裸の島

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『裸の島』(はだかのしま)は、1960年(昭和35年)に公開され日本映画である。モスクワ国際映画祭グランプリを受賞した。 リアリティーあふれる画面は好評を博し、世界60か国以上で公開された名作である。

新藤兼人の名を世界的に有名した映画である。 全編セリフなしの映画、撮影期間1ヶ月、キャスト4人、十三人のスタッフ、予算500万円で作られた。

あらすじ

太平洋戦争の敗戦から10年、昭和30年代前半の日本で財産は何もない極貧の家族4人 が生きるために必死で生活する無言で働く小作農夫婦を描いた。

瀬戸内海の孤島(宿禰島)を舞台にドキュメンタリー風に描く。島に中年の夫婦と男の子二人が生活している。 孤島の土地はやせていても、全島にわたり頂上に至るまで耕されている。 島にはまとまった水がないため、畑の水や飲む水を向かいの島から小船で運ぶ。 隣島より桶に入れて櫓漕ぎ舟で運んだ水を、島の急斜面を天秤棒を担いで運び上げる。 夫婦日常の大半は、この水を運ぶ労力に費いやされている。

下の子次郎は未就学で、上の太郎は小学校の二年生。 別の島の学校まで船で通っている。 暑い日の午後、突然太郎が発病した。孤島へ医者が駈けつけた時には、太郎はすでに死んでいた。 葬式に僧侶と通学先の担任の先生と同級生が来て、遺体は島に埋葬された。 葬式が終り、夫婦はに水を運ぶ。 突然、畑に腹ばいになり顔を畑地に擦りつけて号泣する。 夫は、妻の心痛を理解できるので、だまって見つめるだけであった。 明日もまた、夫婦は自然とたたかい続ける。

作品データ

  • 製作年 1960年
  • 製作国 日本
  • 上映時間 98分
  • モノクロ作品

受賞

  • キネマ旬報ベスト・テン 第6位
  • 第11回ブルーリボン賞 企画賞(新藤兼人)
  • モスクワ国際映画祭 グランプリ、
  • モスクワ国際映画祭作曲賞(林光)
  • メルボルン国際映画祭グランプリ
  • 英国アカデミー賞総合作品賞ノミネート
  • マンハイム映画祭グランプリ
  • リスボン映画祭銀賞
  • ベルリン国際映画祭セルズニック銀賞
  • エディンバラ国際映画祭銀賞

キャスト

  • 乙羽信子
  • 殿山泰司
  • 田中伸二
  • 堀本正紀

スタッフ

  • 監督 新藤兼人
  • 脚本 新藤兼人
  • 製作 新藤兼人、松浦栄策
  • 撮影 黒田清巳
  • 美術 新藤兼人
  • 音楽 林光
  • 録音 丸山国衛
  • 照明 永井俊一
  • 編集 榎寿雄