高速道路 (日本)
高速道路(日本)(こうそくどうろ(にほん))では、日本の高速道路について説明する。
高速道路の名称
一般的には、高速道路や単に高速とも呼ばれる。路線名で呼ぶ場合には、営業路線名と法定路線名が存在する。具体例は
- 営業路線名:東名高速道路(略称:東名高速や東名)
- 法令による法定路線名:第一東海自動車道
- 英称:TOMEI EXPRESSWAY(英略称:TOMEI EXPWY)
- 営業路線名:東北自動車道(略称:東北道)
- 法令による法定路線名:東北縦貫自動車道弘前線
- 英称:TOHOKU EXPRESSWAY(英略称:TOHOKU EXPWY)
高規格幹線道路の法定路線名は「○○自動車道」という名称になっているが、これは道路運送法の規定による自動車道ではなく、道路法に基づく道路である。これは、「国土開発幹線自動車道法」制定の際、国土開発幹線自動車道を建設省所管の道路とするか、運輸省所管の自動車道とするかの結論が出ず、結局後の「高速自動車国道法」によって道路であることが規定されたという経緯による。
※「高速道路」の呼称が用いられるのは東名と名神のみであるが、これは両道路の計画・建設の進められる過程で広く民間において「高速道路」の呼称が使用され、命名の時点で一般に最も定着しているという歴史的経緯に鑑みて、例外的に採用されたものである(国土交通省道路局ウェブサイト「道の相談室」「質問・高速道路と自動車道の違いを教えてください」より)。
戦前から1950年代にかけては弾丸道路と呼ばれていたこともあった。
英称
日本での高速道路の公式な英語表記には、Expressway(英略称:EXPWY)が用いられるが、一般的にはHighway(ハイウェイ)が使われる。元々米国で『Highway』は幹線道路という意味であり、一般国道を含めた国道(英訳:National Highway)や主要地方道等の主要道路全体を指す。日本の高速道路は幹線道路としての機能も有するため、Highwayというカテゴリの道路の1種であると言うこともできる。
法令上の定義
法令上の高速道路の定義については、いくつかのものがある。
- 道路交通法第108条の28に基づく国家公安委員会の告示である、「交通の方法に関する教則(昭和53年10月30日国家公安委員会告示第3号(最終改正平成16年8月27日))第7章」による定義
- 「高速道路とは、高速自動車国道と自動車専用道路をいいます。高速道路では、ミニカー、総排気量125cc以下の普通自動二輪車(小型自動二輪車)、原動機付自転車は通行できません。また、農耕用作業車のように構造上毎時50キロメートル以上の速度の出ない自動車やほかの車をけん引しているため毎時50キロメートル以上の速度で走ることのできない自動車も、高速自動車国道を通行することはできません。」
- 「高速道路株式会社法(平成16年6月9日法律第九十九号)」のよる定義
- 第2条2項 この法律において「高速道路」とは、次に掲げる道路をいう。
- 1 高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項に規定する高速自動車国道
- 2 道路法第四十八条の四に規定する自動車専用道路(同法第四十八条の二第二項の規定により道路の部分に指定を受けたものにあっては、当該指定を受けた道路の部分以外の道路の部分のうち国土交通省令で定めるものを含む。)並びにこれと同等の規格及び機能を有する道路(一般国道、都道府県道又は同法第七条第三項に規定する指定市の市道であるものに限る。以下「自動車専用道路等」と総称する。)
道路条件・通行条件
道路構造令で第1種、第2種に該当する道路が高速道路であるが、例外的に第3種第1級の道路を出入り制限して自動車専用道路に指定している道路もある。
高速道路は、以下の条件を満たす必要がある。
- 出入りはインターチェンジまたはランプに限られること。
- 原則として、往復車線が中央分離帯によって分離されていること。(暫定2車線を除く)
- 他の道路、鉄道等との交差方式は立体交差であること。(ランプ同士が平面交差している箇所では信号機が設置されている。)
- 自動車の高速通行に適した線形になっていること。
また、高速道路の通行条件は以下のようになっている。
- 自動車(125ccをこえる自動二輪を含む)だけの通行に限られる。
- 歩行者、軽車両、ミニカー、125cc未満の自動二輪、原付は通行できない。(高速自動車国道及び最低速度制限のある自動車専用道路では小型特殊自動車や故障車をけん引している自動車など、50km/hr以上の速度を出せない自動車も通行不可。)
- 自動二輪に関しては、2005年の法改正に伴い2人乗りの禁止が解禁され、20歳以上かつ免許(大型二輪または普通二輪)を受けていた期間が3年以上であれば、運転者以外の人を乗車させて運転できる(但し、首都高速道路の一部区間は除く)。
- 最高速度・最低速度については、それぞれ各項目を参照のこと。
種類
高速道路と呼ばれる道路には、以下のものがある。
- 高規格幹線道路
- 高速自動車国道(A路線)
- 高速自動車国道法第四条(高速自動車国道の意義及び路線の指定) に基づく高速自動車国道の路線を指定する政令で指定された路線。本来、国道の建設及び管理は道路管理者である国土交通大臣が行うことになっているが、高速自動車国道については法令により、東日本・中日本・西日本の各高速道路会社(民営化以前は日本道路公団(JH))に委任されている。
- 国土開発幹線自動車道(国幹道)
- 国土開発幹線自動車道建設法に基づき建設することが定められた高規格幹線道路の一つ。現在の総距離は、開通区間も含め11520kmとなっている。予定路線のうち基本計画が決定した区間から順次政令で『高速自動車国道』に指定される。
- 国幹道以外で政令で指定された高速自動車国道
- 高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路(A'路線)
- 本来高速自動車国道で整備される路線のうち、全区間整備の必要性は低いが、部分的にこれに並行して混雑解消や山間部の隘路解消のため、一般国道の整備が急務となっている一部区間を先行整備した道路。将来段階的に高速自動車国道へ編入されることもある。税金(国と県の建設費負担は2対1)又は追加で東日本・中日本・西日本の各高速道路会社(民営化以前は日本道路公団(JH))等から建設費を投入されて建設。
- 国土交通大臣指定に基づく高規格幹線道路(一般国道の自動車専用道路)(B路線)
- 道路法第48条の2に基づき、国土交通大臣が指定した道路。
- 本州四国連絡道路(B路線に準じる)
- 高速自動車国道(A路線)
- 地域高規格道路
- 都市圏自動車専用道路(都市高速道路及び重要路線が該当)
- 一般(都市圏自動車専用道路を除く全ての指定路線)
- その他の自動車専用道路
- ※高規格幹線道路及び地域高規格道路に属さない自動車専用道路
高速道路の種類や建設方式が複雑化した背景として、省間の利害対立や建設費用の捻出方法の違いなどが挙げられる。
歴史
- 1963年7月16日に日本初の高速道路、名神高速道路栗東IC~尼崎IC間が開通した。
- 当時は個別清算だったが国の方針により、日本全国の高速道路をプール制とし全ての高速道路の借金をゼロにするまでどこも無料にはならない方針となっている。しかしながら、道路公団民営化の方針で45年以内に完済することが法律で義務となっている。
- 現在の借金は、約30兆円に相当すると言われている。
- 2001年3月30日:日本道路公団がETC導入。
- 2005年10月1日:日本道路公団分割民営化。NEXCO東日本・NEXCO中日本・NEXCO西日本に分割。
日本の道路年表 も参照
標識
- 日本の高速道路・自動車専用道路の標識は1963年に制定され、緑色が使われている。書体は視認性を重視し、独自の角ばった書体を使用している(高速道路・自動車専用道路のアクセス標識にも、角ばった書体を使用している場合がある。逆に、一部角ばった書体を使用していない場合もある。)。実用化に向け何種類かのパターンが作られ、テストが行われた。都市高速ではゴナが主流になっている。無料もしくは地方道路公社管理の自動車専用道路では、地域により、上記の書体もしくは丸ゴシック体(ナール等)が用いられる事がある他、西知多産業道路のように自動車専用道路であるにも関わらず青色の標識を採用している場合もある。
なお、制定当初は数字・ローマ字もゴシック系ではなく角張った書体を使用していた(道路標識ハンドブック(1965年版)より)。標識の種類については道路標識を参照のこと。
関連項目
- 高速道路
- 日本の高速道路一覧
- 地域高規格道路
- 地域高規格道路一覧
- 自動車専用道路
- 一般道路
- 日本の道路一覧
- 日本の一般有料道路一覧
- 無料開放された道路一覧
- 日本の道路年表
- 宇部興産専用道路
- 完全走破!日本縦断2002キロ高速道路の旅
外部リンク
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