海陽中等教育学校

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海陽中等教育学校(かいようちゅうとうきょういくがっこう)は、愛知県蒲郡市海陽町三丁目にある私立中等教育学校。現在、後期課程は開設から5年以上経過していないため以下は主に前期過程についての情報を記す。

概要

全寮制中高一貫制男子校である。トヨタ自動車JR東海中部電力などの中部地方の有力企業が中心となり設立され、2006年4月に開校した。

イギリスパブリックスクールである名門イートン校をモデルとし、同校から教師を招いている。

また、全寮制の学校であるため、ハウス(寮)での生活を通じ、自由と規律、独立心と協調性を養成する。「エリート教育」を掲げているため、内外から第1期生の大学進学実績が注目されている。理事長トヨタ自動車名誉会長の豊田章一郎。校長は東京大学名誉教授で元開成学園校長の伊豆山健夫から2009年4月に東京大学名誉教授で元産業技術総合研究所理事の中島尚正へ引き継がれた。

1期生から東大13人

新設校ながら、卒業1期生をいきなり東京大学に13人も合格させた高校が話題を集めている。

トヨタ自動車JR東海中部電力といった日本を代表する 企業が200億円以上を投じて設立した中高一貫の全寮制男子校で、19人もの 英国首相を生み出した英国一の名門「イートン校」が目標という“超エリート 養成校”だ。東大合格2ケタという派手な実績をあげたことで、同校が秘める高い教育力が注目されている。

全国の教育関係者や受験生、父母らを驚かせたその高校は、愛知県蒲郡市にある「海陽中等教育学校」。1学年の定員120人の男子校で、6年間を寮で過ごす 中高一貫校だ。2006年に開校し、今年、1期生が初の卒業生となった。

その卒業生の中から、13人の東大合格者が誕生。「サンデー毎日」と大学通信の調べによる東大高校別合格者ランキングでは、初登場で51位にランクされた。

大学通信の安田賢治・ゼネラルマネジャーは「初の進学実績で2ケタの東大合格者を出した学校は過去に例がないと思う。全寮制で6年みっちり鍛えることは、進学面でかなりの効果があることを証明してみせた」と驚く。

東大だけでなく、米国屈指の難関校というスワスモア大学(ペンシルベニア州)の合格者を出したとの情報もある。イートン校は世界中の有名大学に卒業生を送り 出しており、海陽も手本とする学校に一歩近づいた。

もっとも、同校では好結果を喜びつつも、「学力だけをもって本校の成功とするのではなく、彼らがリーダーたる人間力をつけて初めて成功と考えます。彼らの今後の大学や社会での活躍を期待します」(関係者)と浮かれた様子はない。 海陽では、一体どんな授業が行われているのか。

「高校1年に相当する4年生までに高校3年までの全教科を終わらせてしまう。とりわけ国際人を育てる英語、伝統文化を重んじる国語の2教科は徹底して教育される」 (教育ジャーナリスト)。

スピード重視でカリキュラムをこなす一方、補習や習熟度に 合わせた授業も手厚く実施されているという。ある保護者によると、費用は「授業料、寮費、子供へのお小遣いなどを入れて1年間で300万円ほど。それ以上かかる年もあり、6年間で2000万円弱」と、かなり高い。ただ、大枚をはたく価値はあるようだ。

「全寮制でカリキュラムもぎっしりなので、窮屈というイメージかもしれないが、意外と伸び伸びやれる環境のようです。息子には『毎日が修学旅行のようで楽しい』 と言われました」(同)

生徒に楽しさを感じさせているのが、寮内でともに生活する“社会人”の存在だ。

設立の母体となったトヨタ、JR東海、中部電などは出資だけでなく、生徒の育成にも積極的に関与。各企業の独身男性社員が寮に「フロアマスター」として派遣されている。

フロアマスター経験者は「20人の生徒と一緒に生活しながら、彼らが書く日誌を毎日チェックする。兄のような存在として、ときに将来の夢を深夜まで語り合った。 自分にとっても実り多い体験だった」と振り返る。

同校の誕生にはJR東海・葛西敬之会長の熱意が大きく関わっている。葛西氏は日本におけるリーダー教育の弱さに危機感を覚えつつも、教育論は千差万別で答えが出ないことを痛感。

著書『明日のリーダーのために』(文春新書)でこう述べている。

「自ら理想とする教育を施すには小さな学校を作って、その学校で自分が正しいと思う教育を子供たちに与えてあげること、それが教育に対する唯一の適切なアプローチの仕方だと思うに至りました」

葛西氏の思いにトヨタの豊田章一郎元会長、中部電の太田宏次元会長らが賛同。トヨタが海沿いの広大な土地を提供し、本格的なリーダー教育の拠点が完成した。

ただ、前例のない試みだけに課題も多い。各学年の定員は120人だが、「全寮制や校風に合わないのか、どの学年でもおしなべて100人程度に減る」(保護者)と、退学者が目立つ。志願者数もピークは初年度で、その後は徐々に減少。2011年に学費、食費を免除する「特別給費生」を導入したことで、やや持ち直した。「イートン校が目標なら、東大ではなく米国のハーバード大、 英国のオックスフォード大を狙わせるべき」(大学関係者)との声もある。

一時は“無名”になりかけた海陽だが、華々しく“東大デビュー”したことで受験生や親から熱い視線を集めるのは必至。今後明らかになる有名私大の合格者数とOBの就職先も大いに気になるところだ。

建学の精神

将来の日本を牽引する、明るく希望に満ちた人材の育成

沿革

  • 2006年 - 海陽中等教育学校が開校。
  • 2011年 - 学費や食費を免除する「特別給費生」を導入。

アクセス

  • 最寄駅 JR東海 三河大塚駅(快速は止まらないため、30分に1本程度普通列車が停車するのみである)
    • 蒲郡駅、三河大塚駅バス停より名鉄バスラグーナ蒲郡線乗車、海陽学園バス停下車。(豊橋線、病院丸山線は海陽学園バス停を経由しない。)

授業

  • 1学年は120名(1クラス30名×4クラス)の少人数教育となっている。
  • 前期課程3年生(中学3年生に相当)からは習熟度別のクラス編成がなされ、扱うテキストが異なる場合もある。
  • 海陽学園の授業は50分授業で、平日は原則として7時間、土曜日は4時間で行い、英語国語数学の主要3教科は一般的な公立学校の2倍の授業を実施している。

学校行事

  • 4月 - 入寮の集い(1年)、ウエルカムパーティー・始業式・入学式・健康診断・ハイキング・バーベキュー・ゴールデンウィーク休み
  • 5月 - スポーツフェスタ・中間試験
  • 6月 - 三河湾クルーズ(1年)・伊勢研修(3年)・保護者懇談会
  • 7月 - 期末試験・終業式・夏休み開始
  • 8月 - 夏休み
  • 9月 - 始業式・海陽祭(文化祭)
  • 10月 - 登山(1年)・自然体験学習(2年)・歌舞伎鑑賞(3年)・中間試験
  • 11月 - 秋休み・工場見学・保護者懇談会
  • 12月 - 期末試験・終業式・餅つき大会・冬休み
  • 1月 - 始業式・ジョギングタイム
  • 2月 - マラソン大会・スペリングビー
  • 3月 - 学年末試験・卒業式・終業式・春休み

上記以外にハウス(寮)イベントが月に1回程度実施されており、田植えや、ヨットに関する体験、旧東海道の歴史や文化、伝統を学びながら歩く「東海道ウォーク」と言われているものや、ハウス・フロア対抗のスポーツ大会、そして博物館めぐりや美術鑑賞など、毎月多種多様なハウスイベントを開催している(内容は年度により異なるとされる)。

一日の生活

  • 6:30 - 起床
  • 7:15 - 朝食(ハウス単位で)
  • 8:00 - 授業
    • 平日は50分7時間、土曜日は50分4時間授業。
  • 11:50 - 昼食(ダイニングホールで)
    • 昼食後は自由時間
  • 12:50 - 授業
  • 15:40 - 準備
  • 15:50 - 課外活動
  • 18:00 - 夕食(各自)
    • 自由時間(各ハウスの1階のテレビなどを利用できる)
  • 20:00 - 夜間学習
    • それぞれ専用の個室か、プライベートラウンジで勉強する。
  • 22:00 - 自由時間(就寝準備)
  • 22:30 - 就寝(4年生からは11時半まで延灯が可能)
    • 日曜日のみ前期生は19:30夜間学習開始、22:00消灯。

教室棟

  • 普通教室 - 一般的な公立学校の1.3倍の広さとなっている。
  • スタディホール - 教室前に設けられた多目的学習スペース。休み時間や放課後のグループ学習にも活用されている。

特別教室棟

  • 物理教室・化学教室・生物教室・地学教室 - 理科の実験などのための教室。プロジェクターなども完備。
  • 音楽室 - 2台のグランドピアノとステージが設けられており、机には鍵盤が描かれている。
  • 書道室 - 書道の授業の専用教室。他の教科の授業で使うこともある。
  • 美術室 - 美術の授業の専用教室。

中央棟

  • PC教室 - 技術の授業を行う教室である。
  • 視聴覚室 - 映画館や劇場なみの映像・音響設備を備え150名を収容できる。近い将来、世界中の学校や企業とネットワークをつなぎ交流授業はここで行う予定。
  • 図書館 - 学習の参考となる資料や文学作品の他、雑誌なども所蔵。映像ソフトの視聴コーナーもある。
  • 天体望遠鏡 - 中央棟の最上階に口径40cmの本格的な天体望遠鏡が設置されており、理科の授業や課外活動などにも利用されている。
  • プール - 中央棟の屋上に25m×6コースのプールが設置されており、水泳はここで行う。

食堂棟

  • ダイニングホール - 全校生徒が同時に食事をとれるようになっている。
  • スクールショップ - 生活必需品や飲み物や食べ物などの飲食類を販売している。

体育館

  • 体育館 - アリーナ(バスケットコート2面の広さ)、トレーニング室、更衣室、シャワー室の他にも2階には部活動の部室が設置されている。
  • 武道館 - 柔道や剣道の授業や課外活動に利用されている。

屋外施設

  • 400mトラック陸上競技場や野球場が備えられており、夜間でもトレーニングができるよう照明設備も完備されている。また、体育館の横には4面のテニスコートが設置されている。

ハウス(寮)

  • 4階建ての前期ハウスが6棟、5階建ての後期ハウスが6棟あり、1つのハウスに生徒60人が住んでいる。
  • 各ハウスには、A~Lのアルファベットが振られている。
  • ハウス生徒全員には7.5m²の広さの個室が与えられていて、机、ベッド、収納スペースなどを完備されている。
  • 洗面所・シャワー室が各フロアに設置されていて、入浴できる大浴場も3つのハウスに1つ完備されている。
  • 1階のパブリックラウンジにはテレビが設置されており、自由時間などに視聴することができる。
  • 洗濯室やクリーニング集配所も1階にある。
  • ハウスマスターの住居は4階建ての前期ハウスは1階にあり住居の近くには相談室もある。5階建ての後期ハウスには5階にある。

ハウススタッフ

  • 全寮制の学校である海陽にはハウスごとに教員免許を持つ「ハウスマスター(HM)」と呼ばれる教師が各ハウスの専用の住居に住むことになっており、勉強面や生活面などで支援を行う。「フロアマスター(FM)」はトヨタ・JR東海・中部電力などの企業から派遣され、各ハウスの各フロアに1人ずつ住み生徒達と交流を深めたり相談に乗ったりする。
  • なお、生徒はフロアマスターに日誌を毎日提出し、その日の出来事や、相談に乗って欲しいことなどを書き、フロアマスターは返事を書く。
  • また、ハウスマスターとフロアマスターは毎日、朝と晩にミーティングを行い、生徒の生活等に問題があれば対策を検討し対応に当たる。

学園内での生活

  • 生徒には全員にFelicaカードが支給されており、このカードにより入退出管理、図書室におけるメディア貸し出し、学園内での自販機などの物販(学園内では現金の所持を禁止)を管理している。
  • 物販については、カード内の非接触ICチップと紐付けされ、保護者へ請求される仕組みとなっている。

関連項目