宇都宮運転所
宇都宮運転所(うつのみやうんてんじょ)は、栃木県宇都宮市川向町にある東日本旅客鉄道(JR東日本)の車両基地で、運転士も所属している。同社大宮支社の管轄。宇都宮駅北東側に位置する。
概要[編集]
宇都宮運転所は、1885年(明治18年)7月16日に宇都宮機関庫(うつのみやきかんこ)として開所して以来、東北線区宇都宮地区の車両基地として旅客車両並びに動力車が運転士とともに配置されてきた。名称は1936年(昭和11年)9月に宇都宮機関区(うつのみやきかんく)に改められ、太平洋戦争後の1961年(昭和36年)11月1日に現在の宇都宮運転所(うつのみやうんてんじょ)となった。
宇都宮運転所の敷地は、当初宇都宮駅東側に本線に沿う形で計14本の留置線(西側から客車の検査仕立線2線、洗浄線2線、収容線7線、仕立線2線、支線1線)を配し、その北側に転車台、南側に収容線5線および機関車格納庫5線の計10線を配する大規模なものであったが、東北本線の電化や東北新幹線の開業、貨物列車発着の廃止など運行形態の変化を受け、現在は北側の留置線と当時の本線と宇都宮運転所に挟まれて配されていた貨物列車等の発着ホーム(7線)の一部を留置線として残す以外は撤去売却され、宇都宮駅東口および再開発事業用地となっている。なお、宇都宮駅東口再開発事業の施工権は清水建設など大手ゼネコンを中核とする企業集団が落札していたが、2010年春に白紙撤回されており、2012年時点では施工開始の見通しは立っていない。
現在は烏山線用のディーゼル気動車のほか、関東一円で運用を持つDE10形、DE11形ディーゼル機関車21両が配置される比較的小規模な車両配地区となっているが、過去にはD51形やC57形といった蒸気機関車、EF57形やEF58形などの電気機関車、80系や115系といった電車のほか、一時は優等列車(寝台特急「あけぼの」)牽引の運用を受け持っていたEF65形PF形電気機関車などが数十両配置される東北本線有数の車両配置区所であった。
配置車両の車体に記される略号[編集]
- 旅客車:「宮ミヤ」…大宮支社を意味する「宮」と、宇都宮を意味する「ミヤ」から構成される。
- 機関車:「宇」…宇都宮を意味する「宇」から構成される。
配置車両[編集]
2014年4月1日現在の所属車両は以下の通り[1]。
電車 | 気動車 | 機関車 | 客車 | 貨車 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|
0両 | 8両 | 13両 | 0両 | 0両 | 21両 |
- キハ40形気動車(8両)
- 1000番台8両が配置されている。
- 宇都宮線(東北本線)の宇都宮駅 - 宝積寺駅間と烏山線で運用される。
- DE10形ディーゼル機関車(10両)
- 1000番台1両、1500番台9両、計10両が配置されている。
- DE11形ディーゼル機関車(3両)
- 1000番台3両が配置されている。
DE10形、DE11形は配置区である当所だけでなく、田端運転所や常磐線水戸駅などに常駐し、運用される車両もある。それらの車両を入れ替えるために、定期的に回送が発生する。
配置車両ではないが、宇都宮線・日光線で運行される車両が留置されており、田端運転所配置のEF65形電気機関車・EF81形電気機関車各1両が宇都宮線(東北本線)の事業用列車(主に工事列車)の牽引と寝台特急「北斗星」・「カシオペア」を牽引するEF510形電気機関車が故障した際などの救援用として常駐している。
過去の配置車両[編集]
- サハ48形電車
- 宇都宮機関区時代の1961年(昭和36年)4月1日時点で2両(48021、48024)が配置されていた。
- 80系電車
- 東北本線大宮駅 - 宇都宮駅間の電化を受け、当所(高崎鉄道管理局宇都宮機関区)に配置された。その後1965年(昭和40年)に115系電車が増備されて運用が消滅するまで、当所に在籍した。
- 宇都宮機関区時代の1961年(昭和36年)4月1日時点でモハ31両(80009-10、17-19、35-36、49-52、114、208-212、225-227、368-369、371、380-383、394-397)、クハ21両(86007-10、29-30、41-42、65、80、82、105、119-121、330-331、342-343、352、355)、サハ7両(87002、6、9、11-12、16、107)が配置されていた。
- 115系電車[2]
- トップナンバーを含むクハ115-1 - 7、モハ115-1, 2、モハ114-1, 2の計11両が1963年(昭和38年)1月31日に日本車輌製造および近畿車輛で製造された。そして同年3月、その後製造された車両と合わせて計34両が全国に先駆けて配置された。その後も当所への新製配置が続けられ、1965年(昭和40年)11月時点での配置車両数は146両になった。
- その後、電車の配置は1966年(昭和41年)7月に新設された小山電車区に移管することとなり、1968年(昭和43年)までに移管された。
- 宇都宮運転所に新製配置された車両のうち、モハ115-84, 87 - 89, 114-84, 87 - 89の計8両(1966年製)が先頭車化改造され新潟車両センターに配置されている(クモハ115-501 - 504, 114-501 - 504)。また西日本旅客鉄道(JR西日本)下関総合車両所運用検修センターに現存するクハ115-165も新製配置は宇都宮である。
- EF12形電気機関車
- 1961年(昭和36年)4月1日時点で9両(1-2、5、12-17)が配置されていた。
- 1968年(昭和43年)3月31日時点で8両(1-3、5-6、12、16-17)が配置されていた。
- EF15形電気機関車
- 最盛期には16両(56, 70, 78, 80 - 83, 138, 168 - 170, 173, 188, 196 - 198号機)が配置されていた。
- 最末期の配置は1両(78号機)のみとなっていた。
- EF57形電気機関車
- 末期には、早期に事故廃車となった12号機を除く全14両(1 - 11, 13 - 15号機)が配置されていた。
- 運転所の敷地内には1号機の動輪が保存されている。なお、7号機は宇都宮駅東公園に静態保存されている。
- DD13形機関車
- 49, 72, 79, 80, 93, 94, 95, 96, 188号機が配置されていた。
- キハユニ16形郵便荷物車
- 1961年(昭和36年)4月1日時点で、キハユニ16形1両(9)が配置されていた。
- キハ10系(キハ10形・キハ11形)・キハ20系(キハ20形)
- 烏山線・日光線・東北本線で使用された車両。
- 1961年(昭和36年)4月1日時点で、キハ10形2両(56-57)、キハ11形3両(61-63)の計5両が配置されていた。
- 1968年(昭和43年)3月31日時点で、キハ10形3両(41、56-57)、キハ11形7両(7-8、17、52、61-63)の計10両が配置されていた。
- 1979年6月2日午後の列車よりキハ40形2000番台(後に1000番台に改造)に置き換えられた。最後まで残った車両のうち、キハ20 55はキハ40形への置き換え後もしばらくの間は予備車として配置されていた。
- キハ40形への置き換え時に残っていた車両はキハ10形3両 (41, 56, 57) 、キハ11形5両 (7, 17, 52, 61, 62) 、キハ20形2両 (55, 91) 。
- 30形救援車
- 1968年(昭和43年)3月31日時点で1両(スエ3037)が配置されていた。
- 31形救援車
- 1968年(昭和43年)3月31日時点で1両(スエ3122)が配置されていた。
- 32系客車
- 1968年(昭和43年)3月31日時点でスハ3両(2482、2527、2549)、スハフ10両(2121、2145-2147、2154、2157、2244、2328、2330、2332)が配置されていた。
- 35系客車
- 1968年(昭和43年)3月31日時点でオハ5両(2013、2065、2073、2164、2248)が配置されていた。
- 61形客車
- 1968年(昭和43年)3月31日時点でオハフ7両(2187、2416-2419、2545、2549)が配置されていた。
- キハE991形気動車
- 1両が配置されていた。愛称は「NEトレイン」。
- D51形蒸気機関車
- 141, 259, 270, 466, 468, 469, 579, 630, 631, 650, 670 - 672, 679, 683, 717, 745, 769, 845, 911, 928, 1034, 1116, 1118, 1159号機が配置されていた。
- C57形蒸気機関車
- 1, 14, 24 - 27, 45, 50, 59, 60, 70, 82 - 85, 96, 108, 110, 125, 138, 160, 163号機が配置されていた。
- C59形蒸気機関車
- 3, 40, 48, 178号機が配置されていた。
- C61形蒸気機関車
- 27, 28, 29号機が配置されていた。
- C62形蒸気機関車
- 8, 10, 11, 19, 20, 21号機が配置されていた。
歴史[編集]
- 1885年(明治18年)7月16日:現在の東北本線大宮駅 - 宇都宮駅間が開業、宇都宮駅構内に宇都宮機関庫として新設される(宇)。
- 1931年(昭和6年):宇都宮機関庫烏山分庫を宇都宮機関庫烏山支区に改編。
- 1936年(昭和11年)9月:宇都宮機関庫を宇都宮機関区に改称。
- 1942年(昭和17年)10月:宇都宮機関区烏山支所を廃止。
- 1950年(昭和25年)8月1日:国鉄の改組により東京鉄道局宇都宮管理部と同高崎管理部が統合され高崎鉄道管理局が発足、その所管となる(高ミヤ)。なお、この改組において宇都宮には水戸、平、高崎の各営業所を統括する北関東地方営業事務所が新設された。
- 1959年(昭和34年):80系電車の配置が始まる。
- 1961年(昭和36年)11月1日:宇都宮機関区を宇都宮運転所に改組する。
- 1963年(昭和38年)3月:115系が全国で初めて配属される。またこの年、白河機関区および白河機関区黒磯支区を宇都宮運転所白河支所および宇都宮運転所黒磯支所として統合。
- 1965年(昭和40年)8月:80系電車が転出。
- 1966年(昭和41年)7月11日:115系電車の小山電車区への移管が始まる。
- 1968年(昭和43年):115系電車の小山電車区への移管が完了。
- 1969年(昭和44年)3月1日:東京鉄道管理局の改組により高崎鉄道管理局の管轄下から東京北鉄道管理局の管轄下となる(北ミヤ)。同時に宇都宮運転所白河支区を廃止。
- 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化により東日本旅客鉄道東京圏運行本部(その後、東京地域本社、東京支社と改名)の管轄となる(東ミヤ)。
- 2001年(平成13年)4月1日:東日本旅客鉄道の改組により大宮支社の管轄となる(宮ミヤ)。