三菱リコール隠し

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三菱リコール隠し2000年に発覚した三菱自動車工業の乗用車部門とトラック・バス部門(通称三菱ふそう、現在の三菱ふそうトラック・バス)による大規模なリコール隠しを指す。

その後、トラック・バス部門の更なるリコール隠しが2004年に発覚。乗用車部門も再調査され国土交通省によると2000年の調査が不十分だったことが判明し、会社の存続の危機に遭遇している。しかしながら、事件後に発表したアウトランダーアイなどが一定の評価を受けており、徐々にではあるが信頼を回復しつつある。

この事件は企業倫理の問題としては自動車業界とは異業種ではあるが松下電器産業のFF式石油温風機の欠陥問題やジョンソン・エンド・ジョンソンの毒物混入事件における速やかな対応などとの対比で語られることもある。ただし、この事件は消費者軽視傾向が強いため、雪印牛肉偽装事件TBS不祥事連発&マンネリ化などに近いともいわれている。

概要

2000年に発覚した大規模な三菱自動車工業のリコール隠しで市場の信頼を失い、再建途中にあったが、2003年に発生した系列会社の三菱ふそうトラック・バスの大型車のタイヤ脱落事故について、構造上の欠陥およびリコール隠しの疑いが濃いことが明るみに出るにつれ、2004年4月22日に筆頭株主であるダイムラー・クライスラーは財政的な支援の打ち切りを発表した。これを受けて2002年6月から三菱自動車工業の最高経営責任者(CEO)を務めているロルフ・エクロート社長は辞意を表明している。

2004年5月6日に大型車のタイヤ脱落事故で三菱ふそうトラック・バス前会長の宇佐美隆ら7人が神奈川県警察本部などに逮捕された。同日、国土交通省は三菱ふそう前会長の宇佐美隆ら5人と法人としての三菱ふそう・三菱自動車を神奈川県警察本部に告発した。さらに、6月10日には別の事故で河添克彦元社長・宇佐美隆三菱ふそうトラック・バス前会長ら7人が神奈川県警察本部・山口県警察本部などに逮捕された。

そのため、以下の制裁措置を受けている。

  • 国土交通省 - 1週間に1回の報告義務。車両の入札における指名停止。型式審査の厳格化。
  • 警察庁 - 車両の入札における指名停止。

その他、岐阜県京都府岡山県さいたま市倉敷市以外の一部の自治体と地方公共団体も車両の購入を禁止する処分を発動している。

その後、延べ4000人以上を動因して販売会社に残っていた過去全ての不具合記録を分析(国土交通省などの指示によるものではなく、自主調査)。1998年以前の100件以上の欠陥を発表した。なお、2000年以降乗用車ではリコール隠しや闇改修は行われていなかった。

2006年9月にはユーザーから寄せられた不具合情報を共有可能とする新品質情報システムの導入を発表した。これにより、不具合の原因究明における統計分析の迅速化や、販売会社での修理手順・見積もりの照会などが可能だとしており、品質改善のスピードアップを図るとしている。[1]

2006年12月13日には、横浜簡易裁判所で行なわれた刑事訴訟にて、過去の報告うち9件は虚偽と認めたが、犯罪として証明できないとして無罪判決が言い渡されている。

偏向報道とバッシング

今回の事件以降、交通事故に関する報道では他社製品の場合はメーカー名・車名を伏せている場合が多いが、三菱自動車の場合では原因が特定できない段階にも関わらず、記事タイトルに「三菱車が事故」などと三菱自動車の製品であることを強調し面白おかしくした報道も多く、週刊誌マスメディアの過剰なバッシングが多々見られる。

事故に遭遇した車両(ディオン)は2004年当時、リコールの対象ではなかったが、地方紙までもが「三菱自動車のリコール対象車」であると大きく報じ、リコール隠しとの関連性を示唆する憶測報道を展開した。しかし、事故原因はドライバーの操作ミス(踏切待ちの間に運転手がDレンジに入れたまま運転席を離れ、車両が踏切に進入した模様)であったことが後に判明した。その後、正確な事故原因について報じる媒体はごく少数で、「リコール隠しによる事故」と報じたままの媒体が多くを占めた。
  • 2004年度以降、三菱以外のメーカーも大量のリコールを出している(2005年度は566万台、うち三菱自動車は全体の10%)。
    • 部品の共通化によるリコール台数の増加とも言われるが、本問題発覚以降各社のリコールに対する姿勢の変化もあると言える[2][3][4]
  • リコール発表を報じる報道では、他社製品についてはリコール内容を報じるのみに留まるケースが大半だが、三菱自動車がリコールを提出した場合は、対象製品にのみならず同社の製品全てが欠陥品であると言わんばかりのニュアンスを含んだ偏った報道がなされる場合が多い。
  • 車両火災事故については全国で毎年6,000 - 8,000台発生し、1日平均20台以上は事故に遭遇しているにも関わらず、今回の事件に便乗して三菱車の車両火災ばかりを特定して報道する姿勢が見られた。
  • メディアの報道ではタイヤが脱輪した車を「三菱製トレーラー」と記述されているものが多いがこれは誤記で「三菱製トラクタ」と呼ぶのが正しい。三菱自動車・三菱ふそうではトレーラーは製造されていない。このように所々にメディアの無知による誤報も数多く見受けられた。

略年表

  • 2000年7月 三菱自のクレーム隠し事件が発覚、河添氏が社長職を辞任。このときの調査対象は過去2年間のみとしたため、それ以前の問題には手をつけられなかった。
  • 2000年11月 河添の後任に同社の園部孝(そのべ たかし:故人)が社長に就任(後に2002年6月から園部氏が亡くなる2003年10月29日まで会長職)。
  • 2004年5月27日 横浜区検・地検が道路運送車両法違反(虚偽報告)などの罪で、三菱ふそうトラック・バスの宇佐美隆・前会長ら5人を起訴
  • 2004年6月2日 三菱自動車が乗用車で「ヤミ改修」があったことを発表。延べ4000人以上を動員して1979年以降のデータを全て自主的に調査し、発表した。
  • 2004年6月10日 河添克彦三菱自工元社長を逮捕。
  • 2004年6月14日 新たに43件のリコールを発表。国土交通省の欠陥リークを受けて、1週間後の14日に発表。この欠陥が原因の事故は、人身事故が24件、火災事故は101件。
  • 2005年3月30日 三菱自動車は法人として、リコール隠しの主犯である旧経営陣に対し、一連の民事訴訟を提訴。
  • 2006年12月13日 横浜簡易裁判所で行なわれた刑事訴訟にて、過去の報告うち9件は虚偽と認めたが、犯罪として証明できないとして無罪判決が言い渡されている。

外部リンク

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