尖閣諸島中国漁船衝突事件
尖閣諸島中国漁船衝突事件(せんかくしょとうちゅうごくぎょせんしょうとつじけん)とは、2010年9月7日午前、中国漁船が日本の領海である沖縄県尖閣諸島付近で違法操業し、その後日本の海上保安庁の巡視船に衝突してきたことに端を発する一連の事件。尖閣漁船事件、中国漁船衝突事件とも呼ばれる。
事件の概要
2010年9月7日、尖閣諸島付近の海域をパトロールしていた巡視船「みずき」が、中国籍の不審船を発見し日本領海からの退去を命じるも、それを無視して漁船は違法操業を続行、逃走時に巡視船に衝突を繰り返し巡視船2隻を破損させた。海上保安庁は同漁船の船長を公務執行妨害で逮捕し 、取り調べのため石垣島へ連行し、船長を除く船員も同漁船にて石垣港へ回航、事情聴取を行った。9日に船長は那覇地方検察庁石垣支部に送検された。(#事件発生から逮捕・送検まで)
中国政府は「尖閣諸島は中国固有の領土」という主張を根拠に、北京駐在の丹羽宇一郎大使を呼び出し、日本側の主権に基づく司法措置に強硬に抗議し、船長・船員の即時釈放を要求した。これを受けて13日に日本政府は船長以外の船員を中国に帰国させ、中国漁船も中国側に返還したが、船長に関しては国内法に基づいて起訴する司法手続きの方針を固め、19日に勾留延長を決定した。すると中国側はこれに強く反発し即座に日本に対して様々な報復措置を実施した。(#送検から2度目の勾留延長決定まで・#中国政府の報復措置)
24日、国際連合総会開催中で菅直人内閣総理大臣および前原誠司外務大臣不在の中、那覇地方検察庁鈴木亨・次席検事が船長の行為に計画性が認められないとし、また日中関係を考慮したとして、中国人船長を処分保留で釈放すると突如発表。本決定を仙谷由人官房長官は容認。25日未明、中国側が用意したチャーター機で、中国人船長は石垣空港から中国へと送還された。(#船長の釈放)
11月1日、中国への配慮から非公開となっていた漁船衝突時の動画が、那覇地検によって6分50秒に編集された上で、衆参予算委員会所属の一部の議員に対してのみ限定公開された。11月4日、ハンドルネーム「sengoku38」によって漁船衝突時に海上保安官が撮影していた44分間の動画がYouTube上に流出した。(#漁船衝突映像の限定公開と流出)