品川中1男子いじめ自殺事件

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品川中1男子いじめ自殺事件とは、2012年東京都の大井にある品川区立中学校で発生した事件である。

事件概要

2012年9月26日、品川区の区立中学1年の男子生徒(12)がマンションの自室で首をつって自殺した。26日夜、生徒が自室の2段ベッドの手すりに空手の帯をくくりつけ首をつっているのを母親が見つけた。自宅に遺書のようなメモがあった。この日は普段通り登校し、午後4時ごろ帰宅した。

夏休み前の7月に学校が実施したいじめに関するアンケートで、生徒は「文房具を壊された」などといじめをうかがわせるような内容を訴えていた。自殺後に学校が親しかった生徒らから聞き取りをしたところ、5月ごろからクラスで避けられたり無視されたりしていたとの証言もあった。

校長は9月28日夜、「いじめが自殺の原因になった可能性が高い」と述べた。複数の加害生徒をほぼ特定した。

男子生徒は4月以降、シャープペンシルがなくなったり壊されたりしたとして、担任に何度か相談していた。自殺後の調査では、「消えろ」「バカ」などと言われていたという複数の証言も得られた。複数の生徒は、「教室で暴力を振るわれていた。相手は主に1人。多くて一度に3人ぐらい」「昼休みに殴られていた」などと話した。

調査委報告を保護者会で説明

男子生徒の通っていた中学校では11月5日夜、保護者会が開かれ、校長が1時間ほどかけて、外部調査委員会の報告書の内容を説明した。参加した1年の男子生徒の母親(41)は、「いじめられているのを先生が気付かなかった訳がない。本当に頼りないと思った」と話していた。

保護者会後に報道陣の取材に応じた校長は、「保護者の信頼というのは、今回の事件でかなり失ったと思っている。信頼を回復するために、これから努力していきたい」と述べた。

今回の自殺を受けて、男子生徒の通っていた中学校は、いじめの兆候を早期発見するため、「いじめ」の基準を

  1. 度重なるからかい
  2. ものがなくなる・壊される
  3. 嫌がらせや暴力、けんか

と定め、学年主任会を毎週開き、報告と対策を話し合う場を設定した。

調査報告書は、同校の教員のいじめに対する意識の低さを指摘している。同校は、いじめに取り組む意識や人権感覚を向上させる教員向けの校内研修を実施する。

また報告書は、区教委に対して、いじめ調査の分析を行う「いじめ問題対策チーム」の設置や、子供たちが悩みや相談を訴えやすくする「目安箱」を各校に設置することなどを求めている。

「心の穴、日増しに大きく」品川中1自殺で父親

東京都品川区の区立中学校1年の男子生徒(12)が2012年9月、マンションの自室で首をつって自殺した問題で、男子生徒の父親(40)が取材に応じた。

父親は、いじめによる自殺で息子を失った無念さを語るとともに、自ら委員として参加した外部調査委員会の調査結果に「まだ解明されていない部分がある」と複雑な思いをのぞかせた。

「優しい子でした。みんなに気を使いすぎて『つらい』と言えなかったのか……」。男子生徒が亡くなってひと月余り。父親は毎朝、目が覚めるたびに「息子はもういないんだ」と実感するといい、「心の穴は日増しに大きくなる。悲しみは増すばかり」と語る。

亡くなった男子生徒は車や電車が好きで、「将来は車のデザイナーになりたい」と話していた。一人息子で、休日には母親(41)も一緒に3人でモーターショーや自動車メーカーのショールームなどに遊びに行く、仲の良い家族だった。

調査委が報告書「人権感覚ない」(2012年11月)

区教委が調査結果を報告した品川区議会文教委員会「学校がいじめの存在に気付かず、かけがえのない命を失わせた」――。

東京都品川区の区立中学校1年の男子生徒(12)が自殺した問題で11月5日、区教育委員会が設けた外部調査委員会の報告書の内容が明らかにされた。2012年4月の入学当初から始まったいじめ。報告書からは、クラスの大半がいじめに加担する一方、学校側は問題を深刻にとらえず放置していた実態が浮き彫りになった。

言葉の暴力

「(男子生徒は)キモイ、避けた方がいい」。中学入学直後、同じ小学校の同級生の言葉がきっかけで、男子生徒はいじめの対象として注目されるようになった。5月に入ると文房具を壊され、「キモイ」「うざい」「死ね」という言葉の暴力も日常化。同じ学年の特定の男子生徒から、殴るけるの暴力も受けるようになった。

7月に大津市のいじめ自殺問題が注目されると暴力行為は減ったが、夏休みを挟んで2学期になると、言葉の暴力は激しくなる。同級生らが清掃中に、男子生徒の机に触れるのを嫌がるなど、言葉や態度によるいじめが集団化していった。

「軽く考えていた」

担任教諭は5月の段階で、男子生徒が「キモイ」「うざい」と言われていたことに気付いていた。この頃、文房具も壊されており、担任はクラスの「帰りの会」で、「そういった行為は絶対にいけない」とクラス全員に注意するだけだった。いじめた側の特定など具体的な対応は取らずに放置していた。

7月に行われた三者面談では、担任と母親との間で「文房具壊し」も話題になったが、担任はその後、訴えがなかったことから「収まった」と判断していた。

報告書は「この学校の教員の意識で一番の問題は、いじめに対する認識の低さと人権感覚のなさ。男子生徒を『いじられキャラ』として軽く考えていた」と厳しく批判している。

いじめ問題に取り組むNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」の小森美登里理事は「いじめを受けている子は大抵我慢をして苦しいとは言わない。周囲の教諭も気付けなかったのか疑問だ。早急に教諭のいじめ対応のスキルアップを図る必要がある」と指摘している。

遺族も参加

調査は当初、教育長や中学校の校長ら、区教委側で進められたが、途中で外部の学識経験者らに入れ替わり、男子生徒の父親(40)も加わって、今回の報告書をまとめた。

区教委は入れ替えについて「客観性、透明性を担保するため」と説明したが、学識経験者の氏名はすべて非公開のまま。委員の具体的な構成については「今後も公表する予定はない」としている。

今回、当事者である遺族が調査に加わったが、父親は「息子に起こった出来事を確認できた」と前向きに受け止めつつ、「まだ多くの疑問が残っている」と複雑な心境も明かしている。

大津市の調査委員会で委員を務める教育評論家の尾木直樹法政大教授は「学校の責任は大きく、さらに検証が必要。公正な検証のための外部調査委で、委員の名前が非公表なのは疑問だ。遺族の参加は、ほかの委員が忌憚ない議論をしにくくなり、後になって遺族も意見を述べにくくなるなど、問題もあると感じる。遺族への情報提供には別の方法もあるのではないか」としている。

品川中1自殺:調査委参加の父「ここまでひどい目に…」

遺族として初めて調査対策委員会のメンバーに入った男子生徒の父親(40)は「情報を開示してもらい、息子に何が起こっているのか知ることができてよかった」と意義を話した上で、「約1カ月で報告書がまとまっているが、あまりにも短い時間。詰め切れていない部分もあり、引き続き調査を求めている。一日でも早く、全てが明らかになるのを待ちたい」と話した。

一人息子の死から、約1カ月半が過ぎた。「ずっと3人で一緒にきた。この1カ月は原因究明に必死だったが、息子が帰ってこない現実はむなしい」。母親(41)は人に会えず、朝起きると息子がいないことに震え、泣いているという。

亡くなる日の朝、息子が「いってらっしゃい、頑張ってね」と声を掛けてくれ、「おう」と返した。それが最後の会話になった。

報告書によると、いじめは小学校の時からあった。中学に進学しても、同級生が「小学校で『きもい』と言われていた」と吹聴し、いじめが始まった。同じクラスの男子生徒6人が中心になって、殴る、蹴るなどの暴力をふるった。クラスのほとんどの生徒が「きもい」「うざい」などの言葉を男子生徒に浴びせた。給食の時も席を離したり、ばい菌扱いしていた。

大津市のいじめをきっかけに、2012年7月に実施した記名式のアンケート。中学校の説明では、「周囲で困っている人は?」という設問に、男子生徒の件は誰も書いていなかった。

7月の三者面談で、母親が担任に相談したが、担任は記憶にないと言い、すれ違っている。父親は「まじめに子どもに向き合い真摯に対応してほしかった」。

4月以降、欠席はゼロ。文房具が壊された時、母親に「替えてほしい」と言ってきた。誰がやったのか聞いても「分からない」と、それ以上は言いたがらなかった。「気を使う性格だから。相当つらかったろうに、最後の最後まで一言も口にしなかった」

報告書をまとめ終わり、父親は「ここまでひどい目にあわされていたのかというのが正直な印象。つらいのをよく笑顔でやり過ごしていたなと思う」と声を絞り出した。まだ知りたいことがあり、追加の調査を文書で依頼し、返答を待っている。父親は「いじめは立派な犯罪なのに、加害者にはそういう認識がない。全ての大人が、いじめとくくらず、暴行罪や傷害罪などの犯罪行為であると、子どもたちに教えてほしい」と力を込めて語った。

加害者32人、「きもい」「うざい」「死ね」品川中1男子「いじめ自殺」壮絶報告書

「一連のいじめは生徒を追い詰め『自殺の誘因』となったと判断せざるを得ない」とする調査報告書を11月5日、区教委が区議会に提出した。

報告書によると、被害生徒に対して、クラスのほぼ全員が「うざい」「きもい」といった言葉をかけるなど精神的ないじめに関わっていたほか、他クラスの生徒もいじめに加わっていた。

なかでも中心となった男子生徒数人は、被害生徒が自殺する当日まで殴る蹴るといった暴力を振るっていた。

10人くらいの男子生徒から蹴られる

報告書は事後におこなわれた教員や生徒への聞き取り調査などから、事実関係を調べたものだ。

「一連のいじめは生徒を追い詰め『自殺の誘因』となったと判断せざるを得ない」とする調査報告書 それによると、いじめを受け自殺した男子生徒(以下、被害生徒)は4月の中学校入学当初から、「きもい」「避けたほうがいい」などと小学校の同級生らに吹聴され、いじめのターゲットとして目を付けられていた。

当初は「からかい」程度だったが、4月下旬から6月にかけて、被害生徒が筆箱に入れていた赤ペン、ボールペン、シャープペン、ホッチキスがなくなったり壊されたりした。所属する部活ではボールをぶつけられることが始まった。

被害生徒をいじめる風潮がクラスに蔓延したのは、5月から6月にかけてだ。男女合わせて28人の生徒が「きもい」「うざい」「死ね」といった暴言を吐いたことを事後に認めた。こういった「言葉の暴力」や「ばい菌あつかい」にクラスのほとんどの生徒が関わっていた。

具体的には、被害生徒に触れたときに汚いものに触れてしまったようなそぶりを見せる、「被害生徒が使った水道は使わないほうがよい」と言う、被害生徒と話すことを異常なことのように扱う、給食中に机を離すなどの行為があった。同時期に、被害生徒は濡れた靴下をなげつけられたり、上履きが女子トイレに投げ入れられたりといったいじめも受けていた。

また、暴力行為もクラスの6人の男子生徒を中心としておこなわれるようになった。すれ違いざまに殴る、くるぶしを蹴る、腹を殴る、かかと落としをする、転ばせるといった内容だ。被害生徒の保護者によれば、男子生徒の一人に家の裏までつけられ「学校で殺すぞ」と脅迫まがいのこともされていたという。かかわりがあるかは不明だが、所属していた部活では、ボールが顔面にぶつかって青あざができたり、手首を捻挫したりといった怪我も負っていた。

7月には10人くらいの男子生徒から蹴られる事態にまで発展し、教員が指導したこともあった。

加害生徒「親友になろうぜ」「うそー」

2学期のはじまった9月には、いじめはクラスを中核として同学年全体へと広がっていた。これは、事後アンケートの回答からも伺える。同学年の生徒190名のうち約半数にあたる98人が悪質ないじめの存在を知っていたとし、また、32人が自分が加害者であるとこたえた。

被害生徒は他クラスの男子生徒から追いかけられて転ばされたり、蹴られたりするようになった。クラス内での暴力は減ったというが、ある男子からは柔道技を掛けられるなどしていた。清掃中に机をじかに触れないようにモップに引っ掛けて運ばれる、ノートがなくなるなどのいやがらせも止まず、「ばかじゃん」といった言葉の暴力はむしろ増えたという証言もある。

極めつけと思われるのは9月25日のできごとだ。被害生徒によく暴力を加えていたある男子生徒が、からかうつもりで「大親友になろうぜ」と声をかけた。被害生徒が「別に良いけど、あ、そう」と了承したので、「うそー」と言った。すると被害生徒は、「何だよ」といって走っていってしまったという。

その翌日の26日夜、被害生徒は自宅で空手帯で首をつり、自殺した。その日にも、数名に囲まれて蹴られるなどの暴行を受ける姿が目撃されていた。

被害生徒が7月の生徒アンケートに「困ったことがある」などといじめをにおわす回答をしていたことから、区教育委員会は自殺翌日の27日に緊急調査対策委員会を設置。

いじめの実態や自殺との関連について、1年生にアンケートや面談といった調査をおこなっていた。