ロジャー・スクルートン
ロジャー・ヴァーノン・スクルートン(Roger Scruton, 1944年2月27日 - )は、英国の哲学者である。コメンテーター、ジャーナリスト、作曲家でもある。初期の専門領域である美学では、建築学におけるモダニズムを批判し、音楽の重要性について説明しようと試みた。政治哲学においては、きわめて英国的な独自の保守主義を展開し、ネオリベラリズムを批判している。ロンドン大学Birkbeck college教授を務めた。
たばこ擁護記事に関する事件
スクルートンは2002年までに、WHOの反たばこキャンペーンを批判し、それらの予算をワクチン接種やエイズ撲滅にまわすべきなどと主張する文章を、有名新聞紙や学会誌に投稿していた。しかし、実は日本たばこ産業(JT)から資金援助を受けていたことが、2002年初頭にGuardian紙に暴露された。
この記事によると、スクルートンはJTあての極秘メール内で、タバコ会社の“現在最大の懸念”に対して、“ウォールストリート・ジャーナル、タイムズ、テレグラフ、Spectator、Financial Times、エコノミスト、インディペンデント紙やNew Statesmanなどの新聞・雑誌に対して意見を投稿した”ことに対する見返りとして、月間4500ポンドの謝礼を1000ポンド増額するよう依頼していた。この告発を受けてFinancial Times紙は、スクルートンが毎週連載していたコラム“This Land”の掲載を中止し、Wall Street Journal紙もスクルートンとの契約を打ち切った[1]。
同じメールで、スクルートンは「WHOの信頼性を失わせるような記事をメディアに載せるべきだ」「たばこ規制がまだ甘い発展途上国の政府高官にJTの職員を接触させるべきだ」「マクドナルドの製品の方が健康に悪いと印象づけるべきだ」「JT社員が喫煙について非難されたときに、自信をもって対応できるような内部資料を作成するべきだ」などの助言をJTに対して与えていた。
著作
『保守主義の意味』(マクミラン、ロンドン、1984年)