ヒメハルゼミ]] ''Euterpnosia chibensis'' : 体長23-28mm。西日本の[[照葉樹林]]に分布する。オスは「ギーオ、ギーオ…」と鳴き、集団で一斉に鳴く習性がある。 ; イワサキクサゼミ ''Mogannia minuta'' : 体長13-16mm、翅端まで2cmほどしかなく、日本最小のセミとして知られる。[[沖縄本島]]から[[八重山諸島]]にかけて分布する。成虫は[[サトウキビ]]畑や[[ススキ]]の茂みに発生し、4月頃には「ジー」と鳴き始める。サトウキビの[[害虫]]である。 ; [[ニイニイゼミ]] ''Platypleura kaempferi'' : 体長20-25mmほどの小型のセミ。翅と体は褐色のまだら模様で、からだにうすく粉を吹く。他のセミより一足早く、6月下旬には成虫が発生する。[[サクラ]]の木に多い。ぬけがらは他種より小さくて丸っこく、全身に泥をかぶっているので区別できる。 ; [[ヒグラシ]] ''Tanna japonensis'' : 体長21-38mmほどで、ツクツクボウシより少し大きく茶色っぽい。[[ヒノキ]]や[[スギ]]の林に生息し、朝夕の薄暗い時間帯に「カナカナカナ…」という甲高い声で鳴く。その悲しげな鳴き声から晩夏のセミというイメージが強いが、ニイニイゼミと同じく6月下旬には鳴き始める。本種に多い[[寄生虫]]として[[セミヤドリガ]]が知られる。 ; [[ツクツクボウシ]] ''Meimuna opalifera'' : 体長30mmほど。ヒグラシより小さく、緑と黒の模様がある。ヒノキ、[[クヌギ]]、[[カキノキ|カキ]]、[[アカメガシワ]]などいろいろな木に止まる。晩夏に多く発生し、宿題に追われる子どもたちのBGMとなる。オスは午後の日が傾き始めた頃から日没後くらいまで鳴くが、鳴き声は特徴的で、和名もこの鳴き声の[[聞きなし]]に由来する。鳴き声は「ジー…ツクツクツク…ボーシ!ツクツクボーシ!」と始まり、以後「ツクツクボーシ!」を十数回ほど繰り返し、「ウイヨース!」を数回、最後に「ジー…」と鳴き終わる。最初の「ボーシ!」が聞き取りやすいためか、[[図鑑]]によっては鳴き声を「オーシツクツク…」と逆に表記することもあるまた、1匹のオスが鳴いている近くにまだオスがいた場合、それらのオスが鳴き声に呼応するように「ジー!」と繰り返し声を挙げる。[[合唱]]のようにも聞こえるが、これは鳴き声を妨害しているという説がある。 ; [[ミンミンゼミ]] ''Oncotympana maculaticollis'' : 体長30-36mmほど。体つきが丸くて翅が長く、翅を含めた大きさはアブラゼミとほぼ変わらない。体は緑と黒のしま模様で翅は透明。東日本では平地の森林に生息するが、西日本ではやや標高が高い山地に生息する。和名通り「ミーンミンミンミンミー…」という鳴き声で知られる。 ; [[エゾゼミ]] ''Tibicen japonicus'' : 体長65-68mmほどで、北海道では平地に生息し、東日本~[[九州]]では山地に生息するクマゼミと同等の大型のセミ。木の幹に逆さにとまる。鳴き声は「ギー…」と聞こえる。エゾゼミはマツ、スギなどからなる冷涼な[[針葉樹林]]に生息するが、近縁のコエゾゼミ ''Tibicen bihamatus''、アカエゾゼミ ''Tibicen flammatus'' は[[ブナ林]]に生息する。 ; [[アブラゼミ]] ''Graptopsaltria nigrofuscata'' : 体長56-60mmほどで、クマゼミやエゾゼミよりやや小さい。セミの翅は一般的に透明だが、本種は不透明な褐色をしている。いろいろな木に止まり、都市部の公園等にも多い。午後の日が傾きかけた時間帯によく鳴き、「ジジジジジ…」という鳴き声は夏の暑さを増幅するような響きがある。 ; [[クマゼミ]] ''Cryptotympana fucialis'' : 体長60-70mmほどの大型のセミ。体色は黒く、頭部と胸部が幅広い。おもに西日本の平地に分布するが、20世紀後半頃から東日本でも分布を広げている。[[地球温暖化]]の影響も考えられるが、人為的移入や[[ヒートアイランド]]現象の影響も考えられ、単に温暖化が原因と断じることはできない。朝や雨上がりの日差しが強くなる時間帯に腹をふるわせながら「シャンシャンシャンシャン…」と大声で鳴く。 <gallery> 画像:エゾハルゼミ T.nigricosta.JPG|[[エゾハルゼミ]] 画像:Himeharuzemi0807-1.jpg|[[ヒメハルゼミ]] 画像:Mogannia minuta.jpg|イワサキクサゼミ([[西表島]]) 画像:W niiniizemi4071.jpg|[[ニイニイゼミ]] 画像:Higurashi.JPG|[[ヒグラシ]] 画像:Meimuna opalifera female.jpg|[[ツクツクボウシ]] 画像:Oncotympana maculaicollis.jpg|[[ミンミンゼミ]] 画像:Tibicen bihamatus.JPG|[[コエゾゼミ]] 画像:Graptopsaltria nigrofuscata1.jpg|[[アブラゼミ]] 画像:Cryptotympana facialis1.jpg|[[クマゼミ]] </gallery> === その他 === [[Image:MP - Chicharra Grande.jpg|thumb|テイオウゼミ|200px]] [[画像:Magicicada fg07.jpg|thumb|200px|ジュウシチネンゼミ]] ; テイオウゼミ ''Pomponia imperatoria'' : 体長80mm、翅端まで130mm、開張200mmに達する世界最大のセミ。体色が赤く、羽根が透明。 : [[東南アジア]]に分布し、生息地域ごとに亜種で分かれている。夜に[[ウシガエル]]に似た大きい声で鳴く。系統的にはヒグラシに近い種類。 : 灯火にも飛来する。 ; ジュウシチネンゼミ ''Magicicada'' sp. : 特定の種類ではなく、''M. decim''、''M. cassini''、''M. decula''の3種類の総称として呼ばれる。翅端まで30-40mmで、セミとしては小型種。[[北アメリカ]]の中部・東部に分布し、うち北部に分布するものは17年に一度、南部に分布するものは13年に一度大発生を起こす(ジュウサンネンゼミ)。 :大発生時は採集しやすく、本種を捕食する動物達も食べきれない程の数になる。成虫を揚げて食べる人もいる。ジュウシチネンゼミ、ジュウサンネンゼミを合わせて'''[[周期ゼミ]]'''(Periodical cicada)、'''素数ゼミ'''とも総称される。 == 益害 == ===食用・薬用=== セミの抜け殻は[[中国]]で古くから蝉蛻(せんたい。蝉退とも書く)という[[漢方薬]]として使われており、止痒、解熱作用などがあるとされる。ちなみに日本で使われる蝉退配合の方剤に消風散があり、保険適用処方でも服用できる。 [[中華人民共和国|中国]]や[[東南アジア]]、[[アメリカ合衆国]]、[[沖縄県|沖縄]]などでセミを食べる習慣がある([[昆虫食]]参照)。中国[[河南省]]では羽化直前に土中から出た幼虫を捕え、素揚げにして塩を振って食べる。[[山東省]]では、河南省と同様の方法の他、煮付け、揚げ物、炒め物などで食べる。[[雲南省]]の[[プーラン族]]は夕方に弱ったセミの成虫を拾い集め、茹でて羽根を取り、蒸してからすり潰して、セミ味噌を作って食用にする。このセミ味噌には腫れを抑える薬としての作用もあるという。 沖縄でのセミ食の習慣については、同県出身の[[お笑い芸人]][[ダチョウ倶楽部]]のリーダー[[肥後克広]]が、子供の頃セミを焼いて食べたエピソードを紹介している。彼によれば翅と脚を除去し火で炙って食べる。特に腹腔が美味という。 ===害=== 樹木の小枝に産卵する雌ゼミが、あやまって[[電線]]や[[光ケーブル]]に産卵する場合があり、それによって[[通信]]に影響を与える場合があることが知られる。特に[[クマゼミ]]のメスが枯れ枝と間違えて光ケーブルに産卵してしまい、ケーブルが傷付いて断線してしまう事故が、クマゼミの生息域に該当する[[西日本]]で報告されている。 北米では大発生した周期ゼミが一斉に樹液を吸うため、若木などが枯死することがある。 あと、飛ぶ時のセミは非常に凶暴。すぐ人にぶつかる。ぶつかった時は固い羽で激しく叩かれるのですごく痛い。あと、地中で幼年期を迎えこっそり成虫になるため、絶滅の恐れが全く無く「'''地球は滅んでもセミだけは生き残る'''」と恐れられている。 == 文化 == 種毎に独特の鳴き声を発し、地上に出ると短期間で死んでいくセミは、日本では古来より感動と無常観を呼び起こさせ、「[[もののあはれ]]」の代表であった。蝉の抜け殻を空蝉(うつせみ)と呼んで、現世(うつしみ)と連して考えたものである。 ===作品=== ==== 文学 ==== * [[源氏物語]][[空蝉]]の巻 * [[俳諧]] ** 閑さや 岩に染み入る蝉の声([[松尾芭蕉]]) ==== 音楽 ==== ; 『蝉の曲』([[胡弓]]楽曲・[[箏曲]]) : 名古屋、京都で活躍した盲人音楽家[[吉沢検校]]が[[天保]]頃作曲。馬場守信作詞。胡弓の本曲として有名な曲。蝉の声に寄せて、夏の終わりに恋の終わりを予感する心情をうたっている曲。[[手事]](てごと - 楽器だけの長い間奏部)では胡弓が蝉の声を描写する美しい部分がある。 吉沢検校は天才音楽家として評判が高く、そのため同僚の音楽家たちに妬まれた。[[尾張徳川家]]の雛の[[節句]]でのこの曲の演奏のおり、[[箏]]の伴奏を同僚たちに頼んだが誰も受けてくれない。仕方なく胡弓を独奏したが、それが大変に素晴らしく、並みいる人々みな感じ入ったという。 ; 『ひぐらし』([[尺八]]、胡弓、箏三重奏曲) : [[1920年|大正9年]]、[[宮城道雄]]作曲。秋近い夏の夕暮れ時、ヒグラシの声がひとしきり聴こえるうちに、夕闇が次第に迫ってくる感じを描写した曲。 その他、[[鈴木輝昭]]が“tiritiritiri...”と表記するひぐらしのモティーフをよく合唱作品に用いる。 === 欧米での扱い === * [[アイソーポス|イソップ]]童話の有名な「[[アリとキリギリス]]」の物語は、地中海南欧沿岸のギリシアで編纂された原話では、本来「アリとセミ」の話であった。セミは元来熱帯系の昆虫で、日本より緯度が高い[[ヨーロッパ]]や[[北アメリカ]]ではセミの種類も少なく、また小型で迫力がないので知名度が低い。そのため、より分かりやすいようにキリギリスに置き換えたもので、日本にはこの置き換えられた物語が伝わった。 * [[イギリス]]から北アメリカ[[移民]]した人々が、ジュウシチネンゼミ分布地に入植してこのセミの成虫の大量出現に遭遇したとき、驚いた移民達はいったいどういう昆虫なのか理解できず、[[聖書]]を紐解き、[[旧約聖書]]の[[出エジプト記]]などに記された[[蝗害]]の記事にこの現象を当てはめ、本来の英語でセミを示す cicada ではなく、蝗を意味する locust の語を当てた。そのため、アメリカ英語ではセミを言い表すときに、 cicada と locust の両方の語を使う慣習が生じた。 * [[明治維新]]の時、日本にやってきた[[ヨーロッパ]]人は[[イタリア]]や[[フランス|南仏]]などの地中海沿岸地域出身者を除くとセミを知らないものが多く、「なぜ木が鳴くのか」と尋ねたものもいたという。現在でも、日本のドラマを欧米に出すとき、夏の場面ではセミの声を消して送るという。日本ではいかにも暑い盛りのBGMと感じられるが、あちらでは妙なノイズが乗っていると思われる場合が多いという。 ===呼び名=== セミの幼虫または、その抜け殻について全国共通の名称は存在しないが、多くの方言で成虫と区別する名称が存在する。一方「[[空蝉]](うつせみ)」はセミの抜け殻の古語である。 == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} <references/> == 関連項目 == {{Commonscat|Cicadoidea|セミ上科}} * [[アリとキリギリス]] * [[空蝉]] * [[アブラゼミ (害虫)]] - 町中でうざいほど飛びまくっている蝉こそ、アブラゼミなのです。 == 参考文献 == <!-- 書式は[[Wikipedia:出典を明記する]] --> * 『日本動物図鑑 学生版』 [[北隆館]]、1948年、ISBN 4-8326-0042-7。 * 中尾舜一 『セミの自然誌 - 鳴き声に聞く種分化のドラマ』 [[中央公論社]]〈中公新書〉、1990年、ISBN 4-12-100979-7。 * 宮武頼夫・加納康嗣編著 『検索入門 セミ・バッタ』 [[保育社]]、1992年、ISBN 4-586-31038-3。 * 上田恭一郎監修、川上洋一編 『世界珍虫図鑑』 [[人類文化社]]、[[桜桃書房]]発売、2001年、ISBN 4-7567-1200-2。 <!-- * 鹿児島の自然を記録する会編 『川の生きもの図鑑 - 鹿児島の水辺から』 [[南方新社]]、2002年、ISBN 4-931376-69-X。 --> * 福田晴夫ほか 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方 - 野山の宝石たち』 [[南方新社]]、2005年、ISBN 4-86124-057-3。 * 沼田英治・初宿成彦 『都会にすむセミたち - 温暖化の影響?』 [[海游舎]]、2007年、ISBN 978-4-905930-39-6。 == 外部リンク == * [http://homepage2.nifty.com/saisho/Zikade.html セミの家] − 画像、鳴き声、図鑑、抜け殻検索、セミグッズなど国内のセミについて網羅。周期ゼミや韓国、台湾のセミ、[http://homepage2.nifty.com/saisho/nameofnymph.html 全国各地のセミの幼虫の呼び名]も。 * [http://www2.mus-nh.city.osaka.jp/learning/ent/semi/home.html 大阪市立自然史博物館 大阪府のセミの見分け方] - 11種類のセミの鳴き声の[[MP3]]がある * [http://www.sci.osaka-cu.ac.jp/biol/aphys/cicada.html 大阪市立大学・都市問題研究「市民と共にさぐる大阪のセミの謎」] - 2005年のマーキング調査では、30日生きたクマゼミのメスが見つかった。 * [http://japan.zdnet.com/company/ctc/trivia/story/0,3800078322,20357714,00.htm リアルなバグ対策に挑むIT業界] - クマゼミのもたらす通信障害。 * [http://outdoor.geocities.jp/kawasemisou/index.html 米蝉ナール] - セミ研究者のホームページ。 {{DEFAULTSORT:せみ}} [[Category:セミ|*]] [[Category:夏]] {{Wikipedia/Ja}}